石打丸山・舞子高原旅行記(ブログ) 一覧に戻る
8月23日(土)、毎日旅行会の夜行バスはツアー客16名、添乗員2名の総勢18名を乗せて、夜の新宿を後にする。一人座席で良かった。今晩は寝られるかも知れない。<br /><br />トイレが心配で、今晩はビールをやめて、チューハイ2缶を飲んで睡眠をトライするが矢張り中々眠れない。関越道に入って最初に鶴ヶ島パーキングに停車。次に湯沢パーキングで暫く時間待ちをして、4時前に登山口の清水町駐車場、標高590mに到着する。それでも2−3時間は眠れたようだ。<br /><br />朝5時。まだ外は暗いが、小雨の中、登山を開始する。想像していたより雨足は強くなく、この程度の小雨なら、それ程登山には影響ないだろう。唯一心配なのは登山靴がどこまで持つかだが、電気店のビニールバンドルは意外と強く、解れたりもしない。<br /><br />歩き始めると同時に外の明るみも増してきて、ヘッドランプも必要ない。3合目から始まって、4合目、5合目まで大体30〜40分程度の歩行で、合目毎に休むので、それ程負担も多くない。<br /><br />5合目の先、白樺林を通り過ぎると6合目の展望台。沢の向うの天狗岩が正面によく見える。コースガイドによれば、この山は正面のヌクビ沢経由の天狗岩コースと今我々が登っている井戸尾根コースの二つが記載されているが、ヌクビ沢コースは現在崩落等の為、登山禁止となっている。<br /><br />6合目までは樹林帯の為、雨風の影響をそれ程強く受けずに済み、傘などさして登山していたが、ここから先高度も1500mを越えるとガレ場に差し掛かり、風雨の影響をまともに受けるようになる。<br /><br />7合目を過ぎた辺り、一人女性が痙攣を起こし、遅れる。当方も下肢に違和感を覚える。8合目を過ぎた辺り、倒々右の脹脛が吊ってしまった。痙攣を起こし身動き出来ない。激痛も走る。こんなことは数年ぶりのこと。如何に普段の運動不足かを痛感する。<br /><br />添乗員の一人はしきりに下山を勧めるが、当方としてもここまで来た以上、靴がダメになるまで引き返す訳には行かない。暫くその場で休み、痛みが薄らぐのを待って、再びゆっくりゆっくりと歩き始める。<br /><br />漸くにして9合目、前巻機(ニセ巻機)1861mに到達するが、今度は左足の方にも痙攣が走る。この時、右下肢の痛みはやや薄らいでいたが、右足を庇う形で歩いていたのが左に負担がかかったようだ。脹脛に痙攣が来る前、足の甲とか指の付け根、大腿の筋肉等にも痺れ等が間欠的に襲ってきたので、いつか左も来ると思っていたが、案の定、痙攣してきた。しかし右足程は痛みも少ない。<br /><br />見ると約1キロ先に巻機本峰が見えるが、この9合目から避難小屋までは暫くの下り坂。ツアー客は大分先を歩いているが、だましだまし歩けば、追いつけないことも無い。雨の中、滑り易い木道を慎重に歩き、小屋の前で休んでいる皆と漸く合流する。時に9時。登山開始から丁度4時間経っていた。<br /><br />皆の話しを聞くと、痙攣には梅干とか塩、クエン酸等が利くとのこと。全く以って痙攣するなど予想だにしていなかったので、それ等は全く持ち合わせていない。グレープフルーツを持ってきたので、それを半分程食べて栄養補給する。<br /><br />暫く避難小屋で休み、残り500mの再登攀に向う。歩行時間にして僅か15分から20分。ここまでは靴のソールも剥がれず、まだ持っている。再び登り坂にさし掛かると又両下肢の筋肉痛が始まり、遅れだす。<br /><br />歳の入った新米の添乗員、この山が初めてとのことだが、又しきりに下山を言ってくる。頂上は直ぐそこの目の前、僅かに100mそこそこなのに、無情もはなはだしい。<br /><br />又、言い方が凝っている。当方が歩けなくなったら、自分達が担いで降ろさなければならない、と。クソ、お前なんかに誰が頼むかい!そうなったらヘリコプターでも何でも呼んでやる!と心に思い、野郎の言うことは無視して休み休み、歩き始める。<br /><br />前方でざわめきが聞こえたと思ったら、そこが既に頂上で、雨の中、皆順番に記念写真を撮っている。いやー、やったあ。元気なく、敗残兵の思いで、巻機山、1967mの登頂を心に祝う。この靴の状態、この体の状態でよく登れたと。これはこれで百名山第65座登頂の良い思い出にもなった。<br /><br />皆はもう一つ先、15分程の距離にある牛ガ岳を往復するとのことだが、この雨の状態、足の状態を考え、他に3人の登山者と先に下山をする。<br /><br />途中5合目を過ぎた辺りで12時になり、木陰を選んで昼メシにする。大きな木の下の雨宿りであるが、葉の間からも雨の滴がポタポタ落ちてくる。雨垂れと一緒のお弁当。これも又良い思い出だ。<br /><br />登山道は既に川のようになっていて、粘土質の滑り易い路面と、岩の交じり合った山道。いつ空中分解してもおかしく無い靴を心配しつつ、滑らないよう慎重に足を運び、再び筋肉疲労も襲ってきて、足を引きずるようにして下山する。<br /><br />4合目まで下りれば、後はもう靴がダメになっても歩いて下れない距離ではない。漸く安心し、歩足も幾分軽くなり、1時15分、漸くにして駐車場までたどり着く。<br /><br />今日は散々な登山だったが、後で聞くとこの山のグレードは登山靴4個マークの厳しい山とのこと。この山の下には日本一長い新清水トンネルも通っているとのことであるが、いつも登っている高尾の小仏山。その下にも中央高速の小仏トンネルが通っているが、その長さと山の厳しさ、全く比較にならない大変さだった。<br /><br />標高差1377mを約8時間かけて往復し、心配してた靴のソールも最後まで持ってくれた。石打の温泉に身を沈め、窓の外に見える日本最大のゴンドラの上り下りを眺め、今日一日に感謝した。<br /><br /> <br /><br />< 巻機山 雨の行軍 十六名 ><br /><br /> <br /><br />< この山の 下にトンネル 日本一 ><br /><br /> <br /><br />< 雨垂れも トッピングなり 山の飯 ><br /><br /> <br /><br />< 靴破れ 足も痙攣 山極む ><br /><br /> <br />

