2009/12/13 - 2009/12/13
434位(同エリア596件中)
まゆままさん
彦根を後にし、甲良町の旧甲良東小学校、そしてこちらも楽しみにしていた豊郷町の豊郷小学校旧校舎へ。
二つの旧小学校校舎を巡った後、最後の締め?に五個荘へ訪れた。
五個荘では近江商人屋敷の藤井彦四郎邸の見学ができた。
大所帯ながらピンポイントではあったけど満足な建築巡りができてよかった〜
PR
-
彦根を後にし、甲良町立図書館へやってきた。
この建物は昭和8年に完成した東甲良尋常小学校の本館部分を活用したもの。
校舎は全国でも類をみない総檜造りで当初その豪勢さは日本一とも言われたとか。
小学校建築には、当時の村長が陣頭指揮をとり、村民や児童なども一丸となって参加。
8年の歳月をかけて校舎は完成したそう。
半世紀を過ぎ、建て替えが決まったが住民の要望により移転保存され、平成4年には町指定文化財の建造物に指定された。 -
鉄筋コンクリート造の玄関ポーチはエンタシスの円柱とタイルを張った角柱の組み合わせなど当時ではモダンな意匠であった。
-
二宮金次郎像
-
小学校の名残が残る一階の廊下。
クリスマスの絵本特集のコーナーが設けられていた。 -
受付カウンター
-
一般の書架
-
受付カウンターのそばには当時のものらしき重々しい金庫?が置かれていた。
-
旧校舎、移転の際には建物の下にレールを敷いて、コロをかませて曳き移したのだそう。
そ、そんなことができるんだ〜とびっくり;
この写真がまさにその最中で建物が県道を越えてるところ。 -
児童書のコーナー
どの部屋も天井の造りが豪華。 -
階段
-
二階の廊下。
二階は当時使われていた教室の雰囲気がそのまま残されている様子。 -
古い教科書がずらり並べられていた。
-
旧校舎に使われていた鬼瓦もいくつか展示されていた。
-
旧講堂の花頭窓
-
こちらは「作法室」
-
畳敷きの大広間。
-
窓の外はのどかな田園地帯が広がる。
-
甲良町立図書館を後にし、豊郷町へ向かった。
-
豊郷町ではお目当ての豊郷町立豊郷小学校旧校舎へ訪れた。
-
昭和12年に豊郷出身の実業家、古川鉄次郎の寄付に基づきヴォーリズによって設計された豊郷小学校。
当時としては珍しい鉄筋コンクリート構造の校舎で「白亜の教育殿堂」「東洋一の小学校」として長く町民に愛されてきた。
当時、商社丸紅の専務だった古川氏は財産の三分の二を投じて小学校建設に尽力したそう。
古川氏の故郷の村を大切に思う気持ちに在校生や教職員が感謝の気持ちを持ってそれに応え、
建物の立派な外観に伴うよう教育の内容の充実を図り、成果を残していったという。
平成11年には解体計画が持ち上がったが、地元町民の力により解体は免れ現在は図書館や子育て支援センターなど、教育、福祉施設などに改修されて活用されている。 -
-
-
建築当初の意匠をできるだけ損なうことなく保存改修された廊下。
-
階段の手すりには有名なうさぎとかめのブロンズ彫刻が。
-
階段を上り進むうちにストーリーが展開していくのが面白い。
-
-
一階から二階の折り返しには昼寝するうさぎ。
-
三階の終点近くには昼寝するうさぎを追い越してまさにゴール寸前のかめの姿。
この彫刻があるのは一か所だけかと思いきや全ての階段につけられていた。
ヴォーリズらしいユニークで温かみのあるデザインだった。 -
-
-
廊下に面している教室の窓。
-
こちらは唱歌室
-
応接室
-
理科室
-
理科室にはコックス配電装置、ガス装置などが備えられていた。
その他にはも各室廊下には温水暖房設備、電気時計設備のほか職員室には、各建物に通 じる電話交換室があり、トイレも一部水洗とされるなど戦前の小学校として最高の水準だったという。 -
手洗い場の床周りだけはタイルが敷かれていた。
-
講堂、外観。
-
講堂は緩勾配に張られた板張りに木製の長椅子が並べられている。
両側面にあるべり出しの高窓も復元されたそう。 -
