2011/02/05 - 2011/02/05
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さんしぇさん
2月5日(土)
本日のメニュー
・セーヴル陶磁器美術館
・シャトレ座コンサート
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旅も折り返し。
-
実は今日はBIOマルシェをつもりして、何の疑いも
なく、ラスパイユ近くでバスを降りました。
ところが、土曜日はやってないんですね。
何ともうっかりした話で、しょうがなしにぶらぶらと
エルメ辺りへ立ち寄っておやつでも仕入れる事に
しました。
画像1枚撮ってしまってから尋ねたら、撮影禁止
なんですって、なのでこれ盗撮です。
良い子は真似しないでね。 -
実は、私はエルメファン。
エルメ氏は天才です。 -
バス停までの途中で思い立って、リュクサンブール
公園に立ち寄りました。 -
ここは、マラソンランナーのメッカ。
皇居のお堀端みたいなもんですかね。
仏人は頑張ってスポーツやらない人々
らしいのですが、ここにはその仏人の
マイノリティが集結しているかのよう。 -
レースのようなトピアリーのここは。
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メディチの泉。
リュクサンブール宮殿と呼ばれていた頃の主が、マリー・
メディシス(メディチ)。
ブルボン朝始祖の夫、アンリ4世暗殺(先ごろ紛失した
頭部が見つかりました。)の後、当時の住まいルーヴル
宮から、傷心の余り移り住んだのがこのリュクサンブール。
故郷のフィレンツェ、メディチ家の居城に模して庭内を
改築し、この泉は王妃にとってお里を偲ぶシンボルの
ような場所(当時の場から移転されたそうですが。)
でもあったのでしょう。
さて、部屋でお昼をした後は、今夕シャトレ座でコン
サートがあるまでを少しだけ郊外に足を向けることにしましょう。 -
メトロ9号線で西に向かい、終点ポン(橋)・デュ・
セーヴルで降りると、目の前は文字通りセーヴル橋。
セーヌの向こうには美術館が威容を誇っています。 -
パリ市を後に、橋を渡ればそこはセーヴル市。
セーヴル橋西詰には何やら由緒ありげな建物、
この下を回りこむとトラム・セーヴル駅です。
河畔に向って道なりにゆるゆると降りて行きます。 -
迷う事無くやってきたここが、セーヴル美術館。
正式名称、国立陶磁器美術館です。
かのセーヴル焼きの製陶所も付属していますが
美術館は、国立の名に相応しく、セーヴルに
留まらず国内はもとより、世界の陶磁器が一堂に
会して盛りだくさんとか。 -
程なく正門、迎えるはベルナール・パリシー像。
ルネサンス期の陶工であり、地質、鉱物学、博物学、
造園など幅広い知識でもって仏陶磁を発展させたお方です。 -
セーヴルの大壺に睥睨されつつ入場。
入れば、ムッシュがどうぞと展示室へ促してくださる。
どう言った理由かは今一つ聞き取れなかったのですが
(シンポジウムがどうとか。)本日はありがたくも
無料見学、本来明日の第1日曜日の筈なのですが、
変更になった模様です -
セラミックと総称されるフランスの陶磁器を調べた
ところ、4つに分類される、と。
(文字化けしますので、仏語アクセントは外しました。)
★「ポトリー(poterie)」陶器。
陶器には古代ギリシアの流れを汲むお馴染の土器の
ようなテラコッタ、そして先ほどのパリシーが発展
開発したとされる、釉薬を掛けた施釉陶器を含みます。
★「ポースレーヌ(porcelaine)」磁器
カオリンを原料とします。
★「グレ(gres)」せっ器(火扁に石)砂岩を加工。
★「ファイアンス(faience)」粘土を加工。
手元の画像でご紹介していきますが、あいにくせっ器
グレだけは画像がありません。
撮影した中で石の風合いを模したものですと、ご覧の
ティーカップとソーサー。
景徳鎮窯が晩年同じく陶器でもって石、漆や
皮など材質を似せた陶器を生み出す事をしましたが、
技が高度になると、洋の東西を問わず、同様な