日本百名山第65座・巻機山、1967m

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2008/08/23 - 2008/08/24

34位(同エリア64件中)

4

14

ちゃお

ちゃおさん

8月23日(土)、毎日旅行会の夜行バスはツアー客16名、添乗員2名の総勢18名を乗せて、夜の新宿を後にする。一人座席で良かった。今晩は寝られるかも知れない。

トイレが心配で、今晩はビールをやめて、チューハイ2缶を飲んで睡眠をトライするが矢張り中々眠れない。関越道に入って最初に鶴ヶ島パーキングに停車。次に湯沢パーキングで暫く時間待ちをして、4時前に登山口の清水町駐車場、標高590mに到着する。それでも2−3時間は眠れたようだ。

朝5時。まだ外は暗いが、小雨の中、登山を開始する。想像していたより雨足は強くなく、この程度の小雨なら、それ程登山には影響ないだろう。唯一心配なのは登山靴がどこまで持つかだが、電気店のビニールバンドルは意外と強く、解れたりもしない。

歩き始めると同時に外の明るみも増してきて、ヘッドランプも必要ない。3合目から始まって、4合目、5合目まで大体30〜40分程度の歩行で、合目毎に休むので、それ程負担も多くない。

5合目の先、白樺林を通り過ぎると6合目の展望台。沢の向うの天狗岩が正面によく見える。コースガイドによれば、この山は正面のヌクビ沢経由の天狗岩コースと今我々が登っている井戸尾根コースの二つが記載されているが、ヌクビ沢コースは現在崩落等の為、登山禁止となっている。

6合目までは樹林帯の為、雨風の影響をそれ程強く受けずに済み、傘などさして登山していたが、ここから先高度も1500mを越えるとガレ場に差し掛かり、風雨の影響をまともに受けるようになる。

