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5日目<br /> 9時半出発。今日はガンデン寺までのロングウエイだ。ガンデン寺はラサから70?離れた山の上にある。ラサ大橋を渡ってキチュ川(ラサ川、川幅も広く、水量もある)を遡る。道は舗装されている。川のまわりに平地を残して、両側にゆったりと山々がそびえる。川沿いのこの風景は実にいい。のぞき込むと川底が手に取るように見える。<br /> ところどころに集落があり、まわりを塀でかこんだ煉瓦造りの平屋、倉庫などが見える。畑では馬やヤクが働いている。耕しているのは来年への麦のうえつけだろうか。羊、ロバ、ウシ、山羊、にわとり、豚の姿も見える。こういう風景は私は大好きだ。<br /><br /> 運転手さんが口笛を吹く。おや、「トロイカ」だ。いっしょになって歌っている。歌を歌っている分には息切れがしないのは不思議だ。<br /> 山道にさしかかった。一車線ほどの細い山道をじぐざぐに車は一気に登っていく。140mの高さを登るのだという。下をのぞくとちょっとこわいくらいだ。山の上のガンデン寺が斜めに見える。 途中、ガンデン寺の全景を取るために車を止めて貰う。向こうから来るのは子牛かなと思ったら、大きな犬。<br /> <br /> 山の斜面が黄色くなっている。花かなと思ってよくよく見ると、花ではなく、水芭蕉のような大きな葉がタバコのように色づいていたのだ。それが斜面を覆っているので山全体が黄色く見えたのだ。ランかな、水芭蕉かな、と言っていたのだが、枯れた花を見ると違うようだ。<br /> <br /> ガンデン寺の入り口には寺の由来を書いた英語の案内が出ている。それによるとツォンカパによって、1409年に建立されたと書いてある。この寺は1950年代の中国人民解放軍の侵入や<br />60年代の文革で、徹底的に破壊され、廃墟となり、ここで修行していた僧達はインドへ亡命してしまった。<br /> 1990年から修復が始まったというが、まだまだ毀れたままの建物も多い。あの文革の狂気の嵐を思い出しながら、かくありなんと思った。しかし、この山上に、壮大な僧院をよくも建てたものだ。信仰の力とはすごいものだと感心する。観光客だけでなく、こんな辺鄙な所なのにお参りに訪れる人たちも多い。だからこそ、寺の復興が出来るのだろう。<br /> <br /> 門を入ると、女性達がなにやら売りに来た。乾燥した苔のような、草のような、なんだか分からない。「何」ときいても答えが分からない。臭いを嗅いでみると香りはいい。売り手は無理にはすすめない。勝手にローズマリーだとか言っているが、こんな高地でローズマリーが出来るとは思わない。寺の中を歩いて、それが何であるかようやくわかった。抹香だったのだ。<br /><br /> ふっと空を見るとイーグルがいる。それも何羽も飛んでいる。そうだ、ここは鳥葬の国だったのだ。望遠を構えてシャッターを切り続ける。ときおりカラスが邪魔に入る。近くにはスズメもいるがイーグルの姿に驚くことはない。エサがちがうのかな。<br /><br /> 一気に登った坂道を今度は一気に下りる。途中、真っ青な空の色のような小さな花を見た。<br />リンドウの仲間のようだ。車を止めて貰おうかと思ったが、後から他の車も来る。下にもあるだろうと思っていたら、高度が必要らしく下では見られなかった。ホテルに帰って、チベットの花の本を立ち読みすると、果たしてリンドウの仲間であることがわかった。あの黄色い葉はと探したが見つからなかった。<br /><br /> 途中の村で、お弁当が配られた。鶏ももの照り焼き、ソーセージ、ゆで卵、フライドポテト、<br />ピーナッツ、ザーサイの炒め物、りんご、バナナ、パン、カステラ、などなどいろんなものが入っている。それにミネラルウォーター。オバサン達は殆ど食べられない。そこで食べかけのパンやカステラを持って、近くの民家で遊んでいる鶏に「コーコーコー」と呼びかける。私の呼びかけに鶏たちはちゃんと寄って来てパンを貰う。「ほら、コーコーコーは世界共通語だよ」と言って笑う。<br /> そばの水場では洗濯をしている若い女性がいる。よく見ると12〜13の女の子だ。<br /><br /> いそいで引き返し、カメラと手をつけていない物を二つの箱に詰め持って行く。「みんなで分けてね」と箱を開けると、バナナやりんごは近くにいた男の子たちが素早く取った。鶏ももは男の子が嬉しそうに取った。慌てて洗濯していた女の子が箱の蓋をする。<br /> みんなに持っていたアメを配り、「写真、撮らしてね」とカメラを向ける。<br />女の子が袋から出して洗濯に使っているのものを見ると中国製の合成洗剤だ。袋も借りて合成洗剤の写真を撮る。人が少ないとは言え、上流で合成洗剤をつかっちゃまずいなぁ。日本の急流とちがって、大河を汚したら「100年河清を待つ」ではすまなくなる。<br /> 日中国交回復前から、来日する中国代表団に、公害問題を中国側に提起し、日本の轍を踏むな、と、言い続けていたのだが、指導者には通じていなかったようだ。<br /><br /> 2時半ホテルに帰る。今日の夕食はホテルではなく、外に行くことになっている。<br />6時の夕食まで時間があるので、マッサージに行く。1時間100元。気持はよかったが、マッサージをやったことが裏目にでたようで、その後かえって歩くと息苦しくなってしまった。<br /> ノルブリンカの前まで歩き、店先をのぞいくがまだ殆どの店はあいていない。麺屋さんも餃子屋さんもある。夕食がなければ入りたいところだ。<br /> 6時、迎えが来るとMちゃんがいない。帰ってこないかも知れないという人もあり、帰ってくるという人もあり。「5分待とう、来なければ出発」と5分経ち、車が動き始めると入り口から早足でこちらに来るMちゃんの姿が目に入った。40分間早足で歩いてきたという。ヤクがきれた、といいながら薬を飲んでいる姿はあったが、やっぱり若い。<br /><br /> チベット伝統料理の小さな店につれていってくれた。先ずはバター茶が出た。ヤクの肉、ヤクのチーズ、野菜中心の炒め物各種。スープの実は冬瓜。お赤飯のような赤い実の入ったご飯が出た。小豆のようにふっくらしているが、実にはへたのような物がついている。豆か、ムカゴか、と騒いでいると、これはイモだという。<br /> 明日の昼もホテルでないから、何が食べたいかとソンゾさんがきくから、さっき見た手打ちの麺と餃子が食べたいという。<br /><br /> このレストランの横がマーケット。歩いて帰るからと車を帰し、中に入る。天井のある広い通りには所狭しと店があり、いろんな食材が並んでいる。好きな物を好きなだけ持っていって、鍋にしてもらうようだ。汁は見る限り辛そう。餃子もあった。中味はポークあり、ヤクあり。食べたかったが<br />満腹なので見るだけ。それでも仲間たちは肉、野菜、蟹、エビ、などの串を焼いて貰うんだと物色している。昔だったら好奇心で食べてしまったのだが、今はもうダメ。年齢差は如実にでる。<br /> ビリヤードがここの楽しみらしく、市場の片隅にはビリヤードの台が何台も置かれ、競技している。電気屋さんも自転車さんも、生活用品はなんでもある。<br /><br />

