アドリア海へ【09】「独立」の重さを教えてくれたスロベニア旅行

2010/08/09 - 2010/08/09

2010年8月9日（月）

ピランの、深い谷底のような路地をさまよい歩きながら、すっかりアドリア海の旅情に酔った私は、街の広場に近づくに従い、明るい日差しと共に、徐々に現実に戻る感じがする。

降り注ぐ夏の太陽のもと、露店では果物が売られ、観光客向けの土産物店もある。

人の気配のなかった路地とは異なり、広場には明るい市民たちの笑顔や、観光にやって来た娘さんたちの弾けるような声に満ちている。


海岸をしばらく戻って、駐車してあったバスに乗り、この旅の最後の宿泊地となるトリエステに向かう。

左手に再びイゾラの古い街並みを眺めながら、考えた。

今回のスロベニア訪問で得たものがあるとすれば、何だったのだろうか？


首都リュブリャナにたった二泊しただけの短い旅だったが、列車のコンパートメントや街で、何人かのスロベニア人と出会った。

幾つかの、歴史を語るモニュメントも、訪ねることが出来た。

そうした体験から蒸留されてくるエッセンスは、彼らの独立を求める執念ではなかったろうか？


彼らから発せられるのは、「民族の独立がいかに価値のあるものか」の、メッセージと思う。

振り返って我が国を思えば、我々は「独立」を、いかに粗末にしているだろうか？

民族の独立の価値、独立に向かっての執念。

スロベニアは、そう言った大きなものを教えてくれたようだ。


（片瀬貴文　2011.2.5）

エリア ピラン(スロベニア)

• 旅行の満足度: 3.0
• 観光: 3.5

いよいよトリエステに入った
アドリア海に面した大通りに
ビルが整然と並んでいる

これはトリエステ港の税関だったのだろう

丘から入道雲が湧き
青空に街路灯のシャンデリアが聳える
南国の夏らしい
解放感が溢れている
トリエステ海岸