2011/05/16 - 2011/05/19
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モガジロウさん
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屋久島一人旅の記憶。
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 5万円 - 10万円
- 交通手段
- 船 スカイマーク 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
一日目。
まずは羽田空港午前9時の便に乗って鹿児島空港へ。
普段飛行機に乗りなれていない心配性のために出発二時間前に到着してしまい空港内で途方に暮れる。あまりに暇なので飛行機をパチリ。 -
羽田から約二時間、空の旅を楽しんで鹿児島空港に到着。
空港からリムジンバスに乗り高速船フェリーターミナルへ。鹿児島から屋久島まで行くルートは飛行機・高速船・フェリーの三つ。今回は値段と時間との折り合いを見て高速船を選ぶことにした。高速船は一言で言うと暇。シートベルトをつけて単調な海の景色を延々と眺めていた。
二時間半後。ようやく屋久島に到着。
頭の中で日本地図を思い描き、あの屋久島に俺は立ってるんだと想像するとテンションがグングン上がっていく。
しかし、船から下りた旅客は続々と民宿の迎えの車やあらかじめ手配していたであろうレンタカーに乗り込んで去ってしまい、気が付けばポツンと自分一人の状態へ。急に寂しさが増したところへ、雨まで降ってきた。ますます孤独感が募る。
時刻は15時ちょうど。まだ宿に行くのは早そうなんで、プラプラとお土産屋さんを見てまわり、一時間ちょい時間を潰して宿に向かう。 -
道中で見かけたパチンコ屋。
驚くべきことに屋久島にもパチンコ屋は存在していた。数ある屋久島旅行記の中でもパチンコ屋の写真を載せているのはココぐらいなもんじゃない?
なんて歩いていたら、完全に迷ってしまい宿にたどり着けなくなってしまった!住所はメモってきたが、東京のように電柱などに住所が記されていないので何も役にもたたなかった。地図も簡易な物しか持っていなかったので、途方に暮れる。あまりに寂しかったので身内に『孤独感ぱねぇ』『迷子なう』とメールを送る。
ちなみに返事は返ってこなかった。 -
旅行前になんとなく地図で確認した位置を頼りにさまよっていると。
看板ありましたー! ほっと一息。 -
今回お世話になる民宿。
緊張しながら恐る恐る玄関を開けるも誰もいない……。
部屋を見回すと、電話してくださいとの張り紙を発見。昔懐かしのダイヤル式電話で書かれた番号をかけると「はーい、ちょっとお待ちくださいね〜」と明るいおばちゃんの声が。
しばし待っていると「こんにちは〜」と一人の女性が中から現れる。聞けば昨日から泊まっているらしい宿泊客で屋久島はもう3回目らしい。確かに屋久島にそしてこの宿に慣れている感が漂っている。優しそうな人で少し安心する。
続いて玄関から宿のご主人が登場。宿を経営する夫婦は離れの家に住んでいるらしい。ようやく無事チェックイン完了。
荷物を置いて、談話室でしばしSさんとお話をしていると玄関からスーパーの袋片手に男性が訪れる。頭にパーマをかけ顎にヒゲを蓄えた自分より少し年下っぽい人。「今日からお世話になります」と挨拶するとその男性も自分と同じく今日来たばかりらしい。
Sさんが「夕食は大体みんなで作って食べるんですけどよかったらいかがですか」と聞いてくる。「それはもう喜んで」もちろん即答!GWも明けた月曜日だったので、他に宿泊客がいない場合、最悪ご飯炊いて刺身だけ買って4日間過ごす覚悟をしていたので、凄く嬉しい。もともとこういう一人旅同士で交流する場を持ちたくて、この宿を選んだので目的の一つは達成だ。 -
4日間お世話になる部屋。
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談話室。
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三人でSさんオススメの魚屋さんに向かう。
真っ先に興味が沸いたのがトビウオの刺身。まさに現地の食材だ。
店の人にトビウオを一匹さばいてもらい、他にもう一つお刺身を買って(何買ったか忘れました)お会計。なんとトビウオ一匹110円。安っ!
