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フランスの南西部、スペインとの国境沿い近くに‘ミディ・ピレネー’という地域がある。その中の1つ、ロット県の県庁所在地でもある『カオール』という町。ロット川に囲まれ、赤ワインの名産地として名が知られている。古い建物が現在の時間に溶け込んでいる魅力的な町でした。

黒いワインがウマイ!ロット川沿いの古都『カオール』

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2006/09/09 - 2006/09/09

28位(同エリア39件中)

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ぼすとんばっぐ

ぼすとんばっぐさん

フランスの南西部、スペインとの国境沿い近くに‘ミディ・ピレネー’という地域がある。その中の1つ、ロット県の県庁所在地でもある『カオール』という町。ロット川に囲まれ、赤ワインの名産地として名が知られている。古い建物が現在の時間に溶け込んでいる魅力的な町でした。

交通手段
鉄道

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  • サン・シル・ラポピーから国鉄バスでカオール駅に10:21に到着。明るい太陽の下で改めて見ると可愛らしい駅だったんだ―。次の目的地はサルラ。列車の出発は12:31なので2時間程町を散策してみよう。

    サン・シル・ラポピーから国鉄バスでカオール駅に10:21に到着。明るい太陽の下で改めて見ると可愛らしい駅だったんだ―。次の目的地はサルラ。列車の出発は12:31なので2時間程町を散策してみよう。

  • 駅の裏にはロット川が流れていて、その川沿いに真っ直ぐ5分程進むと『ヴァラントレ橋』に到着。カオールの象徴と言えるゴシック様式の橋。ヨーロッパ中世の橋の中でも特に保存が良いと言われている。

    駅の裏にはロット川が流れていて、その川沿いに真っ直ぐ5分程進むと『ヴァラントレ橋』に到着。カオールの象徴と言えるゴシック様式の橋。ヨーロッパ中世の橋の中でも特に保存が良いと言われている。

  • この橋は1308年から1378年の約70年間もかけて造られたらしい。1879年に修復されている。6つのアーチと3つの塔からなるこの橋は水上40メートルの高さにあり、当時要塞の役割を果たしていたとのこと。綺麗な要塞橋だな〜。

    この橋は1308年から1378年の約70年間もかけて造られたらしい。1879年に修復されている。6つのアーチと3つの塔からなるこの橋は水上40メートルの高さにあり、当時要塞の役割を果たしていたとのこと。綺麗な要塞橋だな〜。

  • よし、せっかくなので橋を渡ってみよう!天気も良いしイイ気持ち〜。

    よし、せっかくなので橋を渡ってみよう!天気も良いしイイ気持ち〜。

  • 真中の塔の右端に何かがへばり付いている!何だアレは?ということで帰ってから調べると小さな‘悪魔’だった。<br /><br />

    真中の塔の右端に何かがへばり付いている!何だアレは?ということで帰ってから調べると小さな‘悪魔’だった。

  • アップにするとちょっとコワイかも。<br /><br />〜伝説によると、この橋は建設中何度も川に流され失敗をしていた。困った建築家は‘悪魔’に、この橋を自分の命令通りに従い完成させてくれることを条件に自分の命を渡すという契約を結ぶ。ところが完成間近になると命が惜しくなり、‘悪魔’にザルで水をすくって持ってきてくれと無茶な条件を出し、‘悪魔’は20回トライするが(素直な悪魔だ)その条件を遂行することが出来ず、結局建築家は命を取られずに済む。怒った悪魔は復讐を決意。塔の仕上げをしようとすると、決まって真中の塔の最上部の角が崩れてしまい、橋はしばらくの間完成することが出来なかった。悪魔が石を剥がして投げ捨てているのではということで1879年の修復工事の際、悪魔像を埋め込みお詫びをすると、驚く事にそれ以降塔が崩れ落ちることはなくなったという〜<br /><br />★カオール観光局のHP(この橋の伝説についても載っている)<br />http://www.mairie-cahors.fr/Tourisme/decouv-anglais.html

