2009/12/29 - 2009/12/31
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kuroneko12さん
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12月27日〜1月1日まで、イタリアを旅行してみた。
目的地はボローニャとその周りとフィレンツェである。
フィレンツェといえば、世界でも有名な観光地の一つだろう。
多くの人が楽しくて華やかな思い出を胸に、帰っていくのだろう。
が、多くの人が訪れるということは、いろんな感じ方をする人がいるということでもある。
いろんな感じ方をする人がいるということは、当然ポジティブな感じ方をする人ばかりではないということだ。
私はどっちかというと、ポジティブな印象を感じることができなかった人だ。
そんなフィレンツェ記。
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 20万円 - 25万円
- 交通手段
- 鉄道
- 航空会社
- KLMオランダ航空
-
花の都フィレンツェ。
ルネサンスの芸術が今も息づいている街。
何が見たいというわけではなかったが、そんな空気を味わってみたいと行ってみた。
ボローニャ中央駅から特急(ES=Euro Star)で50分もかからない。
でも、車窓の景色を楽しもうと思ったら、道中ほとんどトンネルで面白くもなんともなかった。
フィレンツェSMN(サンタ・マリア・ノヴェッラ)駅に着くと、ホテルやらタクシーやらの客引きがわらわらしていてうっとおしいです。
ところで、フィレンツェ行きの列車はSMN駅には行かないで、別の駅に行く列車もある。
そっちのほうがだいぶ運賃が安かったはずだが、フィレンツェの中心までは乗り換えが必要になってしまうので注意が必要だ。 -
フィレンツェは、私がこれまでに行った旅行先の中で、一番「観光地」っぽいところだと思う。
膨大な見どころと、見たことないぐらい多くの観光客、そして華やかさ。
しかも、年末だったこともあって、天気が悪かったにもかかわらず街中はお祭りみたいな空気に満ちていた。
街の人も他の観光客も、はしゃいだ空気を放っていて、それがますますフィレンツェの華やいだ空気を膨らませていた。
写真はドゥオーモである。
ドゥオーモ広場とその周りには、安いピザ屋が多いので、簡単な昼食には困らない。
フィレンツェは見どころが多いので、適当に歩いても何かに行きあたる。
でも、見どころが多すぎてちゃんと計画して歩かないと、効率が悪いのもたしかだ。
まずは、ドゥオーモ広場からヴェッキオ橋にかけて延びる、カルツァイウォーリ通りについて。 -
ドゥオーモの本当の名前は、サンタ・マリア・デル・フィオーレ(Santa Maria del Fiore)。
花の聖母寺である。
もともと古代ローマ時代のサンタ・レパラータ教会があった場所に建てられている。
シエナやピサに建てられた聖堂を凌ぐ大聖堂を建設しようと、1296年に建設が始まった。
ブルネレスキが天蓋を架け終えたのは1436年。
石積みのドームとしては、現在でも世界最大らしい。
そんな昔に、どうやってあんな大きな建物を建て、どうやってあの丸屋根を架けたのだろう?
人間の知恵って凄いと思う。
ドゥオーモはとにかく大きい。
もう厚みも大きさも圧倒的である。
広場の中からじゃ全然全貌が把握できない。
このドゥオーモの全体像を眺めることができる場所はあるのだろうか?
