<br />1976年6月<br /><br />アフリカのソフトテニスはスタートしたばかりで、これからどうなるやらさっぱり分からないが、ザイールだけでなく日本の新聞記事にもなって注目され、嬉しい。<br /><br />国鉄が「ストばかりやっている、サービスが悪い」と、世論から叩かれるばかりの世の中で、このようにプラスに評価される記事が出たことは珍しい。<br /><br />国鉄全体の士気を、少なからず高めただろうと、素直に喜ぶ。<br /><br />それから暗い報せばかりだったキンシャサのプロジェクト関係者が、何事にあれフットライトを浴びることは気持ちの良いことだ。<br /><br /><br />大きくとらえて、日本全体にも、何かをもたらしつつあるのではないだろうかと考える。<br /><br />敗戦後の日本人は、自信を失い内向的になってしまい、外国に向かって日本人の誇りを、胸を張って示そうなんて考えることが少ない。<br /><br />今ザイールでわれわれがやろうとしていることは、戦後社会にあって世界に向けて日本人がどうアプローチできるかの、一試行例と理解する。<br /><br /><br />記事のあちこちが歯がゆいのは、取材を受けた日本のサポーターたちの間で理解に差があり、報道に対する説明がもやもやしているからだろう。<br /><br />だが、「国鉄さん」の「さん」には、素直ではない、やや歪んだ感触を感じる。<br /><br />国鉄職員は、日本の発展を命がけで守りながら、人間の「命を預かる」ことの重さに、黙って耐えている。<br /><br />この一種の緊張感は、自分では苦しみながらも、外部社会からは一種の独善と感じられやすい。<br /><br /><br />とにかく昨年の秋ザイール行きの話があってからずっと、視界のはっきりしないモヤモヤした霧の中を走って来たが、ようやく霧の晴れ間が見えてきそうな状況になってきた。<br /><br />これから一年半の任期が残っているが、悔いのない充実した生活を重ねあげたいものだ。<br /><br /><br />

キンシャサ日記【633】日ザ両国のマスコミが背中を押してくれる

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1976/06 - 1976/06

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#その他

ソフィさん

1976年6月

アフリカのソフトテニスはスタートしたばかりで、これからどうなるやらさっぱり分からないが、ザイールだけでなく日本の新聞記事にもなって注目され、嬉しい。

国鉄が「ストばかりやっている、サービスが悪い」と、世論から叩かれるばかりの世の中で、このようにプラスに評価される記事が出たことは珍しい。

国鉄全体の士気を、少なからず高めただろうと、素直に喜ぶ。

それから暗い報せばかりだったキンシャサのプロジェクト関係者が、何事にあれフットライトを浴びることは気持ちの良いことだ。

大きくとらえて、日本全体にも、何かをもたらしつつあるのではないだろうかと考える。

敗戦後の日本人は、自信を失い内向的になってしまい、外国に向かって日本人の誇りを、胸を張って示そうなんて考えることが少ない。

今ザイールでわれわれがやろうとしていることは、戦後社会にあって世界に向けて日本人がどうアプローチできるかの、一試行例と理解する。

記事のあちこちが歯がゆいのは、取材を受けた日本のサポーターたちの間で理解に差があり、報道に対する説明がもやもやしているからだろう。

だが、「国鉄さん」の「さん」には、素直ではない、やや歪んだ感触を感じる。

国鉄職員は、日本の発展を命がけで守りながら、人間の「命を預かる」ことの重さに、黙って耐えている。

この一種の緊張感は、自分では苦しみながらも、外部社会からは一種の独善と感じられやすい。

とにかく昨年の秋ザイール行きの話があってからずっと、視界のはっきりしないモヤモヤした霧の中を走って来たが、ようやく霧の晴れ間が見えてきそうな状況になってきた。

これから一年半の任期が残っているが、悔いのない充実した生活を重ねあげたいものだ。