1976年3月0日<br /><br />日本がこの国に信頼を得ようとするならば、それだけ積極的になり、時間を重ねなければならない。<br />だが日本には、首相どころか、大臣さえこの国を訪問したことが一回きりしかない現実がある。<br /><br />日本がこれから世界の国と交わり、国際的な信頼を得て世界に貢献するには、気が遠くなるほどの道のりがある。<br />われわれはようやく、その第一歩を踏み出し始めているのである。<br /><br />プロジェクトを進めるにあたり、ザイール側の責任体制は、はなはだ明確さを欠いている。<br />どの省庁も、どの部局も、自分の任務として方向を決めて行こうとする意識はない。<br /><br />私が接触した大臣や事務レベルでは、プロジェクトを進めるべきかどうか、真剣に考えようとしている人はいない。<br />ひるがえって日本を考えると、これとまったく同じことに気づき、ザイールばかりを責めることは出来ないと思う。<br /><br />結局その進路は、私にゆだねられているとしか考えられない。<br />おそらくうまく行っても、行かなくても、あらゆる点で合格なんてことは、考えられないだろう。<br /><br />しかし私は、どちらかの方向に動かなければならないのだ。<br /><br />日本とザイールの両国を、引っ張りながら。<br />両国の将来のための、ベストの解を探りながら。<br /><br />ザイールでは当面、運輸省に責任を持たせることが最善と考える。<br />中でも、大臣と主席参事官の線をしっかり育てるよう、努力を傾けよう。<br /><br />そのためには、なるべく多くの情報を流し、参画意識をしっかりさせることだ。<br /><br />以上が、ここに来てから今までの一ヶ月で、私の得た結論だった。<br />

キンシャサ日記【410】両国政府内の責任体制を固める

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1976/03 - 1976/03

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#その他

片瀬貴文さん

1976年3月0日

日本がこの国に信頼を得ようとするならば、それだけ積極的になり、時間を重ねなければならない。
だが日本には、首相どころか、大臣さえこの国を訪問したことが一回きりしかない現実がある。

日本がこれから世界の国と交わり、国際的な信頼を得て世界に貢献するには、気が遠くなるほどの道のりがある。
われわれはようやく、その第一歩を踏み出し始めているのである。

プロジェクトを進めるにあたり、ザイール側の責任体制は、はなはだ明確さを欠いている。
どの省庁も、どの部局も、自分の任務として方向を決めて行こうとする意識はない。

私が接触した大臣や事務レベルでは、プロジェクトを進めるべきかどうか、真剣に考えようとしている人はいない。
ひるがえって日本を考えると、これとまったく同じことに気づき、ザイールばかりを責めることは出来ないと思う。

結局その進路は、私にゆだねられているとしか考えられない。
おそらくうまく行っても、行かなくても、あらゆる点で合格なんてことは、考えられないだろう。

しかし私は、どちらかの方向に動かなければならないのだ。

日本とザイールの両国を、引っ張りながら。
両国の将来のための、ベストの解を探りながら。

ザイールでは当面、運輸省に責任を持たせることが最善と考える。
中でも、大臣と主席参事官の線をしっかり育てるよう、努力を傾けよう。

そのためには、なるべく多くの情報を流し、参画意識をしっかりさせることだ。

以上が、ここに来てから今までの一ヶ月で、私の得た結論だった。