2008/08/11 - 2008/08/16
8487位(同エリア11992件中)
きっちーさん
蘇州日帰り旅行を終え、上海へ戻ってまいりました。
せっかく東洋のヴェニスへ行ったのに、三施設で暑さにギブアップしてしまい「帰る、帰りたい」と大騒ぎした母上ですが、南京東路へ戻った途端、
「ご飯どうしよっか?」
とキョロキョロしています。
おなか痛いって言ってなかった?
写真は夜ですが、東亜飯店のまえに到着した時は、まだぜんぜん明るくて、雨雲の隙間から強い日差しが落ちてきます。
へんな天気だ、ホント。
- 同行者
- 家族旅行
- 一人あたり費用
- 10万円 - 15万円
- 交通手段
- 鉄道 タクシー
- 航空会社
-
東亜飯店まえ〜。
とりあえず、顔だけ洗って、人民広場駅の周辺にならぶ高級ホテルのラウンジで、「プチリッチなご飯にすべえ」と、くりだします。
西蔵中路の地下通路から、新世界商厦のまえへでると、母子の泊まっている安ホテルとは比較にならない、でっかいホテルがどーんどーんと立ち並んでおります。
「ま、とりあえず」
手近な金門大酒店のガラスドアをくぐります。
高い天井とシャンデリア。
ピカピカしたロビーを横切り、エレべ―ターホールを探します。
「1階は喫茶店だけみたい」
「レストランは何階かしら?」
「エレベーターのところに、フロア案内がでてんじゃない?」
泊まってもないホテルなので、勝手がわからず。
なおもエレベーターを探してずかずか進むと、背後に人の気配が・・。
ホテルのボーイさんが、挙動不審のお上り親子のあとをつけています。
「你好」
「ニーハオ」「ニーハオ」
「どうされましたか?」
「えーと、ウェアリズ、レストラン〜?レストラン在ナーリ?」
・・これは・・自分でも怪しすぎる。
母子そろって安っぽいビーサン、暑いなか歩き通しで汗臭いし、サングラスかけてるし、私なんか金魚のアロハだし。
世界中のホテルでマークされそうな2人組です。
笑顔を貼り付けたまま、あきらかにホテルの利用者とは思えない珍客を上から下まで眺めて、警戒シグナルを発していたボーイさんですが、「まあ、そんなに心配するものでもないか」
思い直したように、「レストランはこちらの階になります」と案内してくれます。
「シェシェエ〜」「しぇしぇ」
言われた階にあがると、きっちり制服に身をつつんだ小姐がレストランの前で直立しています。
お店の扉が閉まったままなので、彼女に尋ねてみると、まだオープンまで20分ほどかかるとか・・。
「待っていられない」
と訴える、自称『おなかの調子が悪い』母にせかされて、南京東路のデパートのファミレスへ〜。 -
旺盛な食欲で、出てきたものを平らげる母上ですが、
「あんまり美味しくないわねー。やっぱ中華料理は日本で食べたほうがいいわねー。あんたは気にならないかもしれないけど、お母さんの口には合わないわ。
あ、でも南京の金陵飯店は、本当に品の良い味で美味しかった〜」
などと、ぬかされておりやがります。
また南京まで行けというのか、おぬし〜。
「え〜。いやよあんなとこ、暑いもの。やっぱ暑いときは涼しいところに限る。来年は北海道に連れて行ってネv」
・・・手に負えません。
この神妙に行こう南京大虐殺追悼ツアーを、ただのグルメツアーに塗り替えてしまう、『猟奇的な彼女』ならぬ猟奇的なマミー。
そんなこんなで、上海の夜は更けて行くのでありました。 -
翌朝!
帰国の日でございます。
帰るとなると、ちょっとサミシイ。
あ〜あ、今回は上海博物館見れなかったなー。
「それにしてもついに行っちゃったね、南京大虐殺記念館!」
「暑くてまいったわー。上海は、水がまずい。お茶なんか飲めなかった〜」
「文句ばっか言わないの」
「やっぱり旅行は国内に限るわね」
そんな掛け合いをしつつ、タクシーで上海浦東国際空港へ。 -
「あのう、日本の方ですか?」
ノースウェストのチェックイン・カウンターにならんでいると、私たちの前にいた男性が、話しかけてきます。
「はい、そうです」
「あのう、飛行機キャンセルになっちゃってるみたいなんですけど、なにかご存知ですか?」
ええ〜っ!!
「なんか、張り紙でてるみたいなんですけど・・」
まじで〜っ!
あわてて母上に列の場所取りをさせておいて、カウンター入り口に近寄ると小さな看板に、このような紙がペラリと掲示してあります。 -
英語よりは断然中国語がわかりやすいので、字面を目で追うと・・・。
なに〜!!
天候の所為で、時間オーバーしとると!?
そんでもって、明日(8/16)の早朝6:30のフライトにふり返られた(らしい?)!
oh〜no!
