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エジンバラ到着<br />やがて機は高度を下げてきたかと思うと、緑豊かな田園地帯の上空に至り、着陸態勢に入る。上空から見ると、このスコットランドの首都エジンバラは、意外と北海の沿岸ぎりぎりに位置している街なのである。これだと気候も温暖で、内陸部のように思ったより冷え込みはないのかもしれない。機はスムーズにエジンバラ空港にランディング。気温は20度とのことである。<br /><br /><br />エジンバラ空港到着<br /><br />スコットランドの名物<br />この王国には次のような幾つかの名物がある。その名物といえば・・・<br /><br />(スコッチ)<br />スコッチとはスコットランドで蒸留されるウイスキーの代名詞。スコットランドの法律では、スコッチ・ウイスキーは「大麦麦芽の酵素により糖化させた穀類の液をスコットランド内で蒸留し、木製の樽で最低3年間、保税倉庫で熟成したもの」と定義されている。だから、アメリカやアイルランドで醸造されたものはスコッチとは呼ばない。<br /><br />(バグパイプ)<br />バグパイプもスコットランドの名物になっているが、それもあってか、日本ではバグパイプ=スコットランドのものとのイメージが強い。しかし、これはスコットランド移民の多いカナダ、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドなどでも盛んに演奏されているという。また、アイルランドをはじめ、スペイン、トルコに至るまでの広範にわたり、独自のバグパイプが存在しているという。だが、その発祥は定かではなく、古くはローマ時代にまで遡ると考えられている。<br /><br />(ハギス)<br />スコットランドの名物料理といえば、このハギス。これは羊の肉・内臓・血などをオート麦やたまねぎなどの野菜、香辛料と共に調理し、羊の胃袋に詰めてさらに加熱したソーセージ状のもの。こってりしたもので、スコッチ・ウィスキーによく合うという。<br /><br /><br />エジンバラ市内へ<br />降機したロビーは、どうも国内便の区域のようである。その証拠に入国審査も何もなく、ストレートに到着ロビーへ出られたのである。アイルランドと英国はシェンゲン協定にも加入していない国なので、国境間のフリーパス制度はないはずなのだが、この両国の間は特別の関係にあるのだろう。とまれ、面倒がなくて助かる。<br /><br /><br />ところで、忘れないうちにまずは帰路の航空券のリコンファームと両替をしておこう。近くのブリティッシュ・エアウェイズのカウンターに行ってリコンファームを頼むと、「必要ないんですよ。」と言いながら一応チェックしてくれる。最近は不要のエアーラインが多くなり、手間が省けてありがたい。<br /><br /><br />次は両替だ。1階の両替所で英ポンドに交換すると、レートはコミッションを含め £1=235円(日本円のキャッシュでの交換。06年7月1日現在)である。中心レートは210円台だから、かなりの上乗せがある。両替所は2階の出発ロビーにもある。さあ、これで準備OKだ。<br /><br /><br />便利な空港バス<br />玄関へ出ると、目の前に市内行きの空港バスが待っている。この空港バスは空港とシティ・センター(プリンセス通りのWaverley Bridge=つまりWaverley Stationの上)間を10分間隔で頻繁に往復するもので、至極便利である。料金は片道£3(705円)、往復チケットを買えば£5とお得(06年7月1日現在)。もちろん私は往復チケットを買って乗車する。乗車の際にドライバーから購入できる。<br /><br /><br />バスはお定まりのダブルデッカーで、荷物のある私は1階席に陣取る。バスは郊外の田園地帯を抜けると、間もなく町並みが見えてくる。なんとなく風格のある建物が多いようだ。バスは約25分でエジンバラの中心駅・ウェーバリー駅(Waverley Station)の上の橋に到着。ここが終点で、空港バスや観光バスの発着点になっている。<br /><br /><br />エジンバラの中心駅・Waverley Station<br />この駅の位置が変わっていて、平地ではなく谷間の低地に造られており、ストリートから見下ろす位置にある。だから、駅前広場も何もなく、駅の姿が見えないので初めての訪問者はやや戸惑うことになる。さて、これから宿探しが始まるのだが、予約しているゲストハウスなので、その場所を探すだけである。そこでまずはウェーバリー駅へ下りてみる。