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 インカ遺跡への玄関口である小さな町、クスコ。 <br />この町の名を知らなくても、空中都市マチュピチュの名を知らない人は少ないだろう。 <br />そのマチュピチュへのゲートシティ、それがクスコの町だ。 <br />ペルーの首都である海沿いの街、リマから国内線で約1時間のこの町に降り立つと、すべての旅人を待ち受ける手厚い出迎えがある。“高山病”である。 <br /><br /> 3,300mの高さを誇るこの町は、当然ながら酸素が薄い。 <br />飛行機から下りた瞬間に倒れる人がいるぐらいだ。 <br />富士の山頂とまではいかないが、それに近い標高のこの地では「してはいけないことがある」と、リマで脅かされてきた。 <br />それは“大声を出すこと”“走ること”そして“風呂に浸かる”ことだ。普段はなんでもない行為が、ここでは危険な行為となるのだ。 <br />広場の真ん中で大声で友達を呼び、そのまま後ろに倒れた観光客がいる、という笑い話のような実話がある。 <br /><br />“高山病”の症状は頭痛、吐き気、眠気、だるさなど人によってさまざま。 <br />コカの葉を煎じたコカ茶を飲んだり、ホテル備えつけの酸素ボンベを吸引しても、その場しのぎでしかない。 <br />こいつの特効薬はただひとつ「下山すること」。 <br />しかし全然平気な者、慣れるのに数日かかる者、前回平気でも今回ダメな者……。 <br />自分は過敏な動きをセーブしていたら、慣れてきたようだ。 <br /><br /> インカの遺跡はこの町にもあまるほどある。 <br />巨岩が連なる砦サクサイワマン、生贄を捧げた神殿ケンコー、不思議にも水が湧き出る王の保養所タンボマチャイ、そして町の中心にあるアルマス広場から程近い場所には、精密に切り込まれた12角の石、遺跡ひしめく町なのだ。 <br />しかしそれら全部をあわせたよりも空中都市マチュピチュは魅力的だ。 <br />クスコの遺跡を見ながらも、心はマチュピチュに吸い寄せられていたのだ。 <br /><br /> インカ道をトレッキングし、マチュピチュを目指す、というのも一興だったが“高山病”と“疲労”のタッグに完勝できるかどうか定かでないため、夜明け前の登山電車に乗りこみ、空中都市を目指すことにした。 <br />しかし駅で待っていてくれたのは「車両故障で電車は動かない」という悲しい知らせを告げる駅員だけだった。 <br />あまりにペルーらしい出来事に呆然としていると駅員が「向こうへ行け」という。 <br />これにはカチンときて高山病を無視して、大声で怒鳴り散らす決意を固めたら、誰もが荷物を持って、駅員に付き従うように動き始めた。 <br />怒りの対象も動き出してしまったので、しかたなく後を追う。すると、そこにはバスが止まっていた。 <br />怒りの対象であった駅員にチケットを見せ、押し迫ると、笑顔でバスを指差した。 <br />「電車が動かないから、途中駅までバスで移送する」ことになったのである。 <br />ペルアーノと高山病を敵に回し、一戦交えなくて正解だった。 <br /><br /> しばらく走ったバスはウルバンバ川沿いの町、オリャンタイタンボで停車、しばしの小休止となった。 <br />客たちはこの町の巨石遺跡に足を向けたが、自分は町外れで開かれていた市場に気を引かれた。 <br />アンデス原産のさまざまなトウモロコシやじゃがいもが並ぶ。 <br />チチャという名のドブロクを味わうお年寄り、その間を走り回る子供……小さいながらも活気あふれる市場だった。 <br />カメラ片手にウロウロしていると、インディオのおばさんたちに興味深そうに覗き込まれる。 <br />「日本人かい? こんなところに珍しいね」 <br />「あんたらとわたしらは祖先が一緒らしいね」 <br />「カメラはキライだね、黙って写真を撮るんじゃないよ」 <br />「お茶でも飲むかい?」 <br />親戚のおばさんたちに叱られているような気分だったが、嫌な感じはしなかった。 <br />ひょっとしてここでは時間が止まっているんじゃないか、そんな風に思えた。 <br /><br /><br /><br /><br /><br />文・写真 <br /> 神奈川県生まれ。シンガポールの現地旅行会社勤務を経て、帰国。海外専門ツアーコンダクターとして動き出すと同時に、フリーランス・ライターとしても始動。旅行記事はもちろん、得意のアメリカン・スポーツに関してもカメラを担ぎ、ひとりで取材に駆け回る。TOUCHDOWN PRO マガジンに連載を持ち、Number、Sportiva、地球の歩き方にも寄稿。旅行業の経験を生かして、即日飛び立つことから“空飛ぶライター”の異名をとる。 <br /><br /><br /><br />Escape <br />発行周期:毎週木曜日、特集号(不定期)、ショッピング号 <br />発行元:株式会社 サイバーエージェント

