2008/04/20 - 2008/04/21
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keithforestさん
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これまで吾妻線沿線には数え切れないほど行っている。そもそもの最初は中学二年生の時の林間学校で新鹿沢温泉の鹿沢館に泊まったところから始まっている。当時は信越線を上田で降りて、そこからバスで鳥居峠を越えて入っていった。昭和9年から変わらないという建物は今でもそのままのようだ。結婚を決めてから1972年の10月にも二人でほとんど宿泊客のいない鹿沢館で温泉を楽しんだ記憶があるが、その晩に台風が来て吾妻線が止まり、バスで漸く渋川に出た記憶もある。
それからは六合村の旧鉄山跡に毎年キャンプに入るようになって車で吾妻川に沿って走ったのはもう何十回にもなるだろう。それでも中之条から四万温泉に入ったことは一度もなかった。あの温泉に会社の旅行で行ったよ、という話はよく聞いていたからそんなもんなんだろうと思っていた。時々送られてくるクラブツーリズムの温泉パンフレットを見ているとその四万温泉にある古い建物、古い温泉が売り物らしい「積善館」のパックが、猿ヶ京の法師温泉・長寿館のパックと隣り合わせに載っている。長寿館には勿論行ってみたいのだけれど、あっちにはパックではなくて、個人旅行として行って見たいのでこの際は積善館にしようと決めた。
さすがに格式を誇る歴史のある温泉旅館の旅なので値段が安くない。ものすごく悩んだのだけれど多分一度行くだけなんだから清水の舞台から飛び降りた。行ってみて結果的にはコスト・パフォーマンスとしては大変に効率がよいものだったのだと気がついた。
出発は朝10時くらいで随分ゆっくりだけれども、旅館のチェックインタイムという奴はおおよそ午後3時なんだから早く出てもあまり意味はない。バスが25名乗り程度のサイズでこれは参加者が集まらないのかと思ったらそうではなくて、現地に行ってわかったのは大型バスで入っていったらえらいことになりそうな現地なのだった。結局参加者はおおよそ20名。そのうち一人で参加しているらしい人たちは8名ほど。女性の一人参加者はこれまで何度もパック・ツアーで一緒になっているらしく顔見知りで、男性の一人参加者も三人いたけれど顔見知りのようだ。こうしたパックは一人の部屋だと割高になるし、中には「ひとり参加を受けていません」というものだってあるのだそうだ。その代わりにそうして知り合った人たちが申し込む時に三人以上の相部屋にするということにすればその分割安になる。ところが彼らは充分に顔見知りだから添乗員にもその辺がよく知られていてバスの中では一人で二人分の席を利用していたのには驚いた。私たちはなんだかメンバーに囲まれたゴルフ場の食堂の端っこの方でカレーをかっ込んでいるビジターのような気分だった。
関越を渋川で降り、昼食を水沢観音下の水沢うどんにしますという話だった。六合村に通った当時は三回に一回は田丸屋でうどんを手繰った。かつて毎日新聞前橋支局に勤務していたという人に連れられてここのうどんを食べてからのお気に入りだった。ところがバスはあの何軒も並んだ辺りから見て一番下に位置する万葉亭というあたかもお土産屋のような店に入った。バスが何台も並んでいてスピーカーからぎゃんぎゃん声がするのを見て、もう分かったと云っても良いけれど、到着してから時間を待って供されたうどんはルックスはそうでもないのだけれど、そのつるつる感は全くだめだった。まぁ、バスパック旅行なんだからこりゃ諦めるしかない。お金と体力があればおいしいものばかり追いかけることも勿論できるのだけれども、それは恵まれた人たちのことである。
バスに乗ってくねくねと水沢観音の駐車場に差し掛かると、あの辺りの桜は今を盛りと咲き誇っていて、それはそれは見事だった。添乗員の機転で、ここで小休止となった。これは大正解だ。少人数だったことが幸いしたといっても良いだろう。この先の渋川総合公園にかけて感嘆の声を上げっぱなしの桜、桜である。それにしても染井吉野とはちょっと違う種類の桜なんだけれど、なんという種類なんだろうか。
吾妻川沿いに中之条まで向かい、そこから四万街道を高度を上げていく。途中で左に「沢渡温泉」への分岐がある。添乗員の解説ではバスでの通行は不可だということだが、後で考えるとこれが暮坂峠への道でこれを越えると長野原から六合村への道、に行くことができるはずだ。あれだけ何度も六合村に行った頃には一度も挑戦するつもりがなかった。できるだけ長い時間六合村にいようとしていたし、行き帰りは見向きもせずに走っていたことを後悔する。こうして時間ができてみるともう自由にあっちやこっちに行ける状況にいない。
「積善館」の宿は上からはいる。そもそも川筋に元禄年間に建てた宿が始まりだそうだけれど、川沿いの山肌に増築を続けたようで、温泉宿に良くあるようにこちらも迷路みたいで面白い。で、結局上の道路に一番新しい建物が接している。
