2006/04 - 2006/04
506位(同エリア745件中)
漣さん
三大発明といわれる活版印刷。ルネサンス以降ヨーロッパで随一の都市として発展したアントワープ。この時代の出版王の邸宅が2005年、世界遺産として登録された。
大聖堂や市庁舎が集まる場所の近くに位置しながらここを訪れる観光客は何故かそんなにはいない・・・。
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少し奥まった場所にひっそりと建つ、今は印刷博物館として使われているプランタン家の邸宅兼工房。
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入り口に飾られた世界遺産の碑。ベギン会や鐘楼群と同じ形状のものだ。欧州トップクラスの印刷技術で文化交流を推し進めた印刷所は以下の基準で世界遺産に登録されている。
()プランタン印刷所の発行物を通して、プランタン・モレトゥスの複合体は学術・芸術の発展における16世紀ヨーロッパの人文主義の重要な中心地として主要な役割を果たしたことの証明となっている。
()「世界の記憶」の全ての要素を考慮すると、印刷所の仕事記録・商業帳簿を含むプランタン家の記録資料や、世界的に知られた数多くの学者や人文主義者らの書簡は最重要性を有する文化的伝統の顕著な証拠とされる。
()16〜18世紀の間の仕事世界や商業世界と家庭の生活環境との関係性の顕著な例として、プランタン・モレトゥスの複合体はルネサンス・バロック・古典主義の欧州史の重要な時代に関連する他に類の無い記録資料的価値を有している。
()プランタン・モレトゥスの複合体は顕著で普遍的な重要性を有する思想・信仰・技術や文学・芸術作品に明白に関連している。
※ユネスコのHPに記載されているものの私訳です。 -
出版王の邸宅だけあって中庭がある。そんなに広いわけではないけど少し緑があるだけで気分が全く違ってくる。
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中庭に面する建物の意匠はベルギーによく見られる階段破風の煉瓦壁。庭の緑と合わせると自然を感じさせる。
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この中庭を挟んで後ろが工房になっている。結構な数の印刷機が整然と並べられ、往時の繁栄振りが偲ばれる。
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この建造物は工房と経営者の家屋が連結しており、それが当時の労働と生活環境の関係性を示しているとして世界遺産への登録評価となっている。
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ここはまた、サロンとして文化人が交流する場ともなりルーベンスを始めとして多くの著名人が訪れたらしい。所蔵品にもルーベンスの絵画を始め、重要文書が揃っている。
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中には日本の平時物語や手拭いまで。これがどういう経緯で持ち込まれたかは残念ながら分からなかったが・・・。
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それにしても、外観からは判断できないほど内部が広く感じられるほどに博物館として見学経路が良く考えられている。薄明かりに照らされる古建築。元々が博物館として建てられたものでないものを博物館とすると、建物自体も所蔵品となるから雰囲気満点で楽しい。
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中程まで進んでくると、軋む床音やシックな周りの色にも馴れ、本棚の本を手に取って、読んでみたくなる。
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そろそろ終わりにも近づいてきた頃、ついにありました。
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これが「世界の記憶」に登録されている「プランタン印刷所の仕事記録」。決議書、楽譜、設計書等の書物、書簡から石碑、フィルム、レコードに至るまで記録媒体となるあらゆる世界的に重要なものを登録し、保護する制度。日本はまだ批准はしていないようで一件も無い状態で、世界遺産ほどに認知されていないようですが、この建物が世界遺産になった理由の一つにこの文書が関わっていたとのこと。
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30分もあれば終わるだろうと思っていた見学時間。気付いてみれば2時間近くも経っていた。
入るときに高いと感じていた入場料も、これだけあれば確実に元が取れる。アントワープに来てここを訪問しないのは勿体無い。
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