習作をするものなんでしょうか。
しかしせっ器、火扁に石とは上手い字を充てると思います。 -
ポトリーの内、施釉陶器らしいものは幾つも。
「眠れる子供の頭部」 -
「兜の群れ」
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「“田舎風陶法”による大皿」
ルーヴルには先ほどのパリシー作と伝わる同形の皿が
あるので、ルーヴルサイトの説明をお借りしますと。
“16世紀以降のフランスで制作された透明釉陶器で
表面は、自然を忠実に真似ようとしてかたどられた
小動物、貝殻、植物の浮彫りが巧みに配置され、
賑やかに飾られている。”
つまり、こういった装飾モチーフの完成者と
みなされるのがパリシーだそうで、ここセーヴル
美術館には弟子の手になるものか、同種が何枚も
展示されています。
ある種、陶芸技術のデモンストレーションの意味も
あるのでしょうが、それにしても上手くできてるだけに
気持悪さもひとしお・・。 -
心休まるものを。
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キャセロール。
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「茄子花瓶」
これは磁器のコーナーでしたが、どこか陶器の
そしてせっ器をすら思わせます。 -
ファイアンスは、他国の古いものが幾つか。
愛らしさ一杯なトルコタイル、12世紀。 -
16世紀に下れば更に緻密に。
-
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同じ16世紀のこちらは仏ルーアン。
俄然風合いがヨーロピアンです。 -
伊16世紀。
不思議に悲壮感の無い聖セバスチャン。
マヨリカ(マジョリカ)焼ぽいのですが、残念、
はっきりそうは書いてありませんでした。 -
お一ついかが?
な、蝋燭立て、仏ヌヴェール17世紀。
この時代の人の遊び心が迫ります。 -
そして残るはセーヴルを代弁するかの磁器群。
19世紀 アール・ヌーヴォの香り。 -
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対のようなボールも。
人気のあった図柄なのかもしれません。 -
淡い色遣い、たおやかな筆致に和を感じます。
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最後に心捉えた幾つかを。
ジノリ 伊トスカーナ18世紀半ば -
こちらもジノリ窯、同じく18世紀半ば。
図柄的にもっと古いのかと思いきや、存外新しい
のが意外でしたが、野の花のような可憐さが、
なんとも後ろ髪を曳かれるようでした。 -
-
伊万里、先ほどのジノリから遡る事、丁度100年の1
7世紀半ば。
清楚な佇まい、襟を正すような。
西洋が古くから東洋の磁器に焦がれ宝物と崇め、
遂に憧れに留めず自らその宝を作り出そうと模倣し、
創造しようと葛藤する、ヨーロッパ磁器の原点は
ここにあります。
しかしそれを阻んだのが、良質カオリンの発見が
遅れたこと。
中国では既に10世紀には磁器の完成を見、景徳鎮などで
磨き抜かれ、16世紀以降になってヨーロッパへの輸出が
爆発的に増えていきます。
(日本では有田が初めの影響を受けました。因みに伊万里
は、有田の伊万里港から積み出されたことから、外国では
伊万里の名前の方が通りが良いとか。)
18世紀半ばようやく良質なカオリンがドイツで発掘され、
かのマイセンに拠ってヨーロッパでの先鞭を付けたのです
が、当然技法は企業秘密、先ほどのジノリがさほど時置か
ずに細やかな作品を残しているのは、技法の漏洩なども
窺わせますが、そうなればヨーロッパ内の伝播は時を置か
ず、やがてセーヴルやリモージュなどが勇名を馳せるに
繋がっていきます。 -
20世紀、セーヴル。
ティーセットには気持ちが動かずとも(正しくは
買えなくとも)これは欲しい。
西洋の憧れた白い土で焼き締めた、美くも
躍動的な群舞をしおに、美術館を後にしました。 -
