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ユースで気になる奴がいた。凄い筋肉質で強面の黒人の兄ちゃんなのだが、動きがどこかおかしい。ユースの中をうろうろしていて落ち着きがない。外の憩いのスペースに座ってタバコに火を付けたと思ったら、一口吸ってそれを置きどこかへ行ってしまう。戻ってきて一口吸ってまたあわててどこかに行こうとする。そこで彼の携帯が鳴り、急いで戻って電話に出たとたんに切られたようで「シット!」とか言っている。<br /><br />一部始終を見ていた俺は笑いを堪えるのが大変だった。ちょっと恐そうだけど、絶対面白い奴に違いない。俺は話しかけるチャンスを狙っていた。<br /><br />その日の夜憩いスペースで何人かで飲んでいると、突然奴が現れて話しかけてきた。「ハーイ!」物凄い笑顔だ。「コーラ飲む?それともココアがいい?」「え?」「俺がご馳走するよ。コーラでいいな。ハッハッハ、遠慮するなって!」奴は走って買ってきた。ナニナニ?一体何事?訳の分からぬままコーラをご馳走になり、そこから仲良くなった。<br /><br />奴はやっぱりタダ者ではなかった。名前はGodwin、ジャマイカ出身のウエイトリフターで、なんとメダリスト!ロスとソウルの五輪で銀メダルを取ったらしい。現役時代の写真を見せてもらったが、人間の体とは思えないようなものだった。(現役時代の写真を持ち歩いているところがちょっとイヤラシイが)今はトレーナーとして世界各地を回っていると言う。ミラノは特によく来ていて、その度にこのユースに泊まっているらしい。<br /><br />何故だか分からないが、奴は俺のことをとても気に入っていた。しかもその気に入り方が尋常ではない。「お前はインテリジェントでオープンマインドでとてもいい」とベタ褒めする。さらに周りの皆にも俺がどれだけ素晴らしいかとか、人間にはこういう部分が大切なんだとかまで語っている。もう恥ずかしくて仕方がなかった。<br /><br />奴は自分のことをこのユースのVIPだと言っていた。VIPと言っても所詮一泊16.5ユーロのユースじゃんと思っていたら、とんでもなかった。本当にVIPだったのだ!<br /><br />そのユースはかなり規模の大きいもので、3階建てでそれぞれ左右にフロアが分かれ、全部で6フロア。1フロア約10部屋×5ベッドで計300ベッド程もある。なんとそいつは、3階の1フロアを貸し切りにしていたのだ。しかもタダで。フロアの鍵まで持っていやがった。意味が分からん。1部屋ならまだしも、どうしてフロアを貸し切る必要があるの?<br /><br />そして奴は超お気に入りの俺をそのVIPフロアに招待してくれた。フロントから俺用のシーツと枕カバーまで持ってきてくれた。「さあ、どの部屋でもどのベッドでもどのシャワーでも使っていいんだぞ!」だって。<br /><br />そのフロアには本当に他の誰もいなかった。よく分からないけど俺は快くその招待を受け入れ、VIP気分を味わった。と言っても寝るのはドミトリーの小さい2段ベッドだし、他の部屋が空いていようがいまいが関係ない。これって、ただ寂しいだけじゃないのか???<br /><br />次の日の夜、奴は外で飲んできたらしく、黒い顔を真っ赤にして綺麗な女の子と一緒にユースに帰ってきた。声を掛けたら無視して部屋の方に行きやがった!だがしばらくして憩いスペースに戻ってきた。「何無視してんだよー」「てへへ、ごめんごめん」「ところでさっきの彼女は?」「フラレちゃった・・・」<br /><br />イカツイGodwinが少し小さく見えた。<br />

ユースでVIP待遇

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2003/08 - 2003/08

2477位(同エリア3146件中)

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captainkoji

captainkojiさん

ユースで気になる奴がいた。凄い筋肉質で強面の黒人の兄ちゃんなのだが、動きがどこかおかしい。ユースの中をうろうろしていて落ち着きがない。外の憩いのスペースに座ってタバコに火を付けたと思ったら、一口吸ってそれを置きどこかへ行ってしまう。戻ってきて一口吸ってまたあわててどこかに行こうとする。そこで彼の携帯が鳴り、急いで戻って電話に出たとたんに切られたようで「シット!」とか言っている。

一部始終を見ていた俺は笑いを堪えるのが大変だった。ちょっと恐そうだけど、絶対面白い奴に違いない。俺は話しかけるチャンスを狙っていた。

その日の夜憩いスペースで何人かで飲んでいると、突然奴が現れて話しかけてきた。「ハーイ!」物凄い笑顔だ。「コーラ飲む?それともココアがいい?」「え?」「俺がご馳走するよ。コーラでいいな。ハッハッハ、遠慮するなって!」奴は走って買ってきた。ナニナニ?一体何事?訳の分からぬままコーラをご馳走になり、そこから仲良くなった。

奴はやっぱりタダ者ではなかった。名前はGodwin、ジャマイカ出身のウエイトリフターで、なんとメダリスト!ロスとソウルの五輪で銀メダルを取ったらしい。現役時代の写真を見せてもらったが、人間の体とは思えないようなものだった。(現役時代の写真を持ち歩いているところがちょっとイヤラシイが)今はトレーナーとして世界各地を回っていると言う。ミラノは特によく来ていて、その度にこのユースに泊まっているらしい。

何故だか分からないが、奴は俺のことをとても気に入っていた。しかもその気に入り方が尋常ではない。「お前はインテリジェントでオープンマインドでとてもいい」とベタ褒めする。さらに周りの皆にも俺がどれだけ素晴らしいかとか、人間にはこういう部分が大切なんだとかまで語っている。もう恥ずかしくて仕方がなかった。

奴は自分のことをこのユースのVIPだと言っていた。VIPと言っても所詮一泊16.5ユーロのユースじゃんと思っていたら、とんでもなかった。本当にVIPだったのだ!

そのユースはかなり規模の大きいもので、3階建てでそれぞれ左右にフロアが分かれ、全部で6フロア。1フロア約10部屋×5ベッドで計300ベッド程もある。なんとそいつは、3階の1フロアを貸し切りにしていたのだ。しかもタダで。フロアの鍵まで持っていやがった。意味が分からん。1部屋ならまだしも、どうしてフロアを貸し切る必要があるの?

そして奴は超お気に入りの俺をそのVIPフロアに招待してくれた。フロントから俺用のシーツと枕カバーまで持ってきてくれた。「さあ、どの部屋でもどのベッドでもどのシャワーでも使っていいんだぞ!」だって。

そのフロアには本当に他の誰もいなかった。よく分からないけど俺は快くその招待を受け入れ、VIP気分を味わった。と言っても寝るのはドミトリーの小さい2段ベッドだし、他の部屋が空いていようがいまいが関係ない。これって、ただ寂しいだけじゃないのか???

次の日の夜、奴は外で飲んできたらしく、黒い顔を真っ赤にして綺麗な女の子と一緒にユースに帰ってきた。声を掛けたら無視して部屋の方に行きやがった!だがしばらくして憩いスペースに戻ってきた。「何無視してんだよー」「てへへ、ごめんごめん」「ところでさっきの彼女は?」「フラレちゃった・・・」

イカツイGodwinが少し小さく見えた。

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