2001/07/30 - 2001/08/02
1584位(同エリア2145件中)
覇王樹さん
スイスで山に登ろうと思えば、やはり、日本にはない4000m級の山に登ってやろう、と考えるのは山登りをする人間にとって自然なことです。但し、スイス(というよりヨーロッパ)で4000m級となると例外なく氷河に閉ざされており、生半可なことでは登ることが出来ません。その中で、ブライトホルンは比較的登山経験の浅い人でも登れる4000m級の山となっています。
とはいうものの、相手は4000m級。高度慣れさせておかないとひどい目に遭うことは目に見えています。従って、今回の計画では、ブライトホルン登山基地であるツェルマットの町に入った後、初日は簡単に高度慣れできるようゴルナーグラート鉄道で3000mの空気を吸い、翌日はもうちょっと高度を上げ、3400m級のオーバーロートホルンに登り、最後にブライトホルンに登るという計画を立てました。
初日(7月30日)はゴルナーグラート鉄道で、ゴルナーグラートのピークへ。列車が高度を上げる毎にマッターホルンが大きく見えてきます。ゴルナーグラート駅の高度は3090mで、北ア・前穂高と同じ高度。ここまで他人任せで来られるのはさすが観光立国です。ゴルナーグラートのピークは駅からさらに十数メートル上がったところで、高度3135m。ここまで動悸息切れ一切ないので、時間が許す限り高度順応するという趣旨で、ゴルナーグラートからシュトックホルン(3532m)に延びるホーテリグラートの尾根を小走りに往復してみました。時間の関係で、ゴルナーグラートから1キロ先のの3152mポイントまで行ったところで引き返し。それにしても、登山道の石ころがっどれも雲母でキラキラ輝いているのには驚きました。日本ではまずお目に掛からないものです。
下山後、ツェルマット登山組合に行き、明後日のブライトホルン登攀ガイドを申し込みました。登山組合はバーンホフ通りのほぼ中央にあり、受付は2階で毎日午後4時から7時半となっていました。カウンターで、明後日のブライトホルンをお願いしたいと言ったらあっさりと受け付けてくれました。また、聞かれたのは私の名前と宿泊ホテルだけ。実に簡単なものです。ここでガイド料125スイスフランを払ったら(各種クレジットカードOK)、一枚の紙切れを渡され、これだけの装備を当日までに準備せよとのこと。クランポン(アイゼン)、ストック、ハーネス、それだけ。
7月31日、今日は自力訓練ということで、ツェルマットから地下ケーブルとロープウェイを乗り継いでいくウンターロートホルン(3103m)からオーバーロートホルン(3414m)への往復です。3103mといえば北ア・涸沢岳と同じ高度ですが、3414mとなるとすでに日本では富士山でしか体験できない高度です。私にとっては富士山はまだ登っていないので自力初高度となります(他力本願では、アメリカのサンディアピーク(3400m)にロープウェイで上がっていますが)。
ウンターロートホルンからオーバーロートホルンのピークまではまさに楽々の歩行でした。動悸息切れ、さらには疲労すら一切無し。山頂で散々風景を楽しんだあと、下山して村のスポーツショップにクランポン、ハーネスとストックをレンタルしに行きました。私の場合、グレッシャースポーツという店で、料金はしめて27スイスフランでした。
ついに、ブライトホルンの登頂日。集合場所のロープウェイ駅に行きました。我々のパーティーはガイドのおじいさん、スイスのモントルーから来たという女性、それと私だけの3人というとても小さなものでした。3人とも言語が全て異なるので、共通言語ということで英語での会話となります。ブライトホルン始発点となるクライン・マッターホルン駅の標高は3817m。ブライトホルンの標高は4165m、駅からの標高差はわずかに400m程ですが、途中氷河雪原を進むため、氷河渡行経験者でないと入ることは出来ません。全員ザイルで結んで、さぁ、出発。今日も雲一つない天気です。駅からブライトホルン斜面までは雪が締まっているため、実に快適な平坦歩行。傾斜が出てきたところでクランポンを履き、漸く上りとなります。が、このおじいさんガイドは一般ルートをはずれ、直登コースを取るではないですか。あれよあれよという間にブライトホルンとその支峰のコルに到着。目にツェルマットの谷の風景が飛び込んできました。これからは雪稜の登攀となります。右手はスイス、左手はイタリアという、この雪稜がまさに国境でもあります。その雪稜を登ること15分、漸くブライトホルン(4165m)の頂上に着きました。頂上に立つと、登攀側斜面からは見えなかったマッターホルンが真正面に見えます。ここからだと、あの鋭いマッターホルンも形無しです。何しろ殆ど同じ高さに見えるのですから(実際にはマッターホルンの方が300m高い)。
実は、この登山で私は2つのミスをしていたのです。一つは、水筒を宿に忘れてきたこと。もう一つは、帽子代わりの手ぬぐいも一緒に忘れてきたこと。水の方は幸いにドリンクを別に持っていたので何とかなりましたが、本来なら忘れてはならないものです。帽子もこのような高山では必須です。私はお陰でひどい日焼けに悩まされました。脳天がひりひりして大変でした。
頂上で登頂成功を祝って皆で握手。15分ほど休憩した後、今度は下りとなります。先程は気がつかなかったのですが、帰りはあちこちにクレバスが見えます。行きとは異なり、雪質は悪化して(これをヤマでは雪が腐るという)かなり足を取られるようになってきました。そのため、上りと下りとで大した時間差もなく、クラインマッターホルンの駅に到着。ここでパーティーは解散となりました。往復およそ3時間半の行程でした。その帰り、下りのゴンドラリフトでものすごく興奮しているドイツ人青年と一緒になりました。マッターホルン登頂に成功したんだそうです。そりゃ分かりますよ、彼の気持ち。その前の週には日本人アルピニストが北壁で滑落死していますからね。
ツェルマットでの本格登山を考えておられる方、http://www.zermatt.ch/index.e.htmlを見ると、コース、料金等を含め、登山組合の情報が出ています。いずれにせよ、パーティーの歩行速度に合わせられるくらいの体力が必要な事と、当日までに高度順応しておくことが必須条件となります(あと、英語の語学力も必要です)。また、登山靴も雪上歩行、さらにアイゼン装備となるため、トレッキングシューズ等は不可です。尤も、そういった登山靴も町でレンタルできます。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- ホテル
- 4.5
- グルメ
- 4.5
- 交通
- 5.0
- 交通手段
- 鉄道 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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急傾斜を登るため、ケーブルカーでもないのに車内は階段状になっている。
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列車交換。
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私の乗る列車の後ろから続行で電車がついてきた。
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ヴァイスホルンとゴルナーグラート鉄道。
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ゴルナーグラート鉄道の終点、標高3089mなり。
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ゴルナーグラート氷河。
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ゴルナーグラードから望む西欧州第2峰、モンテローサ。
