1970/08 - 1970/08
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片瀬貴文さん
世界漫歩 265 歩いて楽しいパリの道は車の迷路か
パリでの運転は、生存競争の厳しさを実感させる。
しかし、ドライバーの行動に輪をかけて、パリの運転を一層難しくしている原因に、道路網の複雑さがある。
地図を見る限り、パリの道路は迷路のように入り組んでいるわけではない。むしろ整然としていて、都市計画の立派なお手本ともいえる。
19世紀の後半ナポレオン3世の時代、セーヌ県知事オスマン(Haussmann)の下、パリの大改造が実施される。
彼は、市街戦対策を考慮した治安確保と、国家の威厳を表現する都市景観創造という、政治戦略的な理由から、幅広く見通しの良い放射状の街路網の整備を行った。
中世以来の迷路のような道路網を根本的に変え、それぞれ孤立して存在していた様々な遺構や記念碑的建造物をネットワーク化し、世界の中心都市としてふさわしい姿に改造したのである。
だが、放射線を基本とした道路網は、大きな目標にまっすぐ向かうには良いが、いったん迷い出すと切りがない。
道路同士が直交せず、常にある角度で交わっているので、よほど注意していても方向感覚を失ってしまう。
その上狭い道が多くて、そのほとんどが一方通行である。
そのため、いったん道を間違えても引き返すことができない。
いくつかの交差点を曲がっているうちに方向感覚が麻痺して、つい迷ってしまうはめになる。
オスマンさんは、歩いてまわるにはとても楽しい道路網だが、自動車にとっては迷路を造ってしまったらしい。
さすがの彼も、こんなに車が増えることは、予想できなかったのだろう。
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