2009/01/16 - 2009/01/16
1392位(同エリア1776件中)
まゆままさん
東洋陶磁美術館にて濱田庄司展が開催されていたので友人と訪れた。
濱田氏とも親交のあった故堀尾幹雄氏から寄贈されたコレクションから約200点のボリュームのある展示、濱田庄司の大らかでゆったりとしたよい形のやきものの数々を堪能できた。
濱田庄司だけでも十分満足できたが、更に前回の特別展で催されていた「鼻煙壺」も常設展示室が新たに設けられていて、いつもの常設、韓国、日本、中国の陶磁器とともにいつもながらに見ごたえのある展示を満喫ー。
その後graf bld.でランチし、ショップ兼ギャラリーを見学した後、今年解体予定のダイビルを見納めに。
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東洋陶磁美術館は中之島中央公会堂の向かい。
何度も来てるのにここに来ると中央公会堂をついつい写真に収めたくなる〜
この日は空は晴れ渡り、朝日に照らされた中央公会堂がまた一段と美しい! -
濱田庄司は1955年に第一回重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定され、日本陶芸界を代表する一人となった。
「私の陶器の仕事は、京都で道をみつけ、英国で始まり、沖縄で学び、益子で育った」と自ら語っていた濱田庄司は早くに工芸の道を志し、東京高等工業学校窯業科を卒業後、京都市陶磁器試験場に就職、その後英国にてバーナード・リーチと共に約3年間作陶に励み、帰国後は栃木県益子に居を定め、又沖縄壷屋もこよなく愛し毎年のように出かけてそこで作陶も行ったという。
柳宗悦や河井寛次郎らとともに民藝運動を推進したことでも知られている。 -
英国での生活の中で、英国の工人達の素朴で健康的な生活の中で仕事をする精神、西欧文化の伝統に強く感銘を受け、それが都会でなく田舎の益子に住む動機となったのだそう。
益子の土は最上のものとはいえなかったが一級の原料を生かしきれずに二、三流の品を作るより、
二、三流の原料で一級の品を作ることを望み、実用第一の健やかで堅実な作品の数々を残した。 -
柿釉文打鉄絵 角皿
濱田庄司が好んで作っていたといわれる角皿は食器として使いやすく、濱田家では揚げ物用に使っていたのだとか。
中央部分には濱田のトレードマークともいわれる糖黍文が描かれている。
幅が31cmもあるほんとに大きな角皿で家族が多かったのか?お客さんがよっぽど多かったのかなあ?と思わず想像・・
この後同じ大きさで模様違いの角皿が数枚展示されてた。
*東洋陶磁美術館は珍しく、展示品の写真撮影はフラッシュ、音、三脚なしならばOK。 -
白釉黒流描 大鉢
濱田が得意とした技法のひとつ、ひしゃくで黒釉を大胆に掛けたもの。
流描を15秒程軽々とこなされているのを見て驚いた人が、早すぎて物足りなくないか?と問うと15秒プラス60年の経験とみたらどうかと答えたという逸話が残っているという。
う〜ん、なんだか抽象画を見ているようでもある感じ・・ -
鉄砂 角瓶
濱田がこよなく愛した李朝のやきものを彷彿とさせる角瓶。
こんな風に石こうの型を使って作られていたようだ。 -
柿釉抜絵 角瓶
胴部には抜絵の丸文が表され、上には十字、下には笹文が描かれた濱田のおなじみの文様。
青緑の釉薬がとても華やか。
堀尾氏のお気に入りの一品でもあったそう。
小ぶりでかわいい角瓶 -
掛分指描 壷
指で文様を描いた「掛分指描」も濱田の代表的な技法の一つ。
大胆で勢いがある。
他にも、指で描かれた文様は鉢にも抹茶茶碗にもいろいろな器に使われていた。 -
赤絵 角瓶
沖縄での琉球赤絵との出会いをきっかけに、濱田は赤絵に取り組むようになったといわれ、
華やかな赤絵は濱田の作品の中でも特に人気の高いものだそう。
この赤がとても発色がよくて色鮮やか。 -
塩釉彫絵 花生
シンプルな彫絵模様が形と共にとても愛らしい雰囲気があって好き。
白化粧をした上に塩釉を掛けたものだそうだが、色合いもいいなあ。 -
藍塩釉 面取瓶
1953年、欧州・米国旅行より帰国の後、ドイツ起源の塩釉の技法を日本で初めて試み、試行錯誤の末、ようやく使いこなせるまでになったそう。
塩釉というのは、窯の温度が上がったある時期に岩塩を窯の横の穴から投げ込むと火の力で釉がかかり、独特の質感が生まれる。
これは色釉としてコバルトを用いている。 -
バーナードリーチと共に英国で3年の作陶生活の中で西洋の伝統的なやきものにも魅せられ、帰国後も西洋風のピッチャーを好んで作っていたという。
フォルムが素敵・・ -
絵刷毛目 茶碗
濱田庄司の茶碗の中でも早い時期に作られたもの。
個展で小鉢を出品した時に、夏茶碗にちょうどいいと買って行かれた方がいたのがきっかけで茶碗を作り始めたそう。
茶碗は見る人の眼が特別によく利いて思いがけなく張り合いがあったのだとか。 -
柿釉鉄絵 茶碗
堀尾氏のお気に入りの茶碗の一つでかつて濱田庄司が堀尾邸を訪問した際にもこのお茶碗でお茶を供したといわれている。
「色差」と呼ばれる青釉が彩を添えていて小ぶりで使いやすい茶碗。 -
鉄砂 茶碗
ほのかなピンク色が温かみがあってかわいらしい茶碗だった。
お抹茶も映えそう・・ -
角皿五枚組
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小皿にちょこっと付いたかざりがアクセントにもなって、実用的でもあるなあ。
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赤絵丸文 飯茶碗(五客)
濱田のトレードマークである糖黍文をメインに、赤絵の丸文をあしらった愛らしい飯茶碗。
