2006/09/06 - 2006/09/16
18603位(同エリア22484件中)
ロバ耳さん
観光大国スペインを歪んだ切り口でズバッと斜めに切った旅行記。
一応4部作の最終部です。
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 25万円 - 30万円
- 交通手段
- レンタカー
- 航空会社
- デルタ航空
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ともかくものすごい山道だった。
麗しのカンタブリア地方を離れしばらく南下すると、ものすごい上り坂の道がしばらく続いた。
車のギアを2速に落とし、ベタ踏みしてやっと40キロという上り坂を登りきり(その間ずっとあおられっぱなし)、今度はブレーキをかけないと平気で120キロくらいはでちゃう乱暴な下り坂を下りきったら、急に辺りが開けて湖が姿を現した。
車を道端に停めて、湖を見つつ車を休ませる。
さすがにこんなに酷使され続けているその時の自分の愛車に、気の毒な気持ちが沸き起こった。 -
ボロボロです。
決して安くは無いレンタカー使用料を払っているけど(10日で300ドル位。あっ、安いな)だからって余りにも酷使しすぎです。
移動手段としての車の便利さについて、今更語ることは無いけれど、限られた時間をバスや列車の待ち時間に費やすのはどうかな、と思います。
ゆっくりした時間を過ごすのと、無駄な時間を過ごすのは違うと思います。
一番の大きな違いは、自分で車を借りた場合全ての決定権が自分にあるということです。
列車やバスならば面白そうだと思った場所も、ただ流れていく風景になってしまいますが、自分で運転した場合好きな場所に好きな時間に行くことができるし、特急列車の到着する街でも興味が無ければ素通りするという選択肢を持つことができるのです。 -
旅することの意味って何だろう?
誰かにとっての日常が、誰かにとっての非日常で、それは場所ではなくて、心に関する事柄なのかもしれない。
この夏、僕はスペインを旅して、そして僕の心の中を旅しました。 -
「ワイン」である。そしてスペインでワインといえば「リオハ」である。
他の地方のワインだって、モチロン美味しいのだけど「リオハ」地方はチョト違う。何処もかしこもブドウ畑だらけである。生まれてから今まで見たブドウ畑よりもたくさんのブドウ畑をこの日一日で見たような・・・
ワインにかけるこの地方の意気込み、気合がひしひしと感じられてくる昼下がりのドライブでした。 -
何故か「工場見学」というものに、昔からいたく心引かれる少年だった。小学生の時授業の一環として訪れたお菓子工場に始まり、最近では銚子の醤油工場と、見学できる門戸さえ開いていれば必ず訪れると言っても過言ではない程の『工場マニア(オタク)』である。
そんな僕の目にかかれば時速120キロのスピードだろうと「ワイン工場」の看板を見つけ出すことは、いと容易い、事である。 -
観光客向けに開かれたワイナリー兼ワイン博物館のようでした。
入り口で入場券買って、荷物をコインロッカーに預けて、ビデオ見て、順番に展示品を見てって、とまぁそんな感じなんですが、いかんせんこういった堅苦しい建物特有の『館内撮影禁止』でした。
世の中にはワインに対しこだわりを持つ人がたくさんいらっしゃって、ワインはどこそこ産の何年物だとか、何度以下の温度で保存してとか、赤ワインにはどうとか白にはどうとか色々おっしゃっているそうですが、僕にはそんなこだわりは無い。日常的に肩肘張らずに飲めるワインこそが一番だと思う。
このワイン工場もどちらかというと大手の大量生産方ワイン工場みたいだったけど、ワインを造ること管理することにすごく神経を使っていることが垣間見れた。そんなに高級なワインじゃないけど。
出口のところにワインの試飲及びスナックバーがあったので、サンドイッチをつまみに試飲させてもらう。
悪くないですね。と言いますか、良いです。美味しい。
2種類あったので交互に、そして味を確認するためにもう一度、更にもう一度ずつ・・・
すっかり気分が良くなった僕は従業員のお姉さんにへたくそなスパニッシュで果敢に話しかける。「日本人のお客さんは来るの?」とか「いつもワインを飲んでいるの」とか。
僕はワインにうるさくないけど、ワインを飲むとうるさい。 -
ワインの心地よい余韻を残したまま表をぶらつく。
少し離れた所に街が見えた。
