2006年ツール・ド・モンブラン（１）はじめに

2006/08/20 - 2006/08/26

ヨーロッパアルプスのトレッキング（途中泊のあるハイキング）ではオートルート、ツール・ド・モンテローザなども人気があるが、ツール・ド・モンブランが一番歴史があり、規模も大きく最も人気がある。
このコースはモンブランの周囲の山をシャモニーからフランス、イタリア、スイスと（正確にたどると）距離158km 標高差合計8500mを歩く。しかし通常は（特にツアーでは）谷間の自動車道は景観も劣ることもあって部分的にバスを利用することが多い。
後述するが連続する山小屋泊まりと登り降りが続くので中級クラスと位置づけてツアーでないといけないコースとする雰囲気が日本では濃い。
そのようなコースを一人で歩くことにしたのは
1.74歳の年相応の体力と写真撮影を考えると歩く速度が遅くてツアーの皆さんに迷惑をかけるおそれがある。
2.ツアーのルートでは私が行きたい所（モンブランのイタリア側の展望台ラルプ・ヴィエイユからシュクルイ湖までの高原ルート）を省略するし、反対にシャンペから後半のように既に歩いていたり興味のない所が含まれている。
3.個人ならスケジュールが自由だから、雨が降れば小屋で晴れるのを待つことができる。小屋と小屋の間隔は数時間ぐらいと短いので安心だ。
などが理由だ。
単独行のために準備したのは
1. 体力を考えて荷物は30リットルのリュックに入るだけに制限する。写真用具では三脚はやめたがカメラは予備を入れて2台となり、いきおい衣類は最低限の予備一揃いだけ。
2．ツアーのように途中で衣類の交換サービスはない。小屋での洗濯をまめにやることにする。汚れで死ぬ人はない。
旅後の感想
1. 道と道標はイタリアの一部を除いて、日本とは比べ物にならないくらいによく整備されていて、それに森林限界より上なので見通しがいいしこのルートを歩く人は結構多いので道に迷うことはない。
2. 小屋のベッド、食事と弁当、温水シャワー、サービスなど日本の小屋に比べ格段の素晴らしさが旅を楽しくしてくれた。このような好条件なのに安くて3食付でほぼ50ユーロ。
3. 出会ったツアーは3つだけだったが前後を護られた行列型のツアーは日本のツアーだけで、オーストラリアとフランスの小学生の２ツアーはのんびりばらばらに行動。その他のトレッカーはグループとか私のような老人とか女性もいる単独行者が多いのにびっくり。　考えて見ればこのように楽しく容易なコースなのだから当然だが。
4. 同じコースを歩いているうちにいつの間にか友人扱い。これも旅を楽しくしたし、情報に拠る遭難回避にもなるから安心だ。会話はほとんど仏語だが私の拙い英語でも誰かが通訳してくれた。
5. これまでにないほど楽しいトレッキングだった。皆さん難しいコースだと逡巡されずに個人トレッキングをお勧めします。日本のアルプス縦走より容易で楽しいですよ。
写真はこのコースで一番人気のエリザベッタ小屋。ここだけは予約しないと

エリア シャモニー(フランス)

• 同行者: 一人旅
• 航空会社: JAL

トレッキングのルート図　

拡大してご覧ください

赤線：今回歩いたルート
緑線：昨年までに歩いたルート
青線：今回のトレッキングでバスを利用したルート

8/20の行動概要
前日8/19にかみさんをチューリッヒから日本に送り返した後にシャモニーに移動。今日は日曜日でシャモニーの観光案内所は休日と思っていたら開いてて日本語が出来、心優しいので有名なベルナドットさんは夕方には出勤とのことでそれまでの時間つぶしに背後のエギュイーユ・ルージュ連峰のラックブランにハイキング。
夕方ベルナドットさんに会って山小屋の予約の確認と変更を依頼する。
写真はラックブラン（白い湖）と雲の中のモンブラン

