1993/11/23 - 1993/11/28
159位(同エリア374件中)
北風さん
ロンボク島にて、「コモド・ドラゴン・カメラ・ハンティング・ツアー」なるものに参加!
ツアーは、漁船で2泊3日しながら、コモド島を目指すと言う内容。
(南下してオーストラリアを目指す俺と、ツアーの向かう方向が同じだった)
それに、現存する生きた恐竜と言われる、コモド・ドラゴンも見たい!
生まれては初めての、船上で2日以上の生活。
そう言えば、この国に上陸した手段も船だった。
あの時は、船内1泊だったが、精神的にも肉体的にも、気の遠くなるような長い時間に感じられた。
この国で二度と船には乗らないと決めた日でもあったが・・・
まぁ、今回はツアー船だし、快適な船旅だろう。
超格安ツアーだけど・・・
船は漁船だけど・・・
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 船
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-
<LOMBOK(ロンボク島)>
バリ島から乗り込んだシャトルバスは、そのままフェリーに乗り込んで、ロンボク島に連れて行ってくれた。 -
観光客だらけのバリ島に比べて、ほのぼのとした村のメインストリートには、ほとんど人がいない。
ホテルはUS$5で、ナイトショーまで付いているというのに、観光客がいないのは何故? -
海岸では、村の男が船を作っていた。
-
材料は、木材とバナナの葉と竹だけ。
1本も釘を使ってないと言う。
「造船」というより、まさに「作る」という作業を黙々と続けていた。 -
民族舞踊にはかかせない、チャカポコしたガメラン音楽が村に鳴り響く。
今日は、村でなにがしかの儀式が行われていた。
上半身が決めてのバリ・ダンスとは、明らかに違う。 -
子供が、起用にすばやく複雑なステップを繰り返していた。
ここら辺の人間は何かしら芸がある。
俺も手品ぐらい覚えておけばよかった・・・ -
<KOMODO Island Tour (コモド島ツアー)>
コモド日記 初日
『コモド島へ』
ロンボク島にて、「コモド・ドラゴン・カメラ・ハンティング・ツアー」なるものに参加!
ツアーは、漁船で2泊3日しながら、コモド島を目指すと言うもの。
南下してオーストラリアを目指す俺とツアーの行く方向が同じだというのが、参加を決めた条件だった。
それに、現存する生きた恐竜と言われる、コモド・ドラゴンも見たい!
生まれて初めての、船上で2日以上の生活だ! -
朝食後、ツアー客は港に集められ、一斉に乗船を指示された。
船は、少し大きな小型漁船と言った所か?
空は快晴!
波は穏やか!
エンジンは絶好調!
船内はサウナ状態!
と、言う事で、外人のツアー客は早々と水着に着替え始める。
俺も、水着で甲板に寝転ぶ。
背中にものすごい熱さを感じて飛び起きた!
錆止めに、アスファルトを塗った場所に寝転んだらしい。
船長が甲板に海水をかけると、アスファルトからはジュウ、ジュウと音がして、もうもうと湯気が立ち上る。
危なかった、もう少しで鉄板焼きになる所だった。
大丈夫か?このツアー? -
昼食の後は、レクレーション・タイムだった。
と、いっても船を停めて名も知らぬ島の周りを泳ぐだけだが。
しかし、これが楽しい!
どこまでも透きとおる海、シュノーケリングで潜る海中のさんご礁の美しさ、時間を忘れてしまう。
気がかりなのは、ここに鮫はいるかとの質問をされた時、船長がつぶやいた言葉だけだ。
「鮫なんていないよ!海蛇はいるけど・・・」 -
船長が指差す先には、小学校の校庭ほどの大きさの島が浮かんでいた。
なんか、誰かのCDのジャケットみたいな風景だ。
この島が、今夜の宿泊地?