こんな感じの建物がどの町にもあるんです。スペインの町には。これじゃ日本の市町村はかなわんな、と思いました。 -
「やれやれ、外国語で書かれた標識を目で追いながらドライブするのはどうも苦手である」
スペイン国内で数少ない有料高速に乗ろうと、それと並行する国道を走っていたら、高速道路入り口、と書かれた標識が目に入った・・・様な気がした。
初心貫徹!が決して美徳ではないことを悟るのに、そう長い時間は要しなかった。
とりあえず車を停められそうなスペースを発見。そこに駐車して地図を見ながら場所を確認していると、あれっ、この建物。ボディーガ(造り酒屋さん)って書いてあるぞ。 -
何たる偶然。オーディオスミーオ!サンタマリーア!(オーマイゴッド!聖母マリア様)とか言いながら、何のためらいも無く入り口の中に入り込むと、不審者発見!と言う感じでおばさんが話しかけてくる。
「どんな御用?」と。
どんな御用ったって、何も考えずに面白そうだから入り込んできただけである。向こうにも無いかもしれないが、こっちにも御用と言うほどの御用は無い。
「え〜っと、ここはワインを売ってくれるのかな?」
我ながらいい言い訳だと思った。 -
いかにも工員さんという感じのおじさんが僕を倉庫の中に案内してくれて、そこで販売しているワインを見せてくれた。白・赤・ロゼ・大き目のビンの赤・そして5リットル入りのがぶ飲み赤ワイン。
1本たったの2ユーロ。5リットルでも7ユーロ。安い。迷わず赤3本と5リットルを買い込む。
ついでに工場の写真とってもいい?と訊くと「幾らでもどうぞ」と答えが帰ってきた。そうこなくっちゃ! -
ワインを仕込んでいる部屋とは別に、研究室みたいな場所もありました。
-
ワイン醸造所の施設にも興味があったが、ワインを造っている人にも興味があった。偶然を装って写真を撮ろうと思ったら、絶妙なタイミングでかわされた。
-
醸造所の駐車場からまたまた名も無き町の聖堂が見えた。この町に泊まってワインを浴びるほど飲むことも考えたけど、やっぱりやめた。
大規模で観光目的に作られたワイナリーもそれはそれで快適だったんだけど、こういった地域密着型町の造り酒屋さん的ワイナリーを訪れられた偶然に感謝している。
周りを見渡せば、結構自分の家でワインを造っていそうな農家とかたくさんあった。
「リオハ」
この土地はホントに、ワインと切り離せない土地なんだなーと思った。 -
さてさて、本能の赴くまま無意味な北上を繰り返した旅人は、今度は南下をしなくてはいけないという理不尽な宿命を背負わされることになった。どんな宿命かは訊かないで欲しい。特に理由はない・・・事も無い。というか大有りだ。帰りの飛行機が遥か南、バルセロナ発だからだ。
無事有料高速に乗り込むこともでき、ブドウ畑と岩肌のような大地の色気の無い無骨な風景のなか、たいして快適でもないドライブを、それなりに楽しむ。
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高速道路は距離を稼ぐのには大変便利な手段だが、面白そうな街や村を見つけても、あっ、という間に後方の風景になってしまいます。
僕のように頭からアルファー波を垂れ流しながら運転するような旅行者には余り向かない。
幾つかの面白そうな街や村たちを、すれ違うだけの一点の風景としながら走り続けること数時間。遠くの方にかなり高い塔が見えてくる。
「Lleida」
この街が今日の宿泊地になりそうだ。 -
「Lleida」の街は僕が今まで訪れた街とはずいぶん趣が違った。
どう違うかというとズバリ『都会』なのである。
推定○万人のLleida住人を敵にすることを覚悟の上で敢えて言わせてもらうと、随分と街がゴミゴミしていた。都会特有の悪意、のようなものも勘違いかもしれないけど感じた。 -
恒例の夕ご飯を兼ねた街の徘徊に出かけると、何故か突然「米」に対する耐え難いほどの飢えを感じる。
日本人である事を一番感じる瞬間だ。
まず目に付いたのはカフェスタイルのレストラン。
道の脇にテーブルが並べてあって、というアレです。
さてさて、スペインに来て「米」と言えば誰でも思い浮かべるのはサフランで黄色く色付けされたバレンシア名物のあの料理。
が、しかし、渡されたメニューを貪る様に見入っても、あの料理の『ぱ』の字もでていない。
しょうがない、生ハムとチーズをワインだけ頼んで、2件目を当たる事にする。
と思ったら周りの店が次々と後片付けを始めているではないですか!!
