2007/05/07 - 2007/05/08
203位(同エリア1886件中)
鯨の味噌汁さん
- 鯨の味噌汁さんTOP
- 旅行記142冊
- クチコミ106件
- Q&A回答2件
- 307,609アクセス
- フォロワー93人
ヨーロッパを、鉄道とバスを使って、個人旅行しようとするとき、持っていくべきものは何か。
鯨は、なにはともあれ「大きめのメモ帳」だ、と思う。
なぜなら、言葉は喋れなくても、鯨だって、数字と地名くらいなら書けるからだ。
とりあえず、パリに降りた。
旅の最初の目的地は、フランスのモンサンミッシェルである。
写真なんかで見ると、干潟の中の小島が、丸ごとお城。
上から下まで建物ぎっしり。
世界遺産に人口密度ランキングがあったら、ダントツ一位間違いなし、の物件である。
パリからモンサンミッシェルまで、電車とバスで移動しなくてはならない。
しかも、全席指定のTVG(洋物新幹線)で、予約を取らなくてはならない。
海外旅行25年ぶりのチューネン夫婦にとって、こういうのが一番ややこしい。
出発駅は、パリのモンパルナスである。
さて、夕方。
駅の中をうろうろして、キップ売り場を特定する。
その窓口に向かって、二人は、じりじりと接近。
「き、君がいきなさいよ。昔、エーケン(英会話研究会)にいただろう」
「今更そんなこと。あなたこそ外資系にいたんでしょ」
窓口のお姉さんを目前にして、夫婦は小さく争う。
が、配偶者がしぶとく拒否するので、鯨は時刻表からメモを取り、
5/5/2007 paris ⇒ Rennes TGV 07:24 2persons
お姉さんに恐る恐る差し出すと、彼女はじっとメモをのぞき込み、
「シュークリーム、エマニエール、モンサンミッシェル?」
どうやら、モンサンミッシェルに行くのか、と聞いているらしい。
「ウイウイ」
「ムニエール、ブイヤベース、モンサンミッシェル?」
「ウイウイ」
さっぱりわからんが、とりあえず頷いてみる。
すると、お姉さんはニッコリ微笑み、カタカタ端末に入力し、キップを二枚くれるではないか。
出てきたのを見ると、
「paris ⇒ Rennes ⇒ Mont Saint-Michel」
と、ちゃんと印字してあり、バスの絵まで入っていた。
言葉はわからなくとも、バス路線付きのチケットが購入できたのである。
配偶者もほっとしている。
「やるじゃない」
鯨も、なんだ大したことないじゃん、矢でも鉄砲でも持ってこい、と思った。
ほんの少し、気が大きくなった。
そのあと、メシを食おう、とパリの町を歩きまわり、裏通りの海鮮レストランに入った。
その店は、地元の客で、いっぱいなのである。
鯨は、生ガキを食べたかったので、ウエイトレスを呼び、隣のおじさんが食べている生ガキを指さして、
「ツー・パーソンズ」
と、言った。
「ボンジュール・ソムリエール・サマヨエール?」
いろいろとウエイトレスが聞いてくる。
「ウイウイ」
適当に答えていると、ニッコリ微笑み、ウエイトレスは去った。
そして、ウエイターがふたり現れ、鯨夫妻の、ヨコのテーブルが、あわただしく、足された。
ふたり席が、四人席になった。
少しだけイヤな予感がした。
隣のおじさんは、相変わらず、10個くらいの生ガキを、ぴちゃぴちゃすすっていた。
「・・・あれが来るんだよな」
増えたテーブルの席を見つめながら、鯨は配偶者につぶやいた。
「でしょうね」
「でも、お姉さん、なにか、言ってたよな」
「言ってたわね」
「念を押してたようにも見えた」
「うん」
しずしずと、ワゴンが押されてきた。その上に、大きめのタライが載っている。
そのタライの上に、山盛りで氷が載っている。
その上に、ビッシリと、死にたてピチピチの海鮮物が載っている。
満艦飾、海鮮版モンサンミッシェルという感じである。
モンサンミッシェルに行くのはあすであるが、早くも、それふうのメニューに当たってしまったのである。