この駅を基点に探すのが分かりやすいと思ったからである。<br /><br /><br />手間取る宿探し<br />バスから降りたすぐ横にスロープがあり、これを下りて行くと駅に出る。コンコースに出ると早速、駅員に地図を示して方向を尋ねる。彼が言うには、「そっちの道路を進んで行くと、すぐに分かる。ものの5分で行けるよ。」という。駅から徒歩圏内の宿を決めていたので、これだと助かる。教えられた道路は人気のない坂道で、なんだか方向がよく分からない。やっと出会った通行人に尋ねながら、どうにか大通りに出る。<br /><br /><br />ところが分岐点ばかりあって、どちらへ行くのやら見当がつかない。この駅付近の道路は上ったり、下ったりとスロープだらけで何だか安定感がない。坂の町長崎に住む私ながら、この不安定な道路には“坂酔い”するようだ。行きつ戻りつしながら、再三通行人に尋ねまくり、やっとのことで宿のあるストリートにたどり着く。宿はその通りのコーナーにある。もう汗だくである。最初、私が駅へ下りたのがまずかったようだ。バス停で尋ねれば、こんな回り道をせずに楽に到着できたはずなのだ。<br /><br /><br />ドアのベルを鳴らすと、ガチャリとロックが外されてドアが開く。1階がフロントかと思うとそうではなく、なんと3階まで上らされることに。そこに係が待っており、予約を告げるとうなずいて、テーブルの上にあるゲストブックに住所氏名を書き込んでくれという。受付カウンターも何もない殺風景なもので、記入が終わると外部ドアと部屋のキー2本をもらって部屋に入る。午後4時過ぎのことである。<br /><br /><br />このハウスは料金がやや高目だけに、部屋はなかなかのもので、ちょっとしたホテルの感じである。シャワー室もガラス張りで区切られ、申し分なしである。旅装を解くと、まずはシャワーを浴びて汗だくの身体を流す。そして次は、汗びしょになった下着類や上着シャツなどの洗濯にかかる。これを干しあげて、やっと爽やか気分となる。ここでベッドに横たわり、地図や観光パンフなどを見ながら一休みしよう。<br /><br /><br />エジンバラのこと<br />ここエジンバラは世界遺産に指定されているスコットランドの首都であり、政治と文化の中心都市でもある。中世からの家並みが残るオールドタウンと、18世紀のなかでもジョージ王朝時代の建物が並ぶニュータウンに二分される。<br /><br /><br />周りの自然と街並みがよく調和した町として有名で「近代のアテネ」とも呼ばれている。町そのものよりエジンバラ城の歴史のほうが古く、起源は6世紀頃までさかのぼるという。また、建築史上または歴史上、貴重といわれる建築物の数は16,000にも上ると言われている。人口は約40万人。<br /><br /><br />街の中心にカールトン・ヒルと呼ばれる小高い丘があり、そこで毎年8月、エディンバラ・フェスティバルと呼ばれる芸術祭典が行われ、多くの観光客で賑わう。また、この街のカフェで作家J・K・ローリングが「ハリー・ポッターと賢者の石」を書き上げたという話は有名である。<br /><br /><br />街の探索<br />7時ごろになって、やおら夕食がてらに街の探索に出かける。そこでまず宿の人に近くのパブを尋ねると、前の通りを歩いてすぐのコーナーに「コナンドイル」という名の素敵なパブがあるという。この街出身で、超有名な名探偵シャーロック・ホームズの生みの親である作家、アーサー・コナン・ドイルに因んで名づけたのだろう。でも、いつも込んでいるという。まずはそこへ行ってみよう。<br /><br /><br />宿から数十メートルと離れていないそのパブはすぐに見つかる。だが、入口前に行くと、中は客であふれている。そして、すごい歓声があがっている。いったいどうしたのだ? 数段の階段を上がって中に入ろうとするが、そこから立錐の余地もないほどの混雑振りで、みんな立ったままTVに釘付けになっている。例のワールドカップ・サッカーの放送中なのだ。<br /><br /><br />前の女性に尋ねてみると、イングランドとポルトガルの試合中だという。スコットランドの地元チームではないが、同じ国のチームだけいに、大声援が飛ぶのは至極当然のことであろう。だから、ゴールでもしようものなら、やんやの大拍手と大歓声でパブのホールが揺れるほど響き渡っている。なるほど、これで状況が察せられる。<br /><br /><br />これでは食事どころではない。しばらく様子を見てから、ほうほうのていで退散する。この街でいちばん賑やかなショッピングストリートであるプリンセス・ストリート(Princes Street)は宿から指呼の間にある。