講堂の対面上に建てられていた酬徳記念館はかつて図書館だった建物で、現在はカフェ&ギャラリーとして使用されている。
-
-
柱が並ぶ吹き抜けの空間やアールデコデザインのフェンスや照明が特徴的で美しい。
-
-
二階ギャラリーへの螺旋階段
-
二階フェンスの装飾
-
人気の深夜アニメ「けいおん」の舞台のモデルとなったことからアニメファンが訪れているそうで駐車場にはこんな車がずらりと並んでた。
-
近くには明治20年に建設された豊郷小学校の初代の校舎も残されている。
-
昭和12年に二代目の校舎が建設された時にこちらの本館はヴォーリズによって内部が改修され教員宿舎として再生されたそう。
英語教室の看板がかかってたが、中をのぞくと荒れていて現在は使われてない様子だった。 -
-
近くにあった四十九院公民館・・この建物も相当古そう・・
-
この辺りでよく見かけた板塀はベンガラ混じりなのか?赤味を帯びていたのが特徴的だった。
-
最後に五個荘へやって来た。
五個荘では近江商人屋敷が四か所公開されていて、そのうちの一つ「湖国のモダン建築」に載っている藤井彦四郎邸へ訪れた。
藤井彦四郎は人造絹糸やスキー毛糸の製造販売などで成功したという近江商人。
こちらの屋敷はこの地域の伝統的な民家の主屋(明治初期)、書院造の客殿(昭和8年)、洋館(昭和9年)の三棟、そして広大な庭園からなる。 -
豪華な総檜造りの客殿。
-
13畳半の主客間は格調高い書院造り。
-
主客間の床の間は三畳大あり、天井は豪華な折上げ格天井になっている。
-
客間
-
庭園側の縁は広々とした一間の畳縁。
-
庭園は藤井彦四郎自身の構想で珍石、名木を配し、琵琶湖を模した池を中心に設けた池泉回遊式の大庭園になっている。
-
-
そしてお目当ての洋館の外観。
彦四郎が欧州視察で目にしたスイスの山荘に憧れ、昭和9年に建築したもの。
丸太を張り付けた山小屋風。 -
-
客殿から洋館への渡り廊下。
天井は舟底天井に。 -
シックな洋館の内部
-
和風なシャンデリアがこの洋館の雰囲気にしっくりと合ってた。
-
レンガ積みの暖炉
-
藤井彦四郎がスクラップ同様の英国観光船を一隻買い取った際の船内備品の一部であった書架。
-
-
こちらも買い取った船内備品の一部だったチップ入れつきテーブル。
-
当時小学校の教師だったという祖父が購入したという当時では大変高価だったオルガン。
子どもたちや地域の人を集めて、音楽を広めたという。 -
檜のお風呂
-
最後に回った主屋。
ここは勘定部屋。
客殿とは対照的に彦四郎の生家を移築した生活の場となる主屋は近江商人らしい質素な暮らしぶりがうかがえた。 -
台所のかまど
-
中庭にはさまざまな道具類が展示されていた。
-
五個荘の和風な屋敷が立ち並ぶ中、不思議な存在感を放っていた洋館は大正14年に五個荘郵便局として建てられたという、松居家住宅洋館。
直線的なデザインが特徴の日本では大正時代に流行したセセッション様式の建物。 -
-
日も暮れかかって来たのでこの日は松居家住宅洋館を最後に帰途へ着いた。
ピンポイントになってしまってじっくりと歩き回ることはできなかったけど、大所帯ながらなかなか充実の建築巡りができた一日だった。
この旅行記のタグ
利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。
この旅行記へのコメント (6)
-
- ホーミンさん 2010/01/05 12:00:44
- 湖国へようこそ
- まゆままさま
あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。
滋賀県に住みながら、湖北湖東には疎いもので、興味深く拝見しました。
今回も精力的に見てまわられましたね。
一人でこれだけ見るのも大変だと思われるのに、今回は大勢でまわられたとのこと。
そろそろお子様たちも、建築に興味を持ちだされたのではないでしょうか?
