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梶井基次郎はその短編を「桜の樹の下には屍体が埋まっている。これは信じていいことなんだよ。何故って、桜の花があんなにも見事に咲くなんて信じられないことじゃないか。俺はあの美しさが信じられないので、この二三日不安だった。しかしいま、やっとわかるときが来た。桜の樹の下には屍体が埋まっている。これは信じていいことだ。」 と短編小説「桜の樹の下には」を書きはじめています。<br /><br />2008年4月16日、早朝のNHKラヂオ第一放送で「日本で桜の花を見たら死んでもいい」と書き置きをして来日し、北海道で行方不明になったアメリカの少女のニュースを伝えていました。満開の桜の花には魔物が潜んでいます。<br /><br />数十年昔に、この地にあった東北大学三神峯明善寮で青春を過ごした若者が かって折に触れて歌った寮歌の碑を建て 毎年4月18日に集まって時を過ごしています。ときに満開の桜は凄絶で、おどろおどろしく、あまりにも美しく、信じられないほど美しくて、涙がでそうな美しさでした。<br /><br />2017年4月18日<br />桜は満開をやや過ぎたか というくらいで 見事な風景でした。<br />強い風が吹くたびに 桜の花びらが水平に飛んでゆくほどの花吹雪で、参加者のだれもが 初めて見た と嘆声を漏らすような花吹雪でした。<br />見とれていて写真を撮るのを忘れたので 落ちた花びらを撮りました。<br />この丘にあった寮で 青春を謳歌した寮生も全員が80代のなかばとなり この碑の完成を記念して始めた集まりも 参加者が半減して10名でした。<br /><br />2016年4月18日<br />再び18日に戻りましたが、今年はソメイヨシノの花はほとんど終わって12?13分咲きで、八重桜と白い桜(太白?)が見ごろでした。<br />30人くらいの旧寮生で始めた集まりが、この年は14名の出席でした。<br />平均寿命をとうに超えたロートルが、寮歌を歌って、二次会に流れて、3時ころに解散しました。<br />ノートPCに写真を取り込むのに苦労していますが、散り残った桜なので、なくてもいいかと、ほぼギブアップしています。<br /><br />2015年4月17日<br />18日が土曜日なので遠慮して一日繰り上げました。満開宣言から10日もたったのに見事な満開の花でした。<br />我々80過ぎの老人が集まっているところに「顔は見覚えがあるけれど、名前が出てこない」と言って来た小柄の老紳士が「47期の**です」と挨拶されました。一瞬キョトンとしましたが「陸軍幼年学校ですか」と返したらその通りで、昭和3年生まれでした。公園の一番奥にある幼年学校の碑を指さしして教えて「我々は幼年学校の武器庫を寮として住んでいた若輩です」とあいさつしました。<br />公園に入ったところに旧制第二高等学校の碑が、中央部に表紙写真の我々の東北大学三神峯明善寮の碑があり、幼年学校の碑は一番奥なので、こういうことも起こります。<br /> <br />2014年4月18日<br />満開をやや過ぎていましたが、花見の人出はそこそこでした。ブルーシートをひろげているグループもいくつかありました。<br />傘寿をこえた昔の寮生が、自分たちの碑の前で、寮歌を歌って60年前の青春を偲びました。そして第二部に移動して もう一杯。<br /><br />2013年は ちょうど満開でした。花見の人も少なくて桜に気の毒なくらいでした<br /><br />2012年4月18日再訪<br />当日、仙台では開花宣言でしたが、三神峰の桜はピンクのつぼみでした。花も無いので、往時この地の寮で青春を送った若者たちが、せめてもの記念として建立した三つの碑の写真を紹介します。<br />陸軍幼年学校、第二高等学校、東北大学三神峰明善寮の三者に籍をおいた若者たちが、それぞれの思いを込めて作った碑の写真です。前二者のOBは多くは鬼籍に入り、東北大学の三神峰明善寮0Bも80歳前後となりました。<br /><br />2008年4月17日、久しぶりに仙台の三神峯(みかみね)公園を訪れました。仙台駅前の市営バス乗り場、7番のバス に乗り20分余「西多賀一丁目西・三神峯公園入口」で下車して交差点から坂道を登り、数分で高台の公園に着く。昔からの桜の名所で、種類が多いので花期がながく、長期間にわたり花見が楽しめます。<br />ちょうど「ソメイヨシノ」が満開でしたが、まだ堅いつぼみの桜もありました。ここのお花見はブルーシートの陣取りもなく、家族連れがのどかにお花見をしていて、幼児が風船を追いかけていました。こう書いてから、毎年ここの桜を訪れることとしました。<br /><br />この場所は第二次大戦終了の1945年まではエリート軍人を養成する陸軍幼年学校でした。戦後は弊衣破帽の旧制の第二高等学校が入り、占領軍のアメリカ兵を投げ飛ばした柔道部の猛者も居ました。その後、東北大学の教養部がおかれ、片隅にあった武器庫が私たちの寮として使われました。<br /><br /><br />

