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 今月末(2006年6月31日)で閉館・解体となる横浜プリンスホテルへ行ってきました。<br /> お目当ては貴賓館。東伏見伯爵別邸として建てられ、プリンスホテルが購入後は、横浜プリンス会館として営業、現在は、貴賓館として営業を続けてきました。今回の見学は、事前の申し込みで、非営業の日・時刻に限って行われるもの。新聞報道によれば、横浜プリンスホテルは取り壊されてマンション用地となるものの、この建物は、横浜市の歴史的建造物に指定されているため、保存または移転保存の話があるらしいとのこと。でも先のことは分かりません。<br /> 東伏見邦英伯爵とは、は別途に譲るとして、この建物は昭和12年竣工。設計・施工は竹中工務店。

磯子 東伏見伯爵別邸(横浜プリンスホテル貴賓館)

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2006/06/18 - 2006/06/18

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プイイ フュイッセ

プイイ フュイッセさん

 今月末(2006年6月31日)で閉館・解体となる横浜プリンスホテルへ行ってきました。
 お目当ては貴賓館。東伏見伯爵別邸として建てられ、プリンスホテルが購入後は、横浜プリンス会館として営業、現在は、貴賓館として営業を続けてきました。今回の見学は、事前の申し込みで、非営業の日・時刻に限って行われるもの。新聞報道によれば、横浜プリンスホテルは取り壊されてマンション用地となるものの、この建物は、横浜市の歴史的建造物に指定されているため、保存または移転保存の話があるらしいとのこと。でも先のことは分かりません。
 東伏見邦英伯爵とは、は別途に譲るとして、この建物は昭和12年竣工。設計・施工は竹中工務店。

  • プリンスホテルは、いくつかのホテルが、旧宮家の邸宅と庭園を買い取って、そこに建てられたことから、プリンスと冠していると言います。この横浜プリンスホテルも、その一つ。<br />建築当初は、邸からなだらかな芝と庭園が続き、眼下には磯子の海、視界を遮る建物など何もなかったといいます。<br />三島由紀夫の「春の雪」に「海を見下ろす高い崖上にあり、御殿風の外観を持った洋館には、大理石の階段がついていた」と書かれる「洞院宮御別邸」のモデルは、この建物とされています。

    プリンスホテルは、いくつかのホテルが、旧宮家の邸宅と庭園を買い取って、そこに建てられたことから、プリンスと冠していると言います。この横浜プリンスホテルも、その一つ。
    建築当初は、邸からなだらかな芝と庭園が続き、眼下には磯子の海、視界を遮る建物など何もなかったといいます。
    三島由紀夫の「春の雪」に「海を見下ろす高い崖上にあり、御殿風の外観を持った洋館には、大理石の階段がついていた」と書かれる「洞院宮御別邸」のモデルは、この建物とされています。

  • 玄関脇には、菊花紋と桐紋とを施した大型の灯篭。見過ごしがちですが、ここになぜこれが、と見ることで、訪れた喜びが増します。

    玄関脇には、菊花紋と桐紋とを施した大型の灯篭。見過ごしがちですが、ここになぜこれが、と見ることで、訪れた喜びが増します。

  • 敷地内には、別邸の付属建築として校倉造りに似たコンクリート製の和風倉庫がありました(母屋と地下通路でつながっていたという説も、あーー探検してみたい)。

    敷地内には、別邸の付属建築として校倉造りに似たコンクリート製の和風倉庫がありました(母屋と地下通路でつながっていたという説も、あーー探検してみたい)。

  • 玄関両脇の狛犬も迫力があります。<br />東伏見宮家は、伏見宮那家親王の第十七代王子として生まれ、後に東伏見宮を立てた依仁親王が一代で廃絶となった後、久邇宮邦彦王の第三王子邦英王(長姉は香淳皇后)が祭祀を継承し、昭和6年臣籍降下して東伏見の家名を賜り、その時、伯爵の爵位も授けられたとされています。

    玄関両脇の狛犬も迫力があります。
    東伏見宮家は、伏見宮那家親王の第十七代王子として生まれ、後に東伏見宮を立てた依仁親王が一代で廃絶となった後、久邇宮邦彦王の第三王子邦英王(長姉は香淳皇后)が祭祀を継承し、昭和6年臣籍降下して東伏見の家名を賜り、その時、伯爵の爵位も授けられたとされています。

