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「歌島は人口千四百、周囲一里に充たない小島である。」三島由紀夫の「潮騒」に描かれる歌島のモデルは伊勢湾口に浮かぶ神島(かみしま)で青山京子・吉永小百合・小野里みどり・山口百恵・堀ちえみをヒロインに、過去に5度映画化され、いずれも神島でロケが行われている。「潮騒」ファンの私も長年神島を訪問したいと思っていた。<br />神島は標高170mの灯明(とうめ)山を中心として全体が山地状で、集落は季節風を避けるように北側斜面に集まっている。急斜面に人家が密集して建っていて、歩道は狭く急勾配で人家の間を縫うように山の上まで続いていた。かつてはここの時計のみが島の時間を刻んでいたという時計台跡横を登ると水道が各家になかった頃の洗濯場があり、今でも憩いの場となっている。ここに葬儀のために集まっていた人に「潮騒」の執筆のために三島由紀夫が滞在した寺田さん宅を尋ねるとなんと集まっていた人の中に寺田こまつさんがおられ、ご親切にも家の中に通していただき三島由紀夫が滞在した部屋を拝見し、八代神社へよくお参りしていたことなど教えていただいくことができた。<br />三島由紀夫は「潮騒」の構想時、水産庁に依頼し「都会の影響を少しも受けてゐず、風光明媚で、経済的にもやや富裕な漁村」を探してもらい、神島などを紹介され万葉集の歌枕や古典文学の名どころに近い神島を選んだそうだ。(『神島の思ひ出』)<br />1953年の3月と8月に三島は神島を訪問しており、『潮騒』はその旅行直後の9月に執筆を開始したといわれている。<br />1953年、寺田こまつさんが新婚1ヶ月の21歳の時、夫の和弥さんは26歳の船長で夫の父宗一さんは漁協組合長で「宿は旅館より民家がいい」という三島由紀夫の希望で1ヶ月滞在したそうだ。<br />三島由紀夫は気さくで「皆さんと一緒に食事がしたい」と言い、家族同然の暮らしをし蛸壺漁にもでかけ、楽しそうに漁の話をこまつさんにし、神島を発つ時「小説ができあがったら、この島は全国に知られる」と自信満々で話したそうだ。<br />三島由紀夫と親しくしていた神島の人たちの間では、「潮騒」のラストシーンの新治の沖縄行きは寺田家の長男・和弥さん(寺田こまつさんの夫)がモデルなのではないか、小説中で新治が海に飛び込み繋船したシーンは実際に起こった出来事で、和弥さんの体験に基くものだろうといわれている。<br />また「潮騒」は、三島由紀夫の作品ではめずらしい、わかりやすい文体で海女・宮田初江と漁師・久保新治の純愛物語にしあがっているが、神島の人たちの間では初江のモデルは寺田家に嫁いできたばかりで初々しかった寺田こまつさんだろうともいわれている。<br />寺田こまつさんの話を伺って三島由紀夫が寺田こまつさんのやさしさに惹かれ2度にわたって長期滞在し、こまつさんも三島由紀夫を大変尊敬され、この体験を一生の宝物にされていることがよくわかった。<br />(写真は三島由紀夫が1ヶ月滞在した寺田さん宅)<br />

