美を呼吸する旅♪ウィーン・ザルツブルグ・ミュンヘン　ミュンヘン3日目

2011/03/31 - 2011/04/01

いよいよミュンヘンから離れる日がやってきました。

きょうは、ドイツで一番最初にできたナチス・ドイツのダッハウ強制収容所へ行きました。「アンネの日記」を書いたアンネ・フランクがはじめに入っていた場所だそうです。中央駅からSバーンで20分です。

写真は強制収容所の入り口です。この門のむこうの荒涼とした景色は今思い出しても寒いです。

エリア ミュンヘン(ドイツ)

• 旅行の満足度: 5.0

• 交通手段: 鉄道

郊外の町、ダッハウに8時過ぎに着きました。ここからバスに乗ります。

収容所前のバス停でおりました。一緒に中学生くらいの子どもたちも降りました。

子ども達の数がどんどん増えていきます。先生たちも。なかには、タクシーに分乗してやってくる子どもも。親が車で送ってくる子もいます。

ドイツで驚くのは、このような歴史を子どもたちにキチンと教えようという姿勢です。ふりかえって、日本はどうでしょうか？

収容所の内部を案内する立看板です。私たちが、どこに行けばいいのか、とまどっていると「困っておられますか？」と声をかけて下さり、収容所の場所を教えてくれた方がいました。

ここは、アメリカ軍が解放したため、アメリカ人の見学者も多いそうです。

「規則を守りよく働く者は、自由を得られるであろう」という欺瞞的な言葉が門に書かれているそうです。

ダッハウ収容所は、1933年3月22日に運営が開始されました。元々は、ユダヤ人を収容する施設ではなく、政治犯や宗教者などナチスに反対するものが入れられていたそうです。

第二次世界大戦が始まるや、無差別にユダヤ人が収容されるようになりました。

戦局が悪化するとダッハウの状況はどんどん悪化していきました。

連合国軍がドイツに迫ると、ドイツ軍は囚人の解放を防ごうと内地の収容所に運んだからです。食事・水が殆どない状態で、移送されたため、囚人は消耗して衰弱し、半死半生の身となり、チフスの蔓延も起こりました。

1944年末から解放までの間に15000人が亡くなったのですが、そのうち半数はこのダッハウだったというのです。いかに、劣悪な環境であったのか、推察されます。

1945年4月29日、アメリカ軍によって解放されました。

あまりにも大きな犠牲を払っての解放！それまでに亡くなった多くの命のことを考えるとたまりません。

全部で３０以上の国々から20万人がダッハウに送り込まれ、そのうちの3分の1近くがユダヤ人だったそうです。ここで32099人が亡くなったとされています。

監視塔です。すべてが鉄縄網で囲われています。アウシュビッツ収容所などの他の収容所もダッハウをモデルにしたといわれています。

ミュンヘン中央駅に戻った時は、その色がカラフルなのに驚きました。

収容所は、全く色のない世界だった気がします。

この世界を知ることは、とても大切です。人類はこういうこともすることがあるという恐ろしい思いをしました。

私が一番好きな映画「ライフ　イズ　ビューティフル」は、強制収容所に入った父子の物語です。

父は、「ここはサバイバルゲームをするところだよ。勝ったら、戦車に乗れるんだ」と息子に言います。父は殺される最後まで道化をして息子に不安感を与えないように気を使います。そして、パパを探す息子の前に現れたのは、ＵＳＡの戦車で、兵隊が息子を抱き上げ戦車に乗せました。息子はサバイバルゲームに勝ったと大喜びするのです。

大人になった息子は、どんな思いでこの父を思い出すことでしょう。私は、こんな父のような生き方をしたいと思ったものです。この強制収容所はあの映画に描かれていたのと同じでした。この場所で、人の心の美が発揮されたことに感動しました。

こうして今回の旅は終わりました。最後に

ミュンヘン中央駅前の立看板です。FUKUSHIMA　の文字が重く響きます。ドイツでは、原子力発電に反対するグリーン党が勝ち、新聞の一面にメルケル首相が空を仰いでいる写真が載っていました。

立看板には、『フクシマは警告する★全ての原発を閉鎖せよ！』

と書かれてあったそうです。（私は読めません（＾＾；友人に教えてもらいました）

私たちが歴史を作っているとしたら、今、大きな転機を迎えていることは確かでしょう。