    アップにするとちょっとコワイかも。

    〜伝説によると、この橋は建設中何度も川に流され失敗をしていた。困った建築家は‘悪魔’に、この橋を自分の命令通りに従い完成させてくれることを条件に自分の命を渡すという契約を結ぶ。ところが完成間近になると命が惜しくなり、‘悪魔’にザルで水をすくって持ってきてくれと無茶な条件を出し、‘悪魔’は20回トライするが(素直な悪魔だ)その条件を遂行することが出来ず、結局建築家は命を取られずに済む。怒った悪魔は復讐を決意。塔の仕上げをしようとすると、決まって真中の塔の最上部の角が崩れてしまい、橋はしばらくの間完成することが出来なかった。悪魔が石を剥がして投げ捨てているのではということで1879年の修復工事の際、悪魔像を埋め込みお詫びをすると、驚く事にそれ以降塔が崩れ落ちることはなくなったという〜

    ★カオール観光局のHP(この橋の伝説についても載っている)
    http://www.mairie-cahors.fr/Tourisme/decouv-anglais.html

  • ヴァラントレ橋の上から見たロット川。‘ロット川’って響きはいかにも童話に出てきそうな感じがしませんか?

    ヴァラントレ橋の上から見たロット川。‘ロット川’って響きはいかにも童話に出てきそうな感じがしませんか?

  • ヴァラントレ橋の近くにワイン屋があったので入ってみることに。種類が多い―!でもって試飲もさせてくれる。しかし欧米のツアー団体と重なり、中は貸切の立食宴会状態。さすがにその中を割って入り「私にも1杯おくれ」とは言えず、ヤマカンでワインを2本選び退散していった。1本はこの後パリで合流する友達用、もう1本は家族用。タダでさえ捨てたくなる荷物なのに2本も大丈夫なのか、私。イヤぁ、ここまで重ければワインの2本増えようが同じでぇい、買ってしまえと気が大きくなっていたこの時。<br /> まぁ同じだったかはともかく、濃厚で滑らかな赤ワインはめちゃくちゃ美味しかった!!カオールのワインは赤黒い色をしているので、‘ヴァン・ノワール’(黒いワイン)と呼ばれている。最高級というわけではないが、樽の香りとマッチした深い味わいのワイン。渋くて苦いイメージがあったけれど、私が購入したのはフルーティーでとてもまろやか。何て表現したらいいんでしょ、...ガバガバ飲めます。1本5.5ユーロ。(すぐさま飲んでしまったので瓶はもうありません)。オススメ―!!<br />

    ヴァラントレ橋の近くにワイン屋があったので入ってみることに。種類が多い―!でもって試飲もさせてくれる。しかし欧米のツアー団体と重なり、中は貸切の立食宴会状態。さすがにその中を割って入り「私にも1杯おくれ」とは言えず、ヤマカンでワインを2本選び退散していった。1本はこの後パリで合流する友達用、もう1本は家族用。タダでさえ捨てたくなる荷物なのに2本も大丈夫なのか、私。イヤぁ、ここまで重ければワインの2本増えようが同じでぇい、買ってしまえと気が大きくなっていたこの時。
     まぁ同じだったかはともかく、濃厚で滑らかな赤ワインはめちゃくちゃ美味しかった!!カオールのワインは赤黒い色をしているので、‘ヴァン・ノワール’(黒いワイン)と呼ばれている。最高級というわけではないが、樽の香りとマッチした深い味わいのワイン。渋くて苦いイメージがあったけれど、私が購入したのはフルーティーでとてもまろやか。何て表現したらいいんでしょ、...ガバガバ飲めます。1本5.5ユーロ。(すぐさま飲んでしまったので瓶はもうありません)。オススメ―!!

  • まだ列車の出発まで時間があるので、全荷物を担ぎ、中心街を散策することに。途中、可愛いマンションがあったので1枚パシャ(窓から人形が覗いている)。正直カオールという町には、ヴァラントレ橋くらいしかまったく期待をしていなかった。

    まだ列車の出発まで時間があるので、全荷物を担ぎ、中心街を散策することに。途中、可愛いマンションがあったので1枚パシャ(窓から人形が覗いている)。正直カオールという町には、ヴァラントレ橋くらいしかまったく期待をしていなかった。

  • しばらく静かな通りを歩くと、急に繁華街通りらしきところに出た。どうやらここが『ガンベッタ通り』らしい(この写真の手前を左右に走っている)。カオールのメインストリートになる。さらに写真の路地を真っ直ぐ奥へ進んで見ることに。

    しばらく静かな通りを歩くと、急に繁華街通りらしきところに出た。どうやらここが『ガンベッタ通り』らしい(この写真の手前を左右に走っている)。カオールのメインストリートになる。さらに写真の路地を真っ直ぐ奥へ進んで見ることに。

