1994/12/30 - 1994/12/30
308位(同エリア1015件中)
ひらしまさん
第3日。今日は、早朝6時15分の飛行機でルクソールへ行く日で、3時起き。朝食のレストランで早朝から働いてくれた従業員にチップを置こうということになったが、細かいポンドがもうない。Cさんに貸してもらった。
空港へ向かう道路は空いている。渋滞がないのなら早朝出発もいいものだと思った。飛行機では、ほんの1時間なのに軽い朝食が出た。エジプト航空は時間はルーズだが、食事には律義だ。ルクソール空港からは砂糖きび畑の中を走る。フェリーでナイル川を渡り、王家の谷に着いた。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 同行者
- カップル・夫婦
- 旅行の手配内容
- ツアー(添乗員同行あり)
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王家の谷はピラミッド型の山のふもとで、谷という感じではない。なんとなく思っていたより、狭いエリアに墓が集中している。ラムセス四世、ラムセス三世の墓をドーダさんの案内で見学する。非常に奥行きのある墓だ。
その後の自由時間には、まずツタンカーメンの墓に並ぶ。人数制限をしているのでなかなかはいれない。ようやく順番が来てはいると、本当に小さな墓だ。
ちょうど人の波が去って行き、しばし二人だけで、あの考古学博物館の多量のきらびやかな副葬品があふれていたとは思えない、静かな空間を味わうことができた。
残りの時間で、僕はメルエンプタハ王の石棺をじっくりと見て、妻はレストハウスでカルカディ茶を味わった。 -
ハトシェプスト女王葬祭殿は、野外オペラ「アイーダ」の客席の脇を通って入った。
実権を握りながらも女であるために王として認められず、認めさせるためにこの神殿を造り、しかし死後は自分が抑えていたトトメス三世に抹消されたハトシェプストに、ドーダさんのガイドはかなり思い入れが感じられた。
東岸に戻って昼食。ステラビールのなんとかいう高い方を頼む。同じビールでも瓶の色が緑だったり茶色だったりするのがおもしろい。味は悪くない。
その代金の12ポンドを20ポンド札で払ったら、釣りのうち3ポンドはくれたが、5ポンドは待ってくれと言ったままなかなか持ってこない。催促しても待ってくれというばかり。
出発の時間になったが、たとえ5ポンドでも許せない。ドーダさんに訴えると、こわい顔で掛け合ってくれ、釣りは戻ってきた。エジプトでは小銭を切らしてはいけないようだ。 -
東岸の見学は、大列柱室が有名なカルナック神殿から。日干しレンガで造った第一塔門の大きさにまず圧倒される。幅113m、高さ43mだそうだ。
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そして大列柱室。太く高い石柱が林立している。
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中央部は観光客の行き来が絶え間ないが、奥の方へ行くと森の中に一人いるような気さえしてくる。圧倒的なスケールで、さすがラムセス二世が造らせた神殿跡だ。
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ハトシェプスト女王の美しい花崗岩のオベリスクは高さ30m。あれが一つの岩を彫ったものだとは信じられない。
惜しまれるのは、偶像崇拝排除のイスラムによって多くの像が顔面を破壊されていることだったが、二千年にわたって歴代王朝が築いてきたというカルナック神殿は、団体旅行ではとても見きれない宝の山だった。 -
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モスクでもそうだったが、ここでも社会科見学の子どもたちによく会った。カラフルな服を着て、目がクリクリしてみんな笑顔だ。ハローとよびかけてくる。アラビア語が出てこなくて、ハロー、グッバイで済ませてしまった。テレビ番組「おしん」の放送以来、日本人の人気は高いのだそうだ。
