2007/10/11 - 2007/10/11
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ひらしまさん
10月11日(木) 晴れのち曇り
この日は唯一の自由行動日で、盧溝橋と王府井あたりでの買い物を予定していたが、妻がダウンした。昨日までよく頑張ってくれたから仕方がない。
一人で朝食をとった後、ホテルの3階にある近畿日本ツーリスト北京事務所を訪れた。Sさんについて、日本語力やガイドとしての知識の不足は我慢もできるが、土産物屋に連れて行くために日程を勝手に変更されたことや明白な嘘までつかれたことで信頼感を持てないので、最終日の半日だけだけれどガイドを変更してほしいと求めた。
仮に変更がかなわなくても旅行会社に対し問題を明らかにしておきたいと考えたのだが、近ツー側は快諾してくれた。
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妻に経過を報告した後、ホテル周辺の散歩に出た。近ツーで教えてもらった中国料理店をチェックしてから、北京駅方面へ。
ホテルの部屋から見える二つの塔のある宮殿風の建物が気になり、地図で見ると北京駅方向になるので、確かめてみたかった。それに、今回は残念ながら鉄道には乗らないが、その都市の顔である中央駅はやはり拝んでおきたい。
道沿いに大きな看板が30mほども続いている。公衆マナー向上を呼びかけるものらしく、漫画仕立てで何十もの場面が描かれ、わかりやすい。オリンピックまであと10ヶ月。中国は大きく変わりつつあるのだろう。 -
二つの塔はやはり北京駅の時計塔だった。時計の上は二重の塔になっており、首都にふさわしく優雅で落ち着きのある駅舎だ。
その前の広場は人でいっぱいである。服装は少し野暮ったく、大きな荷物を持つ人が多い。すぐ近くの建国門内大街を行く人たちとはまったく違う、たぶん中国の平均的な階層の人たちなのだろう。 -
駅構内に入ろうとしたが、なんとセキュリティチェックがあるのでやめた。翌日ガイドさんに聞いたら、実際に鉄道の爆弾テロがあるのだそうだ。
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帰りは地下鉄に乗ってみようと思ったが、元は全部妻の財布の中だったので、建国門内大街を歩いて戻った。
昼頃、部屋に近畿日本ツーリストから後任のガイドの名前と携帯番号のメモ、それに果物が届いた。体調を崩し食欲のない妻にとって、果物はありがたい差し入れとなった。僕はレトルトお粥で昼食。
妻が寒がるので暖房を入れようとしたが温風は出てこない。フロントに問い合わせると「伺います」と言ったきり誰も来ない。再度電話すると、しばらくして部屋係がポータブルヒーターを持ってきて、妻のベッドの横に置いてくれた。 -
夕方、土産購入のため王府井の新東安市場へ行こうとホテルを出たが、地下鉄駅に向かって歩く間に考えが変わった。
今年が盧溝橋事件70周年だから中国に来たのではなかったのか。土産物など空港でも買える(高いけど)。盧溝橋に寄らずに帰るわけにはいかない。
引き返してホテルの玄関でタクシーに乗った。運悪くちょっと汚っぽい車だった。行く先はベルボーイが伝えてくれていたが、動き出してからも確認された(ようだった)のでルーゴーチョオと答えて通じたようだった。
ガイドブックなどから所要時間30分と考えていたが、45分で62元もかかった。あとから考えると、基準地であろう天安門広場に出るまで10分くらいかかっているのだからとくに不当とは言えないのだが、あまり印象もよくなかったので、帰りも乗っていくかと何度も聞かれているのはわかっていたが知らぬ顔をして車を降りた。
運転手が指さした方向に歩いたが、橋はおろか川もない。橋があったかと思えば城壁で、その門をくぐると案内板があり、盧溝橋はその奥にあることが分かった。
城内のきれいな石畳の道を進むと、両側は絵や書の店などが並び、文化的な雰囲気だ。右側に大きな建物が現れたと思ったら抗日戦争記念館だった。もう5時を過ぎているので閉まっている。本当はここにも入りたかったのだが仕方がない。
さらにしばらく歩いて城門を抜けると、そこが盧溝橋の前だった。あのタクシーには1kmも手前で降ろされたことになるが、趣のある城の中を歩けて悪くなかった。 -
盧溝橋は人々が普通に通る橋かと思っていたら、そうではなくて入場券を買って入る。時間が遅いせいか人はまばらだ。マルコ・ポーロがたたえた古く美しい橋。欄干に獅子の象がずうっと続いている。この橋の周辺を舞台に70年前、日中戦争は始まった。
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日本に帰ってから知ったが、あの城は宛平城といい、当時中国軍の守備隊がいて日本軍はそこを砲撃したのだった。
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中国では7.7事変というその事件のことがどこかに記されているかと思ったが、それらしいものはない。売店もあり、中国人にとっての観光地という印象だ。橋の前の広場に展示されている大砲がそのモニュメントだったのかも知れない。