宿まで迷いながら来たお蔭で、街の地理がほぼ頭に入り込んでいる。宿のあるクイーン・ストリート(Queen Street)から通りを南にひとまたぎすると、ほんの4〜5分でプリンセス通りに出る。そして、この通りから見下ろす谷底にウェーバリー駅がある。<br /><br /><br />ショッピングストリート・プリンセス通り<br />プリンセス通りに出ると、夕日を浴びたストリートには車があふれている。遠く向こうには歴史のある尖塔がそびえて古都の雰囲気がただよう中、現代のシンボルである自動車が列をなしており、そのコントラストがなかなか面白い。ここは幾つものデパートが並ぶショッピング通りで、エジンバラ城や旧市街を見晴らす賑やかで華やかなストリートである。<br /><br /><br />道路を横切り、駅側の歩道に出てぶらついていると、インフォメーションの看板が目に留まる。時間が遅いので閉まっているかなと思いながらドアを開けると、なんとまだ仕事をしている。これはありがたいと早速、カウンターへ。<br /><br /><br />営業時間のことを係に尋ねると、毎日夜8時まで開いているという。この街のインフォメーションはサービス満点である。そこで、明日の市内観光バスのチケットを購入する。この街でも、ダブリンと同様に“Hop On−Hop <br />Off”の乗り降り自由の市内観光バスがある。料金は大人£9、シニア£8(1880円)。安く周れるので、観光はこれにかぎる。しかもマルチリンガル案内で、日本語版がヘッドフォンで聞けるようになっているのでありがたい。<br /><br /><br />パブでフィッシュ&チップスの夕食<br />ついでに、近くのパブの紹介を頼んでみる。すると、地図の上にマークを付けてくれ、すぐ近くの通り一帯に多くのパブがあると教えてくれる。礼を言って、その通りを目指して歩いて行く。そこはこのプリンセス通りから入り込んだ一つ目〜二つ目の通りで、ぶらぶら歩いて行くと数軒のパブが見つかる。通りの角まで来ると、そこにもパブがあり、感じがよさそうなので中をのぞいてみる。すでにサッカー中継は終わったのか、店内は客も少なく落ち着いている。よし、ここに決めよう。<br /><br /><br />ウェイトレスをとらまえて、「フィッシュ&チップス(Fish & Chips)はできますか?」と尋ねてみる。すると「えゝ、できますよ。」という返事。「じゃ、それをください。」と告げて、奥の座席に着く。このフィッシュ&チップス料理は英国の国民食と言われるほど庶民的な魚料理だそうで、持ち帰りも簡単にできるいわばファーストフードでもあるわけだ。内容はタラ(cod or <br />haddock)やカレイ(plaice)のような白身魚のバカデカい切り身に衣をつけて揚げたもので、チップスというのはフレンチ・フライ(French fries)より太いタイプのフライドポテトのことである。<br /><br /><br />まだ一度も試食したことはなく、この機会にぜひ味わってみたいと思っていたのだ。ナイフとフォークを持ってきたウェイトレスが「飲み物は何にされますか?」と尋ねるので、「この地でお勧めのビールありますか?」と問い返す。すると、「あちらのお客さんが飲んでいるのが人気です。」と壁際の客が飲んでいる濃い色のビールを指差して教えてくれる。「じゃ、それをお願いします。」 後でそのビール名を尋ねると、“CALEDONIAN 80%”という。かなり度数が高いのだ。<br /><br /><br />ビールが先に運ばれ、それを飲みながら料理を待つ。少々コクのある地ビールである。やがて運ばれてきたフィッシュ&チップスは、次の写真で見るとおりである。なんとデカイ魚料理だ! 魚の名前を尋ねると、“haddock”とメモしてくれる。やはりタラの身なのだ。白身で骨はなく、ぱさついてはいるが、あっさりした味で結構おいしい。タラはポルトガル名物の塩タラの料理を食べたことがあるが、こちらの方が生身だけにおいしい。<br /><br /><br />それにしても分量が多く、これにチップスとグリーンピースまで添えてあるので、これらのすべてを食べるには少々無理してお腹に押し込まないといけない。時間をかけて、独りゆっくりと賞味する。二人でシェアしても行けそうなボリュームである。ただ、骨付きの魚に慣れた私には、いつ骨が出てくるのかとビクつきながら食べるのだが、とうとう最後まで骨の1本も出てこない。やはり大きい魚は骨も少なくて食べやすく、欧米人向きなのだろう。<br /><br />(この続きはこちらへ⇒ http://yasy7.web.fc2.com/ )<br /><br /><br /><br />

