2004/08 - 2004/08
1649位(同エリア1708件中)
Domiさん
傾斜はますます急になり、空気はますます薄くなる。えっちらおっちら、少し行っては休憩し、後から来たパーティーに追い越されるために立ち止まる。
この頃になると、登山道とは名ばかりで、道らしい道はまったくなく、岩だらけのごつごつとしたルートが続く。一歩一歩登るごとに、徐々に体力がなくなっていくのが実感できる。ペットボトルの水がなくなったので、パックのスポーツ飲料を補給しながら、ゆっくり進む。
かなりの時間をかけて、ようやく8 合目にたどり着く。山小屋は真っ暗で、その周りに登山客がうじゃうじゃいる状態。休憩スペースを見つけるのが一苦労だ。座って荷物を降ろし、スポーツ飲料を飲む。
動いている間はあまり感じないのだが、休憩すると寒さが気になる。体温調節が難しい。下手に体温を奪われるのは得策ではないので、ここでフリースを羽織る。
補食にカロリーメイトを一本囓る。固形物を摂る気になったのはこれが最後だった。この頃までにウィダーインゼリーを少しずつ摂ってはいたが、他の食べ物よりこちらの方がよほどスムーズに入ることに気づき始めていた。飴とかチョコとか持ってきていたのだが、何故か口に入れる気にならないのだ。その点、水分が多く、さわやかな味のウィダーインゼリーは、おいしく食べられ、のどの渇きも同時に癒される、非常にありがたい食品だった。
上を見上げる。遙か遠くまで光の道が続いている。まだまだ先は長そうだ。ガイドブックには8合目でようやく半分と考えた方が良いと書いてあった。ここまでで半分って、冗談だよね。いい加減疲れたんだけど。
もちろん、自分で好きこのんで登り始めたわけで、誰に文句が言えるわけでもない。さ、次は9合目なんだ。9合目って、いい響きだよね、なんだかもうすぐ頂上って感じで。これがそう甘いものではなかったことに気づくのは、すぐだった。
8合目まででも、なんでこんなに登りにくいんだろうと思ったが、8合目を越えたら、道はさらに岩だらけとなった。すごい岩を登るたびに、「これ帰りはどうやって降りるんだろう。」という疑問がちらちら頭に浮かぶが、考えている余裕がない。
この頃になると、息があまりに早くきれる。数歩登ると息が荒くなって休憩をしてしまう。友人は大きな息をして呼吸を整えていた。高山病予防の呼吸法だ。
私もそれは知っていたから、なるべく肺の中の空気を吐ききって、大きく息を吸おうと…努力はしているのだが、登っているうちにそれでは追いつかなくなって、ハーハーと荒く浅い息になってしまう。前を行く友人がその呼吸を聞きつけて、こまめに休憩を取ってくれる。申し訳ないとは思うが、気にしている余裕がない。今考えても、彼女だけならもっと早く登れていただろう。完全に私のペースに合わせてくれていた。
休憩のため止まると、しばらくは呼吸が治まらず、ステッキに頭をもたれさせて呼吸を整えることに専念する。心臓が外に飛び出そうなぐらいバクバクしていて、場合によってはちょっと胸のムカつきもでる。頭痛という自覚はなかったが、首と肩のあたりが妙に重い。自分でも軽い高山病になっていることはわかる。なんというか、ガイドブックに載っていた典型的な症状だ。
ただ良くしたもので、立ち止まりさえすれば、つまり動いてさえいなければ、ほどなくして呼吸が整ってくる。これがジムでのトレーニングの賜物なのかもしれない。少し呼吸が落ち着いてきたあたりで、再び大きな腹式呼吸に変えると、さらに早く息が整う。心臓のバクバクも治まり、会話が出来るようになる。
小休止の時は、呼吸の落ち着き方を見計らって友人に行けることを告げる。ちょっとゆっくり休憩するときは、そこで水分を補給してから、再び歩き出す。
この頃はスポーツドリンクとウィダーインゼリーを交互に取っていた。軽い吐き気のため、他の物は口に入れる事が出来なかった。そんな状況で、私と友人は、ものすごくゆっくりと道を登っていった。
そして、ようやく9合目の山小屋の看板を拝むところにたどり着いたのだった。
PR
この旅行記のタグ
利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。
コメントを投稿する前に
十分に確認の上、ご投稿ください。 コメントの内容は攻撃的ではなく、相手の気持ちに寄り添ったものになっていますか?
サイト共通ガイドライン(利用上のお願い)報道機関・マスメディアの方へ 画像提供などに関するお問い合わせは、専用のお問い合わせフォームからお願いいたします。
旅の計画・記録
マイルに交換できるフォートラベルポイントが貯まる
フォートラベルポイントって?
0
0