あの島、満潮になると沈んでしまいそうだが、心は反対にドキドキしている。 -
「ここが、あなたの部屋です。」
と、案内された所には、バナナの葉で作った屋根の下に、竹で作ったベンチが置いてあった。
部屋にしては、壁がないのだが・・・
とにかく、人一人がどうにか寝れるぐらいの幅のベンチに腰掛けて周りを見渡してみた。
5m程後方のベンチでは、ドイツ人のピーターが、身長180cmの巨体をなんとかベンチに納めようと四苦八苦している。
その30m程先は、もう海だった。
本当にこの島は、小学校の校庭ぐらいしかない。 -
熱帯の夜は、あっという間に訪れる。
夕食のバーベキューを食べ終えたツアー客は、それぞれに浜辺を散歩したり、酒を飲んだりしている。
本当に素敵な時間だった。
まさか、こんな小さな島で一夜を過ごす経験など、日本にいた頃は考えた事もなかったと思う。
竹のベンチに横たわると、波の音が体を包む。
目を移せば、満点の星空の輝きが見渡す限り広がっている。
心地よい潮風が、髪を揺らしている。
TVも、コンビニも、人口の灯りさえも、はるか彼方の話だ。
それでも、人は、これほど夢見ごこちの時間を過ごせるらしい。 -
コモド日記 2日目
2日目の海は、昨日より少し波が高かった。
時折、船首にぶつかる大きなうねりで、甲板に派手な水しぶきがあがる。
今日は、距離を稼がなければならないらしく、レクレーション・タイムは無いらしい。
つまり、一日中、日焼けタイムだった。
白人のおねぇちゃん、おばちゃんが、オイルを塗りたくってそこら中に寝転がっている。
丸々とコレステロールの衣をまとったおばちゃんの、オイルでテカテカになっている身体が、うねりで甲板の上を右に左に転がりまわり始めた。
助けるのも忘れ、後はパン粉をまぶしてカラッと揚げれば・・・などと失礼な想像が頭をよぎる。
・・・つまり、暇だった。 -
食事の1時間前に、船長は釣り糸を船の後方から流し出した。
5分程で、船長の釣竿がくの字に曲がる。
盛り上がる船長の力こぶ、遠くで飛び跳ねる魚、冗談のように大物が釣れた。
どこからともなく、船員が集まってくる。
意外と大人数だ。
船長が吊り上げた魚を囲んで、その場で魚の解体が始まる。
でかい包丁、跳ねる大魚、飛び散るうろこ、
おぉ、これが海の男の生活か! -
夕食の時間になると、全員、船内の宿泊所兼、レストラン兼、休憩所に降りていった。
船倉は、20畳ぐらいの広さだろうか?
さすがに、これだけの人数が座るとなると、足の踏み場もない。
しかも、どでかい白人だらけときている。
見方を変えれば、難民キャンプの夕食の風景に見えなくもなかった。
しかし、食事そのものは、取れたての魚の煮物、山盛りのフルーツ、白いご飯と、なかなかゴージャスだ。
これでツアー料金8000円は格安かもしれない。
グラッと船が揺れ出した。
波が出てきているらしい。
魚の入った皿が、ひとりでに散歩を始める。
りんごはとうの昔に、船の傾いた方向に飛んでいった。
皆が両手両足を使って、自分の食料を繋ぎとめ始める。
なかなか忙しい食卓が始まる。
いろんな白人が、苦情やら、調味料やら、おかわりやらを、俺に頼んでくる。
ふと気づいた事があった。
ツアー参加者は全部で12人、その内ドイツ人は8人もいる。
その中で、東洋人観光客は俺1人だった。
・・こいつら、もしかして未だに俺を、ガイドと勘違いしているのか? -
コモド日記 3日目
昨夜の海は、時化た!
これぐらい小さな船で、時化た海を航海した経験があるツアー客なぞ、俺を含めているはずも無かった。
船の中の雑魚寝をしていた、12人の迷える子羊達は、とにもかくにも明日の朝日を迎える事を神に祈っていた。
ジェット・コースターの様に上下する船底を転げ回りながら。
そして、夜は明けた。
船もどうにか浮かんでいる。
海上は、昨夜の荒れなど嘘のように穏やかになっていた。
ただし、廻りに浮かんでいる島々の様子は一変していた。
今まで見たことも無いような、禿山だらけだ。
木々を生やした島など何処にも見当たらない。
昨夜のダメージを引きずっているドイツ人生物学者が、未だに続く逆噴射状態の合間をぬって説明してくれた。
「インドネシアの生態系は、コモド島周辺を境にして劇的に変化しているんだ」 -
昼過ぎ、とうとうコモド島が見えてきた!
