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<br />「ホテル加宝」も終わってしまって、やっとなにを書いても「ホテル加宝」の営業妨害にならない状況が来た。<br />ただ問題なのは、どういう風に書いていくかだよね。<br /><br />加宝を描くということは、加宝に泊まった人たちの話、エピソードになる。<br />ただ、名前は変えないと問題が起きる。<br />この名前というものも、なかなか難しいものだ。<br /><br />全く違った名前をつけても面白くないし。<br />かといって、僕がよく本に書くように性格で名前をつけるのも、登場人物が多い場合はわけがわからなくなるだろう。<br /><br />だって女性の場合は「外見純子(外見は純情そうだが中身はどうかわからない女の子)」なんて、たいていはそうなんだからね。<br />まあ、ぐたぐた言ってないでとっとと書き始めないと、おそらくこの物語は終わることができないだろう。<br /><br />そこで、一番簡単なところから、ほんの1日か2日しか会わなかった人のことを書いてみようと思う。<br />そんな人は山ほどいるんだが、思い出すと、そうまずは僕が中米へ下ろうと決意していながら、ずるずると加宝に残っていた時に会った人の話から…。<br /><br />【とっとと出発しないと気まずい思い】<br /><br />1989年3月1日、もういい加減旅に出ないといけないとわかっているのだが、なかなか旅に出ることができない。<br />加宝の居心地があまりによくて、1988年12月31日に泊まり始めて以来、中米から南米へ下ろうと思いながら、何かと出発しない理由ができて、一日伸ばしにしている。<br /><br />このころの加宝はウィークリー料金があったので、僕は一週間95ドルで泊まっていた。<br />それをもう出発するというので、一日ごとに払うことに変えた。<br /><br />しかし、一日ごとに払っているのに出発しないものだから、加宝の受付の中国人のお姉さんからは、「西本さん、ウィークリーにした方が安いよ。どうせ旅に出ないんでしょう(笑)?」と、毎日冷やかされる。<br /><br />ロサンジェルスを出る用意もすべて済ませてある。<br />借りていたビデオも、本も、全部返却してある。<br />ホテルの部屋も片付いているし、バックパックに入れるものも用意済みだ。<br />しかし出発できない。<br /><br />後はロサンジェルスを出るきっかけさえあればいいんだが…。<br />そうそう、自分で自分の送別パーティを開いてしまおう。<br /><br />ロサンジェルスからメキシコへ行って、カンクンからマイアミへ飛び、マイアミからロサンジェルスへ戻ってきた山口君という若者が来た。<br />そこで、ブラジル帰りのブラジルさん(安易な名前だな、また付け直すと思う)で送別会をして酒を飲む。<br /><br />男だけだと盛り上がらないが、ロビーへ降りると、女の子が3人いた。<br />そこで、結構話が盛り上がって、12時まで話をしていた。<br /><br />その3人の女の子のうち一番きれいな子が、翌日も泊まるとのこと。<br />そうなれば、僕はもちろん出発しないね。<br /><br />それにちょうど、3月2日には、28チャンネルのKCETで、英国で製作された「HIROHITO BEHIND THE MYTH」という2時間番組をやる。<br />これは日本では絶対に見ることの出来ない、ドキュメンタリーなので、それを見るという立派な理由があったんだ。<br /><br />3月2日は、ロビーでこのきれいな女の子と、僕の世界旅行について、また明日朝早くロサンジェルスを出て、メキシコから南米へ向かうという計画を話する。<br /><br />この女の子は、大冒険家と出会った感激で目を潤ませていたよ…。<br />僕は「それでは、またどこかで会いましょう。僕は部屋でBBC製作の天皇陛下の番組を見るので、これでっ!」とさっと席を立つ。<br />部屋に戻って、テレビを見ながら、ビールを飲む。<br /><br />翌朝はいつもよりちょっと遅くおきてしまった。<br />出発するつもりで、もう一度バックパックをまとめなおして時間を使う。<br />だって、忘れ物があったら大変だからね。<br />いろいろやっていると10時を過ぎてしまった。<br /><br />このころの加宝には朝食が付いていたので、腹ごしらえにと階下へ降りようと、自分の部屋のドアを開ける。<br />するとドアの下から紙切れが差し込んであるのを発見する。<br /><br />昨日のきれいな女の子からだ。<br />住所と電話番号、名前の他にメッセージがあって、「中南米旅行のご無事を祈ります。またどこか出会えたらいいですね」と書いてあるよ。<br /><br />これはまずい。<br />とっとと出て行かないといけない。<br /><br />でもサンドイッチくらい作って、コーヒーを飲んでから、それから出かけようとロビーへ降りる。<br />コーヒーを紙コップに注いでいると、そのメモをくれたきれいな女の子とぶつかってしまった。<br /><br />女の子は「あら、まだいたんですか?今朝早く行ったんじゃなかったの…」と、まるでお父さんがマスをかいているところを発見したような、冷たい言葉を残して、去っていった。<br />かなり恥ずかしい…。<br /><br />僕はこれから出発するつもりだったんだよ!<br />でも、これだけ恥をかいたなら、今日出発する理由はなくなったよ。<br /><br />今日も、「ホテル加宝」に泊まることにしようーっと!<br />(ちなみにその可愛い女の子は、その日にチェックアウトしたようです)<br /><br />【旅行哲学】出発すると宣言して、それでもだらだら居残っても、それでいいと思うよ。<br />http://homepage3.nifty.com/worldtraveller/carver/dissapoint.htm

