2008/04/26 - 2008/04/27
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人類史上最多の水銀生産地、アルマデン。
村の闘牛場建設(1752-55年)は、鉱夫やその家族のための病院を建設するための資金を得る福祉目的だったことは、前の旅行記で述べました。
現在、その病院だった建物はアルマデン鉱山の歴史博物館になっています。
鉱山の仕事はとてもキツイもの。
アルマデンや近隣の村の鉱夫の他に、農家の閑散期にやって来る出稼ぎや日雇い労働者、そして昔は、安くこき使える労働力として囚人や奴隷がいました。
これはアルマデンの暗い過去のお話です。
表紙の写真:鉱山病院サン・ラファエル
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鉱夫に捧げるモニュメント
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アルマデン村の紋章
右下、なるほど、鉱山の村らしい。 -
フラビオラちゃん
お友達と立ち話をしていたお母さんの手をふりほどいて、写真を撮っていた私の所までトコトコとやってきて「私を撮ってぇ」とおねだりしてきた。
「撮って」というくせに手元のカメラを覗き込んでくるばかりなので、なかなか写真に収めてあげられない。
「ハイ、チューして」って手に持っているトゥイーティーの縫いぐるみを私の顔に押し付けてくる。
お母さんが来て、やっと大人しくカメラに向いてくれました。
フラビオラちゃんの後ろの建物は今は村の大型スーパーですが、それ以前はここで鉱山で働かすロバを飼育していたそうです。
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教会の軒下はツバメに占領されていました。
ズラズラッと並んだ巣。 -
4月下旬、初夏の陽気。
奥に見える建物が、闘牛興行の売り上げと闘牛場内の住まいの家賃で集めた資金で建設した病院。 -
聖ラファエル・鉱山病院
建設 1755-1773 -
この病院では鉱夫のみでなくその家族も診た。
鉱夫の病気は、水銀による平衡機能障害や手足の震えなど。
また、当時は鉱山とは関係ない伝染病のマラリアも流行っていた。 -
鉱山を中心とした村の歴史や、水銀の歴史などが分かるようになっています。
これが水銀を含む鉱物、辰砂(しんしゃ)。
5.000年以上前の青銅器時代からこの鉱石の存在は知られていました。その証拠として、この付近の洞窟にはこの赤色を利用して描いた洞窟画が残っています。 -
建物はなかなかスペインらしくて素敵です。
病院だったとは思えない。 -
2階の窓から鉱山の方が見えました。
村の西端にあります。
翌日曜日の朝に中を見学するため、予約を済ませてあります。 -
中庭。
(表紙の写真も) -
綺麗で明るい中庭を回って建物脇へ行くと、アルマデンの暗い過去の一部を垣間見ることができます。
鉱山での一番キツイ仕事をさせるために、アルマデンには牢獄があり、そこから毎日囚人が鉱山へ働きに出されました。
(1566-1799年の話)
その囚人たちだって病気になれば怪我もしますので、ちゃんと手当てはしてもらえましたが、一般患者と一緒にならないよう離れた暗い狭いこの場所を与えられていました。 -
昼間は見張りが付き、夜は逃げないように足枷を付けられていました。
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病院から2ブロック離れた所には、現在、ラ・マンチャ大学・鉱学部があります。
鉱学専門学校としては世界最古。
1777年にカルロス3世の命により創設されました。
この一角には昔、牢獄がありました。
16-17世紀のスペインでは、大した盗みじゃなくても、浮浪者でも捕まえられ、ガレオン船に乗せられて漕ぎ手として一生を終えるような目に遭っていました。
新大陸での金銀発掘のために水銀の需要が上がり(金銀を鉱石から分離する過程で水銀が必要)、そんなガレオン刑を受けた者たちがアルマデンの水銀鉱山で働くために送られて来るようになりました。 -
鉱学部らしい鉱物の展示や、発掘されて出てきた牢獄の一部が見学できます。
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当然、牢獄だから村はずれにありました。
1799年に囚人を鉱山に送ることは止めましたが、19世紀にもまだ牢獄として利用。
20世紀前半の市民戦争中は共和国側に占領され、20世紀後半は穀物倉庫として使われた建物ですが、囚人を鉱山でこき使った村の暗い過去を消すために、1969年に建物は解体され、跡地に大学が移ってきました。 -
牢獄の模型
中庭の地下牢の部分が発掘されて見ることができます。 -
同じ模型の写真ですが、注目してもらいたいのが下に見える穴。
これ、トンネルです。
ここから1km先の鉱山まで連れて行く間に囚人が逃げないように、トンネルを掘りました。
地下牢からトンネルを通って鉱山で働いて、また地下牢へ帰ってくる。この囚人たちは陽を拝めなかったのです。
現在このトンネルは修復中で、近い将来観光用に開通される予定です。 -
1996年に発掘された、地下牢部分。
村の暗い過去を拭うために取り壊した牢獄なのに、半世紀後の現在では観光地となっている。
歴史の皮肉か・・・ -
囚人が鎖で繋がれていたのでしょう。
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隣村の見晴台まで上がって、周辺の風景とアルマデン村の全景を見ました。
スペイン全土でほど良く雨が降った4月だったからか、ラ・マンチャらしくないこの青々とした風景!
でもパンフレットで見ると、昔から北の羊飼いたちが冬の寒さから逃れてこの辺りまで集まり、「羊はここの草を舐めるだけで太る」と言われたほどに肥沃な土地らしい。 -
分かりますか?
白く点々と見えるの羊です。
あちこちで見ました。
私はこういう風景に出くわすと、点々と草原に散らばる羊がノミのように見えて仕方ない・・・ -
アルマデン村全景。
残念ながら正六角形の闘牛場はここからは見えない。 -
村端っこの鉱山。
翌日、見学します。
アルマデン旅行記 2/4 (完)
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