チベット・ネパール5

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2000/10/01 - 2000/10/12

150位(同エリア168件中)

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8

buchijoyce

buchijoyceさん

5日目
 9時半出発。今日はガンデン寺までのロングウエイだ。ガンデン寺はラサから70?離れた山の上にある。ラサ大橋を渡ってキチュ川(ラサ川、川幅も広く、水量もある)を遡る。道は舗装されている。川のまわりに平地を残して、両側にゆったりと山々がそびえる。川沿いのこの風景は実にいい。のぞき込むと川底が手に取るように見える。
 ところどころに集落があり、まわりを塀でかこんだ煉瓦造りの平屋、倉庫などが見える。畑では馬やヤクが働いている。耕しているのは来年への麦のうえつけだろうか。羊、ロバ、ウシ、山羊、にわとり、豚の姿も見える。こういう風景は私は大好きだ。

 運転手さんが口笛を吹く。おや、「トロイカ」だ。いっしょになって歌っている。歌を歌っている分には息切れがしないのは不思議だ。
 山道にさしかかった。一車線ほどの細い山道をじぐざぐに車は一気に登っていく。140mの高さを登るのだという。下をのぞくとちょっとこわいくらいだ。山の上のガンデン寺が斜めに見える。 途中、ガンデン寺の全景を取るために車を止めて貰う。向こうから来るのは子牛かなと思ったら、大きな犬。
 
 山の斜面が黄色くなっている。花かなと思ってよくよく見ると、花ではなく、水芭蕉のような大きな葉がタバコのように色づいていたのだ。それが斜面を覆っているので山全体が黄色く見えたのだ。ランかな、水芭蕉かな、と言っていたのだが、枯れた花を見ると違うようだ。
 
 ガンデン寺の入り口には寺の由来を書いた英語の案内が出ている。それによるとツォンカパによって、1409年に建立されたと書いてある。この寺は1950年代の中国人民解放軍の侵入や
60年代の文革で、徹底的に破壊され、廃墟となり、ここで修行していた僧達はインドへ亡命してしまった。
 1990年から修復が始まったというが、まだまだ毀れたままの建物も多い。あの文革の狂気の嵐を思い出しながら、かくありなんと思った。しかし、この山上に、壮大な僧院をよくも建てたものだ。信仰の力とはすごいものだと感心する。観光客だけでなく、こんな辺鄙な所なのにお参りに訪れる人たちも多い。だからこそ、寺の復興が出来るのだろう。
 