堂内には美術館も顔負けのルネサンス期の美術品が並んでいる。 -
ドゥオーモのクーポラに登る。
入口はドゥオーモの南側、ジォットの鐘楼の裏側にある。
列ができていることが多いから、すぐに分かると思う。
ひたすら階段を上っていく。
途中、堂内に出て、クーポラに描かれた天井画を間近で見ることができる。
これを見るために足を止めてしまうが、あんまり見てると、後から昇ってくる人の邪魔になってしまう。
とはいえ、すれ違うことができないぐらい狭い通路ではない。 -
昇りきると、フィレンツェの街並みが360度見渡せる。
フィレンツェの一番の見どころの一つであると思う。
昇ったのは朝の9時。
日本よりも日の出が遅いため、まだ全然日が昇りきっていない。
この日は、曇り。
冬のフィレンツェにはよくあることらしいが、霧が出ている。
霧に包まれた、朝のフィレンツェ。
鮮やかな景色ではないが、霧が一つの舞台装置みたいで、これは冬の朝ならではの風景なんじゃないだろうか。 -
赤い屋根の建物に交じって、立派な建物が見える。
天気のよい夏の日には、どれだけ美しい景色になるのだろう。
日が昇るにつれて霧も晴れてきて、街並みが少しずつはっきり、くっきりしてくる。
だから、見ていて飽きない。
日中の明るい時間に来るのもいいだろうが、日の出の遅い冬の朝だからこそ、少しずつ明るくなっていくフィレンツェの街並みを楽しむことができる。
ということは、逆に夕暮れ時に来るのも面白いに違いない。
いつも行列ができているドゥオーモのクーポラだが、朝早くだとそれほどではない。
ゆっくりと景色を楽しむことができる。
そういう意味でも、朝の時間に来るのがいいだろう。
…というようなことが某ガイドブックに書いてあるせいか、周りは日本人の個人観光客ばかりだった。
それはそれで。なんだかなぁ。 -
ドゥオーモの脇にある、ジォットの鐘楼にも登ってみる。
ひとつ前の写真にも写っている塔だ。
6ユーロ。
鐘楼は、でっぷりしたドゥオーモの脇で「シュッ!」と空に向かって伸びていて、なんだか見ていて気持ちいい建物である。
もとは尖塔が取り付けられる計画だったらしいが、取り付けられていない。
尖塔好きとしては残念である。
ひたすら階段を昇っていくが、鐘楼はいくつかの層に分かれていて、途中で足を休めることもできる。 -
ドゥオーモ広場にはドゥオーモとジォットの鐘楼、2つの街を見下ろせる高所がある。
どちらが見晴らしがいいかといえば、圧倒的にドゥオーモである。
そもそも、鐘楼のほうが背が低い。
それに、ご覧の通り、鐘楼からだとドゥオーモのクーポラが邪魔になって見渡せる範囲が狭くなるのだ。
どおりで、こんな天気でもドゥオーモのクーポラには列ができているが、鐘楼は空いていたわけだ。
並びたくない人は鐘楼へ、より景色を楽しみたい人はドゥオーモのクーポラへ。
ただ、階段が狭いので、人とすれ違うのはドゥオーモより難しい。 -
それでも、赤で彩られた屋根が続く街並みは見事である。
ところどころに大きな宮殿や教会の屋根が見える。
天気のいい日に、それも春や夏の光の強い時期にくれば、もっと感動的な街並みの景色が見られるに違いない。
これは、サン・ロレンツォの方角の景色。
サン・ロレンツォ教会とメディチ家礼拝堂が見える。
そういえば、このフィレンツェにも中田英寿が在籍したセリエAのチーム、フィオレンティーナがある。
今回の旅行まで、フィオレンティーナがフィレンツェをホームにするチームだとは知らなかった。
そこらじゅうのお土産屋さんでレプリカユニホームを売っていた。
ボローニャよりも熱心である。
フィオレンティーナのほうが、世界的に人気があるのか? -
同じくドゥオーモの脇にある洗礼堂を覗いて、カルツァイウォーリ通りを歩いて、シニョーリア広場へ。
ドゥオーモ広場からこのシニョーリア広場にかけては、人であふれている。
カフェやジェラテリアが立ち並び、賑やかなことこのうえない。
この広場は、かつてフィレンツェ政治の中心地であったという。
フィレンツェ共和国の政庁であったヴェッキオ宮があり、その先には当初は行政機関として建てられたウッフィツィ美術館もある。
今は、ひたすら観光客が集中する一角だ。 -
このシニョーリア広場には、いくつもの像が立っている。
中でも、広場の一角であるランツィのロッジアには、見たことあるような像が並んでいる。
あまりにも適当に並んでいるのでレプリカかと思ったら、どうやら本物もあるらしい。
この広場だけでも、カフェやら像やら見逃せない。
ヨーロッパのほかの街でもそうだが、アイス屋さんがいっぱいある。
で、寒い冬にもかかわらず、結構な人が実際にアイスを食べ歩いている。
私からすれば、「この時期にそんなもの食べたらお腹冷えますよ…?」って感じなのだが。
ヨーロッパ人のお腹は酒にも牛乳にも強いし、いっぱい食べられるし、日本人と比べてあらゆる面で強力なのだろうか? -
ヴェッキオ宮に入ってみる。
入場料は6ユーロ。
入口には飛行機に乗るときと同じ手荷物検査のゲートがあって、そのせいでけっこう並ぶ。
他の美術館でも、これで待たされる。
フィレンツェは12世紀に自治都市となる。
毛織物業や金融業で徐々に勢力を拡大し、やがてトスカナ一帯を統治するフィレンツェ共和国となった。
その際の政庁が、このヴェッキオ宮である。
こんなふうに、かつて使われていた部屋を見て回ることができる。
正直な話、下手な美術館よりも、ここの壁画や天井画のほうが見応えがある。 -
なかでも圧巻なのが、この五百人広間である。
かつてフィレンツェ共和国時代には、この広間で市民会議が開かれた。
やはり、ルネサンス期の名だたる芸術家の作品が空間を彩っている。
ヴェッキオ宮は、いまでも一部が市役所として使われているらしい。
なんて豪華な役所なのだろう。
日本には、江戸時代以前に建てられた建物をそのまま役所にしている自治体はないのでしょうか?
