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<br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br />7月23日(月)Polanco(Requejada)35.8km<br /><br />大きな街のアルベルゲには、いつも見慣れない人たちがいる。<br />ここからスタートする人たちもいるからだ。<br />この日は、今まで一緒に歩いてきた誰よりも一人先に来てしまったため、ここには知り合いはいなかった。<br />ベッドから、むくむくと起きだすと、となりのベッドもごそごそしだし、顔を洗っていると、きのうのカナダ人男性が話しかけてきた。<br />「一緒に行っていい?」<br />名前をアンドレといい、フレンチ・カナディアンであった。<br /><br />通勤客でにぎわうバルに入り、朝食を食べる。<br />おいしくて安いし、働いている女性も親切なので、アンドレはチップをはずんでいる。<br />サンタンデールの街を出るまでには、やはり時間がかかったし、なかなか田舎道に出ないため、少々うんざりした。<br />アンドレは、英語と体育の先生をしているということで、元気がいい。少しのスペイン語を使って、地元の人たちにも挨拶したり、話しかけている。<br />休憩した公園で、娘さんの写真を見せてくれた。<br />そして涙ぐみながら<br />離婚をして、今は週に一度しか会えない、写真を見ると、いつも泣いてしまうのだと言う。<br />何か悲しいことがあって、旅に出たと言い、ここにはアルタミラの洞窟への足がかりとして来た。<br />おおまかなスケジュールは、スペインを横断してリスボンに行って、セビリアを回って帰るとのことだった。<br />なんでこの道を歩き出したの?と聞くと・・・・・・<br />インフォメーションに行って宿を探そうとしたら、昨夜のアルベルゲを紹介された。<br />巡礼のことを昨日アルベルゲに着いてから知って、朝起きたら、私が支度を始めたので、自分も起きて、一緒に出たのだと言う。<br />こんな仲間は初めてだ。<br />たった一日限定の巡礼者なのだった。<br />私はおせっかいながら、巡礼の「いろは」を伝授した。<br /><br />途中で、昨日のアルベルゲで顔見知りになった、美人ドイツ人姉妹に何度か会った。<br />妹さんの方が、マメがひどいらしくて、電車に乗るということだった。<br />彼女たちは、Santiagoに行くつもりは毛頭ないらしい。行けるところまで行くだけだと言う。<br />この道は、電車の路線に沿って歩くことが多いので、線路を見ると、つい誘惑にかられそうになるが、本数は少なそうだ。<br />その証拠に、一度も列車を見かけたことがなかった。<br />アンドレも、相当なおせっかい焼きで、マメができ始めていた私に、ソックスを一枚提供してくれた。彼のお母さんのものだという。<br />ソックスを、二枚重ねにすれば、そこで擦れてマメはできないのだと言う。<br />靴に合ったソックスを履くことがとても重要だと思っていた私には邪道に見えたが、試してみると、これはなかなか良かった。<br /><br />いよいよ、昨日のアルベルゲのお姉さんから聞いていた、ショートカットのポイントにさしかかった。<br />そこでbarを探す。説明の地図にそう書いてあったからだ。<br />アンドレはお腹がすいているようだった。私はここでbarを探すために、あえて迂回するよりも、次の町のbarで食事をすればいいと思っていたが、こういうときに道連れがいると面倒なものである。<br />つきあってbarを探してみたがみつからない。<br />私は<br />「次の町に行ってからにしようよ。この地図にも書いてあるし。」<br />「もしそこでbarがなかったら、君のせいだよ。きっと僕は怒り狂うよ。」<br />正直言って、何の保証もない。<br />私としては、barはあるかもしれないし、ないかもしれない。なければまだ先にあるだろう・・・・くらいしか考えていないのに。<br /><br />丘の上まで来ると、眼下には、青い海が広がるすばらしい草原に来た。<br />今日の歩きは少し退屈だったけれど、ここのポイントは大きかった。<br />思わず深呼吸したくなるような絶景である。<br /><br />ショートカットの道は、鉄道の線路の上を少し歩いて鉄橋を渡るのだった。<br />昨夜、その現場の写真まで見せてもらっていたので、安心だった。