2004夏　アイルランド・スコットランド・イギリス湖水地方の旅１７（アイルランド・スライゴー修道院編）

2004/08/30 - 2004/09/21

　ボイルからスライゴーは車で大体１時間。Ｎ４を北にたどれば真っ直ぐに行ける。この道沿いにはキャロウモア古代遺跡というケルト以前の先住民族の遺跡がある。標識を見落とさなければ，この遺跡に寄ってから，スライゴーの町に行くつもりだったが，気付かぬうちに街中に入ってしまった。戻って遺跡を見ることも考えたが，午後４時半を過ぎていたので，この遺跡は次回のお楽しみ。
　スライゴーはガラボーク川沿いに開けたアイルランド北西部の中心的な町で，９世紀はバイキングが最初に町を築いたという。今ここを観光客が訪れるのは，町の郊外にあるギル湖周辺の美しい景色を求め，また国民的詩人イエーツの母の出身地であり，ノーベル文学賞も受賞したこの詩人がこの地をこよなく愛したためである。
　さて，もう一つスライゴーには重要な建物がある。スライゴー修道院だ。１３世紀に建てられたこの町で一番古い建物である。火災や戦禍によって，何度も破壊されては修復・再建され，１８世紀まで修道士達はここで生活していたという。そのためか，屋根などは崩れ落ちているが，外周はとてもよく保存され，当時の大きさを良くとどめている。
　今回は，このまちではスライゴー修道院だけを見学した。

エリア スライゴ(アイルランド)

スライゴー修道院（１）

　チケットを買って入口を通り抜けると，まず教会の遺跡の部分に出ます。それがこの写真のところです。
　アイルランドの夏は夜９時ころまで明るいのですが，この日のようにとても天気が良い日は陽が少し傾き始める午後５時頃はとても西陽が強くなります。だから，遺跡の石に反射した光がとても眩しくて，目を細めてこの遺跡を見ていました。
　ところで，現存している壁や柱はとてもしっかりしているので，とても驚きました。とても１３世紀に建てられた建物だとは思えません。

スライゴー修道院（２）

　教会の内陣にあたる部分です。細長く開けられた窓が８つ並んでいますが，昔はここに恐らくステンドグラスがはめ込まれていたのだと思います。想像するだけで，どんなに綺麗なステンドグラスだったのかとワクワクします。

スライゴー修道院（３）

　教会の身廊部から内陣部にかけて眺めた写真。左側の壁の外側には回廊があります。回廊があるために，左右の壁は窓の開け方や柱の取り方が違っています。
　この写真で教会の大きさが分かってもらえるでしょうか？？

教会内部の祭壇（スライゴー修道院）

　この修道院で最も有名なもののひとつがこの祭壇のレリーフです。真ん中あたりで手を合わせている男女の二人は，この地を治めていた王の夫婦でしょうか？　クロムウェル軍などに破壊されたにもかかわらず，このレリーフが残ったというのは奇跡に違いありません。

回廊の石に刻まれたレリーフ（スライゴー修道院）

　回廊の外側の石にこのレリーフが刻まれていました。風雨でかなり浸食され，ひと目ではレリーフが識別できませんでしたが（写真でもよく分かりませんね），よく見ると天使のようなものが彫られていました。

回廊（１）（スライゴー修道院）

　回廊も良く保存されています。西の部分はなくなっていますが，他の部分についてはほぼ完全に残っています。

回廊（２）（スライゴー修道院）

　これは回廊の教会に接続する部分です。

回廊の柱（スライゴー修道院）

　回廊の柱は，中庭に面した部分が角柱の形をしたものとドリルの刃の様な模様を付けたものが交互に立っています。