2010/12/15 - 2011/01/01
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ヌールッディーンさん
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サフダルジャング廟は1753~1754年頃に建てられたムガル帝国末期の墓廟建築で、フマユーン廟からタージ・マハルなどに発展していった四分庭園を擁する大規模墓廟建築のうち(少なくとも庭園と共に現存する中では)最後に建てられたものです。
『地球の歩き方』では紹介されていないので(地図には載っていますが)、一般にはあまり知名度はないかもしれませんが、インドのイスラーム建築の歴史に関する本などを読むと必ず登場しますし、デリーのリキシャワーラーなどの間でもフマユーン廟より知られているという感触があり、実は、割と有名な建築なのです。
最近はデリーは地下鉄が発達してきたので、南北に走るイエローラインのJOR BHAGH駅の近くにあるのではないかと思いますが、詳しくはわかりません。私はフマユーン廟に行くようリキシャーに伝えたのに、彼はフマユーン廟を知らないらしく、間違ってこちらに連れて来られたので。
入場料は100ルピーでした。
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入口の門を潜ると、四分庭園の中心に墓廟が位置しているというのは、フマユーン廟と全く同じです。
フマユーン廟やタージ・マハルと違ってプランも八角形ではなく正方形で、ドームの周辺にチャトリがなく四隅にだけ配されています。
ある意味ではより古いタイプの中央アジア由来の墓形式に近くなった感じがします。 -
墓廟建築自体はやはり基壇の上に置かれており、イーワーンの上部にもチャトリが並ぶなど、インド的な構造や意匠が随所に見られます。
また、敷地の片隅には壁モスク風の小さなモスクが併設されており、墓廟建築と壁モスクの組み合わせというインドの墓廟建築の定番パターンはここでも踏襲されています。
建材は砂岩で白い部分は大理石が用いられています。 -
建築史などではタージ・マハルなどの壮麗さと比較して低く評価されることが多いのですが、実際に見てみるとなかなか悪くないというのが私の印象です。
石材の質も大理石よりは安価な砂岩に戻っており、全体のバランスなどもフマユーン廟やタージ・マハルほど洗練されてはいない気がしますが、四隅のチャトリとそれを乗せている多角形プランの塔が、中央のドームという主役に対して脇役としてそれなりの造形効果を生んでおり、「そこそこまとまっている作品」という印象を受けました。
また、この時代のデリーやムガル朝の状態を考えると、逆にこれだけの建造物を建てられただけでもかなりのことだったように思います。というのは、サフダルジャングという異名をとる人物ミルザー・ムーキム・アブール・マンスール・カーン(Mirza Muqim Abul Mansur Khan)は、ムガル帝国第12代皇帝ムハンマド・シャーとその次の皇帝アフマド・シャーに仕えていたのですが、この頃にはムガル帝国の勢力は衰退し、実質的にはデリー周辺を治めるだけの地方政権になってしまっていたからです。
ただ、これらの皇帝が独自の墓廟建築を持たないにも拘らず、宰相の墓廟がこれくらい立派に建てられるというあたりに、政治情勢の変化が反映しているのかもしれません(帝国とはいえ世襲的に継承される皇帝が政治の実権を握るような時代ではなくなっていた?)。 -
内部に目を転じると、この写真に見られるような装飾技法などにペルシャ化がそれ以前の建築と比べてかなり進んでいると感じられました。
インドの要素は随所に見られるもののペルシャ的な造形を利用している割合がこれ以前の建築よりも多いことが、この建築の特徴だと思います。 -
中央広間の移行部と天井部。
天井のドームをムカルナスを使って処理しているあたりが以前のインドの建築と比べてかなり洗練されている印象を受けます。
また、移行部とドームを繋げるあたりの装飾などもなかなかしゃれた感じがします。 -
中央広間の基部から移行部、そして模棺。
開口部がアーチ構造になっていてリンテルが使われていないことにも注目したいところです。殆んど完全に「ペルシャ建築」になっているといってよいでしょう。
明かり窓の上部の曲線や移行部の曲面上部の縁取りなど、この建築が建てられた頃ヨーロッパで流行していたバロック建築の雰囲気を感じさせます。 -
しかし、中央礼拝室以外の部分にはこのようにインド風の構造やデザインが使われています。
個人的には正直に言って、こういうデザイン的にもあまり洗練されていると感じないし、恐らく構造上もアーチを基本とするものより弱いのではないかと思っているので、変にインド土着の構造を使う必要はないのではないか、と思ってしまいます。
チャトリなどを天井に乗せるのは地域性を主張するには良いとは思いますが。
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