<br />列車はめったに来ることはないので、地元の人は皆、この道を良く知っていた。<br />線路の上を歩くのは、なかなかスリルがある。<br />鉄橋は川の上に架かっていた。<br /><br />橋を渡り、目指すbarに一目散で向かったが、そこは休暇をとっているのか、閉まっていた。<br />アンドレは、いよいよ不機嫌になってきた。<br />私はもう面倒なので、コースから外れても、食事ができる場所に行こうかと提案した。<br />もちろん一人だったらそんなことは絶対しない。<br />ここは巡礼路である。お昼時にレストランが見つからないことなんて、普通のこと。しかもスペイン。思うようになんてなるわけない。<br />アンドレは不機嫌な様子でこのまま進むという。<br /><br />少し先をアンドレが歩いていたが、ふと見ると、レストラン兼barがあるではないか。<br />彼は余裕がないのか、看板を見落としていた。<br />覗いてみると、感じのいい店のようである。<br />アンドレを呼んで中に入った。<br />入り口のbarでまずビールを一杯。これはすっかりご機嫌になったアンドレがご馳走してくれた。<br />奥のレストランに入り、メニューを注文する。<br />ウェイトレスも感じよく、私たちが巡礼者だと知ると、自分もフランスの道を歩いたことがあると言う。<br />お料理もなかなか美味しくて、ますますアンドレはご機嫌がいい。<br />「なんかこの道って人生みたいだね。こんなところにこんな素敵なレストランがあるなんて思いもしなかった・・・。」<br />彼はまさにこの道の神秘の世界に一歩足を踏み入れたようだった。<br />まぁ、当たり前のことなんだけれども、こうして歩いていると、そんな気になるから不思議だ。<br /><br />元気づいた彼は、道行く子供やお年寄りに片っ端から話しかけている。<br />気分の浮き沈みが激しい人なのか。<br /><br />ワインを飲んだせいか、眠くてしかたがない。<br />教会の日陰で少しお昼寝。<br />そしてまた歩き出す。<br />今日の目的地は、ガイドブック通り行くつもりだった。<br />それで充分な距離である。<br />巡礼第一日めのアンドレは、まだまだ体力が余っているらしく、もっと先の町まで行こうと言う。<br />彼の面倒をみるのも疲れたし、私は予定通りの町へ行くと言って、分かれ道で別々の道へ進むことにした。<br /><br />そこから約1km。アルベルゲは町の外れにあった。<br />ここ、カンタブリア地区では、今年はどこへ行っても、メイグリーンの地に赤く染め抜かれた文字の旗がはためいている。<br />アルベルゲの前にも、この見覚えのある旗何本があった。<br />大きな通りに面したこの小さなアルベルゲに行くには、まず鍵をもらう必要があった。<br />通りがかりのbarで聞けば、ここにあると言う。<br />おばちゃんが出てきて鍵を持って一緒にアルベルゲに向かう。おばちゃんのbarから100mほど先に行った、道の向かい側にあった。<br />こんな小さなアルベルゲは見たことがなかった。<br />全部でベッドは6つ。二部屋あって、小さな共同スペースにソファが置いてあった。<br />おばちゃんは、裏に回り、洗濯物はここで干すのだとか、ご丁寧に教えてくれた。<br />お庭もあるし、なんてこじんまりした、なんていい感じのアルベルゲなんだろう。<br />小さな部屋の中には、巡礼のイラストが描いてあった。<br />おばちゃんは、鍵を渡してくれた。<br />ここから外出しようったって、向かいのおばちゃんのbarに行くしか、行き場所はない。<br />おばちゃんは、朝は寝坊したいから、鍵をbarの箱の中に入れておいてくれと言い残し、出ていった。<br /><br />洗濯も済ませ、一息入れたところで、夜におばちゃんのbarに行ってみた。<br />おばちゃんのbarには食べ物はないようだった。<br />ビールを飲み、ポテトチップを食べ、日記を書くくらいしかやることはない。<br />今日のアルベルゲは、私一人しか泊まり客がいないのであった。<br />おばちゃんは、ここでも世話を焼いてくれる。<br />帰り際には、パンとくるみをナフキンに包んで持たせてくれた。<br /><br />今日はアンドレとの二人旅だったけれど、終着点では一人となり、こうしてやさしいおばちゃんと出会えて、今日も良かった!と思えるのであった。<br />