ボートに乗り移る前に、船長が非常に真剣な顔で説明を始める。
「皆さん、このコモド島の周りは大変きれいなさんご礁が広がっています。しかし、絶対に泳がないで下さい!」
どういう事なんだ?
今まで海蛇がいる海でさえ、喜んでシュノーケリング・セットを貸し出していたはずだが・・
もしかして、この島は環境保護にうるさいのだろうか?
確かに、あのサン・オイルでギラギラ脂ぎっているおばちゃんが、2〜3人泳げばオイル・フェンスさえ必要になるかもしれないが・・・
船長の話が続く。
「この島は、現存する恐竜、時に置き去りにされた大トカゲ、『コモド・ドラゴン』の住む所です。このドラゴンは大変凶暴で、しかも『泳げます』!」
皆の足が、船べりから離れていくのに時間はかからなかった。 -
コモド島は、島全体が国立公園になっていた。
ここでの住民の主役は、大トカゲ「コモド・ドラゴン」。
人間はドラゴンの陰に隠れながら、生存を許されているらしい。
・・・要するに、肉食の大トカゲが放し飼いにされているわけだ。 -
政府のガイドが、幾つかの注意事項を読み上げる。
①ロッジの外に出る時は、夜は特に注意する事。
②ドラゴンに危害を加えた人間は、罰せられる。
③絶対に海で泳がない。(ドラゴンは4kmほど泳げる)
とりあえず、③については、ガイドの後ろに貼ってあった新聞で実感が湧いた。
そこには、2ヶ月前に海岸に打ち上げられたフランス人の死体が写っていた。
腹部にドラゴンの歯型をつけて。
シーンと静まり返った事務所に、緊張感がみなぎる。
白人のおばちゃんが、場にそぐわないのんきなトーンで質問しだした。
「ところで、ドラゴンってあれぐらいの大きさのトカゲ?」
指差した方向には、現存する生きた恐竜が、これから向かうロッジに向かってノソノソ歩いていく姿があった。
・・・シャレにならないぞ!この環境は! -
すごい!
たかだか15mほど離れたロッジへ向かうだけなのに、皆、緊張感で一言も話さない。
辺り一面に目を配り、急ぎ足でドアを目指す。
このツアー、サバイバル・ツアーだったっけ? -
<コモド・ドラゴンとは>
前後、左右、に気を配りながらたどり着いたロッジの壁には、コモド・ドラゴンの生態について、詳しい解説が掲示してあった。
しかし、このての解説につきものの写真が、何処にも見当たらない。
まぁ、実物が庭をのそのそ歩いているこの環境では必要も無いが。
コモド・ドラゴンは、肉食であり、なんと大人のドラゴンにもなると、水牛でさえ襲って食い殺すとの事。
しかも、このトカゲ、共食いもするらしい。
子供ドラゴンがある程度成長するまで木の上で暮らすのも、大人ドラゴンに食われる事を防ぐ為と書いてある。
このオオトカゲ、何でもありらしい。
しかも、木の上にもいるわけか!
この島では、前後左右の上に上下にも気を配らなければならないらしい。 -
コモド日記 4日目
コモド島で迎える最初の朝がきた。
昨夜、いろんな獣の声が部屋に飛び込んできたが、一番うるさかったのは天井裏を走り廻るねずみだった。(・・・多分ねずみだったと思う)
しかし、どんなに騒がしかろうと、船とは違い、ゆれない寝床は快適!
事務所にはこれから始まる、島の奥地にあるという「ドラゴンの巣」までのトレッキングツアーの為に、観光客が集まっていた。
朝8時、政府のガイドを先頭に島の内部へとツアーの列が進む。
天気もいいし、皆ピクニック気分で足取りも軽い。
いきなり、前方で「STOP!」との叫び声が響く。
ガイドが立ちふさがる背後には、見た事も無いような巨大なくもの巣が広がっていた。
もちろん巣の持ち主も、干しがきぐらいはあるボディでぶら下がっている。
ガイドの反応といい、これは毒グモなのだろうか?
