2006/07/26 - 2006/07/28
29位(同エリア75件中)
あらゆさん
トカラ列島は、屋久島と奄美大島というメジャーな島の間につらなるマイナーな島々。鹿児島から船で6〜13時間と、ロサンゼルス並みに遠く、鹿児島の人でも「ほとんど行かないなあ」と言う場所。ホテルやレストランや土産物屋がない、つまり観光らしい場所はほぼありません。島の人も「何もない島」と言います。
でも「何もない島」と言われると、逆に興味をソソられませんか?僕は頭を空っぽにしたくて、トカラ列島に出かけました。
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「何もない」トカラ列島の中でも、諏訪之瀬島は輪をかけて観光地っぽいものがありません(キッパリ)。なにしろ有名な祭りも海水浴場もないし。
でも魅かれるのは、ここには世界有数の活火山があること。たびたび小さな噴火、200年ほど前には大噴火で、島が無人島になったこともありました。風向きによっては、集落に火山灰が降るそうです。
でも夏は風向きが違うらしく、今回の旅ではそんなこともなし。あと同宿だった京大の火山研究の先生は「今後100年ぐらいは大噴火しねえな」と(焼酎を飲みながら)断言してたっけ……。 -
トカラ列島へは、鹿児島港から「フェリー としま」に乗るのが、ほぼ唯一の交通手段です。
フェリーは毎日出航しているわけではないです。夏は週3便、冬は週2便です(たぶん)。しかも島と島の間の交通手段も、フェリーを使わなければならない。だから旅行日程はすべて、このフェリーの便によって決まります。
さらにフェリーは海が荒れると欠航します。つまり台風シーズンや冬には欠航しやすい。欠航するとそのまま鹿児島市内観光で終わるか、トカラ列島に閉じ込められるかのどちらかです。
だからトカラ旅行のベストシーズンは、海が穏やかで便も多い夏が良いと聞きました。台風に遭わなければ、の話だけど……。
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フェリーとしまの時刻表は、少々複雑です。
フェリーは夜23時ごろに鹿児島港を出航。翌日の朝にトカラ列島の島々に寄りつつ、昼3〜4時ごろに奄美大島の名瀬に到着します(トカラ列島の宝島までしかいかない便もある)。ちなみに諏訪之瀬島には、鹿児島から約10時間後の午前8時ごろ着きます。フェリーは名瀬を次の日の朝3時ごろに出航して、トカラ列島を渡りながら鹿児島へ向かいます。
だから島々を移動しようにも、最低1泊することが必要です。急いで乗り継いで、1週間ですべての有人島を回る人もいると聞くけどね。
ちなみに僕は鹿児島から諏訪之瀬島へ行き、2泊してから隣の島の悪石島へ行きました。帰路は悪石島から名瀬に渡り、そこから羽田空港への飛行機に乗りました。奄美〜羽田便は、夜遅く出るから間に合うんだよな。
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仕事を忘れて旅を楽しみたい人に朗報です!
うれしいことにトカラ列島では、auとボーダフォンの携帯電話はつながりません。僕は心底ノンビリできました。
残念ながらドコモFOMAはきっちりつながるので、島の人はみんなFOMAです。電電公社っぽいな……。 -
島の地図----右に飛んでいるのはカモメ、ではなくトビウオ。諏訪之瀬島はトビウオ漁が盛んなのです。
トビウオ漁は5〜6月。夜中、港へ入ってくるとびうおたちをライトで驚かせ、港の岸壁からトビウオをすくう独得な漁もあります(ツアーもある)。その期間は漁よりも、獲ったトビウオをさばくことで島の人たちは忙しいとか。旅では、トビウオの酢漬けや卵のカラスミを食べたけれど、おいしかったっす。
ちなみにトビウオは、空に飛び出すとかなり長い距離を滑空します。メーヴェみたいな飛び方で、見るとちょっと感動もんです。 -
諏訪之瀬島にも実は温泉があります(パンフレットには「第一級の秘湯」とか書いてある)。でも、入れると期待しないほうがいい。というか、普通の観光客はほぼ入れない温泉だから「秘湯」と書いてあるっぽいし(笑)。
まず。湯がわき出しているのが、陸路では行けない海岸近く。漁船に頼んで連れて行ってもらい、瀬渡しもお願いしないといけない。温泉マニア以外には、ほとんど無理な相談です。
ただし素潜りをする島の人は、沖で船を泊めて、海を泳いで温泉に行ったとのこと。この方法ならば行けますよ!
さらに海岸から山を登ると、湯が火山からわきでている沢がある。ここでシャベルで穴を掘ると、温泉に浸かれるとのこと。これこそ秘湯です!