仙台・三神峯(みかみね)の丘の桜:毎年の定点観測

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2017/04/18 - 2017/04/19

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ANZdrifter

ANZdrifterさん

梶井基次郎はその短編を「桜の樹の下には屍体が埋まっている。これは信じていいことなんだよ。何故って、桜の花があんなにも見事に咲くなんて信じられないことじゃないか。俺はあの美しさが信じられないので、この二三日不安だった。しかしいま、やっとわかるときが来た。桜の樹の下には屍体が埋まっている。これは信じていいことだ。」 と短編小説「桜の樹の下には」を書きはじめています。

2008年4月16日、早朝のNHKラヂオ第一放送で「日本で桜の花を見たら死んでもいい」と書き置きをして来日し、北海道で行方不明になったアメリカの少女のニュースを伝えていました。満開の桜の花には魔物が潜んでいます。

数十年昔に、この地にあった東北大学三神峯明善寮で青春を過ごした若者が かって折に触れて歌った寮歌の碑を建て 毎年4月18日に集まって時を過ごしています。ときに満開の桜は凄絶で、おどろおどろしく、あまりにも美しく、信じられないほど美しくて、涙がでそうな美しさでした。

2017年4月18日
桜は満開をやや過ぎたか というくらいで 見事な風景でした。
強い風が吹くたびに 桜の花びらが水平に飛んでゆくほどの花吹雪で、参加者のだれもが 初めて見た と嘆声を漏らすような花吹雪でした。
見とれていて写真を撮るのを忘れたので 落ちた花びらを撮りました。
この丘にあった寮で 青春を謳歌した寮生も全員が80代のなかばとなり この碑の完成を記念して始めた集まりも 参加者が半減して10名でした。

2016年4月18日
再び18日に戻りましたが、今年はソメイヨシノの花はほとんど終わって12?13分咲きで、八重桜と白い桜(太白?)が見ごろでした。
30人くらいの旧寮生で始めた集まりが、この年は14名の出席でした。
平均寿命をとうに超えたロートルが、寮歌を歌って、二次会に流れて、3時ころに解散しました。
ノートPCに写真を取り込むのに苦労していますが、散り残った桜なので、なくてもいいかと、ほぼギブアップしています。

2015年4月17日
18日が土曜日なので遠慮して一日繰り上げました。満開宣言から10日もたったのに見事な満開の花でした。
我々80過ぎの老人が集まっているところに「顔は見覚えがあるけれど、名前が出てこない」と言って来た小柄の老紳士が「47期の**です」と挨拶されました。一瞬キョトンとしましたが「陸軍幼年学校ですか」と返したらその通りで、昭和3年生まれでした。公園の一番奥にある幼年学校の碑を指さしして教えて「我々は幼年学校の武器庫を寮として住んでいた若輩です」とあいさつしました。
公園に入ったところに旧制第二高等学校の碑が、中央部に表紙写真の我々の東北大学三神峯明善寮の碑があり、幼年学校の碑は一番奥なので、こういうことも起こります。
 
2014年4月18日
満開をやや過ぎていましたが、花見の人出はそこそこでした。ブルーシートをひろげているグループもいくつかありました。
傘寿をこえた昔の寮生が、自分たちの碑の前で、寮歌を歌って60年前の青春を偲びました。そして第二部に移動して もう一杯。

2013年は ちょうど満開でした。花見の人も少なくて桜に気の毒なくらいでした

2012年4月18日再訪
当日、仙台では開花宣言でしたが、三神峰の桜はピンクのつぼみでした。花も無いので、往時この地の寮で青春を送った若者たちが、せめてもの記念として建立した三つの碑の写真を紹介します。
陸軍幼年学校、第二高等学校、東北大学三神峰明善寮の三者に籍をおいた若者たちが、それぞれの思いを込めて作った碑の写真です。前二者のOBは多くは鬼籍に入り、東北大学の三神峰明善寮0Bも80歳前後となりました。

