<br />1976年6月<br /><br />日本の技術コンサルタンツ「ジャーツ」の日本人メンバーが東京に引き揚げたのは、ちょうどソフトテニス打ち初め式の日だった。<br /><br />キンシャサに２年越しに事務所を構えて、ついに正式契約に至らず、無念の帰国である。<br /><br />東京に引き上げる日本人たちは、飛行場に行く途中でゾーのコートに立ち寄ってくれたが、ここの生活の緊張から解放されるホッとした気持ちと、プロジェクトが動いたとき再度来るだろうと言う希望とが入り混じり、複雑な気持ちだったと推察する。<br /><br /><br />私が日本を発つとき、「ジャーツ」の希望は「１日も早いキンシャサからの引き上げ」だった。<br /><br />２年にまたがるキンシャサ事務所の運営には経費がかさみ、もし今後プロジェクトが動かないならば、経営が受けた打撃の回復にはかなりの長期を要するだろう。<br /><br />私はキンシャサに赴任した時、まずプロジェクトをスタートさせるべく動いた。<br /><br />が、石油ショックの現状では簡単には動かないと見通しを立て、次いでザイール政府に「ジャーツ」の撤退を納得させるべく努力を重ね、同時に日本政府の説得にも成功した。<br /><br /><br />プロジェクトが始まるまでの当面の間「ジャーツ」キンシャサ事務所を仮閉鎖して、不足する技術力を日本政府からザイール政府に派遣する専門家を２名増員して補いたい。<br /><br />このような提案を両国政府に行い、両国政府の合意があって、ようやく私の赴任5ヶ月後に引き上げが実行されたのだった。<br /><br />プロジェクトの先行きは霧の中で見えないが、当面の懸案は一つずつ片付く。<br /><br />だが事務所の撤退がチーム全体の挫折感を、今まで以上増幅させないように、気配りも大切と考える。<br />

キンシャサ日記【631】技術コンサルタント「ジャーツ」の日本引き揚げ

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1976/06 - 1976/06

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#その他

ソフィさん

1976年6月

日本の技術コンサルタンツ「ジャーツ」の日本人メンバーが東京に引き揚げたのは、ちょうどソフトテニス打ち初め式の日だった。

キンシャサに２年越しに事務所を構えて、ついに正式契約に至らず、無念の帰国である。

東京に引き上げる日本人たちは、飛行場に行く途中でゾーのコートに立ち寄ってくれたが、ここの生活の緊張から解放されるホッとした気持ちと、プロジェクトが動いたとき再度来るだろうと言う希望とが入り混じり、複雑な気持ちだったと推察する。

私が日本を発つとき、「ジャーツ」の希望は「１日も早いキンシャサからの引き上げ」だった。

２年にまたがるキンシャサ事務所の運営には経費がかさみ、もし今後プロジェクトが動かないならば、経営が受けた打撃の回復にはかなりの長期を要するだろう。

私はキンシャサに赴任した時、まずプロジェクトをスタートさせるべく動いた。

が、石油ショックの現状では簡単には動かないと見通しを立て、次いでザイール政府に「ジャーツ」の撤退を納得させるべく努力を重ね、同時に日本政府の説得にも成功した。

プロジェクトが始まるまでの当面の間「ジャーツ」キンシャサ事務所を仮閉鎖して、不足する技術力を日本政府からザイール政府に派遣する専門家を２名増員して補いたい。

このような提案を両国政府に行い、両国政府の合意があって、ようやく私の赴任5ヶ月後に引き上げが実行されたのだった。

プロジェクトの先行きは霧の中で見えないが、当面の懸案は一つずつ片付く。

だが事務所の撤退がチーム全体の挫折感を、今まで以上増幅させないように、気配りも大切と考える。