  • 中に入りましょう。<br />エントランスには、こんなに見事な花瓶棚を照らすアール・デコの照明がありました。

    中に入りましょう。
    エントランスには、こんなに見事な花瓶棚を照らすアール・デコの照明がありました。

  • その照明のガラスには、こんな文様が写されています。この御殿の特筆すべき点は、こうしたガラスのパネルの意匠です。

    その照明のガラスには、こんな文様が写されています。この御殿の特筆すべき点は、こうしたガラスのパネルの意匠です。

  • 玄関ホールを飾るガラスの欄間。このあと、いくつも出てきますが、それぞれに意匠が違います。

    玄関ホールを飾るガラスの欄間。このあと、いくつも出てきますが、それぞれに意匠が違います。

  • コの字を描く大理石製の中央階段、お客様用だと思われます(階段は他に木製の階段が地下から3階をつなげています)。

    コの字を描く大理石製の中央階段、お客様用だと思われます(階段は他に木製の階段が地下から3階をつなげています)。

  • 暖房の目隠し。ここで、ため息と、来てよかったという虚脱感とが交錯しました。

    暖房の目隠し。ここで、ため息と、来てよかったという虚脱感とが交錯しました。

  • 照明と天井の処理とのバランスが絶妙です。こんなデザインは、現代にも見つけられないと思います。

    照明と天井の処理とのバランスが絶妙です。こんなデザインは、現代にも見つけられないと思います。

  • 「光の間」のスチーム・ヒーターを収納した暖炉回り。シャンデリアも東伏見宮家から受け継がれたものだそうです。

    「光の間」のスチーム・ヒーターを収納した暖炉回り。シャンデリアも東伏見宮家から受け継がれたものだそうです。

  • その、スチーム・ヒーターのフロントパネルの意匠。

    その、スチーム・ヒーターのフロントパネルの意匠。

  • 「光の間」の間接照明。創建当時からのものだそうです。

    「光の間」の間接照明。創建当時からのものだそうです。

  • 2階へと上がってみましょう。中央階段の吹き抜けに吊るされた照明の光と影。光にではなく影に、何かを感じる、陰影礼賛の精神がここに。

    2階へと上がってみましょう。中央階段の吹き抜けに吊るされた照明の光と影。光にではなく影に、何かを感じる、陰影礼賛の精神がここに。

  • また別の欄間です。欄間、それもガラス製、それだけを見ていても飽きさせない、こんな邸は初めて。

    また別の欄間です。欄間、それもガラス製、それだけを見ていても飽きさせない、こんな邸は初めて。

  • さて、お立合ーい、お立合い!洋館なのに、市松格子です。はてさて、こんな天井、見たことありますか?あ、部屋はいたって洋風です。悪しからず。

    さて、お立合ーい、お立合い!洋館なのに、市松格子です。はてさて、こんな天井、見たことありますか?あ、部屋はいたって洋風です。悪しからず。

  • もう、上ばかり見てしまいます。本物は、もっと黄ばんだいいステンドグラスだったんですが。。。撮影者の技量不足、ごめんなさい。

    もう、上ばかり見てしまいます。本物は、もっと黄ばんだいいステンドグラスだったんですが。。。撮影者の技量不足、ごめんなさい。

  • 中央階段を登り2階まで来ると、ある絶景が頭上に開けます。さて、それは何かと・・・・木製の(ギーギー音を立てる)階段を登ってゆきましょう。

    中央階段を登り2階まで来ると、ある絶景が頭上に開けます。さて、それは何かと・・・・木製の(ギーギー音を立てる)階段を登ってゆきましょう。

  • 2階のホールから見上げた塔の天井です。イスラム風の星型の模様、天井からは、アール・デコとおぼしき照明が・・・

    2階のホールから見上げた塔の天井です。イスラム風の星型の模様、天井からは、アール・デコとおぼしき照明が・・・

  • 下から見るのと、横からでは、だいぶ違います。

    下から見るのと、横からでは、だいぶ違います。

  • 塔の回りの意匠です。お客様を上げたわけでもないでしょうに、こんなところに凝ってどうする?と、楽しくなります。

    塔の回りの意匠です。お客様を上げたわけでもないでしょうに、こんなところに凝ってどうする?と、楽しくなります。

  • それでは、3階を後に降りてゆきましょう。

    それでは、3階を後に降りてゆきましょう。

  • 建築は、外からはもとより、それだけでは分からない内なる世界、オーソドクス反して斬新さ、何より居心地のよさ、空間の広がり、天井の高さと開放感、建物と私という対比までを、ここに居るということだけで私に与えてくれます。<br />竜宮城みたいで、お寺のようで、和風なのか唐式のようで、と見えた外観の内部を知って、東伏見伯爵という方に、少しだけ近づいたような気が。<br />

    建築は、外からはもとより、それだけでは分からない内なる世界、オーソドクス反して斬新さ、何より居心地のよさ、空間の広がり、天井の高さと開放感、建物と私という対比までを、ここに居るということだけで私に与えてくれます。
    竜宮城みたいで、お寺のようで、和風なのか唐式のようで、と見えた外観の内部を知って、東伏見伯爵という方に、少しだけ近づいたような気が。

  • 大事なことを記し忘れていました。この邸宅は、一見普通のこけらぶきと見えるのですが、実は、オレンジ色のタイルで葺いてあります。しかも、その軒のちょっとだけの上がりようったら・・・竹中工務店の技、でしょうか?<br /><br />今回の旅で活用した図書は、次のとおりです。<br />皇室の邸宅 JTBパブリッシング 2006年

    大事なことを記し忘れていました。この邸宅は、一見普通のこけらぶきと見えるのですが、実は、オレンジ色のタイルで葺いてあります。しかも、その軒のちょっとだけの上がりようったら・・・竹中工務店の技、でしょうか?

    今回の旅で活用した図書は、次のとおりです。
    皇室の邸宅 JTBパブリッシング 2006年

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この旅行記へのコメント (2)

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  • syaku34さん 2006/07/11 15:58:47
    知らなかった…
    6月の初旬に母とプリンスに行ったのですが
    ここには寄りませんでした。残念…

    すごい建物なんですね。
    母は今のプリンスの前のときに
    ビアガーデンでよく飲んだとか言っていました。
    当時の写真が数枚飾ってあるのを見たのですが
    今と全然風景が違っていましたよね。

    友人がプリンスで働いているのですが
    やはり、ここがマンションになるのは残念です。

    この旅行記、勉強になりました。
  • alohaspiritさん 2006/06/30 08:21:59
    こんな場所があるとは…
    知りませんでした。

    横浜は好きで、以前はプラプラ散策しに
    行ってたのですが、どこにどんな建物が
    あるかを知らなかったので、外からみる
    だけでした。

    次は横浜の歴史的建築物を前もって調べて
    いってから行こうと思います。

    P.S:大和和紀さんの「ヨコハマ物語」という漫画を
    読んだ事はありますか?
    横浜の歴史が感じられる大好きな作品で、中学生に
    買って依頼、ずっと読み返している作品です。

    http://page3.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/c115079250?u=fuku_kaitoku

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