1970/06/09 - 1970/06/09
3967位(同エリア4775件中)
片瀬貴文さん
バザールは薄暗くて狭い路地を挟み、小さな店がいっぱい立ち並んでいる。
ひげの立派な店主がでんと構え、まさに千一夜物語の世界。
宝石やカーペットの店が多く、目を楽しませてくれる。
バスを降り、一人公園で一服していると、二十歳がらみの青年が話しかけてきた。
ドイツ語が得意とか。
そう言えば、この国はかつてドイツに近かったはずだ。
と、見る間に同年輩の青年が集まって来て、私の周りに人垣を作る。
数えれば20人を越している。
私に対して、矢継ぎ早に質問。
「何をしにやって来たのか」
「日本にはテレビが普及しているか」
「日本には電車があるか」
「トルコをどう思うか」
フランス語の出来るのがいて、得意そうに通訳を買って出る。
「パリジェンヌのペンフレンドを探し、紹介して欲しい」とチャッカリしたのもいる。
この連中は人見知りしないのだろうか。よほど好奇心が強いのだろうか。
映画館に入った。
ピンクと青の照明が、異様な雰囲気を醸し出している。
やがて「ゴーン」と、寺の鐘そっくりの音は、上映開始の合図らしい。
始めに、政府製作の教育映画「外国人をじろじろ見るな」。
タイミングのよさに苦笑。
外に出れば、暮れなずむ紺碧の空を背景に、大寺院の雄大なドームが夕日に映えている。
しばらくたたずんで、この感動的な風景をまぶたにしっかりおさめる。
この街にも、独特の匂いがある。羊の脂の香りらしい。
せっかく見つけて注文したスパゲッティにも、この匂いがしみ込んでいて、頂けない。
ホテルでは、食堂に限らず、浴場の石鹸にまでも、この匂いが付きまとう。
ホテルは、静かな裏道にあった。
中学生が門の前まで付いてきて、親切に道を教えてくれる。
だが、最後に煙草をねだられ、興ざめ。
この付近、何故かやたらと猫ばかり。
深夜、近くからトルコの歌が聞こえる。
心底に粘っこく絡みつくような、一度聞いたら何時までも耳に残る、哀愁のこもったメロディである。
この歌が、ここに住む人たちの心を捉えているのだろう。
この旅行記のタグ
利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。
コメントを投稿する前に
十分に確認の上、ご投稿ください。 コメントの内容は攻撃的ではなく、相手の気持ちに寄り添ったものになっていますか?
サイト共通ガイドライン(利用上のお願い)報道機関・マスメディアの方へ 画像提供などに関するお問い合わせは、専用のお問い合わせフォームからお願いいたします。
旅の計画・記録
マイルに交換できるフォートラベルポイントが貯まる
フォートラベルポイントって?
0
0