110円で職人さんにさばいてもらって利益が取れるんだろうかと心配になってくる。
その後、近くのスーパーで食材と酒を買い込み調理開始。
なーんて、料理がまったくできない自分は「洗い物と食器片付け係り」やります!と早々に宣言して、他の二人に作ってもらってしまった。ほんと、ありがとうございます。
作ってる最中にもう一人若い男性の宿泊客が訪れる。当然の如く「よかったらご飯一緒にどうですか?」「マジっすかありがとうございます」という流れ。 -
夕食完成!
屋久島産の三岳という焼酎込みで一人頭900円ちょい。まったく自炊万歳だ。ちなみに初日を境に夕食はどんどん品数を増して豪華になっていくことになる。
今日は屋久島三回目のSさん、パーマのTくん、最後に来たZくんと自分の4人だ。食事中はお互い初対面ということもあり、時折沈黙が流れたが、酒が進むうちに会話が弾んでいく。酒は偉大だ。気が付くとけっこうな量を空けていた。
「なんか、これ旅行初日に飲む量じゃないっすよね」
「そうだねぇ、なんかまるで最終日みたいだねぇ」
「まさに宴だね」
みたいな話をしつつ19時から始まった宴は深夜1時まで続いたのであった。 -
2日目。
今日は白谷雲水峡を巡る予定だ。
朝8時のバスに乗るために7時に起床、はい頭痛いです。ちょいと二日酔い気味です。でも一人寂しく夕飯を取るより全然いいや。
昨日最後にきたZくんは今日は違う宿に泊まるらしくお別れ。昨日の宴のためかなんとなく寂しそうな感じ?
前日に予約しておいたお弁当屋さんに弁当を取りに行ってからバスに乗る。30分山道を揺られるうちに、段々気持ち悪くなってくる。「俺ってもしかしてアホなのか?」などと自問自答しているうちに目的地に到着。
トレッキング開始だ。 -
ガシガシ登る。今日は快晴なので気温も高く汗がとめどなく流れてくる。ついでにアルコール分も抜けたのか気が付くと頭痛は消え去っていた。
素晴らしき自然の世界。幻想的な深緑の苔と時代の片鱗を感じる屋久杉。これぞまさに屋久島!という風景が続く。本当に来てよかった! -
一人で登っているが、孤独感がまったくない。すれ違う人は「こんにちは」と挨拶を交わし、少し前を登っていた若い女性二人はヤクシカを見つけると自分に教えてくれた。高そうなカメラを持ったおじさんとこの風景がいかに魅力的かを語り合い、道案内の看板を見て迷っているとカップルの女性が「大丈夫ですか」と声をかけてくれた。なんか都心では考えられない優しさと連帯感だ。
-
太鼓岩到達!
日ごろ運動なんてまったくしていないので、膝が笑いかけていた。ここまでの所要時間およそ3時間。140枚写真を撮ったので、普通に行けばもっと早くすむかも?