……ということで諏訪之瀬島の温泉は、マニアの人以外はあきらめましょう。
写真は漁船から見た温泉地らしいところ(だったと思う)。実際には、山から湯が流れ出ているのが見えます。 -
日本でもっとも活発な火山のひとつ、御岳に登りました。諏訪之瀬島にはガイドさんがいるので、その方と一緒に。
御岳はそう高くなく数時間で登れるのですが、僕が山登りの経験がない文化系だったので、ガイドさんと一緒に登れたのは有り難かった。島の話もいろいろ聞けたしね。
登山道(草ぼうぼうだし、急な斜面も多い)や溶岩原は登りにくいので、靴はしっかりしたものを履いたほうがいいでしょう。普通のスニーカーで行ったら、歩き難いことこの上なかった……。
登山するならば春がよい。溶岩原にあるマルバサツキ(写真に見えている植物)が開花する時期です。一面の溶岩原に根づいているのは、ほぼ唯一、このサツキだけです。開花したらすごいだろうなあ。
あ、ちなみに、火口から2km圏内は立ち入り禁止になっています。ただし誰かが見張っているわけではないです。
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御岳に登ったときの写真。雲が目の前に!
南国はなぜ雲がこんなに低く見えるのだろうか……。旅先で感じた疑問です。 -
モクモクモクと煙が……これが御岳の火口です。火口まで登れるのは、許可を受けた研究者の人だけです。
御岳へ登ったときは、この新しい火口まで見えませんでした。写真は、漁船から御岳を見たときに撮ったもの。
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海は、やはり透明度高いですね。死ぬほど暑いこともあり(帽子と日焼け止めは必須!)、泳ぎたい欲求が高まります……ゴクッ。
ただし、トカラ列島の海岸は石や断崖絶壁が多く、サクッと海に入れる海水浴場があまりありません(宝島には砂浜の海岸と海水浴場あり)。 -
そこで、宿のおばちゃんと一緒に、港で泳いじゃいました。水着がなかったので、Tシャツとトランクスで……。おばちゃんは「島の人は水着なんて持ってないよ」と言っていたしね。このおばちゃんは、岸壁から何度も勢い良く飛び込んでました。若いなあ。
港の中でも海はきれい。水中メガネを貸してもらったところ、色とりどりの魚やカニが多かった。ミズイカの赤ちゃんも迷い込んでいました。
ただし、いつでも泳げるわけではなく、やはり波が穏やかな日に限られるそう。その点では夏が良いのかな。
注意としては、泳ぐ時や岸壁から上がるとき、石や壁にくっついている貝で手足を切らないように気をつけましょう。文化系の僕は数カ所切って血が出ました。 -
北海道でシカに会う確率が多いのと同じように、トカラの島々ではヤギによく出会います。
トカラ列島特有の黒いトカラヤギ(写真)や野生化した白いヤギが、野山を駆け回ってます。道を歩いているだけでも会えるので、ヤギマニアにはおすすめです。飼育されているヤギもいます。
島の人に聞くと「ときどき野生のヤギを獲って食べるよ。最近あまり食べないけれど」と言います。話ぶりからすると、年に数回しか食べないレアな食べ物ぽいです。民宿の食卓にも出てこなかったし。
実は今回、鹿児島の奄美料理店でヤギ汁を食べました(奄美大島もヤギを食べる)。僕にとっては、ダシに独特のコクがあって滋味深かった。体があたたまるほか夏バテにも効果があるとか。何度でも食べたい感じです。臭みがあるので、嫌いな人も多いというけれどね。 -
黒い蝶が優雅に飛んでいたり
巨大なクモが道の上で平然と巣を作っていたり
アブがコガネムシを無慈悲に襲っていたり
夏なのにトンボが大量に飛んでいたり
と、トカラ列島では昆虫をそこかしこで目にします(昆虫研究的にも重要な場所らしい)。昆虫好きの子供や元昆虫少年の僕にはもってこいです。
ただし、なぜか蚊には刺されませんでした。 -
諏訪之瀬島のネコは、木に登る登る!
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早朝、ニワトリが小中学校のまわりをうろうろしてました。放し飼いにされているのか?