  • 『シャプー広場』というところに出た。本日は9/9の土曜日。この広場一帯で土曜市をやっている。とても賑やかで、地元の人でいっぱい。小さい店舗が沢山出ていて見ているだけでも楽しいゾ―♪

    『シャプー広場』というところに出た。本日は9/9の土曜日。この広場一帯で土曜市をやっている。とても賑やかで、地元の人でいっぱい。小さい店舗が沢山出ていて見ているだけでも楽しいゾ―♪

  • 正面の大きな建物は、12世紀に建てられた『サンテティエンヌ大聖堂』。最初中を見学しようと思ったが土曜市の方に夢中になってしまい、結局見学出来ず。

    正面の大きな建物は、12世紀に建てられた『サンテティエンヌ大聖堂』。最初中を見学しようと思ったが土曜市の方に夢中になってしまい、結局見学出来ず。

  • ワインはもちろん、野菜、果物、チーズ、洋服、カバン、沢山の店が出ていた。料金はその時相場がわからなかったので覚えていないけれど、これだけ人が集まるんだから安いんだろね〜。

    ワインはもちろん、野菜、果物、チーズ、洋服、カバン、沢山の店が出ていた。料金はその時相場がわからなかったので覚えていないけれど、これだけ人が集まるんだから安いんだろね〜。

  • この土曜市を目の当たりにしたからなのか、カオールという町がとても魅力的に見えてきた。ごく普通に古い建物があり、それが自然に住民の生活風景に溶け込んでいる。‘ここから歴史地区ですから―’という線引きは無く、‘観光客さんの為に町を整備しときました〜’というオーラもない。なかなかイイ感じ。

    この土曜市を目の当たりにしたからなのか、カオールという町がとても魅力的に見えてきた。ごく普通に古い建物があり、それが自然に住民の生活風景に溶け込んでいる。‘ここから歴史地区ですから―’という線引きは無く、‘観光客さんの為に町を整備しときました〜’というオーラもない。なかなかイイ感じ。

  • 特別観光地化されているという気配はなく、あくまで住民主流の町という感じだが、ここを拠点に滞在すれば地元の生活に密着した素敵な数日を味わえるのではないでしょうか。(日本のツアーにも組み込まれているので観光客は多数訪れるとは思う)<br /><br />カオールにまだまだ後ろ髪を引かれながら駅へと戻ることに。ガンベッダ大通りから駅までは、先ほどの喧騒が嘘のような静かな住宅街を通って行く。次の目的地はサルラ。ひとまず列車でスーイヤックに向けて出発。

    特別観光地化されているという気配はなく、あくまで住民主流の町という感じだが、ここを拠点に滞在すれば地元の生活に密着した素敵な数日を味わえるのではないでしょうか。(日本のツアーにも組み込まれているので観光客は多数訪れるとは思う)

    カオールにまだまだ後ろ髪を引かれながら駅へと戻ることに。ガンベッダ大通りから駅までは、先ほどの喧騒が嘘のような静かな住宅街を通って行く。次の目的地はサルラ。ひとまず列車でスーイヤックに向けて出発。

  • 列車で40分程、スーイヤックに13:13到着。<br />ここから『サルラ』行きの国鉄バスに乗る予定だが、出発は15:01。この辺りの公共機関を使っての移動は本数が少ない為、率がとても悪い。最初はロカマドゥールまでタクシーで移動する予定だったが、財布を初日に落としたので節約する為断念。出発まで2時間弱あり、駅でボーッとするのももったいないし、なら、ロマネスク彫刻が素晴らしいという『サント・マリー修道院』へ行ってみよう!<br /> さて、どこだ?駅のインフォメーションで大体の方向を教えてもらい、ボストンバッグを担いで出発(駅にコインロッカー無し)。そろそろ私の肩に限界が..。しかし、もったいない精神に好奇心が拍車をかけ、1人でかけ声をかけながらなんとか歩き続ける。なんだか筋トレのような、修行のような..。パリより随分南にあるこの地方はまだまだ暑い!服装は完全に半袖。汗ダラダラ。<br /> 何のへんてつもない静かな住宅街(現代的)を20分程歩き続ける。この町には、観光名所はおそらくほとんどない。途中、喫茶店に入り道を尋ねると地図をくれた(この地図は本当に助かった〜!)更に5分程歩くと突如町が賑わい始めてきた。ここまで来ると古い建物もあり、町並みが魅力的になる。『サント・マリー修道院』もこの賑わい傍にあった。中に入ってみると、確かに彫刻が凄い!

