1994/07/06 - 1994/07/14
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北風さん
1994年7月6日
タイに初入国!
「THAILAND」
この国は、長期海外旅行者にとっては、『KEY COUNTORY』と言われる程重要な国だった。
・格安航空券のメッカだった香港が中国へ返還される今、バンコクのカオサン通りに密集するツアー会社が発行する格安航空券は、世界中のバックパッカーをこの国へ呼び込んでいた。
(別にタイに興味が無くても、ここまで飛んできて目的地の航空券を購入した方が安い場合が多い)
・ロケーション的には、東南アジアのど真ん中で、近隣諸国へは陸路で、しかもカオサンから格安ツアーバス(ビサ手配付き)アリ!
・宗教的には仏教で、他の宗教と違い、「酒、豚、牛」問題なく食する事ができ、しかもタイ・フードが安くて美味い!(世界3大スープのトムヤムクンもこの国のスープ)
・政治的には、非常に平和な国王制で、物価は格安だがバンコクの中心地では、先進諸国のデパートで大抵の物は購入可能。
・タイ自体も、ジャングルあり、ビーチあり、の熱帯リゾート。
ここまで使える国も、めったにないのではないだろうか?
長期旅行者のパスポートに、無数のタイの出入国スタンプが捺されている理由が明白だった。
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 鉄道 高速・路線バス
-
旅日記
『タイへ』
マレーシアのペナン島を出発した国際列車は、熱帯雨林のジャングルをかきわけて、一路バンコクへと北上し続ける。
実は、寝台列車に乗るのも今回が初めてだった。
やっと落ち着いて周りを見渡すと、映画で観た日本の寝台列車の様な、カプセルホテルもどきのベッドが見当らない。
車両の片側には2人がけの対座シート、反対は1人がけの対座シートだ。
確かに、はしごらしき物は据え付けられているのだが・・・
2〜3時間経ったのだろうか?
列車が何駅目かのホームへ停車した時、いきなり廻りの人間が全員下車し始めた。
「飯の時間だろうか?」などと怪訝な顔でガラス越しのホームを見ていると、車掌が「降りろ!」と背後から声をかけてきた。
手の平をもう片方のこぶしで叩くポーズをとっている。
日本人には「・・あぁ、ひらめいた!」のポーズだが、世界ではパスポートにスタンプを押すことを意味する。
つまり、この駅自体が入出国管理事務所らしい。
急いでバックパックを背負って降りると既に長蛇の列が出来ていた。
しかし、まるでベルトコンベアの流れ作業のように、テキパキと事務処理がなされていく。
あの、「明日があるさ」という、のんびりアジアン・タイムとは切り離された世界が目の前で展開されていく。
まるで、定期を見せるように、パスポートにスタンプをもらい、反対側のホームにたどり着くと、そこは「THAI LAND」だった。 -
・・・あれから20時間ほど経っただろうか?
ツーリストの荷物でごったがえす車内に、朝日が差し込み始めた。
昨夜8時ごろに車掌がやってきて、収納されていたベッドを組み立ててくれ、なんとも快適な一夜を過ごす事が出来た為、体力もフルに充填されている。
タイの首都「バンコク」は近い!
空腹の限界も近い! -
<BANGKOK(バンコク)>
列車は、バンコクのメインターミナル「ファラポーン駅」へと滑り込んだ。
なかなか近代的な駅と言えるだろう。
電光掲示板まである。
さて、駅前は、いきなり雑居ビルが立ち並んでいるが、どちらに行けばよいやら? -
「東洋のベニス」と言われるバンコクは、蟻の目の様に張り巡らされた水路が交通機関の一部を担っていた。
-
<タイの市内バス>
タイのバスは、床が板張りだった。
環境には優しいバスかもしれない。
しかも、2時間乗っても15円!財布にも優しい!