2008年4月17日、久しぶりに仙台の三神峯(みかみね)公園を訪れました。仙台駅前の市営バス乗り場、7番のバス に乗り20分余「西多賀一丁目西・三神峯公園入口」で下車して交差点から坂道を登り、数分で高台の公園に着く。昔からの桜の名所で、種類が多いので花期がながく、長期間にわたり花見が楽しめます。
ちょうど「ソメイヨシノ」が満開でしたが、まだ堅いつぼみの桜もありました。ここのお花見はブルーシートの陣取りもなく、家族連れがのどかにお花見をしていて、幼児が風船を追いかけていました。こう書いてから、毎年ここの桜を訪れることとしました。

この場所は第二次大戦終了の1945年まではエリート軍人を養成する陸軍幼年学校でした。戦後は弊衣破帽の旧制の第二高等学校が入り、占領軍のアメリカ兵を投げ飛ばした柔道部の猛者も居ました。その後、東北大学の教養部がおかれ、片隅にあった武器庫が私たちの寮として使われました。


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  • 2017年4月18日<br />満開を少し過ぎていましたが 見事な桜日和でした。<br />風に吹かれた花びらが 碑の回りに吹き寄せられていました。

    2017年4月18日
    満開を少し過ぎていましたが 見事な桜日和でした。
    風に吹かれた花びらが 碑の回りに吹き寄せられていました。

  • 周りを見ると 散り敷いた花びらがどこから来たかと思うように 桜花爛漫でした。

    周りを見ると 散り敷いた花びらがどこから来たかと思うように 桜花爛漫でした。

  • 我々が建てた記念碑には 常に歌っていた寮歌の 歌いだしが刻まれています。<br />朝まで降っていた雨でぬれた碑面に 桜吹雪の花びらが吹きつけられていました。<br /><br />散りにし花は幻か・・・・・・・

    我々が建てた記念碑には 常に歌っていた寮歌の 歌いだしが刻まれています。
    朝まで降っていた雨でぬれた碑面に 桜吹雪の花びらが吹きつけられていました。

    散りにし花は幻か・・・・・・・

  • <br />わが若き日の夢なるか・・・・・・・・・<br /><br />丘に登って 60年余の時をへだてて同じ歌を低い声で歌って それぞれの思い出を心に描いて 馴染みの店で歓談して それぞれの帰途につきました。


    わが若き日の夢なるか・・・・・・・・・

    丘に登って 60年余の時をへだてて同じ歌を低い声で歌って それぞれの思い出を心に描いて 馴染みの店で歓談して それぞれの帰途につきました。

  • 桜吹雪の跡。<br /><br />可哀想ですが 踏まずには通れません

    桜吹雪の跡。

    可哀想ですが 踏まずには通れません

  • <br />2015年4月17日、定点観測の場所です<br /><br />2016年は花が終わっていて おまけに古いカメラだったのでアップしなかった。


    2015年4月17日、定点観測の場所です

    2016年は花が終わっていて おまけに古いカメラだったのでアップしなかった。

  • 2015年4月17日です。<br /><br />梶井基次郎ならば「埋まっているに違いない」なんて言うかもしれない。

    2015年4月17日です。

    梶井基次郎ならば「埋まっているに違いない」なんて言うかもしれない。

  • 2014年4月18日です。<br /><br />満開を少し過ぎましたが見事でした。

    2014年4月18日です。

    満開を少し過ぎましたが見事でした。

  • 2014年4月18日です。<br /><br />今までに撮ったことがない場所です。

    2014年4月18日です。

    今までに撮ったことがない場所です。

  • 2013年4月18日の桜です。<br />満開でした。<br /><br />この文は、学生寮でもっとも良く謳われた寮歌の出だしです。

    2013年4月18日の桜です。
    満開でした。

    この文は、学生寮でもっとも良く謳われた寮歌の出だしです。

  • 2013年4月18日、<br />「散りにし花は幻か わが若き日の夢なるか<br />    友よ憂いの音を秘めつ 過ぎ行く春を惜しまなむ」<br /><br />数十年の昔を偲んで 一群の老人が声低く歌って ひと時を過ごしました。

