キンシャサ日記【666】日本人は帝国主義外国人の延長なのか？

1976/07 - 1976/07

1976年7月

運輸省首席参事官ユマの推薦で、ザイール人の統率役として採用したンポイは、採用時の約束だった三か月の試用期間が終わり、「総務部長候補」から「候補」の字がとれ、晴れて「総務部長」となった。

ザイール人部下が私の部屋に来るのが、緊張気味なのとは少し異なり、彼は少し違っていてとても楽しそうだ。

ザイール人の労務職や一般職がかえった後、毎日のようによくやって来て、彼の得た情報や所内の事情を、粗細漏らさずに話してくれる。


その理由は、二つあるように思える。

一つは、彼の年齢が私に近く、社会を見る角度が似ていること。

もう一つは、日本人を見る目が新鮮なこと。


しかし彼の部下であるザイール人の評判は、必ずしも良いとは言えない。

彼はもっと部下の立場に立って、彼らの仲間として、代表としての意見を私に述べ、私の狭い視野を広げてほしいのだが、私と同じ角度から部下たちの悪い点を見ようとしている。

その結果部下たちから見れば、彼は日本人の代弁者であり、自分たちと共感し合える仲間ではなくなる。


私からすれば、彼はザイール人たちの心を掴み、統率できる、リーダーであって欲しいのだが・・・。

部下たちからすれば、彼はモノが分かっていない新参者なのだ。


部下たちは日本人を「ザイール社会に不慣れなだけの外国人」と見ている。

要するに日本人はこの国を植民地化し、現地人を差別の目で見ようとする、ヨーロッパ人と同様の立場にいると考えている。


これに対しンポイは、日本人はほかの外国人とは違い人道的で、「ザイール人を植民地的感覚から解放しようとしている」と見る。


彼が部族的にも孤立していて、仲間がいないことも、この国では組織になじめない大きな原因なのだろう。

彼の出身は、チルバ語を話す西カサイ州で、どちらかと言えば少数派なのだ。


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