2000/09/29 - 2000/10/01
13322位(同エリア13980件中)
早島 潮さん
平成12年9月29日(金)
ノイシュバンシュタイン城の見学を終えて山を下りてくると前方に黄色を基調としたホーエンシュバンガウ城が目に入る。この城でルードウィッヒ2世は幼少期を過ごしたのであるがこの城も美しい城である。
二つの城を後にして、バスは長駆して本日の宿泊地スイスのインターラーケンへ向かった。途中ライン河への水源ともなっているボーデン湖に浮かぶ島リンダウに立ち寄り昼食をとった。この湖はドイツ、オーストリヤ、スイスに接して国境線の引かれている湖である。そしてリンダウは古くから水上交易の拠点として開けたドイツ領の島である。
リンダウを出ると間もなくオーストリヤ国内になるが、国境らしき標識もなければ、税関や入出国管理所もない。言葉もドイツ語が使われているので島国の日本人には一寸理解に苦しむ越境であった。国の違いは流通している通貨がドイツマルクかオーストリヤマルクかの違いだけなのである。これがEUの実態なのである。やがて通貨としてのユーロが流通するようになるとヨーロッパは一つの国と同じ感覚で歩き廻ることができるに違いない。
オーストリヤ領を通り抜けリヒテンシュタイン公国を左手に見ながら南下し、バスは間もなくスイス領に入った。ここでも、税関や検問所や国境の標識は全然みあたらない。
バスは西進し、次々にバーレン湖、オーベル湖、チューリッヒ湖を右手にみながら快適なドライブを続ける。アルプス山脈の裾になるこの辺りではまだ9月の末だというのに既に紅葉が始まりかけている。
チューリッヒ湖の中程の地点で今度は南下を始め、ツーク湖、フィーアバルトシュテッテル湖、ザルネ湖の畔をひたすら南下を続ける。これらの湖はグラルネルアルプスやベルナールアルプスの氷河から融けだした水が流れ込んでできた湖であろうか、いずれも紺碧色で西日を反射して金色に光って見えることもある。
ブリエンツ湖畔の免税店へたどり着いて小休止した頃には日も落ちて誰彼どきになっていた。ブリエンツ湖は氷河湖で湖水はいかにも冷たそうな色をしている。現実に肌に触れる湖からの風はひやりと冷たい。
今夜の宿泊地のインターラーケンはブリエンツ湖とトゥーン湖の間に位置する登山の拠点都市であり、ブリエンツからは30分程の道程である。
インターラーケンに辿りついて、フランクフルトからここまで延々1588・の道程を巧みなハンドル捌きで送り届けてくれたドイツ人運転手ドナルド氏ともここでお別れである。お疲れ様でした。皆それぞれの思いを込めて握手をかわしたり、記念写真をとったりして名残を惜しんでいる。密かにチップを渡している人もある。
職業とはいえ、ロナルドさんは今夜山道を独り長駆してフランクフルトまで帰るのである。道中の安全運転を祈るのみ。
平成12年9月30日(土)
今日は今回のツァーの目玉の一つであるユングフロウ・ヨッホまで登り、アイガーやユングフロウ、モンシュの姿を目の前に鑑賞する予定であるというのに、朝起き出してみると生憎雨模様で、昨日の好天が嘘のようである。登山電車に乗るためラウターブルネン駅へ赴くバスの中でも話題はそのことばかりである。山の上の方へ行けば風も強いから雨雲を吹き飛ばして晴れ間がでるかもしれない等と儚い望みを言葉に託して皆、心配そうに空を見上げている。
ラウターブルン駅は標高796mの地にある登山電車の駅であるが外見上はどこにでもある田舎の駅の佇まいと変わらない。動きだすと電車はなだらかな山の尾根を伝って次第に高度を上げていくのだが、小雨が降っていて霧がかかり見晴らしが全然きかない。ホテルで手に入れた山の見取り図によれば、この電車の車窓からアルプスの高原風景や遠くの山々の雪を被った姿が眺められる筈なのに、真っ白なベールで覆われたように山々はその容姿を表すのを躊躇っているようである。天を睨んで神様を恨みたい気持ちである。そうこうするうちに電車は乗り換え駅のクライネシャイデック駅に到着した。この駅の標高は既に2090mに達しているが、依然として小雨は止まず、眺望は全然きかなくて、近場の荒々しい山肌が僅かに見られるだけである。電車に乗り換えて動きだすと周囲は俄に真っ暗になってトンネルの中を一路、終点のユングフロウヨッホ駅まで駆け登るのである。
ユングフロウヨッホ駅は別名ザ・トップオブヨーロッパとも呼ばれていて標高3454mの地に建設された世界一高い駅である。よくもこんな高い所に洞窟を掘り且つ建物を建てたものだと感心する位、鉄道駅に必要な関連施設や展望台が整えられていてレストランや土産物店は勿論、郵便局まである。
洞窟の中のような通路を通り抜けて氷河を観察できるという場所へ行ってみたが、開口部から見えたのは折からの降雨のため、滝のように落ちてくる夥しい量の水と雪片だけであった。それは前に見たことのあるイグアスの滝の「悪魔の喉笛」周辺の光景を彷彿とさせるものである。この場所は風が強くて、体は冷えるし手はかじかんでくるし、その上観光客が次々に押し寄せてくるしで長く止まっていることができない。
スフインクスと称されている屋上の展望台へも出てみたが、激しく風雨が舞っており全然眺望はきかず、ただ真っ白な空間を見ただけで急ぎながら館内へ逃げ帰ってきた。
氷の宮殿は氷で出来たトンネルの中に氷の彫刻が沢山陳列されている所であるが、寒いのと閉鎖空間に閉じ込められたような気持ちになった上、空気が薄いせいか気分もすぐれないのでほうほうのていでここも逃げるようにして通り抜けた。
再びユングフロウヨッホ駅で電車に乗り、トンネルの中を暫く走行してクライネシャイデック駅で下車し、この駅構内のレストランで昼食をとり、登山電車に乗り換えて来たときとは別のルートを通ってヴァルント駅まで下りてきた。電車の中からは依然として眺望はきかなかった。かくして待望のユングフロウヨッホ行きは失望感と疲労感だけを残して終わった。機会があればまたくればいいさと呟いて自ら慰めるしかなかった。
ヴァルンド駅からはバスに乗り換え、インターラーケンの免税店へ立ち寄った後、今夜の宿泊地ジュネーブへ向けて長駆した。この頃には天気も回復し、周囲の田園風景を楽しむことができた。
途中レマン湖畔にあるローザンヌで小休止してスイス最大の湖の美しい風景を眺望した。地図上ではレマン湖沿いの道路を走行するのでずっとこの湖を眺めながら走行できるものと思っていたが、実際には湖を見ることができる場所はここだけであった。ジュネ−ブは明日パリへ移動するための宿泊地として立ち寄っただけであり、もう一度レマン湖を見る暇がなく、また市内見学をする時間的な余裕もなかったのは残念であった。
平成12年10月1日(日)
朝早くジュネーブのホテルを出てパリへ向かうべく新幹線(TGV)のコルバン駅へ急いだ。朝が早かったのでホテルで用意して貰ったサンドイッチと牛乳を待ち時間を利用して頬張り、入線してきた電車に乗り込んだ。
ジュネーブ駅で出迎えてガイドしてくれた現地の担当者は白い帽子をかぶり、白いコートのよく似合う中年の日本人女性であった。
てきぱきと指示をだし巧みにガイドするが、多少冷たさも感じる応対であった。が、異国の地で生活しているとああなるのも仕方のないことかもしれない。
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