イギリス:エジンバラの旅

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2006/07/01 - 2006/07/02

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yasyas

yasyasさん

エジンバラ到着
やがて機は高度を下げてきたかと思うと、緑豊かな田園地帯の上空に至り、着陸態勢に入る。上空から見ると、このスコットランドの首都エジンバラは、意外と北海の沿岸ぎりぎりに位置している街なのである。これだと気候も温暖で、内陸部のように思ったより冷え込みはないのかもしれない。機はスムーズにエジンバラ空港にランディング。気温は20度とのことである。


エジンバラ空港到着

スコットランドの名物
この王国には次のような幾つかの名物がある。その名物といえば・・・

(スコッチ)
スコッチとはスコットランドで蒸留されるウイスキーの代名詞。スコットランドの法律では、スコッチ・ウイスキーは「大麦麦芽の酵素により糖化させた穀類の液をスコットランド内で蒸留し、木製の樽で最低3年間、保税倉庫で熟成したもの」と定義されている。だから、アメリカやアイルランドで醸造されたものはスコッチとは呼ばない。

(バグパイプ)
バグパイプもスコットランドの名物になっているが、それもあってか、日本ではバグパイプ=スコットランドのものとのイメージが強い。しかし、これはスコットランド移民の多いカナダ、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドなどでも盛んに演奏されているという。また、アイルランドをはじめ、スペイン、トルコに至るまでの広範にわたり、独自のバグパイプが存在しているという。だが、その発祥は定かではなく、古くはローマ時代にまで遡ると考えられている。

(ハギス)
スコットランドの名物料理といえば、このハギス。これは羊の肉・内臓・血などをオート麦やたまねぎなどの野菜、香辛料と共に調理し、羊の胃袋に詰めてさらに加熱したソーセージ状のもの。こってりしたもので、スコッチ・ウィスキーによく合うという。


エジンバラ市内へ
降機したロビーは、どうも国内便の区域のようである。その証拠に入国審査も何もなく、ストレートに到着ロビーへ出られたのである。アイルランドと英国はシェンゲン協定にも加入していない国なので、国境間のフリーパス制度はないはずなのだが、この両国の間は特別の関係にあるのだろう。とまれ、面倒がなくて助かる。


ところで、忘れないうちにまずは帰路の航空券のリコンファームと両替をしておこう。近くのブリティッシュ・エアウェイズのカウンターに行ってリコンファームを頼むと、「必要ないんですよ。」と言いながら一応チェックしてくれる。最近は不要のエアーラインが多くなり、手間が省けてありがたい。


次は両替だ。1階の両替所で英ポンドに交換すると、レートはコミッションを含め £1=235円(日本円のキャッシュでの交換。06年7月1日現在)である。中心レートは210円台だから、かなりの上乗せがある。両替所は2階の出発ロビーにもある。さあ、これで準備OKだ。


便利な空港バス
玄関へ出ると、目の前に市内行きの空港バスが待っている。この空港バスは空港とシティ・センター(プリンセス通りのWaverley Bridge=つまりWaverley Stationの上)間を10分間隔で頻繁に往復するもので、至極便利である。料金は片道£3(705円)、往復チケットを買えば£5とお得(06年7月1日現在)。もちろん私は往復チケットを買って乗車する。乗車の際にドライバーから購入できる。