本館に行くにはエレベーターに二回乗り、連絡通路をあっちへこっちへと歩く。一番下の本館も既に土足で歩くようにしてあっていちいち靴を脱がなくても良いことにしてあって快適なんだけれども、どうも日本人には不自然。その本館の中を冒険して歩いていて遭遇したどこかのおかみさんが私たちに、土足で上がっちゃダメですよ、と思わず声をかけたくらいである。
本館の温泉は実に素晴らしい。お湯も源泉に最も近い訳だから5つある湯船それぞれに温度も異なるのだけれどなにしろタイル貼りの脱衣スペースの床がほかほかして嬉しい。
別府の公衆浴場の冷たい感じより数段嬉しい。脱衣スペースと湯船の間にはここも何もない。つまり扉を開けたらそのまま風呂全部が見通せる。写真で見ていた時はもっとド〜ンと広いのかと思ったけれど、まさかそんな筈はない。ほどほどの昔サイズの風呂だ。それでもかつては広々としたものだっただろう。私のあとからやってきた若者二人はちょっと中を見ただけで入ってこなかったのは何故だろうか。
本館は正面は公開されていて明治44年の時の料金表が飾ってある。横の後から増築したであろう部分は今でも湯治客の利用に供されているそうで昔通りのトイレも付いていない背の低い部屋が並ぶ。こちらは自炊ではなくて簡単なお弁当がでるシステムだそうだ。一部屋二人利用平日一人あたり5,300円だそうだ。
本館の元禄の湯を浴びた後で前の赤い橋を渡り、ぶらぶらと歩き出す。なにしろ四万温泉といえばすぐに「たむら」といわれるのだそうで、一番奥に茅葺きの正面玄関を構えた「たむら」を見に行く。
グランド・ホテルなるものと繋がっていて部屋は新築の奥が最も高そうだけれど、それぞれの風呂はそれぞれ入れるのだそうでグランド・ホテルから宿泊客がタオル片手に坂を上がってくる。
この二軒の宿泊施設しかないのだろうかと下に降りて行くと川の合流地点の橋の下から杖をついた爺さんが上がってきた。何があるのかと覗き込むと共同風呂がある。残念ながら15時で終わっている。その爺さんにこれはいくら払うのかと尋ねると「いくらでも良いんだ、気持ちの問題なんだ」というのだ。小さな小屋だがちゃんと石造りで、できたばかりじゃないだろうか。この爺さんのしゃべり方が妙に江戸辯で気になる。生まれは一体どこなんだろう。
橋を渡ってまだ下へ。するとお土産屋、小さな旅館、食いものやなんてものが軒を連ねる。こっちがいかにも温泉街だ。分岐の坂道を上に取ると、積善館の一番上、佳松亭のロビーに到着する。
本館のすぐ上に山荘と呼ばれる区画があり、こちらには混浴の岩風呂がある。夜の一時間は女性専用になる。ここには元は普通のお風呂だったんだろうと思われる湯船が二つの「山荘の湯」があるがここは今は二つの早い者勝ち貸切家族風呂になっている。しかし、隣の風呂との間の上があいているので隣の声がもろに聞こえて落ち着かない。風呂そのものは充分気持ちよい。
一番上の佳松亭には「杜の湯」があってこれは内湯も広く、そして露天も桜が花を見せる向こうに雪を被った山の頂が見えてもういうことがない掛け流しである。
食事は広間で、いやぁ〜な予想通りに畳に座って頂くのだけれど、この歳になるとこれが辛い。昔のお婆さんたちはえらいねぇ。なんでいくつになってもちゃんと正座ができたんだろうか。私たちは日本人として重要な点を失ってしまったのかも知れない。
一品ずつ仲居さんが説明してくれながら戴けるのだけれども、ご高齢の方々はこの辺のゆっくり加減が我慢ならないらしい。お客さんだとなるとどうしてあんなに怖い云い方を投げつけてしまうのかとびくびくする。ビールを呑みながらひとつひとつを楽しむ。
いつもの様に部屋に帰ってテレビを見ながらぐっすり寝てしまう。気がついたら23時半だ。さてさて、そこから風呂に向かう。ひとり入っている。そのうちもう一人60前後のおやじが入ってきたなと思ったら彼はそのまま露天に行き、かけ湯もせずにずかずかと入っていった。バカである。
ひとが浸かっているすぐ横に入るのにひと言も声をかけずにずぶっと足を突っ込んでくる奴がいる。なんだこのバカヤロウはと見上げると別になんとも思っていない。何も気がつかないのだ。人に声をかけると云うことを知らない。
風呂の行き帰りにすれ違った時に「こんばんは」というと慌てて「こんばんは」と声がかえってくるのだから全く反応する気がない訳でもない。ただ単に人に声をかけるという「習慣」を知らないだけなのだ。それにしても50-60歳代になってそれができないのだから、これより若い年代がそんなことを考える状況に育ってきた訳もない。日本の文化や伝統なんてものはとっくに分解している。
朝の出発も10時と思いっきりゆっくりだった。だから8時の朝飯を終えてもう一度風呂を浴びる。都合5回浴びたことになる。そこから四万街道を中之条まで下り、今度は群馬原町のバイパスを走り、郷原のガソリンスタンド角を鋭角に左に曲がって草津街道をくねくねと薬師温泉旅籠に向かう。
