拉薩旅行記(ブログ) 一覧に戻る
6日目<br /><br /> 三日過ぎて、調子がよくなるどころか、かえって悪くなった。息切れはひどくなったし、食欲もなくなった。顔もむくんでいる。それに持ってきた頭痛薬もみんなに分けたのでなくなった。薬のはしごだと言いながらセデスを貰ったり、アスピリンを貰ったりして飲んでいる。夜の頭痛にはそっと酸素ボンベをふとんの中に入れて、フーフーハーハーやっているのだが効果はない。<br />朝までが長いこと!<br /><br /> 他の人たちも調子が悪いという。「みなさん、今日一日です。頑張りましょう!」と檄をとばす。<br /><br />9時半、ソンゾさんが迎えに来た。今日はポタラ宮と午後がジョカン寺だ。車はなるたけ歩かなくてもすむように、横から坂を上り、更にバックで入り口まで行ってくれる。<br /><br />ラサ市内が一望できる。正面は広場。入ろうとすると日本人に、「試みに心拍数と酸素の保有率(?)を調べてあげましょうか」と声をかけられた。指に挟むだけで測定できるようだ。心拍数120、酸素保有率(?)70%」と言われても、意味するところがわからない。「で、どうなんです?」<br />「まぁ、こんなもんでしょう」心拍数は普通70〜80だから、運動した後ぐらいだとわかるが、酸素保有率だか補給率だかは、なんのことだかさっぱりだ。<br /><br /> ポタラ宮はダライ・ラマの宮殿であった。1649年、主要な部分が完成し、デプン寺からダライ・ラマ5世が移ってきた。13階からなる壮大な宮殿である。紅宮と白宮からなる。<br /><br /> 私たちは紅宮から見学を始める。これでもか、これでもかというように、黄金の仏像、歴代のダライ・ラマの黄金像、ストゥーパ、トルコ石や宝玉をちりばめ精緻な彫刻を施した、これは何というのだろう、すごい美術品が並んでいる。どこの僧院でも、どこもかしこも絵や彫刻が施されているから、そのにぎやかさに目が奪われ、細部に目がいかないのだが、よくよく見ると、ひとつひとつ丁寧に描き込まれ、彫り込まれた、いわば仏教美術そのもの。<br /><br /> しかし信仰者には美術ではなく、信仰の対象である。だから仏像やストゥーパのありとあらゆるところに、紙幣が貼られているし、やたらと積み重なっている。賽銭箱がないからかも知れないが、なんとも無粋。貼られた紙幣を見るとドルもあるし千円札もある。<br /> <br /> 屋上よりひとつ手前の階に休憩所があった。<br />ちょうど男の人がポットを持って行くところだった。「それなーに」ときくとバター茶だという。「ほしい、ほしい。いくら」ときくと、「お金はいらない」と手振りで示しながら、その男性が茶碗をひとつ借りて、ポットからバター茶をついでくれた。美味しくはないが、温かいお茶はいい。よく見ると、その男性は自分の家族のためにポットでバター茶を買ったのだった。私が飲みたがるので、それをわけてくれたのだった。なんと親切な。ほんとにありがとう。最敬礼する。<br /><br /> 屋上へは別料金で10元払う。屋上では民族衣装が貸し出され、記念撮影が出来るようになっている。ミーハーおばさんたち、やると思ったらこれはパス。上から、正面の広場、いくつも並んだ集合住宅を見ながら、いかにも中国だとつぶやく。昔のラサはどんなだったのだろう。<br /><br /> 紅宮の紅の壁は藁なのか、細くさいた木材なのかわからないが、その上にベンガラの入った漆喰が堅く塗られている。クローズアップしてこの壁面を写真に撮る。<br /><br /> 紅宮、白宮とまわり、下に下りてくると、またもやにぎやかな声が聞こえる。まるで盆踊りでもしているみたいだ。急いで行くと、デプン寺の屋根葺きのように、円盤がついたような棒を持った数人の男性と女性が分かれて、地面を叩いている。チベット版「よいとまけ」だ。リズムもいいが、ワン、ツー、スリー、フォーと言って男性と女性が交代するのはおかしかった。私もその棒を持ってみたがかなり重かった。<br /><br /> 出口付近には土産物屋がいっぱい。例によってひっかかる。するとHさんが挨拶している。「チベットに知り合いができたの?」「そう」ホテルの横で売っていた人が今日はここで商いをしているのだ。「何回もかよったから」と笑っている。<br /><br /> お昼はまた違ったレストラン。麺と水餃子と、他にもいろんな物が出た。美味しかった。<br />ホテルに帰って一休み。<br /><br /> 3時半の待ち合わせでジョカン寺に行く。ジョカンの中を見て、まわりのパゴダは自由行動。<br />日差しの強い中をみなのように歩きたくなかったので、ひとりふらふらして望遠で通る人の写真を撮っている。民族衣装を着た、いろんな人が通る。民族衣装も色とりどり。髪にトルコ石を通して編んである子、きれいな布を編み込んでいる子、それぞれおしゃれしている。<br /><br /> 五体投地をしながら寺のまわりをまわっている人もいる。両手に板で出来た下駄のようなものをはめ、地に身体を投げ出し、両手を返して、仏への畏敬の念を表し、また再び、地に身体を投げる。大変なこっちゃ。でも、これをしながら聖山カイラス(1周50?、途中には5600mの峠もある。しかも彼らはここを何周もする)のまわりをまわるのだというから、その思いたるや、いやはや私には気が遠くなりそうだ。<br /><br /> 広場で子ども達といっしょに並んで座り、つくづくと髪を見たら、彼らの髪は、緑の黒髪と表現したその黒髪だ。どうしてこんなに黒くてつやがあるんだろう。みごとだ。今の日本人にはこんな髪の黒い人はいない。日本人は洗剤で洗いすぎかも知れない。<br /><br /> 靴磨きをしてもらう、2元。やっと集合の5時半が来た。1?8元で焼き栗を買った。<br /><br /> 6時半、チベット・ダンス・ショーのついた夕食に行く。食事が終わり、前を片づけ、ダンスが始まる。最後のヤク・ダンスはひとつのヤクの中に二人の男性が入り、飛び跳ねたり、転がったり、迫力満点。そのうえ、客席に愛嬌を振りまいてまわるので、寄られた人はきゃあきゃあ悲鳴をあげる。お腹を抱えて笑った。これは楽しかった。<br /><br /> ラサは冬でも殆ど雪がない。積もってもほんの2cm程度だという。じゃぁ、アイスバーンになるのね、というと、そうだと頷いている。<br /><br /> 明日はカトマンドゥに向かって旅立つ。明朝は6時半に迎えが来る。頭痛・息切れともこれでおさらばだ。チベットは良いところだし、まだまだ魅力はいっぱいあるが、私には体力の限界だ。もう来ることはないだろう。<br /><br />