バスはお定まりのダブルデッカーで、荷物のある私は1階席に陣取る。バスは郊外の田園地帯を抜けると、間もなく町並みが見えてくる。なんとなく風格のある建物が多いようだ。バスは約25分でエジンバラの中心駅・ウェーバリー駅(Waverley Station)の上の橋に到着。ここが終点で、空港バスや観光バスの発着点になっている。


エジンバラの中心駅・Waverley Station
この駅の位置が変わっていて、平地ではなく谷間の低地に造られており、ストリートから見下ろす位置にある。だから、駅前広場も何もなく、駅の姿が見えないので初めての訪問者はやや戸惑うことになる。さて、これから宿探しが始まるのだが、予約しているゲストハウスなので、その場所を探すだけである。そこでまずはウェーバリー駅へ下りてみる。この駅を基点に探すのが分かりやすいと思ったからである。


手間取る宿探し
バスから降りたすぐ横にスロープがあり、これを下りて行くと駅に出る。コンコースに出ると早速、駅員に地図を示して方向を尋ねる。彼が言うには、「そっちの道路を進んで行くと、すぐに分かる。ものの5分で行けるよ。」という。駅から徒歩圏内の宿を決めていたので、これだと助かる。教えられた道路は人気のない坂道で、なんだか方向がよく分からない。やっと出会った通行人に尋ねながら、どうにか大通りに出る。


ところが分岐点ばかりあって、どちらへ行くのやら見当がつかない。この駅付近の道路は上ったり、下ったりとスロープだらけで何だか安定感がない。坂の町長崎に住む私ながら、この不安定な道路には“坂酔い”するようだ。行きつ戻りつしながら、再三通行人に尋ねまくり、やっとのことで宿のあるストリートにたどり着く。宿はその通りのコーナーにある。もう汗だくである。最初、私が駅へ下りたのがまずかったようだ。バス停で尋ねれば、こんな回り道をせずに楽に到着できたはずなのだ。


ドアのベルを鳴らすと、ガチャリとロックが外されてドアが開く。1階がフロントかと思うとそうではなく、なんと3階まで上らされることに。そこに係が待っており、予約を告げるとうなずいて、テーブルの上にあるゲストブックに住所氏名を書き込んでくれという。受付カウンターも何もない殺風景なもので、記入が終わると外部ドアと部屋のキー2本をもらって部屋に入る。午後4時過ぎのことである。


このハウスは料金がやや高目だけに、部屋はなかなかのもので、ちょっとしたホテルの感じである。シャワー室もガラス張りで区切られ、申し分なしである。旅装を解くと、まずはシャワーを浴びて汗だくの身体を流す。そして次は、汗びしょになった下着類や上着シャツなどの洗濯にかかる。これを干しあげて、やっと爽やか気分となる。ここでベッドに横たわり、地図や観光パンフなどを見ながら一休みしよう。


エジンバラのこと
ここエジンバラは世界遺産に指定されているスコットランドの首都であり、政治と文化の中心都市でもある。中世からの家並みが残るオールドタウンと、18世紀のなかでもジョージ王朝時代の建物が並ぶニュータウンに二分される。


周りの自然と街並みがよく調和した町として有名で「近代のアテネ」とも呼ばれている。町そのものよりエジンバラ城の歴史のほうが古く、起源は6世紀頃までさかのぼるという。また、建築史上または歴史上、貴重といわれる建築物の数は16,000にも上ると言われている。人口は約40万人。


街の中心にカールトン・ヒルと呼ばれる小高い丘があり、そこで毎年8月、エディンバラ・フェスティバルと呼ばれる芸術祭典が行われ、多くの観光客で賑わう。また、この街のカフェで作家J・K・ローリングが「ハリー・ポッターと賢者の石」を書き上げたという話は有名である。