朝クモ、夕ムカデは、縁起がいいとは言うが、これほど毒々しいクモでもOKだろうか? -
毒グモのお出迎えも無事終了?し、ツアー・メンバーは意気揚揚と、ジャングルの奥地へと先を急ぐ。
どんな時でも自分のペースを守る俺は、あちこちでシャッターを切っていたら、いつしか列の最後尾を歩いていた。
ツアーが通り過ぎた後の、静寂に包まれたジャングルを写すファインダーの中で、なにやらガサゴソうごめく物を発見!
どんどん近づいて来る。
ファインダーから目を離し、改めて肉眼で見ても、それはドラゴン以外の何物でもなかった。
別段、トカゲごときの顔に表情が浮かぶはずは無かったが、このいそいそと駆け寄ってくる姿は、朝飯を探して、やっとマクドナルドを探し当てた時の俺に良く似ている。
あいつの目には、俺たちが、食べ放題の朝マックにでも見えているに違いない。
「ドラゴン!」
俺が叫ぶと同時に、和気あいあいのツアーは、早朝マラソン大会に変わった。 -
速い!
ダックスフンド並みの足の長さしかない割には、異常に速い!
ぬかるんだ山道、藪の中でさえ、何のその!
4つの短い足をフルに動かして迫ってくる!
2本の長い足で、泥に足を取られながらヨタヨタ走る人間との差が少しずつ縮まってきた。
やはり、ダートには4駆が強いのか? -
いつしか、ドラゴンの吼える声まで聞こえる距離になっていた。
こいつ、トカゲのくせに、「グルグルグルルゥ〜」などと、ライオンのような唸り声をあげていらっしゃる。
しかも、俺より長い舌を、チョロチョロと口から出し入れしている所が、非常に爬虫類っぽくて怖い!
舌なめずりなのか?
まさか、俺の人生にトカゲごときに追いまわされるシナリオがあるなんて!
何だこの迫力は?
本当にこいつ、トカゲ?
実はワニが中に入っているのでは? -
どれぐらい走っただろう?
目前のジャングルに、フェンスらしき物に囲まれた区域が見えてきた。
あそこが、今回のツアーの目的地に違いない。
つまり、この早朝サバイバル・マラソン大会のゴール地点だ。
まさに、「雪崩れ込む」という言葉がふさわしいゴールインだった。
俺の順位は、上位に食い込んだようだ。
最下位からのスタートにしては上々だろう。
最後のランナーがフェンスに飛び込んだ瞬間、フェンスが閉じられた。
皆の顔に安堵の色が浮かぶ。
「助かった!」 -
ほっとした途端、追い込みをかけてきたドラゴンが、ものすごい勢いでフェンスに頭突きをかましてきた。
ドラゴンにしてみれば、ただブレーキが利かなかっただけかもしれないが、衝突音はびっくりする程派手だった。
と、目を疑う光景が!
日曜大工で作ったであろう木のフェンスの蝶番が吹っ飛んだ!
傾いたフェンスの隙間に頭が入った状態で、ドラゴンが衝突のショックから回復した時、フェンスは完全に壊れていた。
このドラゴンがもし2本の足で立てたならば、両手でガッツポーズを取っていただろう。
フェンスの中でドラゴンが再びギアをトップに入れる!
ガンガン近づいてくるドラゴン!
逃げようにも、フェンスの外にもドラゴン!
1人の白人のおばちゃんが転んだ!
ドラゴンまっしぐら!
ツアー客の中からは悲鳴が上がる。
この時、ガイドが動いた。
ドラゴンの尻尾を両手で抱えて踏ん張る!
すごい馬力らしい。
靴底からは砂煙が上がっている。
もう一人のガイドが、丸太の様なステッキをドラゴンの頭に叩きつけた。
弱るドラゴン、活気付くツアー客!
もはや、保護動物だの、絶滅危惧種などと言っている場合じゃなかった。
白人のおばちゃんが叫ぶ!
「殺しておしまい!」
ガイドが皆に叫ぶ!