日本の旅 伊勢湾周辺を歩く 三島由紀夫が滞在した三重県神島(かみしま)の寺田さん宅

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2011/05/15 - 2011/05/15

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さすらいおじさん

さすらいおじさんさん

「歌島は人口千四百、周囲一里に充たない小島である。」三島由紀夫の「潮騒」に描かれる歌島のモデルは伊勢湾口に浮かぶ神島(かみしま)で青山京子・吉永小百合・小野里みどり・山口百恵・堀ちえみをヒロインに、過去に5度映画化され、いずれも神島でロケが行われている。「潮騒」ファンの私も長年神島を訪問したいと思っていた。
神島は標高170mの灯明(とうめ)山を中心として全体が山地状で、集落は季節風を避けるように北側斜面に集まっている。急斜面に人家が密集して建っていて、歩道は狭く急勾配で人家の間を縫うように山の上まで続いていた。かつてはここの時計のみが島の時間を刻んでいたという時計台跡横を登ると水道が各家になかった頃の洗濯場があり、今でも憩いの場となっている。ここに葬儀のために集まっていた人に「潮騒」の執筆のために三島由紀夫が滞在した寺田さん宅を尋ねるとなんと集まっていた人の中に寺田こまつさんがおられ、ご親切にも家の中に通していただき三島由紀夫が滞在した部屋を拝見し、八代神社へよくお参りしていたことなど教えていただいくことができた。
三島由紀夫は「潮騒」の構想時、水産庁に依頼し「都会の影響を少しも受けてゐず、風光明媚で、経済的にもやや富裕な漁村」を探してもらい、神島などを紹介され万葉集の歌枕や古典文学の名どころに近い神島を選んだそうだ。(『神島の思ひ出』)
1953年の3月と8月に三島は神島を訪問しており、『潮騒』はその旅行直後の9月に執筆を開始したといわれている。
1953年、寺田こまつさんが新婚1ヶ月の21歳の時、夫の和弥さんは26歳の船長で夫の父宗一さんは漁協組合長で「宿は旅館より民家がいい」という三島由紀夫の希望で1ヶ月滞在したそうだ。
三島由紀夫は気さくで「皆さんと一緒に食事がしたい」と言い、家族同然の暮らしをし蛸壺漁にもでかけ、楽しそうに漁の話をこまつさんにし、神島を発つ時「小説ができあがったら、この島は全国に知られる」と自信満々で話したそうだ。
三島由紀夫と親しくしていた神島の人たちの間では、「潮騒」のラストシーンの新治の沖縄行きは寺田家の長男・和弥さん(寺田こまつさんの夫)がモデルなのではないか、小説中で新治が海に飛び込み繋船したシーンは実際に起こった出来事で、和弥さんの体験に基くものだろうといわれている。
また「潮騒」は、三島由紀夫の作品ではめずらしい、わかりやすい文体で海女・宮田初江と漁師・久保新治の純愛物語にしあがっているが、神島の人たちの間では初江のモデルは寺田家に嫁いできたばかりで初々しかった寺田こまつさんだろうともいわれている。
寺田こまつさんの話を伺って三島由紀夫が寺田こまつさんのやさしさに惹かれ2度にわたって長期滞在し、こまつさんも三島由紀夫を大変尊敬され、この体験を一生の宝物にされていることがよくわかった。
(写真は三島由紀夫が1ヶ月滞在した寺田さん宅)

