2007/06/06 - 2007/06/12
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yuriさん
大学の研究旅行で、
2週間、奈良・京都に滞在しました。
古寺を美術的な観点で回るスケジュール。
今まで仏教とあまり縁無く暮らしてきて、
寺巡りを楽しめるのか不安だったけど、
写真で見るのと実際行くのは大違いで
寺に行くまでの道のりの困難さや、季節、天候、
心を静める合掌を行う前と後でも
寺の見え方は変わってきます。
目に見える世界は
精神と響きあって変化している、ということを
実感させられる 古寺巡礼となりました。
仏像巡りの奈良1週間のうち
奈良公園から遠めの地域を回った3日間の記録です。
■室生寺、大野寺、長谷寺、聖林寺、
■今井町、吉村邸
■法隆寺、中宮寺、法輪寺、慈光院
参考にした本
『古寺巡礼』著・和辻哲郎 岩波文庫
大正七年の五月に二十代の和辻さんが書いた旅行記。
奈良から帰ってきて再読すると、表現の的確さに圧倒されます。
『にっぽんの旅 奈良 大和路』 昭文社
ここに載っている吉野と斑鳩以外の場所には
今回の研究旅行でだいたい回れました。
旅行本のなかでは寺の歴史・背景が詳しく書かれている本です。
-
まだ眠い、
大学の施設での朝食。
これからバスに乗って
引率、学生含めて約25人での集団行動の一日が始まります。 -
バスに揺られて
一番初めに訪ねたのは、
山懐に立つ室生寺です。
石段を
足元ばかり見ながら登ってゆくと
急に視界が開けてお堂が見える、という仕組みで
作られています。 -
山の中に
お堂や塔が転々とあって、
それをまとめて室生寺と呼んでいます。 -
岩の陰に、
お供え物や積み石がたくさんある場所がありました。
写真は、そこにぶら下がっていた飾りです。
室生寺では、
金堂内で如来像と菩薩像がたくさん並んでいるのと
対面し、
鐘の音が空気に溶けるまでの合掌は
異世界に居るかのように、
とても静かな時間でした。 -
古い国宝よりも、人間味を感させる 積み石。
-
国宝の五重塔。
野外に建つ五重塔のなかで最小、
その理由は、山に建っているので
雷に打たれないようにするためだそう。
平安時代初期に作られた、
室生山で最古の建物ですが、
7年前に修復されたばかり。色鮮やか。
古くない。 -
五重塔から上は、
さらに険しい階段です。
神様の居る場所は、
登る前は見えない
高い位置につくる、
と本で読んだことを思い出しつつ、
登ってみました。 -
ひたすら石段を登ったら
お堂があって
景色もまあまあで
でも一番気になったのは
手水所の柱の上にいた獅子の木彫りの、
手がかわいいこと。 -
学校のバスで移動し、大野寺(おおのじ)へ。
-
川岸の自然岩に仏様が彫られている史跡。
それをベストポジションで望む大野寺。
寺院はこじんまりとしていて、
田舎のおばあちゃんの家の庭に来たような雰囲気。
お供えの花や6月の草木が鮮やかで
生命観の溢れる庭でした。 -
後ろの岩に
左に図説してある仏が彫られているということ。
インドなどにはよくあるこの形式、
日本では珍しいらしい。 -
川の清流に足をつけながら
お弁当。
果敢な先輩が一人で岩のほうへ行ってしまった。。 -
おーい!
-
バスを降りてから
宿やお土産屋が並ぶ参道を歩いて長谷寺へ。 -
参道を歩くこと20分。
長谷寺に到着。
想像以上に多きく立派な仁王門。
色が渋く、重厚感があって荘厳。
かなりかっこいいです。
平安時代にはじめて建てられて
現在の門は明治18年再建のものだそうです。 -
思わず息を呑む美しさの登廊。
登るのに、苦を感じなさせない階段です。 -
本堂(国宝)を横からみたときの
舞台と菩薩の間の暗い空間がかっこいい。
古い絵や文字の書かれた板がたくさん天井のそばに
掛かっていて、
それがいい味を出していたので
何かと質問してみたら
絵馬として納められたものや
江戸時代以降の奉納者の名前が書いてあるものらしい。
十一面観音菩薩は巨大でした。
ヒゲがナマズみたいな像。
菩薩の写真は撮れないので、
載せられませんが、
お寺に行くごとに 菩薩像や如来像を見てきました。 -
金堂前から見えるのは、
青々とした森から
寺院の屋根がところどころに見える情景。
東京の感覚だと、
森が平安時代から今まで、もとの形で残っていることに不思議さを感じます。
だけどここでは
山道を登り、静かな森に仏が安置されているという状況が前提なのだから
広い森も、寺の一部として守られてきたのだと思います。 -
手水所の竜も、手がかわいい。
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五重塔。
-
参道の帰り道の抹茶アイス。
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バスで移動し、次に訪ねたのは聖林寺。
ガイドブックにもあまり紹介されていない
小さな寺です。 -
本堂の大石仏の顔は漫画っぽいのですが
本堂わきの階段を登った部屋にある、
国宝の十一面観音菩薩像は
全身に緊張感があり
像の指先やまとう衣装の曲線に
作り手の神経が行き届いていて、とても美しいです。
和辻哲郎の『古寺巡礼』にも
「唐の遺物に対して感ずる少しばかりの他人らしさは、
この像の前では全然感じないのである」
と、観音像のなかでも日本人らしい美しさがあると
書いています。
岡倉点心も絶賛した像です。 -
翌日は今井町を訪ねました。
5:55 起床、朝食準備、朝食、