トラムセーヴル美術館駅。
向こうに美術館が見えます。 -
駅舎と思われた建物にも、ホーム上にも刻印機と思しき
マシンがありません。 -
なるほどバスと同じ、乗車してからの刻印認証でした。
明るくて、こざっぱりした車内です。
終点デファンスまで10分ほど、そこからパリに戻ると
します。 -
シャトレ座へやって来ました。
今日は午後から小1時間づつの無料フェス、
室内楽や声楽などのミニコンサートです。
ここは、ホワイエと呼ばれる言わば貴族のサロンの
ような一室。
ラフマニノフに北欧のシベリウス、ロシアのたぎる
熱さとフィヨルドの凍てた清明さと。 -
ロビーの辺り。
-
会場でお知り合いになった在仏40年になろうと
言う日本人マダムと、最寄のカフェでのアフター・
コンサートも楽しいひと時でした。
イルミネーションの美しいセーヌ界隈でバスに
乗り帰宅。
明日はスイス、ローザンヌへ日帰り小旅行します。
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この旅行記へのコメント (2)
-
- ippuniさん 2013/08/08 01:50:39
- セーヴル陶磁器美術館
- さんしぇさん、こんにちは。
早速遊びに来ました!
セーヴル陶磁器美術館は車でいつも通っていて気になっていました。
でもまだ一度も入ったことが無かったのですが、こちらで見れて嬉しいです。
いつか時間を作って行ってみたいと思います。
フランス人、最近はみんな結構スポーツやってるんですよ〜
走る人もたくさんいるし、夕方ウォーキングやる人や、週末にサイクリングをやる人、
お昼休みやアフター6は、サッカーをしたり、ジョギングしたり…。
食べものがこういった感じだから、みんな結構体系維持の為に努力しているようです。
フランス人、自分なりの基準だけど、見た目重視のところありますし^^;
でも、田舎の人は逆にあまりスポーツをしないように見えました。
せっかく空気の良い所に住んでいるのに、勿体無いですよね。
ピエールエルメ、美味しいですよね♪
こうやってパリの旅行記を見ると、とても新鮮で楽しいです。
ippuni
- さんしぇさん からの返信 2013/08/08 21:17:26
- セーヴルのみならず
- ippuniさん、こんばんは。
ご投票、併せてつぶさなコメントありがとうございました!
> セーヴル陶磁器美術館は車でいつも通っていて気になっていました。
> でもまだ一度も入ったことが無かったのですが、こちらで見れて嬉しいです。
ここは、私のような公共交通利用者にも出掛け易い上に、手頃な
大きさの中に、セーヴルだけでなく世界の陶磁器も無造作に
収められて、面白かったです。
中でも日本には無いな〜、と言うのが蛇だのトカゲだの魚などの
盛られた絵皿。
今ひとつどういった意図のものか判らず仕舞いでした。
> フランス人、最近はみんな結構スポーツやってるんですよ〜
> 走る人もたくさんいるし、夕方ウォーキングやる人や、週末にサイクリングをやる人、
> お昼休みやアフター6は、サッカーをしたり、ジョギングしたり…。
> 食べものがこういった感じだから、みんな結構体系維持の為に努力しているようです。
> フランス人、自分なりの基準だけど、見た目重視のところありますし^^;
これ、とっても納得です。
スポーツの為のスポーツではないんですね。
見てくれの為に汗を流すのはおかしな薬を飲むよりも随分まともですね。
> でも、田舎の人は逆にあまりスポーツをしないように見えました。
> せっかく空気の良い所に住んでいるのに、勿体無いですよね。
そうそう地方に行くと、メタボ率ぐんと上がりますね〜。^^
> ピエールエルメ、美味しいですよね♪
> こうやってパリの旅行記を見ると、とても新鮮で楽しいです。
エルメは、思い切った味合わせの妙というか凄いセンスですよね〜。
在住者の方の目にはお退屈な点もありましょうが、お声を掛けて
下さってほんとに嬉しかったです。
さんしぇ
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