どうやらそれは
「豪華海鮮フルセット・カニ・エビ・カキ・オマール貝・ハマグリ・アサリ食べ放題」
ともいうべきメニューなのであった。
カニが2種類。エビが3種類。カキを数えると、16個載っている。ハマグリ5個。オマール貝・アサリ・その他多数。
「・・・すげえ量だな」
「・・・」
「しかたない、食べよう」
「うん」
黙々と食べていると、また、ワゴンが押されてきた。
モンサンミッシェルのタライは、もう一セット、出てきたのであった。
キップ売り場でキップは買えても、油断してはいけないのだ。
鯨も配偶者も、必死に食べた。
食べ物を粗末にしてはいけません、という教育を受けた世代である。
が、食べても食べても、タライの中身は、ちっとも減らないのだった。
タライの底の竜宮城があって、そこからカニやらエビやら、次々と派遣されているようであった。
配偶者は、「鉄の胃袋」を持つ。子供を3人育てる生命力の源泉である。
鯨も、その名の通り、鯨飲馬食を旨とする。
完食した。
が、鯨はその後3日ばかり、オナカの調子が、よろしくなかった。
- 同行者
- カップル・夫婦
- 交通手段
- 鉄道 高速・路線バス
- 航空会社
- ANA
-
パリで、「モンサンミッシェル・海鮮盛り」を、早くも体験してしまった翌日。
TGV(洋物新幹線)で、レンヌ駅に無事、到着した。
階段をトントンとおり、バス停を探す。
駅前にバスロータリーがあり、ぐるりと一周するが、それらしきバスは出ていない。
ベンチに座っている地元在住と思われる方々の中から、比較的、わかってそうなおばさんを見つくろい、
「モンサンミッシェル?」
と聞くと、あっちだ、と教えてくれた。観光客によく聞かれるのだろう。
駅の右側の建物が、バスの発着所なのであった。
で、どのバスであるかを、探す必要はなかった。
バスの腹に、例のお城のイラストが、ドドーン、と描かれている。
鯨は、旅のシロートなので、こういうのを見つけるとホッとする。これなら間違いようがない。
観光客を乗せたバスは、イナカ道を1時間ばかり走る。
小さな町や村を抜け、麦畑を抜け、牧場を抜ける。
途中、ささやかなスタンドを持つ競馬場がある。
海に向かっているらしい、風車跡もある。
広く開けた丘の道を下りながら、海が近いナ、と感じたとき、前方に、うっすらと城の影が浮かんだ。モンサンミッシェルだ。
島まで道路が通じているが、陸側の、一番最後のバス停で降りた。
予約してあるホテル(ルレ・サン・ミッシェル)が目の前にあった。
旅に出るとき、パリとモンサンミッシェルと、最後のリスボンだけ、宿を予約した。
結果的に、パリとリスボンは、予約する必要はなかった。
なぜかというと、大きい町のホテルなんてものは、当日いくらでも取れるから。
ただモンサンミッシェルのホテルだけは、予約しておいてよかったと思う。
このホテルは、全室からお城が見える、というのがウリなのだ。
あと、ウエイトレスさんが全員大柄で、たくましい。
これも、ウリといえないこともない。
美人もいるし、それなりの方もいるが、全員が肩幅があって、大股でスタスタと歩く。
ノルマンディー出身・たくましいお姉さん大集合、といった風情であって、なかなかよろしい。 -
ホテルから島まで、一本道が通じている。
干潟の中を通した道だ。片側に牧草地が開けていて、羊が放牧されている。
車道には「羊横断注意」の標識が出ている。
ヒトの歩く道には、標識は出ていないが、羊のフンがそこかしこに散乱している。
ヒトの場合は「羊横断注意」ではなく「羊糞・靴裏注意」である。
のんびり20分ほど、歩く。 -
さて、モンサンミッシェルは、フランス版「安芸の宮島」だと思っていただければ、間違いない。
(・・・こんなまとめ方でいいのだろうか)
島であること。
干潟があること。
お城と大鳥居、という目印があること。
島中がオミヤゲ屋さんであふれていること。
私設・公設の博物館があること。