スペイン巡礼「北の道12」Polanco(Requejada)35.8km

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2006/07/24 - 2006/07/24

51位(同エリア62件中)

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48

night-train298

night-train298さん













7月23日(月)Polanco(Requejada)35.8km

大きな街のアルベルゲには、いつも見慣れない人たちがいる。
ここからスタートする人たちもいるからだ。
この日は、今まで一緒に歩いてきた誰よりも一人先に来てしまったため、ここには知り合いはいなかった。
ベッドから、むくむくと起きだすと、となりのベッドもごそごそしだし、顔を洗っていると、きのうのカナダ人男性が話しかけてきた。
「一緒に行っていい?」
名前をアンドレといい、フレンチ・カナディアンであった。

通勤客でにぎわうバルに入り、朝食を食べる。
おいしくて安いし、働いている女性も親切なので、アンドレはチップをはずんでいる。
サンタンデールの街を出るまでには、やはり時間がかかったし、なかなか田舎道に出ないため、少々うんざりした。
アンドレは、英語と体育の先生をしているということで、元気がいい。少しのスペイン語を使って、地元の人たちにも挨拶したり、話しかけている。
休憩した公園で、娘さんの写真を見せてくれた。
そして涙ぐみながら
離婚をして、今は週に一度しか会えない、写真を見ると、いつも泣いてしまうのだと言う。
何か悲しいことがあって、旅に出たと言い、ここにはアルタミラの洞窟への足がかりとして来た。
おおまかなスケジュールは、スペインを横断してリスボンに行って、セビリアを回って帰るとのことだった。
なんでこの道を歩き出したの?と聞くと・・・・・・
インフォメーションに行って宿を探そうとしたら、昨夜のアルベルゲを紹介された。
巡礼のことを昨日アルベルゲに着いてから知って、朝起きたら、私が支度を始めたので、自分も起きて、一緒に出たのだと言う。
こんな仲間は初めてだ。
たった一日限定の巡礼者なのだった。
私はおせっかいながら、巡礼の「いろは」を伝授した。

途中で、昨日のアルベルゲで顔見知りになった、美人ドイツ人姉妹に何度か会った。
妹さんの方が、マメがひどいらしくて、電車に乗るということだった。
彼女たちは、Santiagoに行くつもりは毛頭ないらしい。行けるところまで行くだけだと言う。
この道は、電車の路線に沿って歩くことが多いので、線路を見ると、つい誘惑にかられそうになるが、本数は少なそうだ。
その証拠に、一度も列車を見かけたことがなかった。
アンドレも、相当なおせっかい焼きで、マメができ始めていた私に、ソックスを一枚提供してくれた。彼のお母さんのものだという。
ソックスを、二枚重ねにすれば、そこで擦れてマメはできないのだと言う。
靴に合ったソックスを履くことがとても重要だと思っていた私には邪道に見えたが、試してみると、これはなかなか良かった。

いよいよ、昨日のアルベルゲのお姉さんから聞いていた、ショートカットのポイントにさしかかった。
そこでbarを探す。説明の地図にそう書いてあったからだ。
アンドレはお腹がすいているようだった。私はここでbarを探すために、あえて迂回するよりも、次の町のbarで食事をすればいいと思っていたが、こういうときに道連れがいると面倒なものである。
つきあってbarを探してみたがみつからない。
私は
「次の町に行ってからにしようよ。この地図にも書いてあるし。」
「もしそこでbarがなかったら、君のせいだよ。きっと僕は怒り狂うよ。」
正直言って、何の保証もない。
私としては、barはあるかもしれないし、ないかもしれない。なければまだ先にあるだろう・・・・くらいしか考えていないのに。

丘の上まで来ると、眼下には、青い海が広がるすばらしい草原に来た。
今日の歩きは少し退屈だったけれど、ここのポイントは大きかった。
思わず深呼吸したくなるような絶景である。

ショートカットの道は、鉄道の線路の上を少し歩いて鉄橋を渡るのだった。
昨夜、その現場の写真まで見せてもらっていたので、安心だった。
列車はめったに来ることはないので、地元の人は皆、この道を良く知っていた。
線路の上を歩くのは、なかなかスリルがある。
鉄橋は川の上に架かっていた。

橋を渡り、目指すbarに一目散で向かったが、そこは休暇をとっているのか、閉まっていた。
アンドレは、いよいよ不機嫌になってきた。
私はもう面倒なので、コースから外れても、食事ができる場所に行こうかと提案した。
もちろん一人だったらそんなことは絶対しない。
ここは巡礼路である。お昼時にレストランが見つからないことなんて、普通のこと。しかもスペイン。思うようになんてなるわけない。
アンドレは不機嫌な様子でこのまま進むという。