明治期ぐらいなら聞いたことがあるような、ないような。 -
個人的に興味をひかれたのが、「地図の間」である。
初代トスカナ大公、コジモ1世がヴァザーリに命じて造らせたという。
大きな古い地球儀や、地図がたくさん並んでいる。
うまく写真が撮れてなくて恐縮だが、日本の図もある。
コジモ1世にとって、当時の日本はどう認識されていたのだろう。
ちょうど日本は戦国時代であり、キリスト教や鉄砲が伝来した時期である。
個人的には、このヴェッキオ宮周辺がフィレンツェで一番面白い施設だった。 -
ヴェッキオ宮の隣がウッフィツィ美術館である。
初めに通った雨の日の午後も、予約を入れていた別の日の朝早くも、美術館を出た後も、長さの違いはあれど行列ができていた。
ここもコジモ1世がヴァザーリに命じて造らせた建物で、当初は美術館ではなく、行政機関を集めようとしたものらしい。
それをコジモ1世の後を継いだフランチェスコ1世が、メディチ家所有の美術品を収めてギャラリーとしたらしい。
美術の教科書とか、どこかで見たことある美術品、聞いたことがある画家の作品がずらりと並んでいる。
これは世界から人が集まるわけである。
しかし、入場料は6.5ユーロ、予約料が4ユーロ、オーディオガイドは5.5ユーロ。
こんなに高い美術館は初めてである。 -
単純に有名な美術品があるということよりも、その展示の仕方がウッフィツィ美術館の面白いところである。
作家別や、年代順に整理されて作品が並べられている。
まず、ウッフィツィ美術館に展示されているのはキリスト教美術が多いが、その時代による変遷がわかる。
古い作品は、聖母子像や聖人だけを描いたものが多い。
背景も、彼らの聖性や超越性を表現したいのか、金色で塗り込められただけだったりする。
それが、徐々に民衆が描かれるようになったり、普通の風景が描かれるようになったりしていく。
また、昔は宗教美術ばかりだったのが、だんだんと普通の人たちの生活や、風景を描いたものになっていく。
表情や動きも、写実的に、躍動的になっていく。
というわけで、近代に近づくほど絵は面白く、見応えがあるようになっていくと思う。
こういう鑑賞のしかたができる美術館は、たしかにそうそうない。
美術館から見える風景。
アルノ川にかかるヴェッキオ橋である。 -
ウッフィツィ美術館に挟まれた回廊を抜けると、ヴェッキオ橋に差し掛かる。
橋の手前では、うさんくさいバッグや時計を売る人たちが観光客たちに声をかけている。
そのうさんくささは、バッグに接着剤で某有名ブランドのロゴを張り付けているところを目撃できるレベルである。
ヴェッキオ橋はフィレンツェにかかる最古の橋で、洪水で流された後、現在の橋は1345年に架けられたものであるという。
13世紀以降に橋の上に商店が軒を連ねるようになり、16世紀の終わりに貴金属店と宝石店が集まり、現在に至る。
橋の上に商店が集まるというから、盛大な露店市かと思ったら、ちゃんと屋根と壁のある店が続いている。
おかげで、実際に歩いてみると、全然橋の上とは思えない。
このヴェッキオ橋も賑やかだが、ドゥオーモ広場やヴェッキオ広場とは違う独特の雰囲気がある。 -
ここまで見てきたチェントロ地区が、おそらくフィレンツェ観光のメインコースの一つである。
このエリアには少なくとも、おもな見どころが集中している。
が、しかし、それは同時に人も大勢集まるということである。
冒頭のほうで、「これまでに行った旅行先の中で一番『観光地』っぽい」とか、「見たことないぐらい多くの観光客」と書いた。
そんなところをうろうろしていると、ちょっと疲れる。
そんなわけで、少し街から離れた場所にも行ってみることにする。 -