世界中から観光客が集まっていること。
世界遺産であること。
周囲に糞がちらばっているところまで同じである。
(宮島はシカ、モンサンミッシェルは羊で、生産者は異なるが)
よって、日本でモンサンミッシェル気分を味わいたかったら、広島に行けば良いような気がする。
(良くないような気もする)
修道院でくれるパンフレットには、ちゃんと日本語もある。
というか、英語・フランス語・ドイツ語・スペイン語・中国語とパンフレットがそろっていて、かつ、色分けされている。
であるから、そのヒトが持っているパンフレットを見れば、どこの国から来たのかが一目瞭然である。
この日の東洋人は、過半数が中国語のパンフを持っていた。チャイナパワー恐るべし、である。
いっぽう、ゴールデン・ウイークが終わった時期だったので、日本人は少ない。ぱらぱら程度である。
北京オリンピックでの、日本劣勢を予感させる観光客構成なのであった。 -
島のてっぺんまで登って、修道院を見て、そのあと、干潮時だったのでぐるりと島を一周した。
干潟が水平線まで広がっている。干潟はちゃんとクツで歩けるが、ところどころ、突如柔らかくなっており、ズブズブと沈む。
ヨーロッパ人の観光ツアーは、干潟をハダシで歩いていた。
みんな、短パンをはいて、その短パンも、ドロだらけになっている。
潮干狩りをしているわけではない。干潟を延々とあるくだけのツアーらしい。
いいトシをこいたおじさん・おばさんが、童心に帰って、キャーキャー喜んでいる。
島を一周し、入口の駐車場にたどりつくと、そこはキャンピングカーで一杯だった。
なるほど、地続きのヨーロッパ人は、キャンピングカーで、国境を越えて旅をするのだ。
とろとろと歩いてホテルに戻る。
当日の夕食は、ホテルで予約していた。
ここのホテルは、日本からも予約できるくらいだから、レストランも、ちゃんと日本語が書いてある。よって、昨日のような失敗をする心配はない。
で、
「鯖の酢着け」
のメニューを見つけ、なにしろ鯨はシメサバが大好物なので、ワインのアテに頼んだ。
すると、大きめのサバの半身が、三切れ出てきてしまった。
シメサバは好物であっても、半身をみっつは、つらい。
配偶者に「一切れあげるよ」といったが、拒否されてしまう。彼女はヒカリモノはダメなのである。
で、オードブルのシメサバだけで、おなかがいっぱいになってしまった。
なんでここまで来て、連夜の大食い選手権しなくてはならないのか。
学習能力のなさに、我ながら悲しくなる。
部屋から見えるモンサンミッシェルが、ライトアップされている。
何かに似てるな、と、鯨は考えた。
「・・・そうだそうだ。浦安だよ浦安。そっくりじゃん」
配偶者が、言う。
「ここまで来て、浦安を思い出してどうするのよ」
それもそうだった。こっちは正真正銘のホンモノなのである。
早朝、配偶者が寝ているのを横目に、鯨は早めに起き出した。
ホテルを抜けだし、1時間ほど、周囲を一回りした。
ホテルやお土産物屋、レストランを抜けると、羊の放牧地と、畑が広がっている。
農家の庭先に、古ぼけたトラクタが鎮座していた。
顔をあげると、朝霧の向こうに、海の中のお城が、ぼんやりと浮かんでいた。
この旅行記のタグ
利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。
コメントを投稿する前に
十分に確認の上、ご投稿ください。 コメントの内容は攻撃的ではなく、相手の気持ちに寄り添ったものになっていますか?
サイト共通ガイドライン(利用上のお願い)報道機関・マスメディアの方へ 画像提供などに関するお問い合わせは、専用のお問い合わせフォームからお願いいたします。
モンサンミッシェル(フランス) の旅行記
旅の計画・記録
マイルに交換できるフォートラベルポイントが貯まる
フォートラベルポイントって?
旅行記グループ 「不倫・絶望・南欧逃避行」ふうの旅(嘘)
0
4