 門を入ると、女性達がなにやら売りに来た。乾燥した苔のような、草のような、なんだか分からない。「何」ときいても答えが分からない。臭いを嗅いでみると香りはいい。売り手は無理にはすすめない。勝手にローズマリーだとか言っているが、こんな高地でローズマリーが出来るとは思わない。寺の中を歩いて、それが何であるかようやくわかった。抹香だったのだ。

 ふっと空を見るとイーグルがいる。それも何羽も飛んでいる。そうだ、ここは鳥葬の国だったのだ。望遠を構えてシャッターを切り続ける。ときおりカラスが邪魔に入る。近くにはスズメもいるがイーグルの姿に驚くことはない。エサがちがうのかな。

 一気に登った坂道を今度は一気に下りる。途中、真っ青な空の色のような小さな花を見た。
リンドウの仲間のようだ。車を止めて貰おうかと思ったが、後から他の車も来る。下にもあるだろうと思っていたら、高度が必要らしく下では見られなかった。ホテルに帰って、チベットの花の本を立ち読みすると、果たしてリンドウの仲間であることがわかった。あの黄色い葉はと探したが見つからなかった。

 途中の村で、お弁当が配られた。鶏ももの照り焼き、ソーセージ、ゆで卵、フライドポテト、
ピーナッツ、ザーサイの炒め物、りんご、バナナ、パン、カステラ、などなどいろんなものが入っている。それにミネラルウォーター。オバサン達は殆ど食べられない。そこで食べかけのパンやカステラを持って、近くの民家で遊んでいる鶏に「コーコーコー」と呼びかける。私の呼びかけに鶏たちはちゃんと寄って来てパンを貰う。「ほら、コーコーコーは世界共通語だよ」と言って笑う。
 そばの水場では洗濯をしている若い女性がいる。よく見ると12〜13の女の子だ。

 いそいで引き返し、カメラと手をつけていない物を二つの箱に詰め持って行く。「みんなで分けてね」と箱を開けると、バナナやりんごは近くにいた男の子たちが素早く取った。鶏ももは男の子が嬉しそうに取った。慌てて洗濯していた女の子が箱の蓋をする。
 みんなに持っていたアメを配り、「写真、撮らしてね」とカメラを向ける。
女の子が袋から出して洗濯に使っているのものを見ると中国製の合成洗剤だ。袋も借りて合成洗剤の写真を撮る。人が少ないとは言え、上流で合成洗剤をつかっちゃまずいなぁ。日本の急流とちがって、大河を汚したら「100年河清を待つ」ではすまなくなる。
 日中国交回復前から、来日する中国代表団に、公害問題を中国側に提起し、日本の轍を踏むな、と、言い続けていたのだが、指導者には通じていなかったようだ。

 2時半ホテルに帰る。今日の夕食はホテルではなく、外に行くことになっている。
6時の夕食まで時間があるので、マッサージに行く。1時間100元。気持はよかったが、マッサージをやったことが裏目にでたようで、その後かえって歩くと息苦しくなってしまった。
 ノルブリンカの前まで歩き、店先をのぞいくがまだ殆どの店はあいていない。麺屋さんも餃子屋さんもある。夕食がなければ入りたいところだ。
 6時、迎えが来るとMちゃんがいない。帰ってこないかも知れないという人もあり、帰ってくるという人もあり。「5分待とう、来なければ出発」と5分経ち、車が動き始めると入り口から早足でこちらに来るMちゃんの姿が目に入った。40分間早足で歩いてきたという。ヤクがきれた、といいながら薬を飲んでいる姿はあったが、やっぱり若い。

 チベット伝統料理の小さな店につれていってくれた。先ずはバター茶が出た。ヤクの肉、ヤクのチーズ、野菜中心の炒め物各種。スープの実は冬瓜。お赤飯のような赤い実の入ったご飯が出た。小豆のようにふっくらしているが、実にはへたのような物がついている。豆か、ムカゴか、と騒いでいると、これはイモだという。
 明日の昼もホテルでないから、何が食べたいかとソンゾさんがきくから、さっき見た手打ちの麺と餃子が食べたいという。

 このレストランの横がマーケット。歩いて帰るからと車を帰し、中に入る。天井のある広い通りには所狭しと店があり、いろんな食材が並んでいる。好きな物を好きなだけ持っていって、鍋にしてもらうようだ。汁は見る限り辛そう。餃子もあった。中味はポークあり、ヤクあり。食べたかったが
満腹なので見るだけ。それでも仲間たちは肉、野菜、蟹、エビ、などの串を焼いて貰うんだと物色している。昔だったら好奇心で食べてしまったのだが、今はもうダメ。年齢差は如実にでる。
 ビリヤードがここの楽しみらしく、市場の片隅にはビリヤードの台が何台も置かれ、競技している。電気屋さんも自転車さんも、生活用品はなんでもある。

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