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シュタインボック。どうしたことか片方の角が折れている。
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ホータリグラートの尾根から見るマッターホルン。
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お、今朝も良い天気。今日は高度順応のためオーバーロートホルンに登る。
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まずはウンターロートホルンまでロープウェイで上がる。
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ここらですでに3000mを超えている。
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オーバーロートホルンから眺めるゴルナーグラート氷河。崖上の人が豆粒のように小さい。
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ここまで来るともうすぐ頂上。
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オーバーロートホルン頂上(3414m)
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氷河を纏った山々が目の前。
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オーバーロートホルンの頂上。標高3414mながら氷河はおろか万年雪もないので気軽に登頂できる3000m峰である。
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オーバーロートホルン山頂からのパノラマ。マッターホルンの左隣がブライトホルン。
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カストールとポリュックスの双児峰。
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オーバーロートホルンから望むヴァイスホルン。
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オーバーロートホルンから眺めるマッターホルン。
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オーバーロートホルンから見るマッターホルン。
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明日登る予定のブライトホルン。さすがにあちらは4000m級。氷河登攀となる。
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ウンターロートホルンまで降りてきて改めてオーバーロートホルンを眺める。
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本日はブライトホルン登攀の日。朝日に照らされたマッターホルンをホテルの窓から見る。登山日和である。
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麓のロープウェイ駅でガイド氏と合流し、一気にクラインマッターホルンまで行く。ここからパーティーを組むモントルー出身の女性と共にアンザイレン。
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ブライトホルン登り口。広大な氷河雪原。
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ブライトホルンは広大な氷河雪原をただひたすら歩いて行く。ところどころクレバスがあるが、ガイド氏とアンザイレンしているので問題なく登れる。
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空気が澄みすぎていて紫外線が強い。ただ、高山病などの症状は一切無く快調である。
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標高4000mから見下ろすゴルナーグラート氷河。まさに川のように見える。
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ついに4165mのブライトホルン登頂。初めて経験する4000m峰である。
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ブライトホルン山頂。右にマッターホルン、左奥に西欧州最高峰・モンブランを望む。
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頂上からモンブラン方面を見る。
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モンブランを遠望。西欧州最高峰である。この2年後、モンブランも登頂成功。
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頂上の風景。
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頂上からマッターホルンを見るが、言うほど尖った感じではない。
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一般客がたどり着ける限界のクラインマッターホルンを見下ろす。
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下山後、先ほど登ってきたブライトホルンを眺める。雪庇が人の顔にも見える。
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クラインマッターホルンから見るマッターホルン。少し雲が出てきた。
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クラインマッターホルンから下界を見下ろす。
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スイスの山並みが一望。
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ロープウェイの乗り換え駅(トロッケナーステグ)で一旦散歩。
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ここから見るブライトホルンはかなり険しい。
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また、マッターホルン
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ツェルマットの町が谷底の集落であることがよく分かる。
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山から降りてきて宿へ戻る途中、ゴルナーグラート鉄道を見る。
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う~ん、スイスの農村風景ですな。
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