8:30 近鉄奈良の宿舎出発
9:30 今井町到着
今井町は、
時代劇の世界に入り込んだような錯覚を起こす、
江戸時代の商人の家が多々残されている町です。
写真は、現在も商売を続けていらっしゃる河井家。 -
人が普通に生活しているので、
テレビの音が聞こえたり
自転車に乗ってる人とすれ違ったりしているうちに
この街並みが現代の風景としても自然に見えてきます。 -
豊田家(重要文化財)の中庭。
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街角で撮ったポラ。
池(?)沿いには菖蒲が咲いていました。 -
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敵の侵入に抵抗するという目的のために、
迷路のようにできている今井町。 -
今井町からバスで1時間ほど移動して
訪ねた 重要文化財の 吉村邸にて。
和室は立ったまま眺めると中途半端な風景で、
座って眺めると完成された空間が感じられるらしい。
このお宅には、現在は人が住むことは難しいそうです。
「実物大の模型になってしまった」
と小さいころにこの家に住んでいて、今回解説をして下さったおじさんは嘆いていました。 -
一つ一つデザインが違う欄間。
このあと、近鉄奈良に戻って解散後
東大寺二月堂を見に行きました。
そのときの写真は
次の旅行記、奈良公園周辺編をご覧下さい。 -
6月11日。
607年にできた法隆寺へやって来ました。
参道から金堂に向かうにつれて
石段を登るようにできています。
神聖さを出すために、
空間に様々な工夫がなされていることを教わりました。 -
日本で最初の世界文化遺産。
ぞろぞろとバスツアーや修学旅行の生徒が
現れるとき以外は、とても静か。
快晴で暑かったです。 -
写真で向かって左の建物・金堂内部に入ると、
暗闇の中に大小さまざまな11体の像が立ち並んでいました。
中央の釈迦三尊像の両側に居る
吉祥天と 毘沙門天が特にかっこよく見えました。
持参したライトで像を照らすと、
重々しい 赤、緑、茶の色彩が見えます。
ディティールが細かく造形されていて
とりまく空気が凛とした
見ていて文句のつけようがない像でした。 -
寺院は、少しも動かしてはいけないといえるほど
当時の人の高い美意識にもとづいて作られているそうです。
しかし、今私たちが見ている法隆寺は
当時の緊張感のある美しさとは違っていると
先生はおっしゃっていました。
写真の、正面にある台は当時は設置されていなかったものだし
外壁の中に植木は一本もなかったそうです。
明治時代、お寺の力が弱くなったときに
天皇に木を植えてもらうことお寺の力を盛り返したそうな。
外壁より内側に木が一本もなかったころを想像すると、
森の中に、完全に人工の空間が形成されていて
神秘性はいまよりもずっと高かっただろうなと思います。 -
五重塔にかけてある避雷針ロープや
回廊を神聖な場として区別していた段差を埋めている足場、
回廊の美しさを損なわす、回廊突き当りの切符売り場など
空間の美しさを認知する能力のない人の仕事だと
古美術に精通する講師の先生は なげいていました。 -
-
門から大講堂に向かって右側の
美しい回廊。
■一の字のはりがゆるやかなカーブを描いていること
■それと天井をつなぐ
<つか>に抜けがあること
■柱がエンタシス(飛鳥時代の特徴の柱の形)なこと
■見る位置によって閉ざされてみるが、光を取り込んでいるレンジ
以上の理由でこの回廊が特に美しく見えるらしい。 -
先生が比較のために見せてくれた、
あまり美しくない回廊。 -
中宮寺。
堀に囲まれて立っている佇まいが美しかったです。 -
倉のような講堂でスケッチさせていただいた法輪寺。
十一面観音菩薩の顔が印象的でしたが
案の定うまく描けなかったです。
写真は、法輪寺の外壁にあった扉。 -
この日の最後の訪問先は慈光院。
昔は遠くから何十日もかけてはるばる訪ねてこられる
お客様がいたので
1日かけてじっくりとおもてなしをする文化が生まれたそうです。 -
美しい庭を眺めて楽しんでもらう為に
庭を手入れして、庭がよく見える書院を作り、
お客さんにくつろいでもらうために
上でも下でもない、中くらいの質の寺院にしていると、
おしょうさん。 -
お茶とお菓子をいただける寺院です。
お茶を頂くときに「まわすの?」と迷っていたら
若いおしょうさんが
すかさず説明してくださいました。
1・うつわは訪問先のもので、落としたり割ったりしたら大変だから、
まわすことにとらわれず
慣れてない人は まず 両手でしっかり持ちましょう
2・それができたら、
うつわに絵が書いてあった場合に
その絵の上に口をつけないよう 2,3回ほど回して
無地の面を自分の前側にしましょう
マナーのことばかり気にして、
もてなし、もてなされるこ心を知らなくては意味がない
というお話をしていただきました。
納得。 -
「ただ見るのではなく
つくった人の心を読むことが大切だと
それは難しいことではなく
何のために、という目的を考えること」
と
おしょうさん。
この旅には、たくさんの先生が現れます。 -
空と青い山と庭の植木で三等分された眺め。
「借景」、
風景を切り取り、それをもてなしの1つに取り入れた
日本人の文化はすごいです。 -
くつろぎ。
-
ここは蚊が多かったです・・・。
奈良旅行は、奈良公園周辺編へ続きます ->
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