「皆さん、No Problem!もし何かあっても、この聖なる島では、絶対次も人間に生まれ変われます。安心してください!」
・・・大変ありがたいアドバイスだが、首の十字架を握り締めているこのツアー・メンバーの方々に、ヒンドゥー教の輪廻転生を信じる人間がいると思っているのだろうか?
アニマル・パニック映画でそのまま使えそうなこの光景の中、確約された来世を信じるガイド達の笑顔は、舌なめずりしているドラゴンより、ある意味怖かった。 -
<ドラゴンの巣にて>
まぁ、ガイドのためになるアドバイスも聞けた事だし、乱入したドラゴンも追い払ったし、ジャングルにはまた平和が訪れた。
ひ弱なフェンスの外で、うろつきまわるドラゴン達は少し気になるが、あのスーパーヒンドゥ教徒のガイドがいればどうにかなるだろう。
一休みしたら、急いで帰ろうと思っていたのは決して俺だけではないと思う。
ガイドの1人が「こちらから、ドラゴンの巣が見下ろせます」と案内をしだした時、やっと、このツアーの目的を思い出した。
フェンスから見下ろすドラゴンの巣は、一段と低くなった川の岩場にあった。
どうやら、岩場の崖に穴を掘って巣を作っているらしい。
このトカゲ、異常に速く駆け回る以外に、モグラ並に穴も掘る。
しかも、子供の時は木にも登る。
ものすごく器用なトカゲだ。
巣からは、鼻をつくような匂いと共に、獣の低いうなり声が聞こえてくる。
何の前触れも無く、1匹のドラゴンが、隣の奴の尻尾にガブッと噛み付きなさった。
とてもふざけての甘噛みには見えない。
力いっぱい噛んでいる。
それから後は、子供の頃観た「ゴジラ対キングギドラ」そのものの光景が始まった。
血の匂いで興奮しまくるドラゴン達が、所狭しと大乱闘を繰り広げる。
目を閉じて、音だけたどればライオンのけんかと錯覚するほどの吼え声が谷間にこだまする。
・・・さて、俺たちはここからまた、こういうドラゴンが散歩する道を帰らなければならない。 -
コモド日記 5日目
俺達は、抜けるような青空の下、海のど真ん中に浮かんでいた。
水平線には、コモド島らしき島影が見え隠れしている。
事の発端は、今朝、ロッジの前で、コモド島ツアーは終了してから始まった。
(そう、このツアーは格安だけあって、コモド島への片道ツアーだった)
お世話になったツアーガイドに「このままフローレス島に行きたいんだけど」と、何人かのツアーメンバーが告げる。
答えは「ここからフローレス島までのフェリーは無い」だった。
さて、そこに今までお世話になった、漁船の船長がタイミングよく現れた。
「俺に任せろ!」との頼もしい台詞が飛び出す。
臨時収入に顔をほころばせた船長が、船のエンジンをかけたのがちょうど15分前だった気がする。
船長は、とっくにエンジンを停めて、釣竿片手に黙って水平線を見たままだ。
俺たちの顔にはうんざりした表情が浮かんでいる。
あと少しの所でじらして、値段を吊り上げる手口は、インドネシアを旅した者なら誰でも知っている。
誰かが「How much?」と叫んでも、船長は振り向きもしない。
とことん値段を吊り上げる気らしい。
大洋でボーッと過ごす事1時間、船長が立ち上がった。
懐からばかでかい銃を取り出す。
皆の顔に走る緊張感!
船長はコバルトブルーの空めがけて、引き金を引いた。
白い煙を噴出しながら、ゆっくりと信号弾が弧を描く。
そのはるか後方には、バリ島を出発してフローレス島へ向かう大型フェリーが浮かんでいた。
・・・つまり、この船長は、信号弾で大型フェリーをヒッチ・ハイクしようとしているらしい。
次第に大きくなるフェリーのシルエットは、とうとう漁船の側で停止した。
フェリーから縄梯子が投げられる。
俺達に親指を立てて合図した船長は、ニカッと笑って「GO!」とつぶやいた。
マジ?
俺、今、フェリーをヒッチしている?
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