SMN駅から12番のバスに乗って約20分で、フィレンツェの街を一望できるミケランジェロ広場に着く。
12番のバスは、SMN駅の東側奥の広場から出る。
駅の東側にはバス停が集中しているが、道を渡って左に向かい、ちょっとバス停の集まりから外れたあたりに12番のバスの停留所がある。
バスは片道1.2ユーロ。
24時間チケットなら5ユーロ
切符は売り場で事前に購入しておらず、バス内で買う場合、2ユーロの追加料金がかかるらしい。
フィレンツェはバスの路線がたくさんある。
しかし、けっこう肝心のバス停が見つけにくいと思う。
バスに乗るときは、バス停を探して結局道に迷わないように注意する必要がある。 -
右から、サンタ・クローチェ教会、ドゥオーモ、ヴェッキオ宮である。
ついでに、ドゥオーモにはジォットの塔が重なって見える。
これらが一望できる場所は、このミケランジェロ広場以外にはあるのだろうか?
街から離れて車の排気ガスが少ないのと、丘を包む木々のおかげで、空気もいい。
雨と霧がつくった、湿った空気が肺に心地よい。
やっぱり、これで晴れていたら最高なんだろうなぁ。
とはいえ、ここも重要な観光スポットである。
観光バスが次々にやってきて、団体が行ったり来たりしている。
それと、レンタカーだろうか?
車でやってくる観光客も多い。
市バスで来てる人は、とても少ないように見えた。 -
アルノ川とヴェッキオ橋。
ヴェッキオ橋だけじゃなく、アルノ川に橋が連なる様子も眺めることができる。
他の橋と一緒に眺めると、やっぱり完全に商店で覆われたヴェッキオ橋は個性的である。
アルノ川は、古代ローマの時代から水運に役立てられた。
そのアルノ川と街道が結ぶ地点に、エトルリア人が街を建設し、ローマ人が植民都市として発展させたのがフィレンツェであるという。
しかし、アルノ川は昔から頻繁に洪水を起こし、街を水浸しにしてきた。
洪水で流された貴金属店の宝石が、今でも川底にいっぱい沈んでいるなんて話もあるらしい。
最近でも1960年代に大洪水があり、そのときは世界中からピッピーが集まって街の復興に協力したなんて逸話もあるそうだ。 -
建物の切れるあたりに目を向けると、城壁らしきものが見える。
フィレンツェも中世都市である以上、かつては城壁に囲まれた街だったはずだ。
こういうものを見ると、やっぱり歴史の深いヨーロッパの街なんだなという気がする。
フィレンツェはルネサンスの遺産の息づく街である。
たしかに、歴史的な施設の前に立つと重ねてきた歴史の厚みを感じるのだが、街を歩くとどうもそれほどでもない。
たぶん、ブランドショップやジェラテリアが多かったり、人が多すぎるせいだと思うのだが。
そんな感じで、城壁を目の当たりにしてちょっと安心した。 -
ミケランジェロ広場を背にして、林の中を歩くとサン・サルヴァトーレ・アル・モンテ教会がある。
ミケランジェロをして「美しいいなか娘」と言わしめた、素朴ながら品のある美しい佇まいが街中の喧騒に疲れた心を癒してくれる。
広場に大勢いる観光客もここへはあまり来ないのか、静かで落ち着ける。
あたりは散歩道にもなっているので、ちょっとしたハイキングもできるだろう。
ところで、やはりバスの時間は正確ではないのか、街に帰るときのバスは時刻表に書いてある時間から15分遅れでやってきた。
時間には余裕をもって行くようにしたい。 -
サン・サルヴァトーレ・アル・モンテ教会からさらに進むと、サン・ミニアート・アル・モンテ教会がある。
この教会は、ミケランジェロ広場よりもさらに高台にあるためだろう。
景色は広場よりもさらに見晴らしがいい。
教会内部は薄暗いが、シンプルでバランスの良い、美しさを感じる装飾で満たされている。
ちょうど教会内にいるときに、鐘が鳴った。