太鼓岩に立ち、両眼に飛び込んでくる風景。それは言葉で表すならば『圧巻』という他なかった。この先もしも死にたいぐらい辛いことがあったら、またここに来よう。そしたらまた元気が出る。そんなことを自然と感じた。
景色に見とれていると後ろから「追いつきました〜!」と声がかかる。あ、Zくんじゃないか。そういや白谷行くって言ってたっけ。二人で「これヤバイっすね」「うん本当に凄いです」なんて感動する。Zくんは昼飯を下山してから食べるということなので、先に降りてゆく。自分は太鼓岩でお弁当だ。垂涎の至福とはまさにこのこと。 -
下山して宿に帰る。なんか二日目にして平気で「ただいま〜」って言ってしまう。なんかもう自分の家のよう。宿には誰もいなく、時間も早かったのでバスに乗って温泉に向かうことにする。この汗も早く流したいしね。
着いた温泉は浴槽に五人入るのが精一杯の小さい温泉でシャンプーが置いてなく、しまった〜と愕然とする。どうも都心基準で考えがちだ。まぁいいかと、石鹸でわしゃわしゃと頭を洗う。ここでもすれ違う人には「こんにちは」とご挨拶。暖かいねぇ。
さっぱりして宿に帰るとパーマのTくんが帰っていた。
「あ、さっき新しい人が来てましたよ」「お、そうなんですか」
なんて話しているとその新たな宿泊客が訪れる。「おかえりなさい」おかえりなさい?自分で言ってなんだそりゃと思う。この民宿は何だか不思議な空間だ。新しい人は若い女性で何だか『華』という字が似合いそうな感じ?華やかってことでここでは華のAさんと呼ばせてもらうことにする。
Sさんはまだ帰ってこないので、自分とTくんとAさんで夕飯のお買い物。昨日行った魚屋に行くと今日はハマチが一匹350円。なんでしょうこの安さは……当然買い!
自分とTくんの空腹度合いが高かったからか、スーパーで思わず食材を買いすぎてしまう。ほどなくSさんが帰宅し作った結果……。
何品あるんじゃ〜。とても4人で食べる量じゃない。今宵も宴は続くのだ。今日も一人頭900円ちょい、残った食材で朝ごはんつき。もう普通の食事つきの宿に泊まれなくなっちゃうね。
新しく来たAさんを迎えて乾杯。で、料理と酒に少し手をつけたところで玄関から中年男性が入ってきて「よかったら川海老取りに行かない?」と誘ってくる。どうやら近所に住む親切なおじさんのようだ。
しかし、4人とも酒と料理に夢中なのとTくんが明日縄文杉を見るため朝が早いとの理由で丁重にお断りする。せっかくの親切を申し訳ございません。
しかし数十分後、再びおじさん登場。
「せっかくだから海老食べさせてあげる」とわざわざ川海老を持ってきて調理してくれる。香ばしい匂いに鼻腔をくすぐられ、一口パクリ。う……うまーい!なんじゃこりゃ〜と特に自分とAさんが「やめられない止まらない♪」なんて某CMのように食べ続ける。
ここでSさんが「やっぱり行っちゃう?」と提案。
四人が顔を見合わせ、明日縄文杉のTくんも「縄文は明後日でもいいしな……」なんて言い始める。はい、川海老ツアー決定しました。後から考えると海老食わせりゃ〜一発で落ちるだろうという、おじさんの狙いなのだろう。我々4人はイレグイ状態で釣られてしまったのだ。
おじさんの車に乗せられて、街灯一つない暗闇を走り抜ける。地元の人じゃないと絶対に行かないであろう道を進む。まったく屋久島は自分の想像を超えた出来事が起こる。
数回場所を変えつつ海老捕りポイントに到着。ヘッドランプの明かりを頼りに海老探し開始!初めは見つからずテンションが下がったが、一回取れ始めるとおもしろくてたまらない!海老の光る目を頼りにおじさん手製の網ですくい次々とゲットする。久々に童心に返った感じだ。さらに辺りを見渡すとたくさんの蛍の光が屋久島の夜空を幻想的に泳ぎまわっていた。
海老採りの結果、Aさんがダントツの捕獲率で『川海老を捕る為に生まれた女』という名誉ある(?)称号を受ける。 -
捕獲した海老。この後、茹でて冷凍にしておく。ちょっと残酷な感じが……。おじさんは最後に焼酎まで差し入れしてくれて帰って行った。なんという良い人、川海老師匠と呼ばせてもらいます。結局二時間以上、海老捕りに出かけてしまいこの日も夜更かしをしてしまう。Tくんは縄文杉を明後日に変更した。
-
三日目。
朝8時半起床。
今日は海老捕りに行ったおかげで縄文杉見学にいけなくなったパーマのTくんとレンタカーを借りて島内一周ドライブに出かけることに。もともと一人で周る気でいたのが、Tくんと一緒に行くことでレンタカー代も半額になるし話し相手もできるしいいことずくめだ。
なんか常に誰かと旅を共にしていて、一人旅という意識が無くなってくる。
宿のある宮之浦から反時計周りに車を走らす。島内一周で約3時間ほど。途中にある観光スポットに寄っていくので、まぁ夕方まで楽しむ予定。
今日も天気は快晴で、空は美しき群青色に染まっている。雨の多い屋久島で二日続けて快晴なんて奇跡的なのでは?
