1997/11/21 - 1997/11/22
395位(同エリア638件中)
北風さん
予定では、ツアーの最終日だった。
今日は、観光だけではなく
「ボリビア出国」
「チリ入国」
というイベント目白押し!
国境越えの日は、なるだけ時間に余裕を持って望むのがセオリーなのだが、ここは標高4000mの荒野が支配するウユニ・ツアー・ルート。
自分の現在地はもとより、一体いつ国境に着くのかさえドライバーまかせ&運まかせ。
ただランクルの座席で外を眺めるだけのドナドナ状態。
これほど忙しい一日が、これほどいいかげんに今、幕を開ける!
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- 一人旅
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-
旅日記
『ツアー4日目』
地平線の向こうに霞む山々を目指し、我がツアー車は速度を上げている。
もはや、あれほど出現した塩の湖は現れない。
あるのは地平線まで続く砂利道。
ドライバーも今までの慎重さなど忘れたかの様に、アクセルを踏み続ける。
アイルトン・セナでも憑依しているんじゃないだろうか?
しかし、走欲を100%満足させているドライバーとは裏腹に乗客はほとんどグロッキー状態だった。
口をしっかり閉じていないと舌を噛みそうな振動、さえぎるものがない直射日光でサウナと変わらない車内、窓を開けると飛び込んでくる土煙、サハリ・ラリーに参加したら、多分こんな感じじゃないのだろうか? -
「僕の前に道は無く、僕の後に道はできる」
と、誰かがのたまっていたが、確かに現在、道は無い。
あるのは無数の車のわだちだけ。
あの山の向こうにチリ国境はあると言う。
しかし、恐ろしいほどのスピードで飛ばしているにもかかわらず、その距離は一向に縮まらない。
チリは遠い。 -
ドライバーがいきなり速度を落とした。
どうしたんだろう?さすがにアクセル以外のペダルを踏んでみたくなったのだろうか?
「有名なヨーロッパの画家ダリが描いた風景は、この場所です」
との説明が始まった。
確かにどこかで見たような景色だが・・・ -
信じられないぐらいの平坦な荒野のど真ん中、奇妙な形の奇岩が取り残されていた。
長い長い時間をかけて、わずかな雨と風が風化させているらしい。 -
これぐらいデカイ!
-
旅日記
『標高4000mの天気』
目の前の山へと続く坂道が見え出した頃、アイルトン・セナが憑依していたドライバーは、正気を取り戻した。
我々の信頼を取り戻すかの様に、慎重なハンドルさばきに戻り始める。
まるで、身体のどこかに「高速用、低速用」のスウィッチがあるみたいな激変ぶりだ。
そして、車外でも激変しているものがあった。
山を登るにつれ、あれほど快晴だった空に雲が広がり、青一色だった世界が灰色のどんよりとした世界に変わっていく。
車内では、急激に落ちていく気温に乗客全員フリースのジッパーを引き上げ始める。
そして、頭痛が始まった。
今まですっかり忘れていたが、この国自体が標高4000mの大地にあり、しかも現在更に車は登っている。
つまり、高山病の条件はそろっているわけだ。
ドライバーが「あと少しで峠を越えます」と言っている気がする。
あと少しって、あのカーブを曲がったらの事だろうか?