《メモをくれた可愛い女の子を失望させる@「ホテル加宝」》1989/03/01

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1989/03/01 - 1989/03/01

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みどりのくつした

みどりのくつしたさん


「ホテル加宝」も終わってしまって、やっとなにを書いても「ホテル加宝」の営業妨害にならない状況が来た。
ただ問題なのは、どういう風に書いていくかだよね。

加宝を描くということは、加宝に泊まった人たちの話、エピソードになる。
ただ、名前は変えないと問題が起きる。
この名前というものも、なかなか難しいものだ。

全く違った名前をつけても面白くないし。
かといって、僕がよく本に書くように性格で名前をつけるのも、登場人物が多い場合はわけがわからなくなるだろう。

だって女性の場合は「外見純子(外見は純情そうだが中身はどうかわからない女の子)」なんて、たいていはそうなんだからね。
まあ、ぐたぐた言ってないでとっとと書き始めないと、おそらくこの物語は終わることができないだろう。

そこで、一番簡単なところから、ほんの1日か2日しか会わなかった人のことを書いてみようと思う。
そんな人は山ほどいるんだが、思い出すと、そうまずは僕が中米へ下ろうと決意していながら、ずるずると加宝に残っていた時に会った人の話から…。

【とっとと出発しないと気まずい思い】

1989年3月1日、もういい加減旅に出ないといけないとわかっているのだが、なかなか旅に出ることができない。
加宝の居心地があまりによくて、1988年12月31日に泊まり始めて以来、中米から南米へ下ろうと思いながら、何かと出発しない理由ができて、一日伸ばしにしている。

このころの加宝はウィークリー料金があったので、僕は一週間95ドルで泊まっていた。
それをもう出発するというので、一日ごとに払うことに変えた。

しかし、一日ごとに払っているのに出発しないものだから、加宝の受付の中国人のお姉さんからは、「西本さん、ウィークリーにした方が安いよ。どうせ旅に出ないんでしょう(笑)?」と、毎日冷やかされる。

ロサンジェルスを出る用意もすべて済ませてある。
借りていたビデオも、本も、全部返却してある。
ホテルの部屋も片付いているし、バックパックに入れるものも用意済みだ。
しかし出発できない。

後はロサンジェルスを出るきっかけさえあればいいんだが…。
そうそう、自分で自分の送別パーティを開いてしまおう。

ロサンジェルスからメキシコへ行って、カンクンからマイアミへ飛び、マイアミからロサンジェルスへ戻ってきた山口君という若者が来た。
そこで、ブラジル帰りのブラジルさん(安易な名前だな、また付け直すと思う)で送別会をして酒を飲む。

男だけだと盛り上がらないが、ロビーへ降りると、女の子が3人いた。
そこで、結構話が盛り上がって、12時まで話をしていた。

その3人の女の子のうち一番きれいな子が、翌日も泊まるとのこと。
そうなれば、僕はもちろん出発しないね。

それにちょうど、3月2日には、28チャンネルのKCETで、英国で製作された「HIROHITO BEHIND THE MYTH」という2時間番組をやる。
これは日本では絶対に見ることの出来ない、ドキュメンタリーなので、それを見るという立派な理由があったんだ。

3月2日は、ロビーでこのきれいな女の子と、僕の世界旅行について、また明日朝早くロサンジェルスを出て、メキシコから南米へ向かうという計画を話する。

この女の子は、大冒険家と出会った感激で目を潤ませていたよ…。
僕は「それでは、またどこかで会いましょう。僕は部屋でBBC製作の天皇陛下の番組を見るので、これでっ!」とさっと席を立つ。
部屋に戻って、テレビを見ながら、ビールを飲む。

翌朝はいつもよりちょっと遅くおきてしまった。
出発するつもりで、もう一度バックパックをまとめなおして時間を使う。
だって、忘れ物があったら大変だからね。
いろいろやっていると10時を過ぎてしまった。

このころの加宝には朝食が付いていたので、腹ごしらえにと階下へ降りようと、自分の部屋のドアを開ける。
するとドアの下から紙切れが差し込んであるのを発見する。

昨日のきれいな女の子からだ。
住所と電話番号、名前の他にメッセージがあって、「中南米旅行のご無事を祈ります。またどこか出会えたらいいですね」と書いてあるよ。

これはまずい。
とっとと出て行かないといけない。

でもサンドイッチくらい作って、コーヒーを飲んでから、それから出かけようとロビーへ降りる。
コーヒーを紙コップに注いでいると、そのメモをくれたきれいな女の子とぶつかってしまった。

女の子は「あら、まだいたんですか?今朝早く行ったんじゃなかったの…」と、まるでお父さんがマスをかいているところを発見したような、冷たい言葉を残して、去っていった。
かなり恥ずかしい…。

僕はこれから出発するつもりだったんだよ!
でも、これだけ恥をかいたなら、今日出発する理由はなくなったよ。

今日も、「ホテル加宝」に泊まることにしようーっと!
(ちなみにその可愛い女の子は、その日にチェックアウトしたようです)

【旅行哲学】出発すると宣言して、それでもだらだら居残っても、それでいいと思うよ。
http://homepage3.nifty.com/worldtraveller/carver/dissapoint.htm

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