最初の目的地、志戸子ガジュマル園に到着。
前日に幻想的な白谷雲水峡を見てしまった後なので、いまいちテンション上がらず。そそくさと後にする。 -
いなか浜。
信じられないほどの透明度。そのまま海にダイブしたいぐらい。 -
灯台。
実は中に入れなくてショックを受ける。 -
大川の滝
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千尋の滝
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屋久島フルーツガーデン。
ガイドのおじさんが30分ほど時間をかけて園内を案内してくれる。ガイドには自分とTくんの他にカップルが一組。計4人で園内を周る。しかしガイドのおじさんは「今の時期はどれも一味足りなくてねぇ」「花もあまり咲いてなくてねぇ」「まぁ雰囲気だけでも味わってよ」と若干の投げやり感。おじさんが話しかけるのはカップルの若い女性客ばかり。ん〜、あえてノーコメント。
園内を見終わった後、フルーツを試食させてくれる。味についてはやはりノーコメント! -
時計を見ると13時過ぎ。そろそろ昼食を……と話していると『湯泊温泉』と書かれた看板を発見。すぐさまUターンして寄り道することに。
右が男湯、左が女湯。かなり開放的な露天風呂だ。脱衣所なのか岩陰なのかわからない場所で服を脱ぎ湯に浸かる。
先客が二人。一人は地元のおじさんでもう一人はやはり一人旅の方。もちろん両方男性で女性客はゼロ。当然のように会話を交わす。何回も言うがこの連帯感がいいね。
30分ほど湯と会話を楽しみ、昼食探しへ。ほどなく良さげな定食屋さんを見つける。駐車場が狭く止めるのに苦労していると店内から係りの人が出てきて車を誘導してくれた。
中に入り黒豚を使った料理を食す。美味しくいただいていると、先客が「ごっそさん」と外に出て行く、あれ?さっきの誘導してくれたおじさんだ。店の人じゃなくて地元のお客さんだったんだ!わざわざ食事中に外に出て車を誘導してくれるなんて。都心じゃ考えられない行動に心が暖まる。 -
ヤクスギランドへ。
樹齢千年・二千年の屋久杉を見ることができる。
千年前って……なんか想像がつかない。
時間が思ったよりも押していて、ヤクスギランドに着いたのは16時過ぎ。本当は150分コースにしたかったが、泣く泣く50分コースで我慢する。後に屋久島三回目のSさんに「このヘタレどもめ」と攻められる。だって時間的に厳しくて……。それに前日の筋肉痛が……(へタレです) -
宿に戻って夕食作り。前日の残り物も含めて、さらに品数が増える。
夕方になって新たな宿泊客がやってきた。感じの良い40代男性、医療に携わっていることから『医のNさん』と呼ぶことにする。なんでもNさんは前々日から山にテントを張って泊まっていて、最後の一泊を晴耕雨読で過ごすらしい。なので自分と華のAさん、医のNさんは揃って明日帰路に着く。今日が最後の晩餐だ。
さらに今日は招待客が一人。屋久島三回目のSさんの友人で、屋久島エコツアーガイドをやっている通称カッシーさんが遊びにきて、夕飯を食べながら屋久島の話、ガイドという職業について色々話をしてくれた。
Nさんのモンゴル旅行、カッシーさんのブルネイのジャングル冒険譚の話は時に笑い、時に驚き興奮をもたらしてくれた。滅多に聞くことができない体験談、一人旅をして良かったなと思う。複数で旅行にきてお高いホテルに泊まってたらこんなおもしろい夜は過ごせなかったのだから。