外で聞く鐘の音とは、響き方も雰囲気も違って、より荘厳に感じた。
ミケランジェロ広場まで行ったら、ぜひこのあたりの教会にも足を延ばすといいと思う。
写真は、教会のある丘から撮ったフィレンツェの街。 -
さてさて、突然だがお土産の話である。
私の印象では、ドゥオーモ広場から、サン・ロレンツォ界隈にお土産になるものを売っている店が多い。
サン・ロレンツォ界隈には、服なんかを扱う屋台がたくさん出ている。
品質のことはよくわからないが、どうやら屋台の裏にある店から直接商品を出しているみたいなので、屋台だからってそんなに質が悪いわけじゃないような気がする。
このエリアにも、手に本物かどうか怪しいブランドものの時計やバッグをぶら下げた黒人がたむろしている。
写真はサン・ロレンツォ教会である。
渋い外見である。
図書館との共通入場券で6ユーロ。 -
私が今回どうしても紹介したくなってしまったのは、ドゥオーモ広場からヴェッキオ宮に向かうカルツァイウォーリ通りからちょっと入ったところにある、「エノテカ・アレッシ」である。
「歩き方」にも紹介されているし、行ったことがある人も多いだろう。
ここは、ワインだけでなく、トスカナ産のお菓子も取り扱っている。
まさに、トスカナのお土産がここだけで手に入るのである。
しかもである。
なんと、日本人の女性が働いているのだ。
ワイン選びなど英語でイタリア人相手にできるのだろうかという私の心配は、彼女を見た途端に雲散霧消した。
村上春樹が、ワインならばやはりキャンティ・クラシコのなんとかいうワインであると、どこかの小説だかエッセイだかに書いていた。
ぜひ、それを探したかったのだが、正確な名前を思い出せず、事前に調べる時間も取れず、半ば諦めていた。
ところが、彼女にこの話をしただけで「CHIANTI CLASSCO Badia a Coltibuonoですね」と案内してくれた。
さすがである。
彼女がいなかったら、そして彼女が村上春樹を読んでいなかったら、私が村上春樹が推薦し、絶賛するワインを飲むことはできなかった。
せっかくなので「当たり年」だったという2004年の一本を購入。
正確な値段は忘れたが、29ユーロしたかしないかである。
たしかに、とても美味しかった。 -
さてさて、他にはアカデミア美術館、メディチ家礼拝堂、サン・ロレンツォ教会教会等々定番の場所を回ったり、スーパーやカフェをうろうろしたりして過ごした。
フィレンツェといえば、世界でも有数の観光地の一つだろう。
観光客もたくさん集まっていた。
しかしである。
正直に言って、総合的にはフィレンツェの印象はあまりよくなかった。
理由としては、華やかだったり、騒がしかったりする場所が苦手だってことがあるだろう。
年末という独特の空気も、そんな雰囲気に拍車をかけていたのかもしれない。
なんかこう「一人ディズニーランド」みたいな気分になった。
(やったことないけど)
写真は、アルノ川。 -
加えて言うなら、カフェやレストランがイマイチである。
「日本と同じようなサービスを期待していて裏切られた」とか、そういうのではない。
これは私が悪いのかもしれないが、システムをどうも理解できなかった。
カウンターで注文するのか、それとも席で注文するのか、店によって違う。
カウンターに行ったら席でオーダーしろと言われたり、席でオーダーしようとしたらカウンターに行けと言われたり。
店員も妙にあくせくしているので、そういうことを言う態度もちょっと乱暴なのだ。
レストランはレストランで、客によって態度が違う。
隣の白人カップルには食後のエスプレッソやドルチェを勧めているのに、私には見向きもしないとか。
頼んだものが悪いのか?