濱田庄司の作品は大ぶりでどっしりと立派なものが多いのでその中でこんな小ぶりで繊細な作品を見ると妙にかわいらしく感じてしまう・・ -
柿釉 紅茶器
3年間英国で暮らし、本場英国式のアフタヌーンティーに親しんだ濱田にとって、紅茶は日常生活の一部だったそう。 -
掛分指描 土瓶
濱田庄司の土瓶やポットの形はほんとにいい形だなあ〜とうっとりしてしまう・・
この後、これと同じ形の土瓶が作りたい〜と思わず影響されて自分でも作ってしまった。
なかなか思う形にはならなかったが・・
約200点の作品、とても見ごたえがあり、まだまだたくさんあったがきりがないのでこの辺で。 -
常設展の韓国陶磁
粉青掻落牡丹文扁壺 -
韓国陶磁
粉青掻落 葉文 俵壺 -
このほかにも高麗青磁や李朝白磁など韓国陶磁の常設展は充実。
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色絵 相撲人形 二組
柿右衛門様式は主にヨーロッパの輸出用として17世紀後半から有田で生産された色絵磁器。
相撲をとる二人組みの表情がとてもイキイキしてておもしろ〜い。
他日本の陶磁器コレクションも多数あり。 -
自然採光を取り入れた部屋に展示されているものも数点ある。
重要文化財 青磁 鳳凰耳花生
自然光に照らされて青い釉薬がより一層やわらかく美しい色合いを放っている。 -
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そして前回の特別展で催されていた「鼻煙壺展1000展」のうちの数点が常設されていた。
又見れると思ってなかったので感激〜
鼻煙壺というのは嗅ぎタバコを入れるための小さな容器。
どれも大体手のひらにすっぽり収まるくらいのサイズのものなのだがこの小さな容器ひとつひとつにとても細やかで繊細な装飾が施されているのだ。
ほんとにどれもこれもいとおしくなるくらいかわいらしいものばかり・・ -
鼻煙壺といっても素材は様々で
磁器やガラス、玉、メノウ、水晶、象牙、金属など多種多様。 -
染付けのもの。
風景や漢字などが描かれていたりする。 -
ちょう琢というガラスなどを彫って磨いて文様を浮き出させる技法で作られたもの。
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猿と蝙蝠が張り付いている〜
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写実的で丁寧に色の濃淡までつけて細かく描き込まれたものも。
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白菜をイメージした小瓶に小さな青虫が這っている。
なんという芸の細やかさ! -
上絵ガラスという、ガラスの表面にエナメルの顔料で描いたもの。
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これは被せガラスといって異なる色のガラスを上から被せて作られたもの。
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小さな壷がくり抜かれてさらにその中にも装飾が施されている。
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右からトルコ石、孔雀石、ラピスラズリと石を原石の塊から内部をくり抜いて成形したもの
膨大な時間と労力を要するため希少性がある鼻煙壺だそう。
蓋もそれぞれ雰囲気にあったものが使われていて珊瑚がそのまま蓋になってたりするのが面白い。 -
この象牙の模様の細やかさも圧巻〜
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ずいぶん東洋陶磁美術館で長居してしまった〜
満足感でいっぱいになりつつ、そろそろお腹も空いて来たのでランチへ行くことに。
大阪を拠点に世界へ発信する人気クリエイティブユニット、grafのビルへ行ってみることに。
昭和時代の設計事務所をリノベーションしたシンプルな白いタイル張りの外観の5階建てビルにはギャラリー兼ショップやレストランなどが入っていて、grafデザインの家具や食器などがディスプレイされている。 -
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このビルの2階がカフェレストラン。
重いガラスの引き戸を開けて入り2階へ。 -
日替わりランチは鶏の唐揚げスィートチリソース。
玄米ご飯スープ付。ランチは全て1000円。
白を基調にした店内にはgrafデザインの木目調のシンプルな家具が配置されていた。 -
トイレ
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階段の踊り場。
ランチの後は3階や4階のギャラリー&ショップを拝見。
洗練されたオリジナルの家具や選び抜かれたハイセンスな雑貨がゆったりと並び独特な空間が作り出されていた。
お値段もお高い感じで洗練されすぎていて、我が家にはちょっと合わんかも〜
もう少し泥臭い感じが好みかなあ〜; -
ランチの後は今年解体予定のダイビルへやって来た。
大正15年に渡辺節設計による大阪商船(現・商船三井)・宇治川電気(現・関西電力)・日本電力の3社の同出資により建てられたビル。
ネオ・ロマネスク様式の大規模なビルで1Fには当時の建築物としてはめずらしいパッサージュ(商店街)がある。
大正期の大規模オフィスビルとして現存する最後のものであり、建築史上も近代都市史上も非常に価値が高いが老朽化に伴い平成22年の今年に建て替えが決まっている。 -
もう今年でこの建物も目にすることもできなくなるんだなあ〜
この建物の勇姿をどこから収めれば一番美しく見えるだろうか〜?