改めて振り返ると不思議だ。住所、年齢、職業、性別と全てがバラバラな6人が屋久島という地でこうして食卓を囲んで笑顔を浮かべている。話が合わないことはない、だって皆、屋久島が好きで一人旅が好きなんだから。日常生活で一人旅を好む人と出会うことは難しい。旅行は皆で行くもの、一人旅は寂しいという認識が世間一般的だ。
でも今はこんなにも一人旅を愛してやまない同士がいる。それだけで心が弾む。 -
屋久島名物カメノテ。見た目はグロテスクだが味は蟹と海老の中間といった感じで美味。
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前日に捕った川海老。一匹じゃなく、もっとたくさん皿にのせて写真に撮ればよかったと後で後悔。
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実は最後の晩餐だというのに自分だけ酒を控えていた。
この旅のクライマックスは平内海中温泉という、普段は海に沈んでいて干潮時の二時間前後しか姿を現さないという、露天温泉に入ると決めていた。まさに秘湯と呼ぶにふさわしい。
今日の干潮の時間は夜0時20分、もちろん事前に調査済み。その温泉は宿から車で60分前後かかるので、23時半ごろに宴を後にする。パーマのT君と華のAさんも一緒に行くということで、一緒に車に乗り込んでいざ出発!
あれ?そういえばTくんは明日縄文杉見学で朝三時半起きなんじゃない?
「いやー、こんな楽しそうなイベント外せないですよ」
ですよね〜。
などと会話をしつつ平内海中温泉に到着。
ガイドのカッシーさんから真っ暗闇で滑りやすいから十分気をつけてねとアドバイスを受けたので、それぞれヘッドランプや懐中電灯を持って車を降りる。街灯なんてあるわけもなく、辺りは闇に包まれていた……と思いきや、月明かりで、そこそこの視界が利いていた。
ちなみに温泉は男女湯の区別は無く、水着は不可。でもバスタオル巻いて入浴はOK。衛生的には水着の方がいいのでは?と疑問を感じるが、まぁあくまでも温泉だということなのだろう。
脱衣所なんてあるわけがないので、適当な所で服を脱ぐ。
Aさんに「決して後ろを振り向かないように」と釘を刺される。
これは芸人が池の前で「いいか押すなよ!絶対に押すなよ!!!」というような『振り』だと解釈して、覗こうかと思ったが帰りの車のきまずさを考えると、とても実行に移せない。こんな時に空気を一変させる社交性があったらなぁと悔しく思う(そういう問題ではない)
手早く服を脱ぎ捨て温泉に入ると先客が二人。また当然のように「こんばんはー」と話し込む。どうやら二人とも一人旅らしい、屋久島は本当に一人旅の旅行者が多い。
先客の一人が「今日は月が満月でめっちゃキレイですよ!」と言うので、見上げてみると、それはもう見事な満月が浮かんでいた。
真円を描く月、空に散りばめられた星々、周りは海に囲まれ遠くに聞こえる波の音色、肌と心が暖まる湯の傍らには、一人旅を愛する同士達、月明かりに照らされた美しい女性(たとえバスタオルでがっちり体を巻いていても混浴は男のロマンということで……)
断言できるが、この世の中にこれ以上の露天風呂は存在しないだろう。生涯記憶に残ることは間違いない。
会話を交わしてる中、一人がこんなことを言う。
「俺さ、こうして微妙な知り合いになるのが好きなんだよね」
後から連絡を取り合うことが無くとも、こうして旅先で知り合って感動を共有する。それが好きなんだ。そんなことを言っていた。なるほどと思う。確かにこんな関係も凄くいい。一人旅というのは自分と向き合う旅と同時に様々な出会いの旅なんだ。
こうして延々と二時間半から三時間、温泉に入り続け、後ろ髪が引かれる思いで帰路についた。