Escape80 あんたらとわたしらは先祖が一緒らしいね−ペルー

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2005/07/03 - 2005/07/04

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merlion

merlionさん

 インカ遺跡への玄関口である小さな町、クスコ。
この町の名を知らなくても、空中都市マチュピチュの名を知らない人は少ないだろう。
そのマチュピチュへのゲートシティ、それがクスコの町だ。
ペルーの首都である海沿いの街、リマから国内線で約1時間のこの町に降り立つと、すべての旅人を待ち受ける手厚い出迎えがある。“高山病”である。

 3,300mの高さを誇るこの町は、当然ながら酸素が薄い。
飛行機から下りた瞬間に倒れる人がいるぐらいだ。
富士の山頂とまではいかないが、それに近い標高のこの地では「してはいけないことがある」と、リマで脅かされてきた。
それは“大声を出すこと”“走ること”そして“風呂に浸かる”ことだ。普段はなんでもない行為が、ここでは危険な行為となるのだ。
広場の真ん中で大声で友達を呼び、そのまま後ろに倒れた観光客がいる、という笑い話のような実話がある。

“高山病”の症状は頭痛、吐き気、眠気、だるさなど人によってさまざま。
コカの葉を煎じたコカ茶を飲んだり、ホテル備えつけの酸素ボンベを吸引しても、その場しのぎでしかない。
こいつの特効薬はただひとつ「下山すること」。
しかし全然平気な者、慣れるのに数日かかる者、前回平気でも今回ダメな者……。
自分は過敏な動きをセーブしていたら、慣れてきたようだ。

 インカの遺跡はこの町にもあまるほどある。
巨岩が連なる砦サクサイワマン、生贄を捧げた神殿ケンコー、不思議にも水が湧き出る王の保養所タンボマチャイ、そして町の中心にあるアルマス広場から程近い場所には、精密に切り込まれた12角の石、遺跡ひしめく町なのだ。
しかしそれら全部をあわせたよりも空中都市マチュピチュは魅力的だ。
クスコの遺跡を見ながらも、心はマチュピチュに吸い寄せられていたのだ。

 インカ道をトレッキングし、マチュピチュを目指す、というのも一興だったが“高山病”と“疲労”のタッグに完勝できるかどうか定かでないため、夜明け前の登山電車に乗りこみ、空中都市を目指すことにした。
しかし駅で待っていてくれたのは「車両故障で電車は動かない」という悲しい知らせを告げる駅員だけだった。
あまりにペルーらしい出来事に呆然としていると駅員が「向こうへ行け」という。
これにはカチンときて高山病を無視して、大声で怒鳴り散らす決意を固めたら、誰もが荷物を持って、駅員に付き従うように動き始めた。
怒りの対象も動き出してしまったので、しかたなく後を追う。すると、そこにはバスが止まっていた。
怒りの対象であった駅員にチケットを見せ、押し迫ると、笑顔でバスを指差した。
「電車が動かないから、途中駅までバスで移送する」ことになったのである。
ペルアーノと高山病を敵に回し、一戦交えなくて正解だった。

 しばらく走ったバスはウルバンバ川沿いの町、オリャンタイタンボで停車、しばしの小休止となった。
客たちはこの町の巨石遺跡に足を向けたが、自分は町外れで開かれていた市場に気を引かれた。
アンデス原産のさまざまなトウモロコシやじゃがいもが並ぶ。
チチャという名のドブロクを味わうお年寄り、その間を走り回る子供……小さいながらも活気あふれる市場だった。
カメラ片手にウロウロしていると、インディオのおばさんたちに興味深そうに覗き込まれる。
「日本人かい? こんなところに珍しいね」
「あんたらとわたしらは祖先が一緒らしいね」
「カメラはキライだね、黙って写真を撮るんじゃないよ」
「お茶でも飲むかい?」
親戚のおばさんたちに叱られているような気分だったが、嫌な感じはしなかった。
ひょっとしてここでは時間が止まっているんじゃないか、そんな風に思えた。





文・写真
 神奈川県生まれ。シンガポールの現地旅行会社勤務を経て、帰国。海外専門ツアーコンダクターとして動き出すと同時に、フリーランス・ライターとしても始動。旅行記事はもちろん、得意のアメリカン・スポーツに関してもカメラを担ぎ、ひとりで取材に駆け回る。TOUCHDOWN PRO マガジンに連載を持ち、Number、Sportiva、地球の歩き方にも寄稿。旅行業の経験を生かして、即日飛び立つことから“空飛ぶライター”の異名をとる。



Escape
発行周期:毎週木曜日、特集号(不定期)、ショッピング号
発行元:株式会社 サイバーエージェント

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