諏訪之瀬島は30年ぐらい前、「火山」に憧れたヒッピーと呼ばれる人びとが自給自足の共同体を作ろうと移り住んできた時期がありました(ちょっとした聖地だったらしい)。今でも、なるべく食べ物を自分で作って暮らしたいという人もいて、そういう人はニワトリを飼っています。
豆知識としては、いま隣の悪石島にはニワトリがいないと聞きました。自宅でニワトリを飼うスペースがなくなってしまったからだそう。 -
宿のおばちゃんに「はいこれ」ともらった、プチトマト。島の人はヘチマやスイカ、オクラなど、さまざまな野菜を植えています。毎日のご飯の前に畑から野菜をもいで、それを調理するという感じ。都会っ子の目には、新鮮です。
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とはいえ、お茶のペットボトルや缶コーヒーをぐびぐび飲むなど、都会と変わらない食生活もあります。
これは鹿児島から10時間ほどかかって島に到着したケンタッキーフライドチキン。宿のおばちゃんが誰かに頼んで取り寄せたらしく、その日の朝食は皆でケンタッキーを食べました(笑)。
僕が子供のころ田舎に住んでいたときも、ケンタッキーがごちそうだったなあ……。
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宿で食べたアオチビキの刺身。これは、宿のおばちゃんのだんなさんが口之島から送ってきたもの。
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ガイドさんの家でごちそうになった、トビウオの卵の自家製からすみ。お酒に合います。
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たぶん、畑のカラスよけだと思います。
カラスは野菜や果物も食べます。宿のおばちゃんも「カラスにつつかれてスイカがダメになるので、木の葉でスイカの実を隠しておく」と言っていたし。
でも諏訪之瀬島では、カラスはそう見かけなかったな。むしろ隣の悪石島のほうが、カラスが多くたむろしていました。悪石島では「木の葉で隠していても、カラスにスイカやメロンが食われてしまう。今度トビウオ漁の網を張らなきゃ」と言っていたし。
……ということは、悪石島のカラスのほうがチョイ悪なのか? -
諏訪之瀬島には民宿が2〜3軒あります。僕はそのなかで「浜原荘」に泊まりました。部屋にはテレビや冷房があり、不自由はありませんでした。洗濯機も自由に使わせてもらいました。
私見ですが、トカラ列島の民宿は「田舎のおばあちゃんの家に泊まる」という雰囲気がしっくりきます。泊まる部屋は、民家にお客さん用の部屋が増設されているという感じ。民宿をしている人たちは牛の世話や漁の仕事もあるので、ホテルのようなサービスではありません。
でも逆に、民宿を運営している家族や宿泊客と身近に話せたり、島をいろいろ案内してもらえたりするなど、親戚の家に泊まるような大らかさや気さくさがあります。これは、観光地の宿ではなかなか味わえない雰囲気でしょう。
ただしこれは、僕だけが宿泊客だった日が多かったからかな(笑)。釣り客が20人泊まっているときに行ったら、また違うのかもしれません。
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ハイビスカスの木が、電柱と同化しているなあ。
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フェリーとしまが島の生活物資を運んできます。島の男たちが、それを荷下ろししている写真。
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真っ昼間は、日差しが強い強い。島の人たちは朝と夕方に仕事をして、昼間は休みをとっています。午後1時に道をとぼとぼ歩いていたのは、僕ぐらいなものでした。本当に帽子と日焼け止めは必須です。
ぐったり寝そべりたい、犬の気持ちもわかります。
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この旅行記へのコメント (3)
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- mozartさん 2007/01/27 11:15:29
- はじめまして
- あらゆさん はじめまして
火山愛好会のmozartです。
現在、日本で一番活動が活発な火山が諏訪之瀬島御岳ということで情報を収集しています。
http://4travel.jp/community/topic/10000122/10004433/
2006年は活発が沈静化しているようですね。
よろしかったら、火山愛好会コミューからあゆみさんの旅行記を紹介させてください。(リンクを張らさせて欲しいです。)
それではお返事待っています。
よろしくお願いします。
♪mozart♪
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- ツーリスト今中さん 2006/08/10 21:48:17
- 後から先の旅行記を見ました
- 始めの方の旅行記を後で見ました。
詳しく説明、ありがとうございます。
行ってみたくなりましたが日程が、、、。
離島は釧路からだとせいぜい式根島止まりです。
(金曜日の最終便で羽田に行って、横浜からフェリー。土曜日の朝着。
日曜日の高速船で戻る。なら可能かなってこの前思ったところ。
釧路便が一日5便しかないし、、、。です。)
奄美周辺って惹かれますよね。
沖縄より好きです。
また、いろいろアップしてくださいね。
楽しみにしています。
- あらゆさん からの返信 2006/08/12 16:20:51
- RE: 後から先の旅行記を見ました
- 今中さん、メッセージありがとうございます。
確かに奄美周辺は、僕もより開拓したい地域です。
例えば、奄美大島では秋から春にかけて、潮が引いた夜に
水面上に現れた珊瑚礁の上で魚介類を獲る「いざり」という漁が
あるらしく、これは次の旅で体験してみたいですね。
ちなみに『奄美まるごと小百科』(蔵満逸司著、南方新社)という本が
奄美大島の身近な情報が詳しく載っており、お薦めです。
それでは。
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