最悪です。
母上のもとへ戻ると、案の定「これだから中国は!」「本当にいいかげん!」「だから来たくなかった!」とまくしたてられます。
いつもの文句はさておいて、とにかく振り替えの手続きをしてもらわなくては明日の便に乗れないので、チェックイン・カウンターで順番を待ちます。
先ほど声をかけてくれたお兄さんが、
「宿泊代までは無理かもしれないけど、空港から市内までの往復交通費は出してくれると思いますよ」
と、母をなだめてくれています。
いい人だ。 -
お兄さんがカウンターに手続きに入り、私たちも空いたカウンターでパスポートとeチケットを提示します。
さきほどの、運行キャンセルの紙をもう一度見せられ、中国語でどうやら説明がされています。
ヒアリングは・・・・さっぱりわからず。
「請写在?」
メモを差し出しますが、書いてくれず。
仕方ないので、「ホテルを取ってもらえますか?」と尋ねますが「それはできません」と断られます。
ちくしょー。ノースウエストめ。
補助くらいしてよー。
中国国際航空はフライトキャンセルの時、送り迎えのバスと宿泊ホテルは用意してくれたぞ。
腹立たしいですが、言葉が不自由で筆談も相手にされないとなると、使える言葉で話すしかありません。
「じゃあ、近くで泊まれる場所を教えてほしい」
カウンターの職員さんは、「少々お待ちください」と隣のカウンターの小姐になにやら訪ねたあと戻ってきて、
「空港の向かい側、リムジンバス乗り場行きのエスカレーターの前にある、エレベーターで2楼あがったところに『MOTEL168』があります」
だそうです。
しゃーない。
上海市内にまた戻ってホテルをとり、明日の早朝に出てくるのも面倒なので、今夜は空港付属のホテルに泊まることにしましょう。
それが、コチラ!! -
さすがに空港にくっついているホテルだけあって、マンモスホテル。
あっさりチェックインできました。
ツイン・ルーム。
ライティングや室内装飾がとても凝っていて、設備はフツーなのに良い部屋をとったような気分(笑)。
洗面所も、なんかレストランのお手洗いみたいです。 -
今日は日本に帰れない、のがショックだったのか、お母さんふて寝を決め込んでおります。
ええ〜。
寝てないで遊びに行こうよー。
せっかくだから空港内を探検しようよー。
「あんた、ひとりで出かけたり、勝手にプラプラしなさんなよ」
釘を刺されます。
ぶー。ぶー。
じゃあ起きて一緒に行こうよ。空港探検!
「zzzzz・・・」
寝てもうた。
海外旅行で、フライト・キャンセルによって延泊を余儀なくされたのは、これが2度め。
いずれも、お母さんと中国へ行った時です。
お母さんは初☆中国!も、今回も、飛行機が飛ばず。お泊り。
2回中、2回じゃ不信感も湧くわな。
でも母上がよく口にする、「これだから中国は!」というより、航空会社の責任と対応の問題だと思うんですけどね。
私ひとりの時は、日中間のフライトで遅れがでたことはあっても、キャンセルなんて起こんないのになー。
マミーと一緒の時に限って・・。
これが、相性というものだろーか??? -
ここからさらにノースウエストによって、ママゴンを激怒させるような対応が続くのです・・・。
(改善した方が良いっすよ〜)
翌朝、3:50(!)。
早いす。
まだアタマ寝てますよ。
昨日、チェックイン・カウンターで、『到机場4:00、飛6:30』と指定されたので、大事をとって早めに来たという訳です。
同じように、大事を取ったと思われる人がちらほら。
仲間、仲間。
「お早うございます」
あ。
昨日のお兄さんだ。早め仲間!
「どうも〜。お早うございますー」
「なんだか、困っちゃいますよねえ、飛行機」
「昨日はやっぱりホテルは用意してもらえなくて。そちらは、どこかへお泊りになったんですか?」
「僕、こちらで単身赴任なもので・・。昨日はこっちの家に帰りました」
「あ、そうなんですか。ここまで来るの、大変ですねー」
「タクシー代は、領収書持ってくれば出してくれるそうですから」
なぬ?
「え・・。聞いてないんですけど」
「タクシー代の話なんかしなかったわよねえ、あの人」
「ホントですか?」
顔を見合わせたところで、小柄な女性がキャリーバッグを転がしながら歩み寄ってきます。
「すいません、ノースウエストを待ってらっしゃるんですか?」
「ええ、そうです」
「まだ、カウンター開かないみたいですよ」
「4:00って聞いてたんですけど・・」
言われてみると、たしかにもう時間が過ぎています。 -
いつまでたっても、航空会社の従業員はやって来ません。
不安な時が過ぎ、6:30になってもノースウエストのカウンターには誰ひとり現れず。
周辺がざわつき始めます。
しびれをきらした人たちが、ほかの航空会社の受付さんに、ノースウエストと連絡を取ってくれるよう直談判をしていますが、連絡先などわからないその人は困惑しきっています。
私たちのそばに腰掛けた小柄な女性は、日本語を完全にあやつる中国のビジネスウーマンで、話を聞くと目を丸くして言います。
「え?わざわざ泊まられたんですか?
