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 立山(最高峰3015m)は、富士山、白山と並ぶ日本三大霊峰の一つとされ、山麓の岩峅(いわくら)寺、芦峅(あしくら)寺により広められた立山信仰により、古くから多くの登拝者が訪れている。<br />万葉の時代には、神の山として崇められ人々は登ることを禁じ、山麓の社を参拝するだけだった。国守として越中に746年に赴任してきた歌人、大伴旅人の子・大伴家持(−785年)は<br />「立山に降り置ける雪を常夏に見れども飽かず神からならし」<br />と神の山を敬う歌を詠んでいる。但し、深田久弥の日本百名山によると大伴家持が讃えた立山は太刀(たち)山で即ち劒岳であるということだ。<br />平安時代には天台密教や浄土教と神を祀る神仏混淆の雄山神社を中心とし修験道の修行の場となり修験者は白衣、すげ笠、わらじ、金剛杖という姿で精神統一し真理を体得することを目指した。江戸時代には加賀藩は立山信仰を保護したが、明治の神仏分離以降には宗教活動は下火となり近代登山中心に変化し女性の登山も解禁、一般大衆に開かれた山となった。<br /> 1971年に富山県から長野県まで立山を貫通する「立山黒部アルペンルート」が開通すると、立山は登山しなくても山を体験できるようになり、年間100万人の観光客が訪れる大観光地となった。<br />山岳信仰を描いた文学作品に深田久弥が古代の立山だとする劒岳(つるぎだけ2998m)を描いた新田 次郎(1912−1980年)の劒岳がある。<br /> 1907年、前人未踏といわれた北アルプスの劒岳山頂に、測量のための三角点を設置するために、柴崎芳太郎率いる測量隊が失敗を繰り返しながら、命がけで登頂に成功、測量旗を掲げた。ところが山頂付近には、「宗教用の錫杖(しゃくじょう)の頭と槍の穂」が残されており、「弘法大師が草鞋千足を用いても登れなかった」と信じられてきた山には、千年も前に修験者が登頂していたことが解った。近代登山の技術を用いても困難を極めた登山を白衣、すげ笠、わらじ、金剛杖という姿で登頂を成し遂げさせた「不可能を可能とする」信仰の力は驚くべきものだと思う。深田久弥の説のとおり大伴家持が神の山と讃えた立山が太刀(たち)山で即ち劒岳であるとすれば修験者が命がけで神に近づこうとしたことも理解できる。<br />霊峰立山は修験者には申し訳ないが、登山の苦労も無い立山黒部アルペンルートでトロリーバス、ケーブルカー、ロープウェイなどを乗り継ぎ、扇沢―黒部ダム−黒部湖−黒部平−大観峰−室堂−弥陀ヶ原−美女平−立山というルートで観光した。5月末はまだ雪が残っていたが天候には恵まれ立山連峰が美しかった。観光した中では雪解け水が落差400mを流れ落ちる称名滝の豪快さが印象に残った。<br />(写真は称名滝)<br /><br />