やっぱりこの丸みを帯びたこのコーナーが中心かなあ・・ -
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正面玄関上部ののアーチと女神像のテラコッタは美しい。
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正面玄関両脇にある顔面付ロマネスク調の柱。
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顔、拡大
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花綱模様の円柱。
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天使や動物たちが居る角柱。
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角柱のの天使、拡大。
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遠くから見ると鳥?に見えたが・・獣の手と植物の葉が組み合わさった装飾?!
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玄関から中へ足を踏み入れると、そこにはエントランスホールの美しい空間が広がっている。
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二階、三階の差入口からつながっている真鍮の私設郵便函。
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エレベーターホールの2階から
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華麗な柵
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天井に並ぶ照明の装飾はほんとに圧巻。
しばしうっとり眺め入る。 -
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明かりによる陰影が素敵な彫刻。
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1階の真鍮のポストに繋がっている2階の受け入れ口
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非常階段の扉
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一階にある当時では珍しかったといわれるパッサージュ(商店街)
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かわいい天使の装飾
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味わい深い色合いの床のタイル
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パッサージュの中にある喫茶店「大大阪」へお茶をしに。
ダイビルの解体まで期間限定で運営されていた喫茶店。今年4月には閉店予定だそう。 -
チョコレート付の大大阪珈琲。
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当時の大阪の風景や建物の写真が掛けられた店内はシックで落ち着いた雰囲気。
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大大阪時代や現代の大阪に関する書籍が並ぶ本棚
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こちらはただ今建設中の中之島ダイビル。
ダイビルのテラコッタ装飾の意匠がそっくり取り入れられていた。
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この旅行記へのコメント (4)
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- べるつくさん 2009/02/08 18:20:11
- もったいないですよね
- まゆままさん、こんにちは。
ダイビルももう今年までですか。改めてみてももったいないと思えてなりません。この空間の雰囲気は仮に高層ビルの下層部に外装をのこしたとしても絶対再現できないですもんね。
最後の大大阪は私もお茶してきたところですね。
のちほどトラックバックさせていただきます。
べるつく
- まゆままさん からの返信 2009/02/08 20:51:30
- RE: もったいないですよね
- べるつくさん、こんばんは〜
ほんとにそうですよね〜
このエントランスホールの美しい空間はもう味わえなくなるんですよね。
今回はいつにも増して執拗に写真に収めてきました。
そういえばべるつくさんもダイビル行かれてましたよね。
TBありがとうございます〜こちらからもさせていただきます。
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- ぬいぬいさん 2009/02/05 23:01:50
- ダイビルって解体されちゃうんですか?
- まゆままさん こんばんは
ダイビル 建物の内部、素敵ですね。
一昨年ちょっと大坂の近代建築見てまわりましたが、ダイビル見忘れてしまったんです。
今年のいつ頃解体されるんですか?
京都へ何度も行っているのに何故か大坂はあまり訪れる機会がなくて。
3月に大阪に行こうと思ってますがまだ間に合いますかね?
- まゆままさん からの返信 2009/02/06 21:16:16
- RE: ダイビルって解体されちゃうんですか?
- ぬいぬいさん、こんばんは。
ええっ!ダイビルを見忘れられてましたか!
それはそれはぜひ見納めに行かれてください〜
中に入っているお店が4月に閉店になるそうで、
夏くらいに解体と聞きましたので、3月ならまだ大丈夫だと思います。
隣で中之島ダイビルが着々と出来上がってきていましたが・・
ダイビルの意匠をそのまま取り入れた装飾を見るとなんとなくもの悲しい気分になりました。
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