街の探索
7時ごろになって、やおら夕食がてらに街の探索に出かける。そこでまず宿の人に近くのパブを尋ねると、前の通りを歩いてすぐのコーナーに「コナンドイル」という名の素敵なパブがあるという。この街出身で、超有名な名探偵シャーロック・ホームズの生みの親である作家、アーサー・コナン・ドイルに因んで名づけたのだろう。でも、いつも込んでいるという。まずはそこへ行ってみよう。


宿から数十メートルと離れていないそのパブはすぐに見つかる。だが、入口前に行くと、中は客であふれている。そして、すごい歓声があがっている。いったいどうしたのだ? 数段の階段を上がって中に入ろうとするが、そこから立錐の余地もないほどの混雑振りで、みんな立ったままTVに釘付けになっている。例のワールドカップ・サッカーの放送中なのだ。


前の女性に尋ねてみると、イングランドとポルトガルの試合中だという。スコットランドの地元チームではないが、同じ国のチームだけいに、大声援が飛ぶのは至極当然のことであろう。だから、ゴールでもしようものなら、やんやの大拍手と大歓声でパブのホールが揺れるほど響き渡っている。なるほど、これで状況が察せられる。


これでは食事どころではない。しばらく様子を見てから、ほうほうのていで退散する。この街でいちばん賑やかなショッピングストリートであるプリンセス・ストリート(Princes Street)は宿から指呼の間にある。宿まで迷いながら来たお蔭で、街の地理がほぼ頭に入り込んでいる。宿のあるクイーン・ストリート(Queen Street)から通りを南にひとまたぎすると、ほんの4〜5分でプリンセス通りに出る。そして、この通りから見下ろす谷底にウェーバリー駅がある。


ショッピングストリート・プリンセス通り
プリンセス通りに出ると、夕日を浴びたストリートには車があふれている。遠く向こうには歴史のある尖塔がそびえて古都の雰囲気がただよう中、現代のシンボルである自動車が列をなしており、そのコントラストがなかなか面白い。ここは幾つものデパートが並ぶショッピング通りで、エジンバラ城や旧市街を見晴らす賑やかで華やかなストリートである。


道路を横切り、駅側の歩道に出てぶらついていると、インフォメーションの看板が目に留まる。時間が遅いので閉まっているかなと思いながらドアを開けると、なんとまだ仕事をしている。これはありがたいと早速、カウンターへ。


営業時間のことを係に尋ねると、毎日夜8時まで開いているという。この街のインフォメーションはサービス満点である。そこで、明日の市内観光バスのチケットを購入する。この街でも、ダブリンと同様に“Hop On−Hop 
Off”の乗り降り自由の市内観光バスがある。料金は大人£9、シニア£8(1880円)。安く周れるので、観光はこれにかぎる。しかもマルチリンガル案内で、日本語版がヘッドフォンで聞けるようになっているのでありがたい。


パブでフィッシュ&チップスの夕食
ついでに、近くのパブの紹介を頼んでみる。すると、地図の上にマークを付けてくれ、すぐ近くの通り一帯に多くのパブがあると教えてくれる。礼を言って、その通りを目指して歩いて行く。そこはこのプリンセス通りから入り込んだ一つ目〜二つ目の通りで、ぶらぶら歩いて行くと数軒のパブが見つかる。通りの角まで来ると、そこにもパブがあり、感じがよさそうなので中をのぞいてみる。すでにサッカー中継は終わったのか、店内は客も少なく落ち着いている。よし、ここに決めよう。


ウェイトレスをとらまえて、「フィッシュ&チップス(Fish & Chips)はできますか?」と尋ねてみる。すると「えゝ、できますよ。」という返事。「じゃ、それをください。」と告げて、奥の座席に着く。このフィッシュ&チップス料理は英国の国民食と言われるほど庶民的な魚料理だそうで、持ち帰りも簡単にできるいわばファーストフードでもあるわけだ。内容はタラ(cod or 
haddock)やカレイ(plaice)のような白身魚のバカデカい切り身に衣をつけて揚げたもので、チップスというのはフレンチ・フライ(French fries)より太いタイプのフライドポテトのことである。