少し先をアンドレが歩いていたが、ふと見ると、レストラン兼barがあるではないか。
彼は余裕がないのか、看板を見落としていた。
覗いてみると、感じのいい店のようである。
アンドレを呼んで中に入った。
入り口のbarでまずビールを一杯。これはすっかりご機嫌になったアンドレがご馳走してくれた。
奥のレストランに入り、メニューを注文する。
ウェイトレスも感じよく、私たちが巡礼者だと知ると、自分もフランスの道を歩いたことがあると言う。
お料理もなかなか美味しくて、ますますアンドレはご機嫌がいい。
「なんかこの道って人生みたいだね。こんなところにこんな素敵なレストランがあるなんて思いもしなかった・・・。」
彼はまさにこの道の神秘の世界に一歩足を踏み入れたようだった。
まぁ、当たり前のことなんだけれども、こうして歩いていると、そんな気になるから不思議だ。

元気づいた彼は、道行く子供やお年寄りに片っ端から話しかけている。
気分の浮き沈みが激しい人なのか。

ワインを飲んだせいか、眠くてしかたがない。
教会の日陰で少しお昼寝。
そしてまた歩き出す。
今日の目的地は、ガイドブック通り行くつもりだった。
それで充分な距離である。
巡礼第一日めのアンドレは、まだまだ体力が余っているらしく、もっと先の町まで行こうと言う。
彼の面倒をみるのも疲れたし、私は予定通りの町へ行くと言って、分かれ道で別々の道へ進むことにした。

そこから約1km。アルベルゲは町の外れにあった。
ここ、カンタブリア地区では、今年はどこへ行っても、メイグリーンの地に赤く染め抜かれた文字の旗がはためいている。
アルベルゲの前にも、この見覚えのある旗何本があった。
大きな通りに面したこの小さなアルベルゲに行くには、まず鍵をもらう必要があった。
通りがかりのbarで聞けば、ここにあると言う。
おばちゃんが出てきて鍵を持って一緒にアルベルゲに向かう。おばちゃんのbarから100mほど先に行った、道の向かい側にあった。
こんな小さなアルベルゲは見たことがなかった。
全部でベッドは6つ。二部屋あって、小さな共同スペースにソファが置いてあった。
おばちゃんは、裏に回り、洗濯物はここで干すのだとか、ご丁寧に教えてくれた。
お庭もあるし、なんてこじんまりした、なんていい感じのアルベルゲなんだろう。
小さな部屋の中には、巡礼のイラストが描いてあった。
おばちゃんは、鍵を渡してくれた。
ここから外出しようったって、向かいのおばちゃんのbarに行くしか、行き場所はない。
おばちゃんは、朝は寝坊したいから、鍵をbarの箱の中に入れておいてくれと言い残し、出ていった。

洗濯も済ませ、一息入れたところで、夜におばちゃんのbarに行ってみた。
おばちゃんのbarには食べ物はないようだった。
ビールを飲み、ポテトチップを食べ、日記を書くくらいしかやることはない。
今日のアルベルゲは、私一人しか泊まり客がいないのであった。
おばちゃんは、ここでも世話を焼いてくれる。
帰り際には、パンとくるみをナフキンに包んで持たせてくれた。

今日はアンドレとの二人旅だったけれど、終着点では一人となり、こうしてやさしいおばちゃんと出会えて、今日も良かった!と思えるのであった。

  • 道を教えてくれたおばさん

    道を教えてくれたおばさん

  • 地図の通り線路の上を歩き、鉄橋を渡ります。<br />めったに列車は来ません。

    地図の通り線路の上を歩き、鉄橋を渡ります。
    めったに列車は来ません。

  • このあたりでカナダ人のアンドレとお別れ。<br />私はもう少し先まで進む。

    このあたりでカナダ人のアンドレとお別れ。
    私はもう少し先まで進む。

  • 駅が見えます。

    駅が見えます。

  • やっと、今日の目的地のポランコに到着。<br />アルベルゲの管理人のバルのおばちゃん。(アルベルゲの入口で)

    やっと、今日の目的地のポランコに到着。
    アルベルゲの管理人のバルのおばちゃん。(アルベルゲの入口で)

  • アルベルゲ内部

    アルベルゲ内部

  • アルベルゲ内部

    アルベルゲ内部

  • こんな道路沿いにあります。

    こんな道路沿いにあります。

  • こちらはバルの入口

    こちらはバルの入口

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