市民の足として活躍しているらしいが、旅行者には路線が複雑過ぎて、2時間乗らなきゃ目的地がわからない。
なお、このバスは、昔懐かしい車掌が乗り込んでいる。
ギュウギュウづめのバスの中で、起用に人をかきわけ料金を徴収する動きは、NBAのバスケット選手のように素早いものだった。 -
世界を旅する者が一同に集まると言われる「カオサン通り」
たかだか50m程の通りに、安宿50件、旅行会社30件、みやげ物屋無数、と異次元的な世界が集約していた。 -
旅日記
『カオサン・ロード』
粘りつくような湿度も、身体を焦がす陽射しもなくなった夕暮れ時、カオサンは夜の顔へと化粧直しを始める。
まるで、縁日の夜だった。
昼間の軒を連ねた薄汚れた店が、キンキラのネオンで照らし出される。
歩行者天国となった通りは、金さえ払えば誰でも逮捕してくれると言われる警察署の前から、ほとんど屋台で埋め尽くされていた。
安物のスピーカーからフルボリュームで流れるロック、甘辛いタイ・フードの匂い、目に飛び込んでくる原色のネオンの渦、数え切れないほどの白人旅行者達の群れ、「混沌」という言葉以外に表現の出来ない世界が広がる。
ここには、世界中のあらゆるお土産が売られていた。
エジプトのパピルス、ビルマの竪琴、アフリカの仮面、ヨーロッパの軍用ライター、東南アジアのシルバー・・
さすが世界中を旅した旅行者が立ち寄る場所だけある。日本の有名デパートの世界民芸品会場なんて目じゃない。
なかなかいけるタイ風焼きそばと、バナナ・パンケーキで腹を膨らませ、2時間ほど歩き回ると、熱帯ジャングルをさまよった記憶がよみがえった。さすがに、この熱気に疲れてくる。ここでは毎晩これが繰り返されていると言う。
安宿に帰ると、妙にぐったりしている1人の日本人がチェックインしていた。
けげんに思って尋ねてみると、親しくなったタイ人に、飲み物を勧められた後記憶がなく、2日間病院で昏睡状態だったらしい。
どうやら、タイ名物「睡眠薬強盗」にあったみたいだ。
タイでは強力な睡眠薬「バリウム」が簡単に薬局で手に入る事から、この手の強盗はわんさかいると聞いていたが・・
特に日本人は、そのパスポートが10万円で売り買いされる(タイは世界で出回る偽パスポートの原産地としても名高い)為、よく狙われるらしい。
「バリウムは分量によっては、中毒死するので、
今回は手馴れたプロだったからラッキーだった」
と、つぶやく彼の言葉が印象的だった。
あの、名文句が思い出される。
・・「やった者勝ちのタイ」 -
コンビニでビールを買って、ドアを抜けると・・・
「何故?」という疑問詞がネオンのジャングルの中ベンツの横をすり抜けて現れた。
巨体の土手ッ腹の文字は、ナンバープレートに見える。
・・・では、これは自家用象? -
旅日記
『カオサンでピーピー』
カオサンの泊まって2日目、ものすごい下痢がおいでなすった。
心当たりはデパートの屋上で飲んだアイス・コーヒーのような気がする。
あのグラスに浮かんでいた氷は、どう見ても水道水で作っていたのでは?
吐いて、吐いて、下って、下って、上から下から逆噴射!
トイレはバンコクでの唯一の友となった。
正露丸では全く歯が立たず、熱まで出てきた。
思い浮かぶ病名は、・・・「コレラ」
自力での回復に白旗を挙げた2日後、病院へ行く決心をした。
フラフラになりながら歯を食いしばり、大通りに歩く。
高熱、脱水症状、腹痛、下痢、吐き気が束になって襲い掛かってきた。
今の俺なら、ヘレンケラーに「君はまだ甘いよ」と言える気がする。 -
大通りは相変わらず、「俺がアジアのアイルトン・セナだ!」と勘違いしているドライバーで溢れていた。
その中でも、タイ特有の3輪タクシー「トゥク、トゥク」は、小回りの効く車体をフルに使って、車線を縦横無尽に走り回っている。
このトゥク、トゥクは、ボルので有名だ。
できるなら、普通のタクシーがいい。
が、しかし、このハイエナのように旅行者に群がるトゥクトゥクが、半分ゾンビとなって歩道に立っている東洋人を見逃すはずが無かった。
たちまち、3台のトゥクトゥクに囲まれる。これでは、他のタクシーが停車できやしない。
あきらめて、1台のドライバーに病院までの値段を聞いてみると、なんと、宿で聞いていた値段の3倍までふっかけられた。
どう見ても病人にしか見えない俺が、病院まで行きたいと言っているのに、すがすがしい程の冷酷さだ。
ここで死んでもいい!
絶対通常料金まで値切ってから乗ってやる!
やっとたどり着いた病院では、医者が「ただのウィルス性腸炎」だと診断してくれた。
「ただ」なのか?
ウィルス性腸炎だぞ!