交通手段
自家用車 徒歩
  • 神島桟橋前の観光案内。

    神島桟橋前の観光案内。

  • 神島桟橋前の街並み。

    神島桟橋前の街並み。

  • 神島桟橋前の映画「潮騒」の紹介。

    神島桟橋前の映画「潮騒」の紹介。

  • 神島桟橋前の街並み。

    神島桟橋前の街並み。

  • 神島桟橋前の映画「潮騒」の紹介。

    神島桟橋前の映画「潮騒」の紹介。

  • 神島桟橋前の街並み。

    神島桟橋前の街並み。

  • 神島桟橋前の映画「潮騒」の紹介。

    神島桟橋前の映画「潮騒」の紹介。

  • 神島桟橋前の街並み。

    神島桟橋前の街並み。

  • 神島桟橋前の観光案内。

    神島桟橋前の観光案内。

  • 神島桟橋周辺の光景。

    神島桟橋周辺の光景。

  • 神島桟橋前の観光案内。

    神島桟橋前の観光案内。

  • 神島桟橋周辺の光景。

    神島桟橋周辺の光景。

  • 神島桟橋前の観光案内。

    神島桟橋前の観光案内。

  • 神島桟橋周辺の光景。

    神島桟橋周辺の光景。

  • 神島桟橋前の街並み。

    神島桟橋前の街並み。

  • 神島桟橋周辺の光景。

    神島桟橋周辺の光景。

  • 神島桟橋前の街並み。

    神島桟橋前の街並み。

  • 神島桟橋前の街並み。

    神島桟橋前の街並み。

  • 神島桟橋周辺の光景。

    神島桟橋周辺の光景。

  • かつてはここの時計のみが島の時間を刻んでいたという時計台跡。

    かつてはここの時計のみが島の時間を刻んでいたという時計台跡。

  • 急斜面に人家が密集して建っていて、歩道は狭く急勾配で人家の間を縫うように山の上まで続いていた。

    急斜面に人家が密集して建っていて、歩道は狭く急勾配で人家の間を縫うように山の上まで続いていた。

  • 急斜面に密集する人家。

    急斜面に密集する人家。

  • 急斜面に密集する人家。

    急斜面に密集する人家。

  • 時計台跡周辺の光景。

    時計台跡周辺の光景。

  • 水道が各家になかった頃の洗濯場の説明と三島由紀夫の「潮騒」に描かれている洗濯場の場面の紹介。

    水道が各家になかった頃の洗濯場の説明と三島由紀夫の「潮騒」に描かれている洗濯場の場面の紹介。

  • 水道が各家になかった頃の洗濯場。今でも島の人たちの憩いの場となっている。

    水道が各家になかった頃の洗濯場。今でも島の人たちの憩いの場となっている。

  • 水道が各家になかった頃の洗濯場の説明と三島由紀夫の「潮騒」に描かれている洗濯場の場面の紹介。

    水道が各家になかった頃の洗濯場の説明と三島由紀夫の「潮騒」に描かれている洗濯場の場面の紹介。

  • 水道が各家になかった頃の洗濯場。

    水道が各家になかった頃の洗濯場。

  • 三島由紀夫が滞在した寺田さん宅前の光景。

    三島由紀夫が滞在した寺田さん宅前の光景。

  • 三島由紀夫が滞在した寺田さん宅前の光景。

    三島由紀夫が滞在した寺田さん宅前の光景。

  • 寺田こまつさん・79歳。ご親切にも家の中に通していただき三島由紀夫が滞在した部屋を案内してくださった。

    寺田こまつさん・79歳。ご親切にも家の中に通していただき三島由紀夫が滞在した部屋を案内してくださった。

  • 三島由紀夫が滞在した部屋の絵画。

    三島由紀夫が滞在した部屋の絵画。

  • 三島由紀夫が滞在した部屋の写真。

    三島由紀夫が滞在した部屋の写真。

  • 三島由紀夫が滞在した部屋。

    三島由紀夫が滞在した部屋。

  • 三島由紀夫が滞在した部屋の絵画。

    三島由紀夫が滞在した部屋の絵画。

  • 三島由紀夫が滞在した部屋。1953年の3月と8月、寺田こまつさんが新婚1ヶ月の21歳の時、主人の和弥さんは26歳の船長で主人の父宗一さんは漁協組合長で「宿は旅館より民家がいい」という三島由紀夫の希望で1ヶ月滞在したそうだ。

    三島由紀夫が滞在した部屋。1953年の3月と8月、寺田こまつさんが新婚1ヶ月の21歳の時、主人の和弥さんは26歳の船長で主人の父宗一さんは漁協組合長で「宿は旅館より民家がいい」という三島由紀夫の希望で1ヶ月滞在したそうだ。

  • 三島由紀夫が滞在した部屋の写真。

    三島由紀夫が滞在した部屋の写真。

  • 三島由紀夫が滞在した部屋。

    三島由紀夫が滞在した部屋。

  • 寺田こまつさん・79歳。三島由紀夫は気さくで「皆さんと一緒に食事がしたい」と言い、家族同然の暮らしをし蛸壺漁にもでかけ、楽しそうに漁の話をこまつさんにし神島を発つ時、「小説ができあがったら、この島は全国に知られる」と、自信満々で話したそうだ。、

    寺田こまつさん・79歳。三島由紀夫は気さくで「皆さんと一緒に食事がしたい」と言い、家族同然の暮らしをし蛸壺漁にもでかけ、楽しそうに漁の話をこまつさんにし神島を発つ時、「小説ができあがったら、この島は全国に知られる」と、自信満々で話したそうだ。、

  • 三島由紀夫が滞在した部屋。三島由紀夫は、水産庁に依頼し「都会の影響を少しも受けてゐず、風光明媚で、経済的にもやや富裕な漁村」を探してもらい、神島などを紹介され万葉集の歌枕や古典文学の名どころに近い神島を選んだ。

    三島由紀夫が滞在した部屋。三島由紀夫は、水産庁に依頼し「都会の影響を少しも受けてゐず、風光明媚で、経済的にもやや富裕な漁村」を探してもらい、神島などを紹介され万葉集の歌枕や古典文学の名どころに近い神島を選んだ。

  • 三島由紀夫が滞在した部屋。

    三島由紀夫が滞在した部屋。

  • 三島由紀夫が滞在した部屋。

    三島由紀夫が滞在した部屋。

  • 三島由紀夫が滞在した部屋。

    三島由紀夫が滞在した部屋。

  • 三島由紀夫が滞在した寺田さん宅の光景。

    三島由紀夫が滞在した寺田さん宅の光景。

  • 寺田こまつさん・79歳。神島の人たちの間では初江のモデルは寺田家に嫁いできたばかりで初々しかった寺田こまつさんだろうともいわれている。

    寺田こまつさん・79歳。神島の人たちの間では初江のモデルは寺田家に嫁いできたばかりで初々しかった寺田こまつさんだろうともいわれている。

  • 三島由紀夫が滞在した寺田さん宅の光景。

    三島由紀夫が滞在した寺田さん宅の光景。

  • 三島由紀夫が滞在した寺田さん宅周辺の光景。

    三島由紀夫が滞在した寺田さん宅周辺の光景。

  • 三島由紀夫が滞在した寺田さん宅の光景。

    三島由紀夫が滞在した寺田さん宅の光景。

  • 三島由紀夫が滞在した寺田さん宅周辺の光景。

    三島由紀夫が滞在した寺田さん宅周辺の光景。

  • 三島由紀夫が滞在した寺田さん宅の光景。2階の部屋に三島由紀夫は滞在した。

    三島由紀夫が滞在した寺田さん宅の光景。2階の部屋に三島由紀夫は滞在した。

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