2007/04/22 - 2007/04/22
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のださん
子曰く、三十にして立ち、四十にして惑わず。
私は三十を超えていますが、未だ何一つ成しえていません。
今まで何をやってきたんだ、という感じです。
これからも何かを成すということはないでしょう。
こんな私が四十にして惑わないためにはどうすればよいのか?
今日答えが見つかるかもしれない。
いや、多分無理だな。
毎年4月の第4日曜日は孔子祭ということで、本日見学に行きます。
場所は湯島聖堂です。
儒学に傾倒した綱吉が建立したそうですが、あの悪名高い生類憐みの令も、儒教の影響が大きいのでしょうね。
綱吉の時代に赤穂浪士が切腹するわけですが、切腹させるように説いたのが、儒学者であり、柳沢吉保に仕えた荻生徂徠だということです。
結果徂徠の案が採択されますが、この案にも儒教の影響があるのでしょう、多分。
徂徠は古文辞学を確立させましたが、同時代に活躍した新井白石は、朱子学派と言って、宋代の朱熹(朱子)の体系に傾倒しています。
他にも伊藤仁斎の古義学などがあります。
湯島聖堂で教えられていた学問の根本は朱子学ということです。
日本仏教は、日本に伝来してから神道や儒教と混じり合って独自の宗教として確立しましたが、位牌なども、仏教のオリジナルではなく、元々は儒教から来ているということです。
論語は20編から成っており、各編のタイトルは、文章の冒頭から来ています。
「学而時習之」(学びて時にこれを習う)から学而第一、「述而不作」(述べて作らず)から述而第七、というように。
「子罕言利」(子罕に利を言う、子はめったに利益について語られなかった)から子罕第九と呼ばれます。
湯島聖堂のサイトは、斯文会という団体が運営しており、これは子罕第九の中に出てくる「斯文」(斯の文、この文化)に由来する名前です。
ちなみに、為政第二「三十而立」(三十にして立つ)から、三十歳の別名を「而立」と言います。
有名な「温故而知新」(故きを温めて新しきを知る)も為政第二の中ですね。
儒教では親が死んだら3年喪に服するということですが、これは陽貨第十七で、子どもは生まれてから3年経って親の懐から離れるから、親が死んだら3年は喪に服する必要がある、と言っているからだと思われます。
皆さんにとっては至極どうでもいい話ですが、私の中で特に印象に残ったのは、中国史上最高の宰相の一人で、あの諸葛亮も生意気にも自らを並べんと願った、「倉廩満ちて礼節を知り、衣食足りて栄辱を知る」という名台詞を残したあの管仲様に対して、八イツ第三で「管仲の器はちっちぇーな、へっ☆」と断言していることです(「子曰管仲之器小哉」、子曰く管仲の器は小なるかな)!
もちろんその発言の根拠はありますが、これは私には衝撃でしたね。
しかし憲問第十四では、逆に管仲を褒め称えています。
いや、だからどうした、ということもなく。
「論語読みの論語知らず」という言葉がありますが、私などはまさにその典型でしょうね。
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湯島聖堂は文京区湯島にありますが、最寄は御茶ノ水駅です。
出不精の私は、この駅で降りるのは初めてです。
聖橋を通って左側に東京医科歯科大学、右側に湯島聖堂があります。
昌平坂学問所の跡地が東京医科歯科大学だそうです。 -
湯島聖堂は9時半から見学可能と聞いていましたが、まだ9時半前なのにもう開いているみたいです。
今日は特別でしょうね。 -
孔子祭は10時開始で、まだ時間はあるので、ちょっと見学してみます。
道なりに進んで、聖橋の下を通る神田川沿いの通りまで出ました。
対岸の淡路坂と並んでいるので相生坂(あいおいざか)と呼びますが、かつては昌平坂と呼ばれていたそうです。
昌平というのは、孔丘が生まれた魯の国の村で、現在の山東省曲阜ですね。
この界隈には、他にも「昌平」の名がついた地名や建物があります。 -
それでは、仰高門から中に入ります。
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世界一大きいと言われる孔子像。
手をもんでいますね。
抱えているのは剣でしょうか?
孔子は武人としても優れていたらしいですよね。
その上容姿端麗で、衛の霊公夫人である南子に言い寄られた話は有名です。
衛霊公第十五「吾未見好徳如好色者也」(吾れ未だ徳を好むこと色を好むが如くする者を見ざるなり、私は色を好むのと同じくらい徳を好む者を未だに見たことがないよ)
そ、そう、ですか・・・ -
楷の木(かいのき)は、曲阜にある孔廟に植えられているものと同じだそうです。
大正時代に持ち込まれ、孔子や儒学にゆかりのある場所に植えられたとのことです。 -
孔子祭が行われる大成殿へは、入徳門から入ります。
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右側に手水舎があるので、手を清めます。
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石段を上りきると、杏壇門。
それをくぐると大成殿です。 -
これが大成殿ですか・・・。
威厳があります。
本場の孔廟にも大成殿てのがありますよね。
ちょっと中を見させてもらいます。 -
孔子が迎えてくれます。
死後崇められますが、生前は実に人間臭い人物だったようで、むしろそのほうが魅力的です。
だから論語もとっつきやすいのでしょうね。
私にとって、弟子たちの中で特に魅力あふれる人物は、子路ですね。
「君子は死んでも冠は脱がない」
く〜っ、しびれます。
サムライですね。 -
鬼龍子という、狛犬みたいなものが置いてあります。
大成殿の四隅に鎮座しているそうです。
聖人の徳を感じて現れるということです。 -
鬼頭もあります。
これはシャチホコのようなものでしょうか?
棟の両端に鎮座しています。
水の神として火災から守ってくれるそうです。 -
もうそろそろ始まりますが、すでに人がいっぱいです。
ここ以外にも、モニターが数台用意され、パイプいすに座って観ることができます。
私は立って生で見学しようと思います。 -
始まる前の様子。
真ん中にはもちろん孔子が祀られており、その両脇に四賢人。
向かって左には曾子と孟子、向かって右には顔子(顔回)と思子(子思)です。 -
孔子祭が始まりました。
神道形式で行われているようです。
ここに来て初めて知りましたが、今年は孔子祭100周年だそうです。
位牌が披露されます。 -
台北駐日代表閣下の許世楷さんの祝辞。
お名前の楷の字が「かいのき」の楷と同じだということで運命めいたものを感じる、みたいなことをおっしゃています。 -
無事終了しました。
11時半からは、仰高門そばの斯文会館講堂で記念講演。
今年は、国立新美術館館長・林田英樹先生の「美術館から見た文化力競争の時代」。
日本と外国の美術館を比較して、日本の美術館の問題点等のお話を聴くことができました。
美術館の類にはあまり行ったことがありませんが、大変有意義な講演でした。
文化や国の税制上の違いなどにより、日本の美術館は「冬の時代」を迎えているそうです。
基本的に、美術館と博物館は英語では同じ「museum」だが、国立新美術館にはコレクションがないので、「THE NATIONAL ART CENTER」という英語名だ、みたいなこともおっしゃっていたかな。
私が訳すときは、一応文脈によって違う言葉を使うことがありますが、確かにどちらもmuseumですね。
国立新美術館は今年六本木にオープンしたということで、六本木は最近美術館ラッシュなのでしょうか? -
聖堂の周りをぐるっと回ってみます。
位置で言うと東側の坂。
ここも昌平坂と呼ぶそうです。 -
神田明神はすぐそばですね。
今日は寄りません。
来月に神田祭が行われるということで、そのときに来れたら来たいと思います。
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