日本の旅 みちのく文学を辿る【11】 立山連峰と称名滝

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1993/05/22 - 1993/06/03

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さすらいおじさん

さすらいおじさんさん

 立山(最高峰3015m)は、富士山、白山と並ぶ日本三大霊峰の一つとされ、山麓の岩峅(いわくら)寺、芦峅(あしくら)寺により広められた立山信仰により、古くから多くの登拝者が訪れている。
万葉の時代には、神の山として崇められ人々は登ることを禁じ、山麓の社を参拝するだけだった。国守として越中に746年に赴任してきた歌人、大伴旅人の子・大伴家持(−785年)は
「立山に降り置ける雪を常夏に見れども飽かず神からならし」
と神の山を敬う歌を詠んでいる。但し、深田久弥の日本百名山によると大伴家持が讃えた立山は太刀(たち)山で即ち劒岳であるということだ。
平安時代には天台密教や浄土教と神を祀る神仏混淆の雄山神社を中心とし修験道の修行の場となり修験者は白衣、すげ笠、わらじ、金剛杖という姿で精神統一し真理を体得することを目指した。江戸時代には加賀藩は立山信仰を保護したが、明治の神仏分離以降には宗教活動は下火となり近代登山中心に変化し女性の登山も解禁、一般大衆に開かれた山となった。
 1971年に富山県から長野県まで立山を貫通する「立山黒部アルペンルート」が開通すると、立山は登山しなくても山を体験できるようになり、年間100万人の観光客が訪れる大観光地となった。
山岳信仰を描いた文学作品に深田久弥が古代の立山だとする劒岳(つるぎだけ2998m)を描いた新田 次郎(1912−1980年)の劒岳がある。
 1907年、前人未踏といわれた北アルプスの劒岳山頂に、測量のための三角点を設置するために、柴崎芳太郎率いる測量隊が失敗を繰り返しながら、命がけで登頂に成功、測量旗を掲げた。ところが山頂付近には、「宗教用の錫杖(しゃくじょう)の頭と槍の穂」が残されており、「弘法大師が草鞋千足を用いても登れなかった」と信じられてきた山には、千年も前に修験者が登頂していたことが解った。近代登山の技術を用いても困難を極めた登山を白衣、すげ笠、わらじ、金剛杖という姿で登頂を成し遂げさせた「不可能を可能とする」信仰の力は驚くべきものだと思う。深田久弥の説のとおり大伴家持が神の山と讃えた立山が太刀(たち)山で即ち劒岳であるとすれば修験者が命がけで神に近づこうとしたことも理解できる。
霊峰立山は修験者には申し訳ないが、登山の苦労も無い立山黒部アルペンルートでトロリーバス、ケーブルカー、ロープウェイなどを乗り継ぎ、扇沢―黒部ダム−黒部湖−黒部平−大観峰−室堂−弥陀ヶ原−美女平−立山というルートで観光した。5月末はまだ雪が残っていたが天候には恵まれ立山連峰が美しかった。観光した中では雪解け水が落差400mを流れ落ちる称名滝の豪快さが印象に残った。
(写真は称名滝)

同行者
一人旅
交通手段
高速・路線バス JRローカル 私鉄
  • 遠方から見る称名滝。

    遠方から見る称名滝。

  • 称名滝周辺の光景。悪城の壁と呼ばれる絶壁。

    称名滝周辺の光景。悪城の壁と呼ばれる絶壁。

  • 遠方から見る称名滝。

    遠方から見る称名滝。

  • 称名滝周辺の光景。

    称名滝周辺の光景。

  • 称名滝周辺の光景。悪城の壁と呼ばれる絶壁。

    称名滝周辺の光景。悪城の壁と呼ばれる絶壁。

  • 称名滝周辺の光景。

    称名滝周辺の光景。

  • 雪解け水が落差400mを流れ落ちる称名滝。

    雪解け水が落差400mを流れ落ちる称名滝。

  • 雪解け水が落差400mを流れ落ちる称名滝。

    雪解け水が落差400mを流れ落ちる称名滝。

  • 立山山麓の光景。

    立山山麓の光景。

  • 立山山麓の光景。

    立山山麓の光景。

  • 立山山麓の光景。

    立山山麓の光景。

  • 室堂の雪景色。

    室堂の雪景色。

  • バスから見る室堂近辺。

    バスから見る室堂近辺。

  • 室堂の雪景色。

    室堂の雪景色。

  • バスから見る室堂近辺。

    バスから見る室堂近辺。

  • 室堂の雪景色。

    室堂の雪景色。

  • 室堂の雪景色。

    室堂の雪景色。

  • 大観峰から見る光景。

    大観峰から見る光景。

  • 黒部平から見る光景。

    黒部平から見る光景。

  • 黒部平から見る光景。

    黒部平から見る光景。

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この旅行記へのコメント (2)

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  • ゆ〜たんさん 2005/09/26 10:58:11
    初めまして

     初めてお邪魔します。
    称名滝に行かれたんですね。この旅行記でこんなにまじかでみるのは
    初めてだと思います。ワタクシも昨年アルペンルートに行って参りましたが
    カメラには収まりきらないのが残念ですよね。
    今度行くときは、室堂あたりでもゆっくり散策してみたいです。

    一番最初のコメントとても詳しくてよかったです。
    長文、ご苦労さまです。
    また遊びに来ますね〜!

    さすらいおじさん

    さすらいおじさんさん からの返信 2005/09/26 13:09:12
    RE: 初めまして
    ゆ〜たんさん

    称名滝をご覧いただきありがとうございます。この時は立山のユースホステルで一緒になった人が車で連れて行ってくれました。ラッキーだと思っています。
    ゆ〜たんさんの旅行記を拝見しましたがアルペンルートの光景は私が行った1993年からあまり変わっていないように思いました。宇奈月温泉の「黒部川電気記念館」には行ってみたいと思います。室堂は雪でしたので私も今度行くときは夏で雪の無い室堂をゆっくり歩きたいです。
    長文をお読みいただきありがとうございます。自分の記録と感想を残したいという思いがありご勘弁ください。またご覧いただければ嬉しいです。

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