私が金を使わなそうに見えたのか?
東洋人の男一人だから適当な接客でいいと思ったのか?
けっこう不愉快である。
写真はフィレンツェ名物の一つとされる、パンのスープ。
サンタ・クローチェ教会近くのレストラン"Maremma"で食べた。
前菜とワイン込みで35ユーロぐらい。
接客は不愉快でも、ちょっと値段は高めでも、食べ物は美味なフィレンツェ。
ちなみに、大晦日にはメニューが変わる店が多い。
ちょっとお値段高めになるうえに、チョイスできるものが少なくなる。 -
イマイチといえば、ホテルもイマイチである。
泊まったホテルは、サンタ・マリア・ノヴェッラ教会の裏にある、Aprile-Palazzo dal Borgo。
「歩き方」にも「アプリーレ」として紹介されている4つ星ホテルである。
メディチ家のパラッツォを改修したホテルだという。
そこそこ安かったのと、駅に近いから選んだ。
が、しかし、ここがまた酷かった。
まず、部屋が掃除されていない。
ずっと掃除してなかった部屋の隅に発生するホコリの親玉みたいなカタマリが、部屋のあちこちに落ちている。
憤慨して掃除してくれというと、部屋の隅に押し込めただけ。
そして、夜になると従業員たちがホテルのバーで騒いでいる。
勘弁してほしい。
「これが4つ星!? 10段階評価の4ですか?」という感じである。
どんな基準で格付してるのか、非常に興味がわいた。
これがフィレンツェスタンダードなのか、たまたまイマイチなホテルに泊まってしまったのか。
まぁ、受付の態度はひとまず親切だったのが救われる。
写真は、ホテルのあるサンタ・マリア・ノヴェッラ教会の裏の通りである。 -
そもそも、なんかこう見どころである観光施設にコンセプト?や意志みたいなものが感じられなかった。
メディチ家やルネサンスの遺産をただ並べているだけなように見えた。
「見たいんだろ?見せてあげるよ」という態度が透けてみえるように私には感じられた。
観光資源に恵まれているせいで、努力をしていない観光地ってこんな感じじゃないだろうか。
そういう場所を回っていると、旅行しているはずなのにあんまり心が潤わない。
むしろ、疲れてなんだかささくれてくる。
とはいえ、それでも見てしまう。行ってしまう。
余計に、ネガティブなイメージが溜まってくる。
私にとってのフィレンツェは、そんな場所であった。
写真は、カフェ・ジッリのティラミスとカプチーノ。
ティラミス:2ユーロ カプチーノ:5.5ユーロ コペルト3ユーロ
ティラミスよりも席料(コペルト)のほうが高いというのは、いかがなものか。 -
最後のネガティブは、空港行きのバスについて。
元日の早朝、私は日本に帰るためペレトラ空港からのフライトに乗ることになっていた。
なんとなく察しはつくだろう。
バスが来なかったのである。
前日、ホテルで確認してもらった。
空港バスは元日ではあるがちゃんと運行する、と。
従業員の口先ではなく、ネットで運行情報を調べてもらったのだ。
イタリアだし、元日にはバスは動かないだろうと思っていたのだが、ちょっと見直した。
ピサ空港行きのバスは来た。
が、しかし、待てどもペレトラ行きのバスは来なかった。
結局、一緒に待っていた日本人の方とタクシーをシェアして空港まで行った。
彼女もバスの窓口で運行状況を確認し、バスが動くと聞いて待っていたのだそうだ。
ある意味、イタリアらしいといえばイタリアらしい、期待を裏切らない話だと思った。
ひどい話だが。
ひどいといえば、シェアしたタクシーの料金。
私がレートの計算を間違えて、だいぶ多く払ってもらってしまったことに後で気付いた。
すみませんでした。
写真は、ドゥオーモの正面の彫刻。
見事である。
次の機会があれば、もうちょっと楽しめるフィレンツェ旅行の仕方を知りたい。
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