豊郷小学校校舎の存続是非でもめていた時は、今にも血が流れそうな雰囲気もありましたが、こうして残された校舎を見ていると、ああ残ってよかったと思うと同時に、当時大きな関心も持たずにニュースをながめていた自分が恥ずかしくもなります。
ウサギとカメは有名ですが、ストーリーがあったとは知りませんでした。
昼寝をするウサギと追い抜くカメはよい教育材料で、子供たちはこれを見るたびに、怠けず頑張ろうという気をおこしたのでしょうね。
豪華な邸宅も大変興味深いですが、古い校舎や教会は、じかに触れ合ったことがあるので、親しみや懐かしさをもって見られるのでいいですね。
そうそう、「柿の天ぷら」を作りましたよ。
いただき物のふゆ柿で作りました。
甘さが一層増して美味しかったです。高温で一気に揚げるといいみたいです。
材料は渋柿でもよかったかもしれませんが、お店では見かけないので試せませんでした。
- まゆままさん からの返信 2010/01/05 21:14:37
- RE: 湖国へようこそ
- ホーミンさん、こんばんは!
あけましておめでとうございます〜こちらこそよろしくお願いします〜
そういえば最近滋賀の方へ行くこと多いです。
一人では車の運転がなかなかできないので、ここぞという遠出の建築巡りは
一家総出です;
相変わらず旦那、子どもたちは建築巡りには興味なしって感じですが;
両親はやや洗脳?されてきてるようです。
豊郷小学校は私も詳しくは知りませんでしたが今回見に行ってから少し調べてみました。
ウサギとカメのブロンズの装飾はストリー仕立てになってるとは
私も行って初めて知り、とてもほほえましく思いました。
階段の手すりをうまく利用したナイスなアイディアですよね〜
ほんとに子どもたちにとってはよい教訓になったでしょうね。
戦時中には徴収されてしまいしばらくなかったそうなのですが、
建築当時の現場監督が後年なつかしんで訪れた際、なくなってしまったことを知り
その方の自費で再び復元されたものなのだそうです。
いろいろな方の思い入れのこもった建物だったんだなあと思いました。
今回旧小学校を二つも巡ることができましたが
二つともそれぞれ元の立派な造りの校舎が活かされていて、残されるにふさわしい建物だなあと実感しました。
建物自体の保存と共に、それらの建設にかかわった方々の熱い思い入れみたいなものも大切に心に留めておきたいものです。
「柿の天ぷら」作っていただけましたか!
私は杉五兵衛で食べて以来なんですが・・あの塩のピリッと効いたシャキシャキした柿は美味しかったなあ〜と思い出されます。
-
- ゆういちろうさん 2010/01/04 21:31:26
- やっぱり学校はいいな〜
- まゆままさん、こんばんは!
そして、新年明けましておめでとうございます。
今年もどうぞ宜しくお願いします m(_ _)m
まゆままさんはこの日は随分と精力的に、あちこち見て回ったんですねぇ。
ご家族がここまで付き合ってくれるなんて、まゆままさんは幸せかも!
ところでこの二つの学校もまたまた素敵です。
古い校舎好きの私は、今回も興奮しながらみてしまいましたよ〜!
東甲良尋常小学校の和洋折衷ぶりは素晴らしい!
そしてその天井が!格天井になっているんですねぇ。
学校が県道を横切っている図もびっくりです。
でもなんだか愛らしい風景ですね。
豊郷小学校も噂には聞いていましたが、
大学の校舎かと見紛うほどの立派な建物で、これまたびっくりです。
ここってそういえば、校舎の存続を巡って色々とあった場所でしたね。
まゆままさんはサラッと書いていますけど
ネットで調べてみたら、かなりドロドロとした話だったのですね。
うむむむむ・・・。
でも結果としては、この建物を残してくれてありがとう!!!