原町はこのバイパスができた時のことを覚えているが、今やとんでもないほどにこのバイパスの沿線にどんどん建物が建っている。つまりそれだけ田圃がつぶされ、米の生産は明確にその生産場所を捨ててきている訳だ。もうできてから8年ほどになるんじゃないかとある人に聞いた岩櫃ふれあいの郷は岩櫃城を模したというだけあって城そのものでなんだけれどちょっとびっくり。町営の温泉、福祉センター、コンベンションホール、フィットネスと全部集めてある様だ。地方ではこの種の箱物を集めるのが流れだ。それはあっち、これはこっちは不便極まりないからだ。ベイシアなんかもできていてずいぶん長いことここを通らなかったことに気付く。
薬師温泉「旅籠」には驚いた。それはまた項を改めて書こう。
- 同行者
- その他
- 一人あたり費用
- 1万円 - 3万円
- 交通手段
- 観光バス
- 旅行の手配内容
- ツアー(添乗員同行あり)
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水沢観音駐車場の桜である。ここで大喜びして大休止にしてしまったけれど、この先の渋川総合公園の桜はもっともっと素晴らしく、こんなところで大喜びをしないで先に行くべきだったなり。
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積善館本館の元禄の湯入口前。一番手前に飲泉用の温泉が見える。塩化ナトリウム系の温泉だからわずかに塩分の味がするが別段それほどの抵抗はない。それでもぐいぐいと呑む雰囲気ではないのは何故だろう。この向かい側の座敷には面白いものが展示してあって興味深い。後藤新平の手紙はとても巧い字なんだけれど、私には読めないのだ。
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「積善館山荘」の「山荘の湯」
誰も入っていなかったら「使用できます」の札をひっくり返して「使用中」にして入り、中から鍵をかけてのんびり楽しむことが可能。隣に入ってきたおばさんがとんでもない嬌声をあげたものだから、自分が鍵をかけ忘れたのかと思い、慌てて湯船から出て確認に行こうとして、湯船の縁に思いっきり左足の親指をぶつけ、後々まで痛かったのだ。良く周りを見ろ! -
懐石だと称して最初はこれだけで、後から一皿ずつ供されるという実に贅沢な夕飯を食べたのだけれど、写真を撮るのを忘れてしまいそうで隣の男性と「写真を撮りましたか?」とお互いに声を掛け合う。
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割り箸はこんな具合に洒落たことになって居るんだけれどよく見たら「積善」の判子がずれちゃって私の割り箸には朱肉がついていたことを後になって分かったという訳である。
そういえば次の日に行った「薬師温泉旅籠」でのランチの時には箸置きが煮干しだったのには笑った。 -
積善館の本館と山荘の間はこの通路を通ってエレベーターで上がる様になっている。なんだかこのトンネルを通っていくとどこか異次元に出る様な気がして、行ってみると果たして元禄の建物に出ちゃう・・ってのはいいすぎだろうなぁ。
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「積善館・本館」の二階がこうして公開されている。六畳、八畳の部屋になっていてとにかく部屋があるというだけで廊下の両側に淡々と並んでいるのだ。
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こちらが今でも湯治客の滞在に供されている本館の増築部分。部屋は本当に昔風のものでトイレも何も付いていない。廊下には喫煙用の椅子が置いてあるところに自動販売機が並べてある。二食付いている食事も弁当スタイルなんだそうで、何もかもセルフだという。昔は自炊だったんだから面倒だったけれど、その分安かった訳で、云い方を変えると昔の湯治場は「バックパッカーズ」のようなものだった訳だな。今の日本にはそうした文化はどこにいっちゃったんだろうか。
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この写真は橋のたもとから撮影しているけれど、この撮影地点の下に共同風呂がある。10:00-15:00の利用だそうだ。
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翌朝の朝飯はまるで花見重みたいなものに小綺麗に盛りつけてあったけれど、中身は、鯖の塩焼き(そういえば昨日の夕飯後に魚を焼く匂いがしていたのはこれを焼いていたのか・・昨夜の仕込みか・・・)ウドのきんぴら、ひじきの煮付け、がんもの煮付け、揚げ出し豆腐、白魚数匹が載った三つ葉の卵とじ(いえいえ、仲居さんの説明は白魚の卵とじである)なんてものがあって、お粥だったけれど、白いご飯を食べなくては腹持ちはやはりダメでしょ?!ってんで追加。
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