さりげなくウィルス入りコーヒーを差し出すデパート、ウィルス性腸炎を風邪と同じレベルで扱う医者、ここはなんでもアリアリ Thailand。 -
<タイ・そごうの前にて>
排気ガスがもうもうと立ちこめる市内の交差点、
バンコク・そごうの前には、小さな祭壇が祭られてあった。 -
ここの神様はよく願いをかなえてくれるらしく、人々は熱心に願をかけていた。
-
祭壇からは、インドネシアのガムラン音楽の様なチャカ、ポコしたリズムが流れている。
その音楽にあわせて、タイの民族舞踊が始まった。
ゆるやかな仕草が、バリ・ダンスを思わせる。
これは、観光客向けのサービスではなく、現存する寺院との事。 -
-
<Wat Arun (ワット・アルン寺院)>
暁の寺と呼ばれるワット・アルンはバンコクを縦横に流れるチャオプラヤ川に面して高さ79mの姿を川面に映していた。
現在でも周囲に仏教大学を備えるこの仏教寺院は暁に照り映える姿よりその名を頂いたらしい。 -
寺院の周りでは、市内の喧騒が嘘のように、静かにのどかな時が流れる。
タイは異常にのら猫、野良犬が多い。(たまにのら象もいるが)
仏教で基本的に殺生を禁じている為らしく、特に寺院の周りだと完全保護地区になるらしい。
この寺院でも、普通は動物の集団殺戮現場に思える光景が、実は単なる集団昼寝の場になっていた。
それにしても、冷えたアスファルトにつぶれたかえるの様な格好で寝ている犬を見ると、ここまで怠惰なポーズが出来る物かと感心してしまった。 -
様々な装飾を施された仏塔に登るにはかなりの勇気を要する。
上になる程急になる階段の最後の辺りはまるで「はしご」だ。
・・・まぁ、転げ落ちても坊主を呼ぶ手間は省けるかもしれない。 -
仏教寺院にしては、ヒンドゥ教的な装飾が目立つ。
-
しかし、七福神の先祖みたいな像も・・・
ヒンドゥ色の強い仏教とでも言おうか? -
かなり急な階段が、天まで届くかのように続いていた。
ここまで来たら、登らない人間はいないだろう。
ほとんどはしごを登る感じで、頂上にたどり着いた時、胸の中央、ちょい左にあるカラータイマーは赤に変わっていた。 -
久しぶりの運動で心臓はバクバクいっている。
なかなか死にそうな状態だ。
辺りを見回すと、赤い衣を身につけたお迎えが立っていた。
しかし、仏様にしては幼い顔をしている。
お迎えはタイの坊主大学の学生だと、見事な英語で自己紹介した。
タイの信仰は半端な物ではなく、道で坊主に合うと、人々はひざまづいて手を合わせる。
この国では坊主は高い教養と地位を確保しているらしい。 -
<GUEST HOUSE(安宿)にて>
ある日目覚めると、坊主に囲まれていた。(縁起でもない!)
玄関には、この300円の安宿には似つかわしくない豪華なお供え物まで飾ってある。
一体、何が始まるんだろう? -
なんと、まだゾロゾロと後から後から坊主が入ってくる。
頭は丸いが、態度はでかい!
もしや、同室のジャンキーのジョンが死んだのか? -
何やらお経のような文句が唱えられ、近所のじーちゃん、ばーちゃん達が手を合わせ出した。
よく見ると、死んだはずのジョンも、その中で一緒に手を合わせている。
相変わらずのマリファナ・スマイルを顔に浮かべてぴんぴんしていた。
ゲストハウスの女主人を探して何の騒ぎか聞いてみる事にした。
すると、どうも地鎮祭の様な儀式らしい事がわかった。 -
坊主のお経で、人々が手を合わせるのは日本と同じらしい。
ただし、坊さんたちの手に結びつけた糸がぐるっと家の周りを囲んでいるのが、妙にオカルトっぽくて効き目がありそうな気がする。 -
<タイの仏教>
デパートの売り子が裸足でショーウィンドに寝そべり、病院では料金次第でシャブまでうってくれる、なんでもありのこの国でも、仏教に関しては妙にシリアスな面を見せる。
坊主の権力は国王の次に位置するとの事。
P.S.
タイに再入国三度目の時、坊主がイギリス人観光客をレイプしたとのニュースが流れた。
本当に「やったもん勝ちのタイ」なのか?
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