山道特有のうねるようなカーブを抜けると、そこは・・
標高5000mオーバーの「雪」の降る峠だった。 -
峠を越えると、そこはふり注ぐ太陽と鼻をつく硫黄の匂いが待っていた。
-
「山を越えると、チリです」と言われたはずだが、ここはどう見ても「別府」だった。
朝の冷たい空気の中、間欠泉が地鳴りと共に白煙を吹き上げている。 -
確かに周りの風景は、昔修学旅行で観た「別府の地獄めぐり」に似ている。
が、しかし、決定的な違いは周りのあちこちでボコ、ボコと硫黄のガスが湧き出ているのに、どこにも危険マーク等表示がない事だ。
これなら、好きなだけがぶりよりで観る事ができる。 -
「アウチ!」
あのアメリカンカップルが叫んでいる。
そりゃ、触れば火傷するんじゃないか?普通 -
ドライバー兼ガイドがのたまう、
「これが最後の湖だ!」
・・・湖にしては、湯気が立っているのだが? -
ドライバー兼ガイドが指差す、
「あの向こうがチリだ!」
・・・これで3度目なんだが? -
湖に手を入れると、妙に生ぬるかった。
先程観た間欠泉といい、ここら辺は火山活動が活発らしい。
これは、温泉が湧く条件がそろっているのかもしれない。 -
小川をたどっていくと、なんと、日本風の露天風呂が!
-
もちろん、我がツアーが誇るおちゃらかアメリカン・カップルは既に「ババンバ、バン、バン、バン」と、湯気の中いちゃついている。
こいつら、このおどろおどろしい水底を知っているのだろうか? -
温泉ツアーが終わって身体が急速に湯冷めしだす頃、また湖に着いた。
ドライバーの言う言葉は決まっている。
「着いたぞ!」
・・・えっ、いつもの「これが最後の湖だ!」じゃないのか? -
風が止んだ湖面に、チリの山々が映し出されている。
この美しさは、やっと最終ゴールにたどり着いた安堵感からくるものだろうか? -
白い湖ともこれでお別れと思うと、さすがに感慨深げに見入ってしまう。
美しい!
本当に! -
塩湖のまん中の白い中州がボリビア〜チリの国境安全地帯らしい。
ドライバーが叫んだ。
「VAMOS!(さぁ、出発しよう)」 -
旅日記
『チリへ』
チリ国境手前で、我がツアー・ドライバーは「アディオス!(さよなら)」と一言。
確かに目の前の国境管理事務所にて、チリ入国は果たせる。
が、しかし、周囲には依然として無限の荒野が広がっている。 -
こんな所からどうやってバスが通る町まで行けと言うんだろう?
ツアー会社は、ここから先の交通手段も手配しているとは言っていたが・・・ -
旅日記
『ウユニを越えて』
ボリビア国境管理事務所には鏡がかけられていた。
鏡の中に映る東洋人らしきツーリストが手にしているパスポートには、「JAPAN」の文字が。
しかし、これが日本人と言えるのだろうか?
何日も風呂に入ってないボサボサの長髪、ひげと垢まみれの顔。
4000mという高地での強烈な日差しと強風、極度の寒さと乾燥にさらされ続けた皮膚は、コーヒー色に変色して、老人のようなしわが無数に刻まれている。
まるでトカゲのウロコみたいだ。
唇なんか、縦にぱっくりと割れて血がにじんでいるじゃないか!
しかし、この代償として出会えた風景を考えれば、それ程悲惨な状態じゃなかった。
不思議な亀甲模様で飾られた白い大地、ポツンと建っていた塩でできたホテル、白い水平線に浮かんでいたサボテンの島、高地を吹きすさぶ強風が連れてくる夕焼けのアート。
あの光景は本当に現実だったのだろうか?
ウユニ、世界で最も大きい塩の湖。
周囲で50cm、中央で5mを越える分厚い塩で覆われた白い海は、俺の南米観光ではベスト3に入った。
塩あり、山あり、砂漠あり、湖、温泉、そしてフラミンゴまでついて、しかもチリにも入国できた。
これは、南米ベスト1のツアーかもしれない。
後は、この国境から連れ出してくれる車が来れば完璧なのだが・・
ふぃに背後から声をかけられた。
小型のバンから顔を覗かせているのは、インディオとは明らかに違う白人のおっちゃんだ。
「ここから先は、俺の車だ。ボリビアの奴らはチリには入れねぇからな」
OK!いい加減が常識のこの南米で、まさか先に来て待っているなんて考えても見なかったが、結果オーライだ。
さぁ、チリへ!
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