7合目を過ぎた辺り、一人女性が痙攣を起こし、遅れる。当方も下肢に違和感を覚える。8合目を過ぎた辺り、倒々右の脹脛が吊ってしまった。痙攣を起こし身動き出来ない。激痛も走る。こんなことは数年ぶりのこと。如何に普段の運動不足かを痛感する。

添乗員の一人はしきりに下山を勧めるが、当方としてもここまで来た以上、靴がダメになるまで引き返す訳には行かない。暫くその場で休み、痛みが薄らぐのを待って、再びゆっくりゆっくりと歩き始める。

漸くにして9合目、前巻機(ニセ巻機)1861mに到達するが、今度は左足の方にも痙攣が走る。この時、右下肢の痛みはやや薄らいでいたが、右足を庇う形で歩いていたのが左に負担がかかったようだ。脹脛に痙攣が来る前、足の甲とか指の付け根、大腿の筋肉等にも痺れ等が間欠的に襲ってきたので、いつか左も来ると思っていたが、案の定、痙攣してきた。しかし右足程は痛みも少ない。

見ると約1キロ先に巻機本峰が見えるが、この9合目から避難小屋までは暫くの下り坂。ツアー客は大分先を歩いているが、だましだまし歩けば、追いつけないことも無い。雨の中、滑り易い木道を慎重に歩き、小屋の前で休んでいる皆と漸く合流する。時に9時。登山開始から丁度4時間経っていた。

皆の話しを聞くと、痙攣には梅干とか塩、クエン酸等が利くとのこと。全く以って痙攣するなど予想だにしていなかったので、それ等は全く持ち合わせていない。グレープフルーツを持ってきたので、それを半分程食べて栄養補給する。

暫く避難小屋で休み、残り500mの再登攀に向う。歩行時間にして僅か15分から20分。ここまでは靴のソールも剥がれず、まだ持っている。再び登り坂にさし掛かると又両下肢の筋肉痛が始まり、遅れだす。

歳の入った新米の添乗員、この山が初めてとのことだが、又しきりに下山を言ってくる。頂上は直ぐそこの目の前、僅かに100mそこそこなのに、無情もはなはだしい。

又、言い方が凝っている。当方が歩けなくなったら、自分達が担いで降ろさなければならない、と。クソ、お前なんかに誰が頼むかい!そうなったらヘリコプターでも何でも呼んでやる!と心に思い、野郎の言うことは無視して休み休み、歩き始める。

前方でざわめきが聞こえたと思ったら、そこが既に頂上で、雨の中、皆順番に記念写真を撮っている。いやー、やったあ。元気なく、敗残兵の思いで、巻機山、1967mの登頂を心に祝う。この靴の状態、この体の状態でよく登れたと。これはこれで百名山第65座登頂の良い思い出にもなった。

皆はもう一つ先、15分程の距離にある牛ガ岳を往復するとのことだが、この雨の状態、足の状態を考え、他に3人の登山者と先に下山をする。

途中5合目を過ぎた辺りで12時になり、木陰を選んで昼メシにする。大きな木の下の雨宿りであるが、葉の間からも雨の滴がポタポタ落ちてくる。雨垂れと一緒のお弁当。これも又良い思い出だ。

登山道は既に川のようになっていて、粘土質の滑り易い路面と、岩の交じり合った山道。いつ空中分解してもおかしく無い靴を心配しつつ、滑らないよう慎重に足を運び、再び筋肉疲労も襲ってきて、足を引きずるようにして下山する。

4合目まで下りれば、後はもう靴がダメになっても歩いて下れない距離ではない。漸く安心し、歩足も幾分軽くなり、1時15分、漸くにして駐車場までたどり着く。

今日は散々な登山だったが、後で聞くとこの山のグレードは登山靴4個マークの厳しい山とのこと。この山の下には日本一長い新清水トンネルも通っているとのことであるが、いつも登っている高尾の小仏山。その下にも中央高速の小仏トンネルが通っているが、その長さと山の厳しさ、全く比較にならない大変さだった。