    列車で40分程、スーイヤックに13:13到着。
    ここから『サルラ』行きの国鉄バスに乗る予定だが、出発は15:01。この辺りの公共機関を使っての移動は本数が少ない為、率がとても悪い。最初はロカマドゥールまでタクシーで移動する予定だったが、財布を初日に落としたので節約する為断念。出発まで2時間弱あり、駅でボーッとするのももったいないし、なら、ロマネスク彫刻が素晴らしいという『サント・マリー修道院』へ行ってみよう!
     さて、どこだ?駅のインフォメーションで大体の方向を教えてもらい、ボストンバッグを担いで出発(駅にコインロッカー無し)。そろそろ私の肩に限界が..。しかし、もったいない精神に好奇心が拍車をかけ、1人でかけ声をかけながらなんとか歩き続ける。なんだか筋トレのような、修行のような..。パリより随分南にあるこの地方はまだまだ暑い!服装は完全に半袖。汗ダラダラ。
     何のへんてつもない静かな住宅街(現代的)を20分程歩き続ける。この町には、観光名所はおそらくほとんどない。途中、喫茶店に入り道を尋ねると地図をくれた(この地図は本当に助かった〜!)更に5分程歩くと突如町が賑わい始めてきた。ここまで来ると古い建物もあり、町並みが魅力的になる。『サント・マリー修道院』もこの賑わい傍にあった。中に入ってみると、確かに彫刻が凄い!

  • 修道院の中はひんやりとしている。入口にあるこの柱彫刻は『踊るイザヤ』と言われ、ロマネスク彫刻の中でも有名なものらしい。(ガイドブックで初めて知った)

    修道院の中はひんやりとしている。入口にあるこの柱彫刻は『踊るイザヤ』と言われ、ロマネスク彫刻の中でも有名なものらしい。(ガイドブックで初めて知った)

  • 彫刻を堪能出来たので駅まで戻ろう。地図を見ると、先ほど来た道はわかりやすいが遠回りのようなので、地図を見ながら無謀にも近道で帰る事に(だって荷物が重すぎる)。<br /> また大荷物を持ってひたすら歩く。しかし暑い。こんなに喉が渇くのなら駅でもう1本水を買っておけば良かった。飲料も切れ、汗だくでヨレヨレになりながら歩く。ところで道は合ってるんだろうか?心配になってきた..。今から乗るサルラ行きのバスを逃すと次の便は無い。立ち止まって地図をひっくり返しながら見ていると、サァ―っと自転車が横に止まった。ん?と見ると小学校半ばくらいの女の子。「道に迷ったの?案内してあげる」(フランス語わからないので適当)と言ってくれているよう。さすがに小学生にまで迷惑をかける気がせず、「ノープロブレム」と言ったつもりが、英語が全くわからないようで、自転車を押しながらずっと付いて来た。どうやら彼女の自宅はこの先らしい。地図を見せて「スーイヤックの駅はこの先真っ直ぐ?」とゼスチャーで訪ねると、その通りらしいので取り合えず安心して進む。<br /> 最初、お互いの言ってることを理解しようという努力をしていたが、何しろ私はフランス語がさっぱり。どうあがいても無駄だと悟り、彼女はフランス語で、私は日本語で会話がしばらく続く。「トゥルルルル、シュルルルル(と聞こえる)」「あなたのお年はいくつですか?お名前なんて言うの?」「シュルルボワ、プルトゥルル」「今日は暑いね〜、いつもこんなに暑いの?」お互い好き勝手に話をしているハズが何故か会話をしている気になっているから不思議。時々お互いに「ウフフフ」とテレ笑いをして心が通う。<br /> 彼女の母親から携帯に電話がかかってきた。すると「今ね、私、外国人の道案内をしているの。困ってたから助けてあげたの。(と言っているように聞こえた)」と母親に報告し、自宅に到着した後も母親の了承を得て駅まで送ると言ってくれている。正直道はもうわかっていたけれど、嬉しそうに喜んでくれているのでお言葉に甘える事に。<br /> だんだんとゼスチャー交じりで話をするようになり、お互いに何を言ってるか少し解るようになってきたころ駅に到着。サルラまで付いて行くと言ってくれている彼女にお礼を言って駅でお別れし、ふと思った。「言葉って本当に文化だわ」。気持ちを伝えるだけのことが伝わらない。何故伝わらないのか。それは言葉は生まれた土地で育ってきた文化だから。言語学を研究する人の気持ちが1ミリ程度わかったような気がした。傍から見れば、あんたそんな汚い汗マミレの顔で文化について語るんじゃあないわよ、と言われそうだが、暑さにヤラレて頭がおかしくなり、普段考えないようなことをつい考えてしまったんです。名前も知らないけれど、彼女に出会えたことは良い思い出になりました。私は感傷的に浸っているけれど、きっと数年後の彼女にとっては、「あ、そーいやワタシ、謎のアジア人に出会ってん。どんな人かはっきり思い出されへんけどとにかくめっちゃ汗かいててん。どんな人やったかなぁ..こんな簡単なところで道に迷ってたなぁ..」といった印象になっている気もする。