8/21の行動概要
本日観光案内所に行く予定だったのが前日にすんでしまったので、今日からモンブラン周遊に出発する。ここでは1200ｍ上る予定だったが1日早く出発したので途中のバルム小屋に泊って日程調整。昼には到着しのんびりと洗濯も。
写真はバルム小屋前を通過して行くトレッカー

8/22の行動概要
ボンノムのコル(峠)とクロワ・デュ・ボンノムのコルを越えてクロワ・デュ・ボンノム小屋に昼に着く
写真はボンノムコルと避難小屋

8/23の行動概要
ボンノム小屋から景色と花のいいバリエーションルートを取ってモッテ小屋へ下りる。いったんクロア・デゥ・ボンノムコルに戻り更にフールのコルまで登る。この日も短い行程でこの辺からモンブラン山系が見え出しのんびりと写真を撮るのを楽しみながら下りる。
写真はフールのコルからモンブラン山系エギィーユ・ド・グレシャ峰

8/24の行動概要
この日はほとんど雨中の歩行。この写真のセーニュのコルからイタリア入り。とたんに路の整備も道標も質が落ちる。しかしちょうど明日から始まるマラソンのツール・ド・モンブランのために仮の道標が随所にあったので大助かり。この日は谷間のエリザベッタ小屋泊まり。

写真はセーニュのコルにある避難小屋？それともマラソンの援護のための仮の小屋？

2/25の行動概要
エリザベッタ小屋からこのコースのハイライトのコンバル湿原およびラルプ・ヴィエイユから始まりシェクルイのコルまでの高原を歩く。これらはモンブランの絶好の展望台だ。日本のツアーの多くは谷間をバスで通過するもったいないことをする。
幸い好天に恵まれ、今回スイスでの雨天続きで天を恨んだのは全て帳消しだ。クールマイヨールからアヌーバまではバスを利用した。アヌーバからマラソンとかちあい道が共通なので歩くのに難渋する。今夜はエレナ小屋泊り。

写真はラルプ・ヴィエイユの上にあるアルプの小屋跡からのモンブラン。

2/26の行動概要
エレナ小屋から今回の最後の登りになるフェレ峠までの急坂をマラソンの人達に抜かれながら登る。峠にはマラソンの支援メンバーがいる。
休憩中に後から来た乗馬クラブのメンバーに抜かれる。道が良く整備されているので馬でも容易に歩けるのだ。
その後フェレの村を通りフーリで今回のトレッキングを終る。フーリからバスでオーシェール経由マーティニに出て列車でシャモニーに戻る。
写真はフェレのコルで休憩する乗馬クラブの人達

この旅行記へのコメント （7）

• フルリーナさん 2008/12/24 13:20:17

  すてきですね

  すばらしい景色ですね・・。
  ３〜４泊ぐらいして１日は晴れまで風のない日に
  コンバル湿原とシェクリュイ湖に行きたいなと思ってます。
  veny谷に泊まろうと思っているのですが
  その辺からのトレッキングはハードでしょうか？
  母が元気とはいえ７６なのでどうかなあ・・・。
  一日かけてゆっくり歩けば可能でしょうか？
  

  4nobuさん からの返信 2008/12/24 22:46:14

  RE: すてきですね

  たびたびのご訪問有難うございます。
  
  > コンバル湿原とシェクリュイ湖に行きたいなと思ってます。
  > veny谷に泊まろうと思っているのですが
  > その辺からのトレッキングはハードでしょうか？
  
  コンパル湿原とべ二谷の歩きは楽勝でしょう（ただし私は歩いておりません）コンパル湿原はスケールが小さくまたここからの展望もそれほどではありません。それに同じ角度でもっとスケールの大きい展望のあるシェクルイ湖に行くのでしたらむしろフェレ谷からモンブランとグランジョラスを見るのをお勧めします。フェレ谷へ行くと途中下車でエルブレンネロもいいですね。さらに時間があればフェレ谷奥のエレナ小屋に泊れば別の展望があります。ただし小屋まで300Mばかりの登りがあります。
  