って町民の皆様に言いたくなるような、素晴らしいものでした。
昔の人の教育への意気込みや情熱って凄いものがあります。
将来を背負って立つ子供達の為に、これだけの建物を建てるんですから!
国を造るためには教育が大事であるという考え方は
今でも世界中の基幹であるとは思うのですが
最近の日本はそれが忘れられているのではないかと
昔の校舎を見る度に思う私であります。
ゆういちろう
- まゆままさん からの返信 2010/01/04 22:04:03
- RE: やっぱり学校はいいな〜
- ゆういちろうさん、こんばんは!
こちらこそ今年もよろしくお願いします〜
そうですよね・・この日も家族の様子を伺いながらですが
当初予定していた以上にスムーズに回ることができてよかったです。
私は幸せ者かもしれません〜
ほんとに東甲良小学校にしても、豊郷小学校にしても
ゆういちろうさんがおっしゃる通り
小学校の建設の経緯を知ると、昔の人の教育にかけるただならぬ情熱が
ひしひしと伝わってきます。
その時代を考えると小学校といえども手抜かりのないすばらしい素材と設備を備えた建物に驚きを感じました。
更に豊郷小学校旧校舎では故郷の村の為に私財を投げ打って協力したという古川鉄次郎氏の商人魂?みたいなものにも感動しました。
そういうすばらしい好意を無にすることなくこの建物が残されたのは本当によかったです。
>国を造るためには教育が大事であるという考え方は
>最近の日本はそれが忘れられているのではないかと
>昔の校舎を見る度に思う私であります。
本当にそうですよね、昔の校舎を通していろいろと考えさせられることありますね。
-
- marsyさん 2010/01/04 13:15:33
- 遅くなりましたがおめでとうございます
- まゆままさん、本年もよろしくお願いいたします。
豊郷小学校訪れられたのですね。あの建物は綺麗に改修され過ぎていて、まゆままさんが他に回られておられる建物のように懐かしいという雰囲気はあまりしないかもしれませんんね。その辺まゆままさんはどう感じられましたか?
ところで3階の特別な部屋はのぞかれましたか?すごいことになっていましたでしょう。また痛車を撮影されておかれましたが、当然それに乗って来ているヲタクさんもたくさんおられたことと思いますが、それらの方々はどう思われましたか?(ま〜趣味は人それぞれだからいいんですけどね)
では、今後も近代建築巡りをお楽しみください。
まゆままさんの旅行記に“ポチッ”とな。
- まゆままさん からの返信 2010/01/04 21:31:19
- RE: 遅くなりましたがおめでとうございます
- marsyさん、こんばんは!
今年もよろしくお願いします〜
豊郷小学校、行って参りました。
たしかにきれいに改修され過ぎると古びた味わい深い雰囲気はやや損なわれがちですが・・
今後の末永い保存を考えるとるきちんとした補修は必要でしょうし、
アンティーク加工(笑)?みたくするわけにもいきませんでしょうから仕方がないですよね。
でもこうして取り壊しの危機にあった建物がきちんと改修されて、
新たな目的で再利用されるというのは、とてもすばらしいことだなと思います。
「痛車」って何?!と思って調べましたが
アニメのキャラクターなどの塗装をした車のことでしたか・・
すごい塗装に目はくぎ付け?って感じで、
驚きと共に持ち主のアニメにかけるただならぬ情熱を感じて感心してしまいました〜
オタクの方々は全然気になりませんでしたよ。
自分も人のこと言えないかなり怪しい建物オタクといえるんで;
コメントを投稿する前に
十分に確認の上、ご投稿ください。 コメントの内容は攻撃的ではなく、相手の気持ちに寄り添ったものになっていますか?
サイト共通ガイドライン(利用上のお願い)報道機関・マスメディアの方へ 画像提供などに関するお問い合わせは、専用のお問い合わせフォームからお願いいたします。
湖東三山・多賀・東近江(滋賀) の旅行記
旅の計画・記録
マイルに交換できるフォートラベルポイントが貯まる
フォートラベルポイントって?
6
75