標高差1377mを約8時間かけて往復し、心配してた靴のソールも最後まで持ってくれた。石打の温泉に身を沈め、窓の外に見える日本最大のゴンドラの上り下りを眺め、今日一日に感謝した。



< 巻機山 雨の行軍 十六名 >



< この山の 下にトンネル 日本一 >



< 雨垂れも トッピングなり 山の飯 >



< 靴破れ 足も痙攣 山極む >


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  • 総勢16名、まだ夜明け前の薄暗い中、巻機山頂に向って登山開始する。

    総勢16名、まだ夜明け前の薄暗い中、巻機山頂に向って登山開始する。

  • 5合目。細かい雨は降っているが、この程度ならまあ満足。

    5合目。細かい雨は降っているが、この程度ならまあ満足。

  • 5合目を過ぎ、白樺の樹林帯を登っていく。

    5合目を過ぎ、白樺の樹林帯を登っていく。

  • 一向は登山客16名と添乗員2名。

    一向は登山客16名と添乗員2名。

  • 6合目展望台。向いのヌクビ沢コースを見る。左手の円錐形の山が天狗岩。

    6合目展望台。向いのヌクビ沢コースを見る。左手の円錐形の山が天狗岩。

  • 9合目の先、避難小屋の前から巻機本峰方向を眺める。

    9合目の先、避難小屋の前から巻機本峰方向を眺める。

  • 本峰に向って最後の登攀が開始される。

    本峰に向って最後の登攀が開始される。

  • この登山靴の状態。よくこれで8時間の登山に耐えられたものだ。

    この登山靴の状態。よくこれで8時間の登山に耐えられたものだ。

  • 漸く巻機山頂での記念写真。1967m、雨の中の登頂!

    漸く巻機山頂での記念写真。1967m、雨の中の登頂!

  • 山頂で喜び合うツアー参加者。

    山頂で喜び合うツアー参加者。

  • 他の参加者はもう一つ先の牛ガ岳まで往復する。

    他の参加者はもう一つ先の牛ガ岳まで往復する。

  • 8時間かけ、漸くにして下山。足が全く動かない状態。

    8時間かけ、漸くにして下山。足が全く動かない状態。

  • 巻機山登山コース案内版。ツアーは右手の井戸尾根コースを往復した。

    巻機山登山コース案内版。ツアーは右手の井戸尾根コースを往復した。

  • 石打温泉、こまくさ荘前の日本最大のゴンドラロープ。

    石打温泉、こまくさ荘前の日本最大のゴンドラロープ。

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この旅行記へのコメント (4)

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  • yotchanさん 2008/08/26 00:15:05
    あの石打まで
    あの若かりし頃よく行った石打丸山スキー場の傍まで行かれたのですね。
    石打丸山は僕のお気に入りのゲレンデの一つでしょっちゅう行っていましたよ。でも無理がたたって足を痛めたとか、もう若くないんだから無理すると後でけがが影響して来ますよ。足を大事に無理をせず永い間登山を楽しめるようにして下さい。楽しみが減ったら残りの人生生き甲斐が半減してしまうじゃありませんか?

    ちゃお

    ちゃおさん からの返信 2008/08/26 09:31:31
    RE: あの石打まで

    どうも有難う。まあ、楽しみはいろいろ探して新たな楽しみを見つければよい訳で、病気になったら病気になってで、病人の楽しみを見つけたら良いと思っています。
    ご心配、どうも有難う御座います。
  • yotchanさん 2008/08/25 23:52:05
    剥がれた靴と雨の中の行脚
    見送りに行った時にちょうど雨が少し降っていたにも拘わらず、そして、靴底が剥がれたにも関わらず、それにお互い行き違ってしまったのに良くぞや無事に帰ってこれましたね。僕だったらとっくにキャンセルして居たでしょう。剥がれた靴騙し騙し靴紐かなんかで止めてよく足を痛めなかったですね。用心深い僕からしたらあり得ませんね。兎も角無事怪我も無く帰って来れた事に万歳、おめでとう御座いますの言葉をお送りいたします。

    ちゃお

    ちゃおさん からの返信 2008/08/26 09:29:21
    RE: 剥がれた靴と雨の中の行脚

    いや、どうも有難う。

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