2005/05/26 - 2005/05/28
7569位(同エリア9848件中)
ソフィさん
私の子供の頃、それなりに風格のあった木造金沢駅には、思い出が詰まっている。
敬愛するI先生の出征見送り。
死を覚悟されながらも、凛々しく大声で挨拶された姿。(1944年)
緑色の可愛い市電が、駅から町に人を送り、町から駅へ人を迎えていた。
塩不足のため北鉄浅野川線のタンク車が、日本海の海水を運んでやって来て、市民に配る。
我先にと競い合う中、混雑に巻き込まれた少女が、市電に足を轢断されたときのあの悲鳴。(1945年)
「南下軍」(旧制四高応援歌)の蛮声に送られ、インターハイに出発したときの、あの興奮。
駅前広場は、応援旗で真赤に染められていた。(1949年)
その後駅は管理局を抱き込んで立派な4階建ての鉄筋コンクリート造りとなり、さらに高架化と新幹線工事のため、今の姿に進化する。
金沢駅周辺整備は、1967年に始まり、40年近くを経て、今回ようやく完成した。
金沢駅東広場は1989年より検討が始められ、1998年着工、2005年完成。
設計に当たっては、いかに町の個性を表現して「金沢らしい駅」とするかが、課題であった。
伝統をイメージしながらも、人にやさしい駅のあり方を具体化するのに、苦心が傾けられた。
その結果出来上がったものは、驚くほど大きいガラス製ドーム、題して「もてなしドーム」。
訪れた人々が雨や雪に濡れないように、そっと傘を差し出す金沢人の「もてなしの心」「思いやりの心」を表している。
アルミニュウム合金立体トラスという近代技術を駆使した新しさの中に、歴史と伝統を秘めながら、この世界に類例を見ないような駅前ドームは、金沢の存在感をしっかり訴えている。
駅通り線に向いたこの木製の門は、藩政時代から盛んだったお能や素囃子に用いられた鼓をデザインした。
地上に「せせらぎ空間」を、地下に「イベント広場」を配置。
この駅東広場を起点に、金沢21世紀美術館までを、町の将来に向けてのバックボーン化しようとする意図がある。
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