来た時と違う道を選んでのホテルまでの帰り道、中華レストランを発見する。
一瞬米に対する欲望を「チャーハン」で紛らわすアイディアが脳裏を横切ったが、わざわざスペインに来て中華料理食うことも無いかと、至極理性的な答えを導き出す。 -
数キロ先からでも見つけられるほどの高い塔で有名な街「Lleida」
この街に来てスペインで最初で最後の雨に降られる。
折りたたみ傘でも買おうとごく普通の雑貨量販店に入店しようとしたら、「チョッとチョッと」と制服を着た店のガードマンに呼び止められる。
一瞬会員制の店なのか?と思ったがどうもそうではないらしい。
肩に下げていたナップザックが問題らしい。
って、入店前から万引きの容疑も無いだろうと思っていたら、彼の指差す方向には駅にあるようなコインロッカーが・・・
そういえば他のお客さんもバック一つ持っていない様ですし。
店内へのバック類の持ち込み禁止!!ってスペインどんだけ万引き盛んやネン!と、とりあえず日本語で突っ込みを入れておく。 -
いろいろあったが無事街の名物ただの「塔」に辿りつく事ができた。
へ〜結構しっかりしたキレイな建物だな〜、と思っていたら案の定入場料を請求される。
建物の中は博物館風の造りになっていて、彫刻やら絵画やらを見学できるようになっている。
多分大昔、イスラム教徒にやられたのだろう。顔の無い彫刻の姿が目立つ。
「宗教対立により繰り返される悲劇」について思いをはせる・・・・・・事も無く、館内の展示品を心置きなく純粋に楽しませてもらう。 -
これは昔ジャッキーチェンの「蛇拳」という映画にでていた悪の親玉に似ていますが、れっきとした美術品で、今から何百年も前に造られた由緒正しき代物です。
しかし昔の香港映画はどうしてオープニングテーマの時に人物が細長くなるのだろうかと、スペインまで来てどうでもいいことに思いをはせる。 -
どこ、どこ、何処から来るのか黄金バ〜ット♪
-
「バルセロナ」に行かなくては行けない。
その時の僕にはバルセロナに行かなくては行けない切実な事情があった。
友人に頼まれていた「Hardrock cafe」バルセロナ店のTシャツを仕入れるためだ。
スペイン滞在も残り3日。大都会バルセロナに泊まったっていいじゃないか!都会の軽薄さに身をゆだねたっていいじゃないか!その時は本気でそう思っていた。
そうと決まればまず宿泊地を決めなくてはいけない。
とりあえず車を地下の有料駐車所に停めて、と、駐車スペースがものすごく狭い。無理無理。あっ、こすった。
ハンドルを切り返しもう一度、おう、反対の方もこすった。
もうイャだ、こんなところ大嫌いだ!
尻尾を巻いてバルセロナの街を後にする。
写真は茹でたサザエ? -
自分に向いていない事はするもんじゃない。
田舎もんのくせに都会に泊まろうと欲を出したばっかりに・・・
そして何が一番頭にきたかというと、嫌になって街を抜け出そうとした途中、偶然にもハードロックカフェを発見してしまった事だ。「道に迷って買ってこれなかった」と言い訳まで考えていたにもかかわらず。
ツイているのかいないのか・・・
写真はかの有名な冷たいスープ「ガスパッチョ」 -
バルセロナの街を抜け出し無目的にハイウェイを飛ばしていると偶然ホテルの看板が目に飛び込んできた。
「mollet」というスペインである事以外ごくごく普通の町。
結局この町にスペイン最後の2日間を滞在する事になるのだが、今思い出してみてもあの2日間が果たして旅行だったと言えるのかどうかものすごく疑問である。
何をしたかというとクーラーの効いた部屋で本を読んだり、近所のスーパーでスペイン特有の缶詰とかをお土産に買い込んだり、普通の商店街を散歩したり。
別に海外まで来てやるような事は一切しなかった。
写真はスペインに来て待ちに待ったはじめての「パエリヤ」魚介類です。 -
ごく当たり前の町「mollet」にも観光者向けの建物の様な物は一応存在した。
それがこの写真の建物です。
そして(少なくとも)僕の嗜好性には全く引っかかることなく、写真だけ撮ってとっとと通り過ぎた。 -
たまには野菜も食べなくちゃ。
1人で旅するということは何かと大変である。
ある人は「一人で食事をしなくてはいけない。それがイャだ」と言う。
さてスペインで一人で食事をする時一番困る事は、一人だとさびしい、事ではなく、パエリアは2人分からの注文になっている事です。ちょうど日本の鍋料理のように。
しかしはるばる異国の地からやってきてパエリヤを諦めるなんて事をしたら一生の後悔物である。 -
そういえばこの旅行と旅行記の目的は「グルメ」だったような・・・・
「エスカルゴ」の写真。 -
風の噂に聞いていた「イカ墨のパエリア」
(Arroz Negro(直訳すると「黒いご飯」こういう適当な名前の付け方、僕は大好きです)
いろいろ異論はあるでしょうが、スペインは世界で最も料理の美味しい国(の一つ)だと思います。
が、米民族としてひと言言わせてもらうと「米」の使い方は日本人の方が長けているな、と思いました。
お米をパスタと同列の感覚で扱っているのか、パスタで言うところの「アルデンテ」な状態なパエリアが多々ありました。芯のあるお米を食べるのは日本人としてどうも抵抗があります。米に対する感覚の違いなのでしょうが・・・ -
この地方特産の水っぽい白ワイン。
-
旅行者なんてものは身勝手なものです。
その土地に住む人たちが当たり前に食べているものや着ている服や住んでいる家などに勝手に異国情緒を感じたりして・・・
異文化コミュニケーションとか国際人とか、みんな好き勝手言っているけど、他の国の人たちからみたら僕らだって十分「異邦人」なんですよね。 -
さて、スペイン最後の晩餐は豪勢に「オマール海老のパエリヤ」でした。
短い間のスペイン滞在だったけど、訪れた土地・食べた料理・目にした風景・関わった人たち、それら全てが僕にとっての一生物の思い出です。
ありきたりの日常生活に飲み込まれて「大人」でいる事に慣れてしまった僕の中にも、まだまだ退屈じゃない自分・楽しめる自分・ワクワクする自分を確認させてくれたスペイン。
最後にこの旅行記に目を通してくださった皆さん、登場してくれた人・物・風景・動物、みんなみんなに感謝です。どうもありがとう!!
おしまい
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