まだ一度も試食したことはなく、この機会にぜひ味わってみたいと思っていたのだ。ナイフとフォークを持ってきたウェイトレスが「飲み物は何にされますか?」と尋ねるので、「この地でお勧めのビールありますか?」と問い返す。すると、「あちらのお客さんが飲んでいるのが人気です。」と壁際の客が飲んでいる濃い色のビールを指差して教えてくれる。「じゃ、それをお願いします。」 後でそのビール名を尋ねると、“CALEDONIAN 80%”という。かなり度数が高いのだ。


ビールが先に運ばれ、それを飲みながら料理を待つ。少々コクのある地ビールである。やがて運ばれてきたフィッシュ&チップスは、次の写真で見るとおりである。なんとデカイ魚料理だ! 魚の名前を尋ねると、“haddock”とメモしてくれる。やはりタラの身なのだ。白身で骨はなく、ぱさついてはいるが、あっさりした味で結構おいしい。タラはポルトガル名物の塩タラの料理を食べたことがあるが、こちらの方が生身だけにおいしい。


それにしても分量が多く、これにチップスとグリーンピースまで添えてあるので、これらのすべてを食べるには少々無理してお腹に押し込まないといけない。時間をかけて、独りゆっくりと賞味する。二人でシェアしても行けそうなボリュームである。ただ、骨付きの魚に慣れた私には、いつ骨が出てくるのかとビクつきながら食べるのだが、とうとう最後まで骨の1本も出てこない。やはり大きい魚は骨も少なくて食べやすく、欧米人向きなのだろう。

(この続きはこちらへ⇒ http://yasy7.web.fc2.com/ )



旅行の満足度
5.0
観光
5.0
同行者
一人旅
交通手段
観光バス
旅行の手配内容
個別手配
  • エジンバラ空港到着<br />

    エジンバラ空港到着

  • ウェーバリー駅へ下るスロープ。この下りた先が駅コンコース。<br /><br />

    ウェーバリー駅へ下るスロープ。この下りた先が駅コンコース。

  • 夕暮れ時のプリンセス通り(午後7時過ぎ)<br />

    夕暮れ時のプリンセス通り(午後7時過ぎ)

  • これが名物“フィッシュ&チップス”<br /><br />

    これが名物“フィッシュ&チップス”

  • 夕食を取ったパブ<br />

    夕食を取ったパブ

  • 低地のガーデンから眺めたエジンバラ城

    低地のガーデンから眺めたエジンバラ城

  • ブリッジから見下ろしたウェーバリー駅<br />

    ブリッジから見下ろしたウェーバリー駅

  • ひっそりとした夕暮れ時のQueen Street<br /><br />

    ひっそりとした夕暮れ時のQueen Street

  • Full Scottishの朝食(B&B)<br /><br />

    Full Scottishの朝食(B&B)

  • エジンバラ城門前のパーキング広場。両側には観覧席のスタンドが見える。<br /><br />

    エジンバラ城門前のパーキング広場。両側には観覧席のスタンドが見える。

  • 奥の城門へ向かう(エジンバラ城)<br /><br />

    奥の城門へ向かう(エジンバラ城)

  • 砲門が並ぶ。右手から市街が一望できる。(エジンバラ城)<br /><br />

    砲門が並ぶ。右手から市街が一望できる。(エジンバラ城)

  • この辺りはHigh Street 。宮殿の方向に向かっている。<br />右手前方は聖ジャイルズ大聖堂。

    この辺りはHigh Street 。宮殿の方向に向かっている。
    右手前方は聖ジャイルズ大聖堂。

  • 荘重さがただよう聖ジャイルズ大聖堂<br />

    荘重さがただよう聖ジャイルズ大聖堂

  • ジャイルズ大聖堂の中央祭壇<br />

    ジャイルズ大聖堂の中央祭壇

  • キリストの絵が描かれた美しいステンドガラス(ジャイルズ大聖堂)<br /><br /><br /><br /><br />

    キリストの絵が描かれた美しいステンドガラス(ジャイルズ大聖堂)




  • ホリルードハウス宮殿が見える<br /><br />

    ホリルードハウス宮殿が見える

  • カールトン・ヒル(左がNational Monumentで、右はネルソン記念碑)

    カールトン・ヒル(左がNational Monumentで、右はネルソン記念碑)

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