チベット・ネパール6

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2000/10/01 - 2000/10/12

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buchijoyce

buchijoyceさん

6日目

 三日過ぎて、調子がよくなるどころか、かえって悪くなった。息切れはひどくなったし、食欲もなくなった。顔もむくんでいる。それに持ってきた頭痛薬もみんなに分けたのでなくなった。薬のはしごだと言いながらセデスを貰ったり、アスピリンを貰ったりして飲んでいる。夜の頭痛にはそっと酸素ボンベをふとんの中に入れて、フーフーハーハーやっているのだが効果はない。
朝までが長いこと!

 他の人たちも調子が悪いという。「みなさん、今日一日です。頑張りましょう!」と檄をとばす。

9時半、ソンゾさんが迎えに来た。今日はポタラ宮と午後がジョカン寺だ。車はなるたけ歩かなくてもすむように、横から坂を上り、更にバックで入り口まで行ってくれる。

ラサ市内が一望できる。正面は広場。入ろうとすると日本人に、「試みに心拍数と酸素の保有率(?)を調べてあげましょうか」と声をかけられた。指に挟むだけで測定できるようだ。心拍数120、酸素保有率(?)70%」と言われても、意味するところがわからない。「で、どうなんです?」
「まぁ、こんなもんでしょう」心拍数は普通70〜80だから、運動した後ぐらいだとわかるが、酸素保有率だか補給率だかは、なんのことだかさっぱりだ。

 ポタラ宮はダライ・ラマの宮殿であった。1649年、主要な部分が完成し、デプン寺からダライ・ラマ5世が移ってきた。13階からなる壮大な宮殿である。紅宮と白宮からなる。

 私たちは紅宮から見学を始める。これでもか、これでもかというように、黄金の仏像、歴代のダライ・ラマの黄金像、ストゥーパ、トルコ石や宝玉をちりばめ精緻な彫刻を施した、これは何というのだろう、すごい美術品が並んでいる。どこの僧院でも、どこもかしこも絵や彫刻が施されているから、そのにぎやかさに目が奪われ、細部に目がいかないのだが、よくよく見ると、ひとつひとつ丁寧に描き込まれ、彫り込まれた、いわば仏教美術そのもの。