事件のきっかけとなった銃撃は中国側からだったという議論もあるようだが、そこは紛れもなく中国であり、北京中心部まで10kmという地点に日本の軍隊がいたこと自体が、日本の侵略という本質を示していると思う。70年前の今頃、日本軍は南京に向けてどんどん攻め広げていたのだ。
現代史の舞台をあとに、ホテルに帰ろうとタクシーを探すが、見つからない。先程降ろされた大きな道まで戻り、ようやく客を降ろしているタクシーを見つけたがなぜか乗せてくれない。次第に暗くなってあせってくる。こんなことなら来た時のタクシーに頼めばよかったか。
河岸を替えてみようと城門まで戻り、城とは逆の右手に進むと、そこは城内とは対照的なにぎやかな市場の通りだった。
夕食の材料を買う家族連れが多く、暗くても怖さは感じない。外国人は自分しかいない、そして僕が外国人だとは誰も思っていない空間。妻を待たせていなければゆっくり楽しめたのだが。
また大きな道まで戻り、1台乗車拒否されて、次はまず乗り込んでしまう。北京中心部は渋滞がひどいと予想し、手前の地下鉄宣武門駅までとしてガイドブックの路線図で示しながら「チンダオ シュアンウーメン」。ようやく乗ることができた。
宣武門駅までタクシーは25分、38元だった。地下鉄は3元とガイドブックにあった通りに窓口で払うと、1元返された。不思議に思って翌日ガイドの李さんに聞くと最近値下げされたとのこと。地下鉄がたった30円とはすごい。
地下鉄に乗っている時、ふと韓国にいるような錯覚に襲われる。ソウルの地下鉄と同じように清潔で、東アジア系の顔ばかりだ。施しを求める人が通り、少なくない人がそれに応えていたのもソウルで見た光景だった。
建国門駅までは思ったより時間がかかったので、ホテルに着いた時間はタクシーで直行しても変わらなかったような気もするが、地下鉄を体験できてよかった。
ホテルの部屋に戻ったのは7時で、妻には心細い思いをさせてしまった。中国最後の夕食をホテルの日本食レストラン櫻で鳥雑炊、ちらし寿司を食べる。結局自分たちだけで外の店で食べることはできなかったが、それは次の楽しみとしよう。
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この旅行記へのコメント (2)
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- きっちーさん 2009/08/17 13:42:35
- こんにちは!
- 先日は、メールを有難うございました!
昨日、福建省から戻ってまいりました。
めちゃめちゃ汗かきました。
やはり、夏に旅行するなら中国も南よりは北西の方が、気候がさっぱりしているもんだと、体感してまいりました(泣)。
この盧溝橋の旅行記、とても共感しました。
わたしも盧溝橋まではタクシーで行きましたが、行きはともかく帰りは郊外のためか、タクシーがなかなか通らず。
また中国では、運転手さんのテリトリー外(?)だと乗車を断られる場合がフツーにあるので、すごくドキドキしましたが、中心部までは路線バスが走っているよと、抗日博物館前のインフォメの方たちが教えてくれたので、とても安心した思い出があります。
ガイドさんを頼むと、とりあえずお土産屋さん攻勢をうけるので(笑)、自分でルートを決めてまわったほうが、気持ち的には楽ですね。
無鉄砲なのも旅の醍醐味ですが、ひらしまさんの旅行記を拝見させていただいて、「ああ、やっぱひとりでまわるのって、緊張するけどいいなあ〜」とあらためて思いました。
素敵な旅行記だと思います!
続きを、また読みに来させてください。
ありがとうございました。
失礼します。
きっちー
- ひらしまさん からの返信 2009/08/17 23:44:22
- 夏の華南はすごいんでしょうね
- 福建から帰ったばかりでお疲れのはずなのに、ご訪問ご投票そして励まし、ありがとうございます。
客家土楼にいらっしゃったんですね。
夏の華南はすごいんでしょうね。
僕は旅行の時期を考えるときに、ほかの条件を置いても過ごしやすい季節を選んでしまうのですが、本当は冬のパリとか夏の華南とかも経験した方がいいんだろうな、とは思っています。
と言いながら、少しでも涼しいだろう9月に中国を再訪します。
”無鉄砲なのも旅の醍醐味”
先日上海の蟹料理屋さんに予約を取ろうと電話しました(なにしろ5連休で我々日本人客が集中するわけですから)。
高級店なので英語は通じるだろうと思ったのですが甘かった!
そこで「中国語自遊自在」などから必要な単語を寄せ集めて作文し、何か言われても分からないから一方的に必要事項だけをしゃべって終えるという無鉄砲作戦で、2時間後に再挑戦。
なぜかメイヨウだけは聞き取れて、予約は取れなかったのにちょっと満足感でした。
中国語って聞き取りやすいのでしょうか。
きっちーさんの汗だくの旅行記お待ちしてます。
ひらしま
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