2010/06/24 - 2010/06/24
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4nobuさん
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リヴァプールのウォーカー美術館は北イングランドで最も大きな美術館であることは知っていて、ついでに寄ろうと考えていましたが訪問してその素晴らしさに接したことは(好みによりますが)私にとってリヴァプール訪問の一番の「望外の喜び」でした。
つまりフランドル絵画の素晴らしい収集を見れたこともですが、むしろロンドンのナショナルギャラリーとテートギャラリー以外でこれだけ英国絵画の珠玉を見れたことは予想外でした。
この美術館がRoscoeコレクションを引き取ったのが1816年でそれにRoscoe自身の収集の月日を入れると優に200年を超える歴史です。収集の質にもその歴史がうかがえます。そこらのちょっとした美術館とは規模も質も大きく違うことを実感しました。
そのほかにこの美術館で好ましく思ったことを書いてみますと
・写真を撮ることができました。最近は許可する所がかなり増えていますがメモ代わりに助かります。
・作品毎にかなり詳しい解説がついていて理解と勉強の助けになりました。
・ホームぺージが充実していてさらに深い理解の助けになりました。
これまで見た美術館のホームページではAクラスではないでしょうか。アツファベットや時代毎の検索のできる解説が充実しています。これをここに来る前に見てればよかったのにとおもいましたが、知ったのは後で、作品の良さを知らずに通り過ぎたのもあるのが残念です。
またホームページには博物館推薦のベストテンとして次のものが挙げられています。
1.ポーランドの琥珀製のキャビネット (1700)
2.レンブラント:若者(実は自画像) (1630)
3.ダビッド・ホックニー:ニックのプールから出るピーター (1966)
テートにも作品がある著名な英国ポップアート画家 同性愛の相手を描く
4.エル・コレ・デ・ロベルティ:ピエタ (1495)イタリア・フェラーラ派
5.モネ:セーヌ河の解氷(1892-93)
6.プッサン:アテネの将軍フォーションの遺灰収集 (1648)
7.ロセッティ:ダンテの夢 (1871)
8.ターナー: リンスゴー宮殿
9.ジョン・ギブソン:淡色のヴィーナス (1851-56)
10.フェデリック・ライトン:荒野のエリヤ(BC1900のヘブライの預言者)英・ビクトリア朝の画家
私設ギャラリー風に自分なりに気に入った作品を、それについていた解説に少しだけ自分なりのコメントを入れて並べてみました。
好みの画家とせっかくイギリス画家のコレクションを見にきたのですからそれらの中から選びました。
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ウォーレス美術館(ウォーレス・アート・ギャラリー)はリバプールメイン駅(ライムストリート駅)前の広場の右(北)にある建物で、1877年にオープンしました。
ビール会社を経営し市の参事会会員のA.B.Walkerがこのギャラリーの建物をを寄贈したので彼の名前がついています。彼は絵画のパトロンでもコレクターでもありませんでした。
この美術館に関係するお話でW.Roscoeのコレクションがあります。
彼は弁護士、政治家、慈善家として有名で、また初期のイタリアとオランダ美術のコレクターのパイオニアでもありました。
彼の銀行が破産してコレクションを手放さねばならなくなった時に散逸を惜しんで友人たちのLiverpoolRoyalInstituteが買い取り、Instituteの隣に作った美術館で公開しました。
このコレクションはやがて1948年ウォーレス美術館に寄贈されてこの美術館の貴重な所蔵品となりました。 -
館内の様子ということであまり雰囲気を写してはいませんが唯一の写真です。
記憶が定かでないのですがラファエル前派の部屋でしょう。左端の絵がミレースの「イザベラ」ですので。 -
ヘンドリック・コルネリッツ・ファン・フリート 「デルフト新教会内部・沈黙王ヴィレム(ウイリアム)の墓標と共に」
どこかで見た絵だと調べたらデン・ハーグのマウリッツハウスにあるホウクヘーストによる「デルフトのオラニエ公ウィレム霊廟」がそっくり。
沈黙王ヴィレムはスペインからの独立戦争のヒーローでその墓はこの国の聖地でもあります。それゆえに多くの画家が描いています。
霊廟は柱の奥に見えますが、柱につけられたひし形の墓石(板)は最近なくなった人の家紋でしょうか。この板は前記のホウクヘーストの絵にはありません。
デルフトの新教会の訪問記は
http://4travel.jp/traveler/4nobu/album/10202157
にあります。
17世紀初めのオランダ画家 -
レンブラント 「少年時代の時代の自画像」
生涯に多くの自画像を描いており(55点)各地で見ることができます。特に少年時代にはこのテーマで沢山描いたそうです(私にとっては珍しいのですが)。
ペイントの扱い方、光の効果、顔の表情、衣装などいろんなテクニックを実験したからだそうです。ここでは光をソフトに、目と口元の影にミステリー風に仕上げています。
