2004夏　アイルランド・スコットランド・イギリス湖水地方の旅１２（アイルランド・カイルモア修道院編）

2004/08/30 - 2004/09/21

　コネマラ国立公園のビジターセンターを出て車で１０分も走ればカイルモア修道院に着く。初めてこの修道院を見て感じることは，修道院というよりも城だな，という思いだ。それもそのはず，もともとこの修道院はミッチェル・ヘンリーという貴族が妻マーガレットへの贈りもとして建てた（１８６８年）城（マナーハウス）だったからだ。その後，１９２０年頃，ベルギーのベネディクト会修道院がこれを買い取り女子修道院として使用したため，今では「カイルモア修道院」と呼ばれている。現在ここに女子学生のインターナショナル・スクールがあり，修道院の２階で授業を受けている女子学生の姿を見ることができる。湖の畔に建てられた美しい城で，なんと言っても自然との一体化した姿に心惹かれる。
　マーガレットは城ができてから僅か数年後（１８７４年）にエジプトのカイロで病死してしまう。このとき，失意のミッチェルは妻への思いを込めてこの敷地内に教会を建てたが，この教会も美しで有名である。
　また，ここには「カイルモア・ガーデン（Victorian Walled Garden）」と呼ばれている美しい庭があり，アイルランドで最も美しい庭園のひとつにあげられるほどだ。

エリア その他の観光地(アイルランド)

カイルモア修道院（１）

　カイルモア修道院の駐車場に車を止めて修道院に向かうときにこの風景がまず目に入ります。白い大理石の城が緑と水に映え，周囲から飛び出してくるような印象を受けます。
　この角度の写真がカイルモア修道院として紹介される写真で一番多いのではないでしょうか。ぼくもカイルモア修道院というとこの風景を思い浮かべますが，実際の光景はもっともっと素敵です。

カイルモア修道院（２）

　城を見上げた様子です。ちょっと黄色みがかった白い大理石と角や窓枠に使われているグレーの大理石のバランスがとても素敵です。見上げた白は青い空に包まれ，遠景から緑に抱かれた城とは違い，エレガントな中にも力強さを感じます。

カイルモア修道院（３）

　この写真は城をその下を通っている歩道から見上げた写真です。修道院とは言ってももともとは城。しっかりとした石垣が築かれています。また，右上に裏山の頂上が映っているのが分かるでしょうか。裏山はゴツゴツとした岩山で，城を包み込む緑と水の景色とは一転しています。

カイルモア修道院（４）

　湖畔から撮った写真です。城が湖に向かって建ち，周囲の自然と景色とよく調和していることが分かります。

妻マーガレットの追憶のための教会

　城の前の歩道を５分ほど湖面に沿って歩くとネオ・ゴシック様式の教会があります。ミッチェル・ヘンリーが妻マーガレットの追憶に建てた教会です。大きな教会ではありませんが，ミッチェルの妻への愛が忍ばれる可愛らしい教会です。

教会の塔

　この写真はゴシック様式の教会の塔を見上げたものです。近くでこの教会を見ると，表面の少しゴツゴツさを残した大理石と角や窓枠などにはツルツルに磨き上げられた大理石が上手に使われ，教会の質感を作っていることが分かります。また，バラ窓や塔の先端までとても丁寧に仕上げられていることが分かります。

教会の内部

　この教会の一番の素晴らしさは，その内部だと思います。特別の装飾が施してあるわけではありません。しかし，黄色い大理石がとても綺麗なのです。そのうえ柱に使われている黒や赤や緑の大理石が，内部の黄色にアクセントを加えています。

ミッチェル・ヘンリーと妻マーガレットの墓

　教会をさらに進むと左手に細い小道があります。その先にはこのミッチェル・ヘンリーと妻マーガレットの永久の住処があります。ここでも黄色い石が使われています。城やゴシック教会と比べると，とても簡素な作りです。

カイルモア・ガーデン（１）

　修道院から少し離れたところにアイルランドで最も美しい庭園のひとつに挙げられるカイルモア・ガーデンがあります。修道院からはシャトルバスが出ていますので，これを利用して行きます。

カイルモア・ガーデン（２）

　コネマラ国立公園の付近では修道院の湖の周辺やこのガーデンは特別な場所です。何が特別かと言えば，他にはない緑と草花があるからです。この写真のオレンジの花や周囲の緑は取り立てて素晴らしいとは言えないかもしれませんが，しかしこの付近の殺風景な景色の中に色鮮やかな花を見れば，誰でもそこが別世界であることが理解できると思います。