 しかし信仰者には美術ではなく、信仰の対象である。だから仏像やストゥーパのありとあらゆるところに、紙幣が貼られているし、やたらと積み重なっている。賽銭箱がないからかも知れないが、なんとも無粋。貼られた紙幣を見るとドルもあるし千円札もある。
 
 屋上よりひとつ手前の階に休憩所があった。
ちょうど男の人がポットを持って行くところだった。「それなーに」ときくとバター茶だという。「ほしい、ほしい。いくら」ときくと、「お金はいらない」と手振りで示しながら、その男性が茶碗をひとつ借りて、ポットからバター茶をついでくれた。美味しくはないが、温かいお茶はいい。よく見ると、その男性は自分の家族のためにポットでバター茶を買ったのだった。私が飲みたがるので、それをわけてくれたのだった。なんと親切な。ほんとにありがとう。最敬礼する。

 屋上へは別料金で10元払う。屋上では民族衣装が貸し出され、記念撮影が出来るようになっている。ミーハーおばさんたち、やると思ったらこれはパス。上から、正面の広場、いくつも並んだ集合住宅を見ながら、いかにも中国だとつぶやく。昔のラサはどんなだったのだろう。

 紅宮の紅の壁は藁なのか、細くさいた木材なのかわからないが、その上にベンガラの入った漆喰が堅く塗られている。クローズアップしてこの壁面を写真に撮る。

 紅宮、白宮とまわり、下に下りてくると、またもやにぎやかな声が聞こえる。まるで盆踊りでもしているみたいだ。急いで行くと、デプン寺の屋根葺きのように、円盤がついたような棒を持った数人の男性と女性が分かれて、地面を叩いている。チベット版「よいとまけ」だ。リズムもいいが、ワン、ツー、スリー、フォーと言って男性と女性が交代するのはおかしかった。私もその棒を持ってみたがかなり重かった。

 出口付近には土産物屋がいっぱい。例によってひっかかる。するとHさんが挨拶している。「チベットに知り合いができたの?」「そう」ホテルの横で売っていた人が今日はここで商いをしているのだ。「何回もかよったから」と笑っている。

 お昼はまた違ったレストラン。麺と水餃子と、他にもいろんな物が出た。美味しかった。
ホテルに帰って一休み。

 3時半の待ち合わせでジョカン寺に行く。ジョカンの中を見て、まわりのパゴダは自由行動。
日差しの強い中をみなのように歩きたくなかったので、ひとりふらふらして望遠で通る人の写真を撮っている。民族衣装を着た、いろんな人が通る。民族衣装も色とりどり。髪にトルコ石を通して編んである子、きれいな布を編み込んでいる子、それぞれおしゃれしている。

 五体投地をしながら寺のまわりをまわっている人もいる。両手に板で出来た下駄のようなものをはめ、地に身体を投げ出し、両手を返して、仏への畏敬の念を表し、また再び、地に身体を投げる。大変なこっちゃ。でも、これをしながら聖山カイラス(1周50?、途中には5600mの峠もある。しかも彼らはここを何周もする)のまわりをまわるのだというから、その思いたるや、いやはや私には気が遠くなりそうだ。

 広場で子ども達といっしょに並んで座り、つくづくと髪を見たら、彼らの髪は、緑の黒髪と表現したその黒髪だ。どうしてこんなに黒くてつやがあるんだろう。みごとだ。今の日本人にはこんな髪の黒い人はいない。日本人は洗剤で洗いすぎかも知れない。

靴磨きをしてもらう、2元。やっと集合の5時半が来た。1?8元で焼き栗を買った。

 6時半、チベット・ダンス・ショーのついた夕食に行く。食事が終わり、前を片づけ、ダンスが始まる。最後のヤク・ダンスはひとつのヤクの中に二人の男性が入り、飛び跳ねたり、転がったり、迫力満点。そのうえ、客席に愛嬌を振りまいてまわるので、寄られた人はきゃあきゃあ悲鳴をあげる。お腹を抱えて笑った。これは楽しかった。

 ラサは冬でも殆ど雪がない。積もってもほんの2cm程度だという。じゃぁ、アイスバーンになるのね、というと、そうだと頷いている。

 明日はカトマンドゥに向かって旅立つ。明朝は6時半に迎えが来る。頭痛・息切れともこれでおさらばだ。チベットは良いところだし、まだまだ魅力はいっぱいあるが、私には体力の限界だ。もう来ることはないだろう。

  • 五体投地

    五体投地

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