    2013年4月18日、
    「散りにし花は幻か わが若き日の夢なるか
        友よ憂いの音を秘めつ 過ぎ行く春を惜しまなむ」

    数十年の昔を偲んで 一群の老人が声低く歌って ひと時を過ごしました。

  • 2012年4月18日<br />当日、仙台では開花宣言でしたが、三神峰の桜はピンクのつぼみでした。<br /><br />旧制 第二高等学校の記念碑。<br />「大いなる涅槃のごとく二高逝く 友よ尚志の契り守らん」

    2012年4月18日
    当日、仙台では開花宣言でしたが、三神峰の桜はピンクのつぼみでした。

    旧制 第二高等学校の記念碑。
    「大いなる涅槃のごとく二高逝く 友よ尚志の契り守らん」

  • 2012年4月18日<br />当日、仙台では開花宣言でしたが、三神峰の桜はピンクのつぼみでした。<br /><br />陸軍幼年学校の碑。力強い筆使いで「雄大剛健」とありました。

    2012年4月18日
    当日、仙台では開花宣言でしたが、三神峰の桜はピンクのつぼみでした。

    陸軍幼年学校の碑。力強い筆使いで「雄大剛健」とありました。

  • 2012年4月18日<br />東北大学教養部 三神峰明善寮の懐旧の碑。<br /><br />「散りにし花は幻か わが若き日の夢なるか」<br />折りにふれ、寮生が謳った寮歌の一節です。同年代の青年が戦争に狩り出される中で、旧制第二高等学校の学生が作って歌っていた寮歌です。<br />ピンクの桜のつぼみが遅い春を示していました。

    2012年4月18日
    東北大学教養部 三神峰明善寮の懐旧の碑。

    「散りにし花は幻か わが若き日の夢なるか」
    折りにふれ、寮生が謳った寮歌の一節です。同年代の青年が戦争に狩り出される中で、旧制第二高等学校の学生が作って歌っていた寮歌です。
    ピンクの桜のつぼみが遅い春を示していました。

  • 2008年、4月17日です。

    2008年、4月17日です。

  • ソメイヨシノが満開でした。<br />信じられないほど美しくて、壮絶で、凄絶で、涙がでそうな美しさでした。

    ソメイヨシノが満開でした。
    信じられないほど美しくて、壮絶で、凄絶で、涙がでそうな美しさでした。

  • 梶井基次郎は 「桜の花があんなにも見事に咲くなんて信じられないことじゃないか。俺はあの美しさが信じられないので、この二三日不安だった。」と短編小説を書きはじめています。<br />2008年4月16日、早朝のNHKラヂオ第一放送で「日本で桜の花を見たら死んでもいい」と書き置きをして来日し、北海道で行方不明になったアメリカの少女のニュースを伝えていました。<br /><br />

    梶井基次郎は 「桜の花があんなにも見事に咲くなんて信じられないことじゃないか。俺はあの美しさが信じられないので、この二三日不安だった。」と短編小説を書きはじめています。
    2008年4月16日、早朝のNHKラヂオ第一放送で「日本で桜の花を見たら死んでもいい」と書き置きをして来日し、北海道で行方不明になったアメリカの少女のニュースを伝えていました。

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この旅行記へのコメント (2)

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  • ツーリスト今中さん 2008/04/23 23:58:30
    確かに凄い!
    人が写っているので桜の大きさが分りました。
    確かに凄い!

    アップでのたわわに実ったと思わず言いたくなるような
    桜の花!

    日本の春ですね。

    釧路はまだまだ先のようです。
    例年は五月半ばですが今年はどうでしょうか。

    梶井基次郎の言葉も確かに何かがなければ
    これほどにならないと言うことでしょうか。

    一票投じて失礼します。

    ANZdrifter

    ANZdrifterさん からの返信 2008/04/24 16:24:25
    RE: 満開の桜
    いつもご訪問いただき 有り難うございます。

    桜の最盛期に行き会う事は なかなか難しい事ですが、たまたま今年は東京・大分・宮城の各地で桜に会えました。
    そのなかで、最後に見た仙台の というか三神峯の桜が 絶品でした。

    50年以上の昔に、この丘で青春を過ごした仲間が集まって 建てた記念碑を訪れ 思い出の歌をうたって 散会しました。
    最盛期のソメイヨシノ桜は あまりにも すごくて 重くて 怖くなるような美しさでした。

    釧路はエゾヤマザクラでしょうか。
    以前住んでいたブータンでは 秋咲きで下向きに咲く深紅のさくらが、季節に従って 山の上から順次 咲き下がってきて居ました。

    桜の美しさだけが見えていた若いときとちがって、最近は怖さを感じるようになりました。

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