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バンガロール滞在中にデリーを訪れたのは3月6日。バンガロールよりも暑い、と言われていたが耐えられないほどではなかった。デリーはインドの商業・工業・政治の中心地。古くは現在のオールドデリーだけの町であったが、イギリス統治下の新しい首府としてニューデリーが建設された。イギリスの設計と建設による新都市部分をニューデリーと呼び、ここに連邦の首都機能がある。現在人口約1,100万人。ムンバイに次ぐインド第2の人口を持つデリーの街並みと、この街が擁する2つの世界遺産クトゥブ・ミナールとフマユーン廟について備忘録代わりに書き留めておこうと思う。<br /><br />12世紀にこの町の基礎が築かれたが、12世紀末にはクトゥブ・ミナール(ユネスコ世界遺産として現存)の建設者アイバクの率いるイスラム教徒が征服、デリー・スルタン朝の首都となって発展した。しかし14世紀後半にモンゴル帝国のティムールが侵入、デリーは征服、破壊され、ムガル帝国を創設したバーブルはデリー南方にあるアーグラに首都を建設した。その後は首都は二転三転し、息子フマーユンはデリーへ、その息子アクバルはアーグラへ、アクバルの孫シャー・ジャハーンは再びデリーに遷都し、その中心にラール・キラーを建設、彼により現在のデリーの基礎が築かれた。なおユネスコ世界遺産に登録されたフマユーン廟はデリーに現存する。<br /><br />その後デリーは1771年頃マラータ王国の勢力下にはいり、1803年にはマラータ戦争の結果イギリスが支配権を獲得、1858年ムガール帝国は滅亡し、デリーは1912年からイギリス領インド帝国の暫定的な首都となった。1911年ジョージ5世によってカルカッタからデリーへの遷都が発表され、ただちに新帝都計画委員会が組織され、イギリス主導の新帝都基本計画が始まった。ニュー・デリーの建築様式について、従来の植民都市同様ヨーロッパの古典主義か、インド伝統の歴史的様式か、あるいはその折衷様式か等々の論争が起きた。<br /><br />ニュー・デリーの計画者たちは当初はパリの「シャンゼリゼ」を理想としており、凱旋門に代わるインド門を中心にラージ・パト通りを建設した。ただしデリーでは政治機能に特化しており、「シャンゼリゼ」を構成するに充分な量の建築を建てられなかったため、やむをえず「郊外」モデル(ル・コルビュジェらモダニストが主導)を採用した。緑に包まれ、道路から独立して建つ建築が点在する郊外の空間は、シャンゼリゼのように建築群が並ぶ従来の都市空間とは対立する形態を持つ。ニュー・デリーの街並みには「シャンゼリゼ」への憧憬と「郊外」モデルの新しい取組み、という矛盾が共存する。<br /><br />ユネスコ世界遺産ではないが、デリーでもうひとつ見逃せないスポットがある。それはインド独立の父、ガンディーの墓所、ラージ・ガートである。彼はイギリスからの独立を1947年実現したが、その後イスラム教徒との対立が激化し、その対応が弱腰であるとする極右の青年にピストルで暗殺された。彼の遺体が火葬された場所に黒い大理石が安置され、常時火が灯されている。

インドの世界遺産No.1 & 2:象が歩む首都デリーのクトゥブ・ミナールとフマユーン廟(改訂版)

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2010/03/06 - 2010/03/07

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ハンク

ハンクさん

バンガロール滞在中にデリーを訪れたのは3月6日。バンガロールよりも暑い、と言われていたが耐えられないほどではなかった。デリーはインドの商業・工業・政治の中心地。古くは現在のオールドデリーだけの町であったが、イギリス統治下の新しい首府としてニューデリーが建設された。イギリスの設計と建設による新都市部分をニューデリーと呼び、ここに連邦の首都機能がある。現在人口約1,100万人。ムンバイに次ぐインド第2の人口を持つデリーの街並みと、この街が擁する2つの世界遺産クトゥブ・ミナールとフマユーン廟について備忘録代わりに書き留めておこうと思う。

12世紀にこの町の基礎が築かれたが、12世紀末にはクトゥブ・ミナール(ユネスコ世界遺産として現存)の建設者アイバクの率いるイスラム教徒が征服、デリー・スルタン朝の首都となって発展した。しかし14世紀後半にモンゴル帝国のティムールが侵入、デリーは征服、破壊され、ムガル帝国を創設したバーブルはデリー南方にあるアーグラに首都を建設した。その後は首都は二転三転し、息子フマーユンはデリーへ、その息子アクバルはアーグラへ、アクバルの孫シャー・ジャハーンは再びデリーに遷都し、その中心にラール・キラーを建設、彼により現在のデリーの基礎が築かれた。なおユネスコ世界遺産に登録されたフマユーン廟はデリーに現存する。