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次のルクソール神殿の入り口は緑が多く、珍しくすずめ以外の小鳥を見かけた。見学を終え第一塔門の前に戻った時、一つの事件が起きた。
ここにはラムセス二世の巨大な座像2体、立像4体があるが、立像のうち3体は倒壊している。倒れている像はただの大きな石にしか見えない。
好奇心旺盛で高い所が好きな妻は、その上に登っていった。そして「顔が見えた」と言った直後、アラビア語の大声が聞こえた。
少し離れたところにいる男性が、妻に向かって何ごとか叫んでいる。倒壊しているとはいえ、ただの石ではなく文化財なのだ。
妻はあわてて「アイアム ソーリー」と答え、像から飛び下りた。こんな時にもとっさに英語が出てくるんだからたいしたものだと、妙なところで感心した。 -
さて、ルクソールでの宿はニューウィンターパレス。ナイル河畔に面し、素晴らしい眺めだ。青いナイルに白い帆のファルーカが映え、夏の避暑地にきているような気がしてくる。
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バルコニーの下の道路には観光客を乗せた馬車が行き交い、ルクソール神殿もすぐ近くに見える。設備も整っていて、この旅行の宿では一番良い印象のホテルだった。
もっとも、気持ちよくお風呂につかった後お湯を抜いたら洗面所の床にしみ出してしまい、スリッパがびしょ濡れになってしまったが、これは日本の感覚で大量のお湯を一気に抜いたのが間違いだった。 -
夜、カルナック神殿の音と光のショウを見に行く。我々の一行は、Aさんの「最後の池のシーンでよい席に座れしかも早く帰って来られるように」という指示に従い動く。
しかし、言葉は英語だし、人の頭ばかり見ていて退屈だ。暗いので写真も撮れない。池のシーンでは首尾よくよい席に座れたが、一日の疲れが出て寒いのにウトウトしてしまう。
ショウが終わったざわめきで目を覚まし、ほっとしたような気持ちでバスに向かう。Dさんたちが写真を撮っているのを見て妻が撮ってと言うので、カメラを構えようとして気づいた。ベンチにカメラを忘れてきた!
群衆の流れに逆らい、かきわけ、座っていたベンチにたどりついたがカメラは、ない。ベンチの下をのぞいたり、キョロキョロしていると、離れた席から呼び掛けられた。
ヨーロッパ系のカップルで、早口の英語なので「カメラ」と「フロント」しか聞き取れないが、カメラはフロントに届けられたという意味だろうと解釈し、サンキューと答えて再び人込みの中を走り妻のところへ戻った。
グループの皆を待たせてしまうことが気にかかる。砂利道を走るのが一番苦手な妻には先に行ってもらおうとも思ったが、彼女の英語力が今は頼りだ。
近くに売店があったので、もしやここではと思い尋ねてみるが届いていない。先程のカップルが来たので、妻にもう一度聞いてもらう。持って行ったのは「ジェントルマンだった」という。
あとは入場券売り場しかない。昼間来たばかりで様子の分かっているカルナック神殿を、人込みを避け斜めに突っ切って走る。
出口付近で退路の指示をしている係員がいた。頭の中で英語を整理してから話し掛けた。「助けてくれませんか。カメラをなくしたんです」「どこで」「ステージのところです」
すると背後から声をかける人がいる。エジプト人らしい。「ベンチの上か」「そうです」何か知っているらしい。彼について歩く。
「名前は?」「私の?」「カメラの名前は?」「ペンタックス!」彼の家族に追いついた。奥さんらしい人がバッグからカメラを出してくれた。暗がりの中、かすかな光にあてて見る。まちがいない、僕のカメラだ!
信じられない幸運だった。この千人くらいの人込みの中で、拾った人に出会うなんて。しかも彼のほうから声を掛けてくれたのだ。エジプト人は本質的には親切な人ばかりだとAさんが言っていたのを思い出していた。
「ありがとう」と握手を繰り返した後、彼等に別れを告げ、バスに急いだ。時間に余裕があればもう少し感謝の気持ちを伝えたかったが、とっくに集まっているはずの仲間たちを寒い中でいつまでも待たせるわけにはいかなかった。
この日の夕食で、妻はトルココーヒーに挑戦したがまったく飲めなかった。
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