宿に着くと朝四時近くになっていた。結局Tくんは縄文杉見学を諦めて、桜島に泊まることにしたらしい。これで今回の旅の全工程は終了した。あとは帰るだけだ。皆との別れの時が近づく。 -
最終日。
朝8時起床。
談話室に行くとSさんが鯖の炊き込みご飯を作ってくれていたので、朝食としていただく。死ぬほどうまい!と口に運んでいると医のNさんが「お世話になりました」と出ていった。昨夜しか話せなかったけど、もっと色々な話を聞きたかったな。
華のAさんは15時の飛行機に乗るらしく、時間までレンタカーを借りて島内一周するらしい。8時半ごろに車を取りに出て行った。
自分とパーマのTくんは10時45分発の高速船なので、一緒に帰ることにする。屋久島三回目のSさんは、もう一泊。一気に人が減ってしまうので寂しそうだ。
9時を少し回り、前日に借りたレンタカーを返さなければならないので、そろそろ宿を後にする。Sさんと別れのご挨拶をする。
「初めての一人旅はどうだった?」
はい、最高でした。宿のこと、屋久島のこと色々教えてもらって本当にありがとう。
「じゃあ、またね」
「はい、また」
涙が浮かぶなんてことはないけれど、胸の真ん中に寂しさが積もっていく。 -
帰りの高速船に乗っていると桜島が突然噴火。ものめずらしさから思わずパチリ。
屋久島を離れ、あっという間に鹿児島に到着。かかる時間は同じなのに帰りはとても早く感じた。ここでパーマのTくんとお別れ。同じ日に屋久島に着いて、島内一周して、以外な所で共通点があったりして、本当に出会えてよかった。
「じゃあここで」
「はい、桜島も楽しんでくださいね」
「はい、それじゃまた」
「うん、また」
こうしてTくんと別れ、久々に一人になったなぁと実感する。
ここから鹿児島空港に向かうのだが、飛行機の時間まで移動距離を考えても三時間は空きがある。市内を観光しようと計画を立てていたのだが、思ったよりも見る所がなく、時間を持て余してしまった。
仕方ないのでお昼ご飯を食べてから、早めに空港に向かうことにする。行きの羽田と同じく出発二時間前に着いてしまい、空港内をブラブラしてると。
「○○クン!」
とこちらに向かって手を振る女性が。Aさんだ!屋久島から飛行機で到着したばかりなのだろう。思いがけない再会、まったくこの旅は最後まで驚かせてくれる。飛行機は違う便だがAさんも一時間ほど時間があるようなので、空港内にある足湯に入りながら、お互いに撮った写真を見せ合い旅の思い出を語る。
時間はあっという間に過ぎて、Aさんは搭乗ゲートへ。せっかくなので自分も搭乗ゲートまで見送ることに。
「送ってくれてありがとう」
「うん、気をつけて」
「またな」
「うん、また」
今回、殆どの人が別れる時に『またね』という言葉を使う。
旅で出会った人達のお互いの連絡先は交換していない、住んでる場所もバラバラ。家に帰り日常に戻ればそれぞれの世界へと収まっていく。今後、偶然顔を合わせるなんて確率は絶望的に低いだろう。
それでも。いつか、再会できる時を信じて。
会えた時は互いに笑顔を浮かべて喜べるように。
『またね』
と言って別れるのだろう。自分勝手にそう解釈した。 -
こうして32歳にして初めての一人旅は終わりを告げた。旅を終えて、自分自身少しだけ成長したような気がするが、実のところ何も変わっていないのかもしれない。でもまぁ、それでいいと思う。確かなことはただ一つ、とても楽しかった!!という想い。それだけで今回の旅は十分満足だ。
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