その後デリーは1771年頃マラータ王国の勢力下にはいり、1803年にはマラータ戦争の結果イギリスが支配権を獲得、1858年ムガール帝国は滅亡し、デリーは1912年からイギリス領インド帝国の暫定的な首都となった。1911年ジョージ5世によってカルカッタからデリーへの遷都が発表され、ただちに新帝都計画委員会が組織され、イギリス主導の新帝都基本計画が始まった。ニュー・デリーの建築様式について、従来の植民都市同様ヨーロッパの古典主義か、インド伝統の歴史的様式か、あるいはその折衷様式か等々の論争が起きた。

ニュー・デリーの計画者たちは当初はパリの「シャンゼリゼ」を理想としており、凱旋門に代わるインド門を中心にラージ・パト通りを建設した。ただしデリーでは政治機能に特化しており、「シャンゼリゼ」を構成するに充分な量の建築を建てられなかったため、やむをえず「郊外」モデル(ル・コルビュジェらモダニストが主導)を採用した。緑に包まれ、道路から独立して建つ建築が点在する郊外の空間は、シャンゼリゼのように建築群が並ぶ従来の都市空間とは対立する形態を持つ。ニュー・デリーの街並みには「シャンゼリゼ」への憧憬と「郊外」モデルの新しい取組み、という矛盾が共存する。

ユネスコ世界遺産ではないが、デリーでもうひとつ見逃せないスポットがある。それはインド独立の父、ガンディーの墓所、ラージ・ガートである。彼はイギリスからの独立を1947年実現したが、その後イスラム教徒との対立が激化し、その対応が弱腰であるとする極右の青年にピストルで暗殺された。彼の遺体が火葬された場所に黒い大理石が安置され、常時火が灯されている。

旅行の満足度
3.5
観光
3.5
ホテル
4.0
グルメ
3.5
同行者
友人
一人あたり費用
5万円 - 10万円
交通手段
タクシー 飛行機
航空会社
ジェットエアウェイズ (運航停止)
旅行の手配内容
個別手配

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  • 象が歩むデリーの目抜き通り

    イチオシ

    象が歩むデリーの目抜き通り

  • ユネスコ世界遺産のクトゥプ・ミーナールの塔

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  • ユネスコ世界遺産のクトゥプ・ミーナールの塔

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  • ローマの遺跡を思わせるクトゥプ・ミーナールの遺跡

    ローマの遺跡を思わせるクトゥプ・ミーナールの遺跡

  • クトゥプ・ミーナールの遺跡

    クトゥプ・ミーナールの遺跡

  • ユネスコ世界遺産のクトゥプ・ミーナールの鉄柱、4世紀に造られたが、純度ほぼ100%のため未だに錆びていない

    ユネスコ世界遺産のクトゥプ・ミーナールの鉄柱、4世紀に造られたが、純度ほぼ100%のため未だに錆びていない

  • イスラム建築に使われた破壊されたヒンドゥー建築の名残り

    イスラム建築に使われた破壊されたヒンドゥー建築の名残り

  • フマユーン廟、タージ・マハールの原型

    フマユーン廟、タージ・マハールの原型

  • フマユーン廟の近景、タージ・マハールに影響を与えた

    フマユーン廟の近景、タージ・マハールに影響を与えた

  • イスラム風の墓所

    イスラム風の墓所

  • インド門、明らかにパリの凱旋門の影響

    イチオシ

    インド門、明らかにパリの凱旋門の影響

  • シャンゼリゼならぬラージ・パト通り

    シャンゼリゼならぬラージ・パト通り

  • ラージ・パト通りの反対の終点は大統領官邸

    ラージ・パト通りの反対の終点は大統領官邸

  • 大統領官邸、厳重な警備

    大統領官邸、厳重な警備

  • デリーの政府庁舎

    デリーの政府庁舎

  • デリーの政府庁舎

    デリーの政府庁舎

  • マハトマ・ガンディーの墓所、ラージ・ガートの遠景

    マハトマ・ガンディーの墓所、ラージ・ガートの遠景

  • マハトマ・ガンディーの墓所、ラージ・ガート

    マハトマ・ガンディーの墓所、ラージ・ガート

  • マハトマ・ガンディーの墓所、ラージ・ガート

    マハトマ・ガンディーの墓所、ラージ・ガート

  • ラージ・ガートにあるマハトマ・ガンディーの像

    ラージ・ガートにあるマハトマ・ガンディーの像

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