  シェクルイ湖へはクールマイユールからのロープウェイで行かれる予定でしょうか。これですとあまり体力はいらないとおもいます。しかしこのロープウェイは冬優先で夏は手入れのためによく運休しているようです。もうひとつ、フェレ谷への途中のアントレーヴの上からのロープウェイもあるようですのでどちらが動いているかをクールマイユールでお確かめください。
  シェクルイ湖からコンパル湖への素晴らしい展望の高台の横断路があります。私は逆コースでした。専ら下りですので体力はいらないのですが時間がかかります。
  もうご覧になったと思いますが地球の歩き方274「ヨーロッパ・アルプスハイキング・ガイド」にわかりやすく解説しております。

  フルリーナさん からの返信 2009/01/31 22:50:20

  RE: すてきですね

  追伸。
  シュクルイ湖は、ロープウエイで行こうと思っています。
  ミディへのロープウエイのすぐそばの展望のよさそうなお手ごろ価格の宿が、到着と出発の時クールマイヨールまで送迎してくれるそうで、
  なんかとても楽しみです。
  お天気がいいといいのですが・・・。
  ７月７日の七夕様に出発になりそうです。

• 温泉スイスさん 2008/06/21 00:51:23

  恐縮しました。

  4nobuさん、こんにちわ。温泉スイスです。
  自分の旅行記をアップしたあと、4nobuさんの旅行記を見ようと思い、来てみました。
  そうしたら、ツールトモンブラン、そして７４歳というお年。大変感動しました。私が、4nobuさんと同い年になったとき、同じように行動できるかどうか、自信がありません。おみそれいたしました。m(_ _)m
  ツールドモンブランは、以前誘われたことがあったのですが、パンフレットを見て、恐れをなしてお断りしたことがあります。
  今では、一度は行ってみたいと思っているところではありますが、踏ん切りがついていないようなところです。
  しかし、ツアーは避けた方が良いのですね。確かに、値段も張りますしね。
  4nobuさんのように、一度で走破するのでなく、分けて歩く手もあるのですね。なるほどお。
  これから、徐々に、4nobuさんの旅行記を拝見させていただきます!!

  4nobuさん からの返信 2008/06/22 09:31:26

  RE: 恐縮しました。

  温泉スイスさん
  励ましとご投票ありがとうございます。
  これからも（後1年はなんとかと思いながら）頑張って歩きたいです。
  
  よる年波といいますが体力は確実に低下し、若い人には負けます。特に下りのスピードは足のばねが硬くなっているので差がはっきりしました。
  
  年寄りの冷や水といわれているかも。それでも今年も頑張るぞー
  

• red-nontaさん 2006/12/11 15:04:31

  ツールドモンブラン

  4nobuさん、こんにちはっ。red-nontaです。
  4nobuさんの旅行記を見るまでツールドモンブランって知りませんでした。自転車のツールドフランスの仲間なのかな？と思ったら、メジャーなトレッキングルートなんですね！150km以上の距離なんて、さすがアルプス！！
  そこをに行ってしまう4nobuさんの行動力にさらに感動！！
  小屋にとまりながら自分のペースでゆっくりトレッキングできるなんて、なかなかできないワザですよねっ。
  私はアルプスといえばグリンデルワルドにしかいったことがないので、今度フランス側やイタリア側のアルプスにも行ってみたいな〜って思っています。ツールドモンブランについては4nobuさんの旅行記を見て基礎知識をつけなくちゃ！
  
  では、またお邪魔します。
  red-nonta
  
  
  

  4nobuさん からの返信 2006/12/11 23:10:38

  RE: ツールドモンブラン

  早速見ていただきその上投票もしていただいたようで恐縮です。
  名高いルートを歩けたものでちょっと自慢がしたくて誇張が入っているのではと反省しております。
  レベル的にはそれほど厳しい所ではありませんで、確かに楽しいルートですのでよくトレッキングなさるred-nontaさんにはらくちんコースだとおもいます（天候が順調ならですが）ので、お勤めもあって厳しいでしょうが是非歩かれることをお薦めします。
  シールベイのアシカ君の笑顔がいいですね続編をまってます。