    彫刻を堪能出来たので駅まで戻ろう。地図を見ると、先ほど来た道はわかりやすいが遠回りのようなので、地図を見ながら無謀にも近道で帰る事に(だって荷物が重すぎる)。
     また大荷物を持ってひたすら歩く。しかし暑い。こんなに喉が渇くのなら駅でもう1本水を買っておけば良かった。飲料も切れ、汗だくでヨレヨレになりながら歩く。ところで道は合ってるんだろうか?心配になってきた..。今から乗るサルラ行きのバスを逃すと次の便は無い。立ち止まって地図をひっくり返しながら見ていると、サァ―っと自転車が横に止まった。ん?と見ると小学校半ばくらいの女の子。「道に迷ったの?案内してあげる」(フランス語わからないので適当)と言ってくれているよう。さすがに小学生にまで迷惑をかける気がせず、「ノープロブレム」と言ったつもりが、英語が全くわからないようで、自転車を押しながらずっと付いて来た。どうやら彼女の自宅はこの先らしい。地図を見せて「スーイヤックの駅はこの先真っ直ぐ?」とゼスチャーで訪ねると、その通りらしいので取り合えず安心して進む。
     最初、お互いの言ってることを理解しようという努力をしていたが、何しろ私はフランス語がさっぱり。どうあがいても無駄だと悟り、彼女はフランス語で、私は日本語で会話がしばらく続く。「トゥルルルル、シュルルルル(と聞こえる)」「あなたのお年はいくつですか?お名前なんて言うの?」「シュルルボワ、プルトゥルル」「今日は暑いね〜、いつもこんなに暑いの?」お互い好き勝手に話をしているハズが何故か会話をしている気になっているから不思議。時々お互いに「ウフフフ」とテレ笑いをして心が通う。
     彼女の母親から携帯に電話がかかってきた。すると「今ね、私、外国人の道案内をしているの。困ってたから助けてあげたの。(と言っているように聞こえた)」と母親に報告し、自宅に到着した後も母親の了承を得て駅まで送ると言ってくれている。正直道はもうわかっていたけれど、嬉しそうに喜んでくれているのでお言葉に甘える事に。
     だんだんとゼスチャー交じりで話をするようになり、お互いに何を言ってるか少し解るようになってきたころ駅に到着。サルラまで付いて行くと言ってくれている彼女にお礼を言って駅でお別れし、ふと思った。「言葉って本当に文化だわ」。気持ちを伝えるだけのことが伝わらない。何故伝わらないのか。それは言葉は生まれた土地で育ってきた文化だから。言語学を研究する人の気持ちが1ミリ程度わかったような気がした。傍から見れば、あんたそんな汚い汗マミレの顔で文化について語るんじゃあないわよ、と言われそうだが、暑さにヤラレて頭がおかしくなり、普段考えないようなことをつい考えてしまったんです。名前も知らないけれど、彼女に出会えたことは良い思い出になりました。私は感傷的に浸っているけれど、きっと数年後の彼女にとっては、「あ、そーいやワタシ、謎のアジア人に出会ってん。どんな人かはっきり思い出されへんけどとにかくめっちゃ汗かいててん。どんな人やったかなぁ..こんな簡単なところで道に迷ってたなぁ..」といった印象になっている気もする。

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