だって、私にはあとの便でよければ、空いた席に振り替えますって言ってたんですよ!」
お兄さんと母子、固まります。
なんじゃそりゃー!?
「私、どうしても昨日じゃなくてはいけない訳ではなかったので。ほかの方にどうぞ、と・・。出直したんですよ」
どうなってるんだ・・。
ノースウエストは、窓口ごとで、まったく違う対応をしていたのです。
?すべて顧客に負担させる
?交通費だけは出す
?空いた便に振り替え手続きをおこなう
おいっ! -
いや、マジで頭にくるんですけど・・。
それよりなにより、6:30過ぎても空港会社の人間がひとりも来ねーだーよォ。
カウンターの周囲にいる人たちの目つきが、業界系になったその時・・・談笑しながら若い男性が3人、ノースウエストのカウンターの中に入って行きます。
すかさず、マッチョなおじさん達が彼らに詰め寄り、中国語でまくしたてます!
あ。お姉さんまで、一緒に文句言ってる。
よ、よし。絡むぞ!
皆さんが言ってるこまかい内容は分かりませんが(笑)、「そうだ、そうだ」と頷きながら一緒に立ち塞がります。←トラの威を借る子ギツネちゃんvまたは尻馬姫v
おじさんズに負けずに、強い口調で文句をぶつけてくれていた彼女が、あきれたように、
「この人たち、荷物係だって言ってます。ホントかしら・・」
と日本語に訳してくれます。
張り紙にあった『6:30』から15分ほど経過して、ようやくスカーフを巻いたいかにもな小姐たちが、カウンターの前に立ちます。
すると!
さっき、お姉さんが察したとおり、さきほどの男性達も素知らぬ顔をして受付業務を始めます!
信じらんない!ノースウエスト! -
もうしばらくは、この会社を利用する事もあるまい・・。
険悪な雰囲気の中、オープンした窓口で、
「お母さん、通路側が良いから!『通路側にしてください』って頼んでね!」
マミーはあくまでマイペースです。
お母さんの話し相手に捕まっていたお兄さんも、おのぼりな私たちに同情して、窓口に抗議してくれたかっちょいい中国商社員のお姉さんも、無事にチェックインを済まされたようです。
おふたりともお世話になりました!
旅の空の下、またお会いできると嬉しいっス!
今回の南京大虐殺記念館を訪ねた、2008年の暑い夏もこれでお別れです。
イヤ、ホント暑かったナリ。
戦後補償をめぐる裁判の増加を受けて、南京事件を含め東南アジア地域で、加害にまわってしまった皇軍兵士の証言記録が出版されています。
日常生活から徴兵された、ごく普通の人たちが『天皇の軍隊』という組織の中で、自分の良心に従った判断を剥ぎ取られていく過程。
『加害の裏に被害もある』というのは頭ではわかっていても、軍隊内の兵士に対する人権の無視のやり方は、手記や証言を読む限り、想像を超えて熾烈でした。
こんなシステムを美化し、あわゆくば再び立ち上げようと思ってる人たちは、やはり死者の痛みを感じ取れないし、ましてこれら軍隊の犠牲になる庶民の事なんて解かろうともしないんだろうなあ、とつくづく思います。
自分たちの悲惨さは語れても、踏みにじられた相手への配慮が感じられない部分は、読んでいてきっつい気持ちになりますが、ごくあたりまえ感情を麻痺させる軍隊のシステムからの脱出が、いかに難しいかの現われともいえるでしょう。
まあ、開戦から終戦までずっとトップに居続けた昭和天皇が戦争責任をとらなかったことも、責任追及のあいまいさを残す原因になっていると思います。
加害側の証言が、自己保身を計らずに率直に述べられるのはまれなので、基本的には一番弱い立場におかれた人の話が、出来事をみていく大きな指針になると考えています。
そういう意味で、『兵士サイドの事情』も踏まえたうえでの、侵華日軍南京大屠殺遇難同胞記念館見学できたのは、非常に勉強になったと思います。
2度目の南京でしたが、ひとりでは重かったので、母と歩けて良かったなーと。
あまり観光はさせてあげられなかった気がしますし、オリンピックもまったく関係なく過ごしてしまいましたが、トラブルは堪能して頂いたということで(笑)。
南京は、相変わらずとても広くて、下関やラーベの家、利済巷2号の『慰安所』跡など、まだ行っていない場所をだらだらまわってみたかったのですが〜。
それはまたいつか!
そのまたいつかが、早く来ると良いなあ〜vv
最後まで読んで下さった皆さんに感謝をこめて。
(お母さんにも。へそまげずに付き合ってネ)
また、お会いできれば幸いです。
きっちー
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