英国に入ってきたレンブラントの絵では早い時期のものでチャールズ1世が購入しました。1633年の作品で秀作と言われています。
17世紀初めのオランダ画家 -
ムリーリョ 「栄光の聖母子」
セビリアの大司教アムブローシオ・イグナシオ・スピノーラの求めで大きな祭壇画を描き始めた時の油絵習作です。
しかしこれをもとにした祭壇画には聖母の肩のキリストはなく聖母のあたまに光背をつけています。
17世紀後半のセビーリヤに画家 -
エル・グレコ(ドメニコ・テオトコプロス)「福音書記者 聖ヤコブ」
キリストと12使徒シリーズの一つとして描かれたものです。エル・グレコはその独特性と超自然的、誇張したプロポーション、ブラッシさばき、不調和な色などの特徴を持った宗教画家として有名です。
この聖者の強烈な内省のイメージはおそらく修道院の聖具保管室のために描かれたからだといわれています。
17世紀の初めに描かれて、マドリード郊外のグワーダーラハーラの教区教会に架かっていました。ギリシャ語での名のD.Tのサインがあります。
通称エル・グレコ(ギリシャ人)と言われていましたが本土でなくクレタ島出身です。 -
クラナッハ 「泉の妖精」(1534
この画はニンフの彫像に守られたローマの泉に書かれた中世の文に由来しています。
しかしクラナッハは古代ローマの彫像の理想化したヌードの代わりに彼独特の現在らしい生々しい像に代えているところが魅力なのでしょう。
ラテン語の碑文には「私は休んでいるので眠りを乱さないで」
この画では半開きの目で魅了するように微笑している。
16世紀初期のドイツ人画家 -
英国画派 「サー・ジョージ・デルヴィスとその妻?」
ヘルメットに刺さった旗からこの人はデルヴィル一家おそらくはサー・ジョージ・デルヴィスで横の婦人はおそらく最初の妻のクリスティアナ・フィッツウイリアムでくすんだ衣装で顔はヒメツルニチニチ草(花言葉:愛)の小枝で隠されています。妻の死と失った愛の形見?。
放棄した武具と壊れた槍から彼が軍を辞めて宮廷生活に入ることを暗示しています。 -
ハンス・ホルバイン「ヘンリー8世のポートレート」
英国君主政治史上で明確な人格と成果の王ですが、一般には6人の妃を持ったこととローマカソリック教会から英国国教会を分離したことのほうがよく知られています。
ホルバインはドイツの偉大な肖像画家でその大半をイングランドの富豪や王族の仕事に費やしました。
この画の注文ではホワイトチャペル宮廷の壁に掛ける王と王妃セイモア、ヘンリー7世、エリザベス(ヨークの)が並んでいるものでした。この壁は17世紀の火事で消失し、模写が各地に散在しました。例えばセイモアの絵はウィーン美術史美術館に。
ヘンリー8世の肖像画は今回のイングランドの旅でも各地で見ましたが王の姿はパワーと権威に満ちていますね。 -
ジャン・クルーエ「ナヴァルのマルグリット」
フランス・フランソワ1世の姉でシャルル4世と結婚、その死後ナヴァル王エンリケ2世の王妃になりました。フランス・ルネッサンス期の文芸の庇護者で、また宗教改革では好意的な姿勢をとったことでも知られています。
この絵はフランソワ1世の宮廷画家(日本ではあまり知られていませんが有名な)ジャン・クーリエにより描かれておりますが、彼は(ルーブル美術館にある)フランソワ1世の肖像画も同じ背景で描いています。
ペンダントのキューピットからこの絵はナヴァル王との結婚を祝ったものといわれています。
ウォーカー美術館所蔵の主要なコレクションを蒐集した(前述の)Roscoeはこの作品をダヴィンチが描いたフローレンスの女と考えました。その根拠は
・ダヴィンチのモナリザと共通する謎めいた微笑
・これが描かれた時期にダヴィンチもフランソワ1世に招聘されて滞在した
しかし独)パサヴァントによってモデルはマルグリットで、英)ウィンスタンレーによって作者はクルーエであることが同定されました。 -
ニコラス・ジラード?「クイーン・エリザベス1世」
1558から1603年までイングランドの女王であったエリザベス1世に似ているので有名なポートレートで、そのエリザベス時代ははシェークスピア、クリストファー、マーロウなどの脚本によるドラマの最盛期でした。またフランシスコ・ドレイクなどによる世界探検の成功の時代でもありました。これらは女王の積極的な後援のたまものです。
この像の胸にあるペンダントから「ペリカンのポートレート」として知られています。クリスチャンの自己犠牲の伝統的な象徴ですが、ここでは同時に女王の主題である国家への忠実を象徴しています。 -
ルッカの画派「聖母子と聖者たち」
この祭壇画は王座の聖母子の周りを聖者が取り囲む構図です。
聖ニコラウスが左端に、そして聖母の両側の聖セバスチァンと聖ロクス(ペストに効く)は祈りと疾病の防御の姿勢をしていることからたぶん疾病の発生に関係したものと考えられています。右端の聖マーティンはルッカの守護神です。 -
ロゼッティ「ダンテの夢」
ロゼッティは生涯ダンテに関心を持ち続けましたが、この絵はダンテの神曲に次ぐ有名な詩「新生」のエピソードの夭折したベアトリーチェをテーマにしています。
つまりダンテの夢に出てくる死の床に横たわるベアトリーチェを描いたものです。
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